著者
外山 友里絵 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.343-348, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

本研究は、BRT(Bus Rapid Transit)を開発途上国大中都市に導入する際の課題を明らかにすることを目的とする。幹線輸送としての需要がありながらも、財源不足などの理由により軌道系を導入することが困難な開発途上国大都市において、専用道路を走行するバスをベースとした新しい交通システムであるBRTは注目に値する選択肢である。1974年に導入されたクリチバ市以降、近年では多くの都市で導入が進んできているが、計画段階の事例も少なくない。先行事例及び調査研究事例のレビューに基づき、クリチバ市、ボゴタ市、ジャカルタ市の3事例の分析が必要十分との判断のもと、現地調査に基づき比較分析を行った。結果として、専用道路や駅などの基盤施設の丁寧な設計が欠かせないこと、速達性、定時性、輸送能力などの指標の向上には、十分な基盤施設整備のもとでの運用面における工夫の導入が不可欠なこと、運用面での工夫等において情報通信技術が果しえる役割は大きく、費用効果をもたらす可能性があること、システムの性能向上に、人材教育面での投資が有用なこと、などが考察された。
著者
榎本 拓真 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.385-394, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

本研究では, 近年, 導入が進む大型SCの公共サービス機能の導入の中で, 特にアクセス公共交通導入に着目し, アクセス費用のモード問比較, 買物行動の実態評価を通じ, 郊外大型SCのアクセス公共交通導入実態と, 郊外大型SCへの公共交通乗り入れによる地方都市における買物行動の手段転換可能を明らかにした. 結果として, 郊外大型SCへのアクセス公共交通は, 多様な導入形態があり, 高いLOSを担保する事例も確認した. さらに, 買物行動の実態分析と自動車とのアクセス費用比較から, アクセス公共交通の優位性は認められず, チョイス層でも買物行動時の自動車利用が固定化し, 所要時間が公共交通より長くても自動車を選択する傾向を示し, 手段転換が困難であることを示した.
著者
栗林 志行 保坂 浩子 中村 文彦 中山 哲雄 中田 昂 佐藤 圭吾 關谷 真志 橋本 悠 田中 寛人 下山 康之 草野 元康 浦岡 俊夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.308-315, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアは,EGDで拾い上げが可能であることが多いものの,治療選択に関わるサブタイプの診断は困難である.また,その他の食道運動障害では内視鏡検査時に異常所見を認めることはまれである.食道X線造影検査は食道運動障害の拾い上げに有用であるが,やはり食道アカラシアのサブタイプやその他の疾患の診断には,食道内圧検査,特にHRM(high-resolution manometry)が欠かせない.食道アカラシアをはじめとする食道運動障害の診断では,EGDや食道X線造影検査,HRMなどの検査所見を総合的に評価することが必須と考える.
著者
鈴木 克洋 中村 文彦 大塚 慈雨 正井 克俊 伊藤 勇太 杉浦 裕太 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.379-389, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
17

The head-mounted displays (HMD) allow people to enjoy immersive VR experience. A virtual avatar can be the representative of a user in the virtual environment. However, the expression of the virtual avatar with a HMD user is constrained. A major problem of wearing an HMD is that a large portion of one's face is occluded, making facial recognition difficult in an HMD-based virtual environment. To overcome this problem, we propose a facial expression mapping technology using retro-reflective photoelectric sensors. The sensors attached inside the HMD measures the distance between sensors and a face. The distance values of five basic facial expressions (Neutral, Happy, Angry, Surprised, and Sad) are used for training the neural network to estimate the facial expression of a user. Our system can also reproduce facial expression change in real-time through an existing avatar by using regression.
著者
中村 文彦 Adrien Verhulst 櫻田 国治 福岡 正彬 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.298-309, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
19

In this paper, we propose Virtual Whiskers, a spatial directional guidance technique by stimulating a cheek using tiny robot arms attached to a Head-Mounted Display (HMD). We performed a directional guidance experiment to evaluate how accurately our method provide the target direction. The result shows our method achieves the average absolute directional error of 2.76 degrees in the azimuthal plane and 7.32 degrees in the elevation plane. We also investigated how effective the cheek stimulation is in a target search task. The average of task completion time in visual condition was M=12.45s, and visual+haptic condition resulted in M=6.91s. Statistical test revealed a significant difference between visual condition and visual+haptic condition.
著者
酒見 龍裕 野田 常雄 江藤 徹二郎 中村 文彦 巨海 玄道
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-28, 2018-03-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
7

