著者
長野 高志 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1101-I_1109, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
15

近年の東京都市圏全体の鉄道輸送人員は増加しているが,個別に乗降客数を確認すると,地域の主要駅においても乗降客数が減少している鉄道駅を確認することが出来る.本研究においては乗降客数の減少した鉄道駅に着目し,その経緯と実態を明らかにする.その上で,乗降客数の減少した鉄道駅における今後の課題を明らかにすることを目的とする.結果として,乗降客数の減少している鉄道駅は他の鉄道駅に乗降客が利用転換することで減少し,周辺の商業施設の減少による生活水準の低下が課題になることが明らかになった.また,鉄道駅周辺と地域全体での商業施設集積量を比べることにより鉄道駅周辺において望ましい商業施設の集積量を示すことが出来た.ここから,今後の東京都市圏郊外における鉄道網整備の際に考慮すべき点について提案を行った.
著者
岩本 敏彦 中村 文彦 岡村 敏之 矢部 努
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.2, pp.39-48, 2006-10-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
19

本研究は首都圏の都市鉄道において、駅の拠点性向上や駅周辺地区の活性化、にぎわいの向上という社会ニーズに対応するため、従来のように駅、駅前広場、駅の周辺地区という個別要素について議論するのではなく、それらを包括した総合空間を「駅まち空間」と定義し、その空間を研究対象として取り上げ、これまで明確化されていない個別施設の連携効果について着目した。はじめに、調査対象駅において駅、駅前広場、駅の周辺地区から空間構成に影響を与える要素を選定し、クラスター分析により駅まち空間の類型化を行った。次に、分類結果に基づき、利用者評価の分析を行う駅を選定し、利用者への意識調査を実施した。続いて、駅まち空間に対する利用者の評価構造を解明するため、重回帰分析を行うとともに、駅、駅前広場と一体的に整備するのが望ましいと利用者が考える範囲について整理し、空間の施設構成との関連性について考察した。
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
17

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.
著者
吉田 昇平 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_765-I_772, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
7

近年導入が盛んなコミュニティバスについて,住宅地区内の狭隘な道路において大型車両は通行するべきでないとする問題点が存在することによって,一部の地域ではコミュニティバスの運行ルートの設定に難航している事例が存在している.本研究は,コミュニティバスの運行ルート計画において,幅員基準を満たす運行ルートを設定することが最も困難であることを示し,また一方で幅員基準に満たない場合でも運行ルートとして登録された道路も少なからず存在していることを明らかにした.幅員基準を満たさない道路においても登録された要因について,待避所などの整備状況や自動車交通量が影響していると考えられることを示した上で,幅員のみによって判断されないコミュニティバスの運行ルートに考慮できる道路の新たな指標の考え方について提案している.
著者
鈴木 克洋 中村 文彦 大塚 慈雨 正井 克俊 伊藤 勇太 杉浦 裕太 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.379-389, 2017

<p>The head-mounted displays (HMD) allow people to enjoy immersive VR experience. A virtual avatar can be the representative of a user in the virtual environment. However, the expression of the virtual avatar with a HMD user is constrained. A major problem of wearing an HMD is that a large portion of one's face is occluded, making facial recognition difficult in an HMD-based virtual environment. To overcome this problem, we propose a facial expression mapping technology using retro-reflective photoelectric sensors. The sensors attached inside the HMD measures the distance between sensors and a face. The distance values of five basic facial expressions (Neutral, Happy, Angry, Surprised, and Sad) are used for training the neural network to estimate the facial expression of a user. Our system can also reproduce facial expression change in real-time through an existing avatar by using regression.</p>
著者
木村 希 松行 美帆子 中村 文彦 三浦 誌乃 有吉 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.341-348, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

現在、コンパクトシティが人口減少時代の都市像の一つとして、その実現が求められているが、単に都市機能を駅近くに集積させただけでは、人が中心市街地に戻ってくるとは考えられず、中心市街地自身を魅力的な空間にする必要がある。その手段の一つとして、中心市街地における公共空間の設置があると考えられ、その意義を検証する必要がある。本研究は、中心市街地における公共空間の役割として、とくに周辺エリアのイメージの向上と回遊行動の助長に着目し、南池袋公園周辺においてアンケート調査を実施し、これらの効果があるかの検証を行った。分析の結果、公共空間の認知が周辺エリアへの愛着と防災の面からの安心感などの周辺エリアのイメージに対して間接的に影響を与えていること、公共空間に立ち寄ると回遊行動が助長されることが明らかになった。
著者
榎本 拓真 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.347-354, 2009

中心市街地活性化において,商店街をはじめとした商業集積地の再生は重要課題のひとつである.本研究では,商業集積地再生のための空間デザインを考える上で,重要と考えられる歩行空間に着目し,街路における歩行者挙動と自動車挙動,道路構造との間の関係を解明し,商業集積地内街路の歩行空間デザインへの知見を導き出すことを目的としている.結果として,自動車速度,交通量をコントロールし,歩車道を明確に分離しない道路構造を用いることで,乱横断が発生可能な状況となり,自動車交通との兼ね合いを図ることで安心,安全で快適な歩行空間が実現可能であるということを示した.
著者
岩柳 智之 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1069-I_1079, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
12

わが国では道路橋の急速な老朽化を迎え,またその損傷が深刻なために修繕・更新費は莫大であり,その全てを予防保全型で維持管理することにも限界がある.そのため廃橋を維持管理の選択肢として取り入れる必要があるが,地域の理解を得るために廃橋の効果や影響を客観的に示す方法が必要となる.そこで本研究では廃橋による費用対効果計算として将来の維持管理・更新費用の縮減効果と地域の効用の低下による損失を比較する方法を提示した.そして実地域を対象とした計算を行い,廃橋が受け入れられる余地を検討し,廃橋を含めた維持管理のあり方を議論した.計算の結果,廃橋の効果がある橋梁はなかった.しかし,他の橋梁と比較し,維持管理・更新を続ける効果の低い橋梁が見られ,廃橋にする場合,しない場合それぞれの望ましい管理方針を示した.
著者
岩柳 智之 中村 文彦 田中 伸治 三浦 詩乃 有吉 亮
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_223-A_229, 2017

<p>2011 年 3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震により、千葉県浦安市では液状化現象が発生し、交通障害や断水の被害が生じ、応急給水活動が行われた。本研究では浦安市での応急給水活動に着目し、最短経路探索を用いて水の運搬による身体的負担について評価し、また給水支援が不足した場合の備えを給水の待ち行列計算から推定した。その結果、前者について現況では全体として運搬時間 6 分以上の無理な負担が存在し、対策として耐震化した受水槽等の整備により運搬時間 10 分以上の過大な負担が大きく減少することが明らかになった。後者について 8000 人程度の断水人口を受け持つ応急給水拠点では給水車が不在となる時間や給水所開設時間内に水を受け取れない人が発生し、これを避けるには 1L/人・日の備蓄が必要であることが明らかになった。</p>
著者
中道 久美子 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.867-872, 2014

南米コロンビアの中規模都市であるメデジン市では、所得格差とスラム街形成、自家用車やオートバイの増加といった都市交通問題を抱えていたが、約20年間で都市再生と都市交通システムの戦略的整備に取り組み、革新的な成長を遂げた。本論文では、メデジン市の現代都市交通システムの動向について、現地ヒアリング調査に基づいてとりまとめ、今後の都市交通戦略のあり方について示唆を得ることを目的とする。具体的には、高架鉄道、ロープウェイ、BRT、LRT、自転車シェアリング、エスカレータ等の現代的な都市交通システムに関して、現地自治体へのヒアリングや利用者へのインタビューを通して、動向をまとめるとともに、南米のその他の都市との体系的比較も行った。それらの結果から、機動力のある実働的な自治体組織、低費用かつ論理的に矛盾のない導入順序、市民が誇りを持つよう重視していることなどの特徴が見られ、途上国の交通戦略やわが国の地方都市の交通問題解決に際しての知見を得た。
著者
柳澤 慧 高橋 陸 中村 文彦 住谷 陽輔 飯田 良 新田 明央 倉 千晴 戸口 侑 小島 遼人 藤吉 隆雄
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.145-154, 2015-12

記者発表による市民への情報伝達過程では,情報はおおむね研究者,広報担当者,ジャーナリスト,市民の順で伝わる.そこで,記者発表に関与する専門職と考えられる研究者,広報担当者,ジャーナリストの役割を考え,情報伝達過程における課題と解決策を博士後期課程1 年次の大学院生の視点から考察した.市民に研究成果を届ける記者発表をする理由は二つある.税金を原資として運営する研究の市民に対する説明と,「トランス−専門知」が関わる領域での社会の意思決定のための情 報提供である.ここで記者発表をめぐる課題は六つ挙げられるだろう.研究成果の間違った理解と伝搬,研究成果の強調,社会からの関心の研究成果以外への集中,研究者個人と組織の立場の相反,研究不正や倫理的問題の発覚,そして,市民・ジャーナリスト・科学者の態度の違いである.これらの課題の解決策はおおむね,それぞれの専門職としての役割の認識と倫理教育,情報のフィードバック回路の形成に大別できる.ここから,記者発表に関わる三者の役割の違いを認識したうえで, 規範と現実の食い違いは生じるとの前提でシステムの設計をするのが重要である.そして,その設計において大事なことは認識のずれを許容し吸収する仕組みの準備である.そのためには,バッファーとしての役割を担う中間的専門家が活動できる基盤が必要である.
著者
青木 英明 久保田 尚 中村 文彦 大森 宣暁 高見 淳史 望月 真一 諏訪 嵩人 森井 広樹 森 和也
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

3年の研究活動では、海外事業者から情報が得られ、英国ロンドンBarclays Cycle Hire計画担当者の講演会、フランス、ラロッシェル市副市長の講演会も主宰した。そして海外のバイシクルシェアリングの大規模なものが本格的な第三世代へ至ったことを理解した。国内ではシクロシティ富山の事業で得られたデータを解析することにより、東京大学、横浜国立大学研究室のスタッフがサービスの供給需要に関する定量的な検討を行い、利用実態の把握ができた。
著者
武士俣 優 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
鉄道技術連合シンポジウム(J-Rail)講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, no.13, pp.377-380, 2006-12-13

首都圏郊外では、郊外鉄道は都心までのアクセス手段として充実したサービスを提供しており、高い交通機関分担率を示しているが、日中の地域内交通としては必ずしも高くない。本研究では、日中の地域内交通としての鉄道利用の顕在化を妨げている要因を明らかにすることを目的として、東急田園都市線沿線の郊外地域を対象にアンケート調査を実施した。調査結果より、アクセス交通の問題を含む「総移動時間の長さ」、「鉄道の移動性の低さ」が地域内交通としての鉄道利用の顕在化を妨げている大きな要因であることが明らかになった。