1.はじめに現在多くの大学で,新入生の基礎学力の養成のため多彩な試みがなされている.中でもいわゆる全入大学では,十分な学力をもたない学生が入学してくるため,その対策にはどこも頭を痛めてい
著者
武智 通 中村 文彦 福岡 正彬 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.243-254, 2023-09-30 (Released:2023-09-30)
参考文献数
23

This study investigates sense of agency (SoA) and sense of body ownership (SoBO) according to the automation level involving target setting, user’s input, and trajectory modification of a robotic arm by machine intelligence. We defined five automation level in a pick-and-place task using a robotic arm and set the control weight of the participants. Also,we implemented the collaborative and obstructive conditions. We compared the SoA and SoBO under different automation level through two experiments. The result showed that SoA and SoBO increased by increase of participant control weight. Moreover,we found that increasing the automation level decreased SoA and SoBO.
著者
鈴木 渉 中村 文彦 有吉 亮 田中 伸治 松行 美帆子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00169, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
12

鉄道駅での改札通過データには,乗車券単位で駅での入出場の情報が長期的に記録されており,利用頻度や利用時刻といった個人単位の交通行動データの取得が可能である.そこで本研究では,昨今の急速な社会情勢の変化に伴う,個人ごとの利用頻度や利用時刻の変化に着目し,習慣的な鉄道利用減少の特性を明らかにすることを目的とする.まず,各々の変化量と,年齢や性別,券種といった個人ごとの属性との関係性を整理した.そして,重回帰分析を用いて,習慣的な鉄道利用が減少した人の中でも,定期利用でなくなった若年層の利用習慣の変化がより大きい可能性があること,また定期利用でなくなった若年層であるほど乗車時刻が変化した一方,定期利用を続けており年齢の高い層ほど乗車時刻が変化していない可能性があることを,定量的に明らかにした.
著者
川平 正博 中村 文彦 嶋田 博文 西 真理子 岩坪 貴寛 塩満 多華子 前田 弘志 大迫 絢加 宮崎 晋宏 久住 勇介 村田 明俊 大迫 浩子 堀 剛
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.61-66, 2023 (Released:2023-02-21)
参考文献数
22

骨転移診療では,骨関連事象(SRE)の発症予防,早期診断,治療が重要となる.骨転移に対して多職種チーム介入を行うことで,生存期間延長やADL改善が期待できるか後方視的に検討した.2020年8月~2022年7月まで当院で骨転移カンファレンス(BMB)を実施した進行がん患者75名を,SRE発症前後のBMBによるチーム介入別に2群に分け,比較検討を行った.両群ともにチーム介入後にNRSは改善したがPSの改善はなく,両群で生存期間に差は認めなかった(15.3 vs. 9.0カ月,HR: 0.74,95%CI: 0.42–1.29,p=0.29).当院BMBでは発症したSREに対しては早急にチーム介入できていた.しかし,当院BMB後のSRE発症割合は22.6%であり,今後はSRE発症予防に積極的に取り組む必要がある.
著者
福山 大地 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_161-A_166, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
8

我が国では自転車の信号制御に関して議論が少ない。車道を走行する自転車は車両用信号に従うものとされているが、車両用信号のクリアランス時間は自動車の速度で決められているため、自動車よりも速度の遅い自転車には十分な時間が確保されておらず、信号切り替え時に交差点に残存するおそれがある。本研究では、信号交差点観測調査を実施し、信号切り替え時の自転車のクリアランスに関する問題の把握を行った。その結果、交差点の信号制御や幾何構造等様々な要因によって残存の起こる割合が異なることがわかった。また、交差点ごとに観測した自転車の速度で算出したクリアランス時間は現在設定されている車両用信号の値より長く必要であることが示された。以上の観測調査の結果を踏まえ、自転車を考慮した信号制御の指針作成のための知見を述べた。
著者
岩本 敏彦 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-10, 2009-04-25
被引用文献数
1

本研究は首都圏の都市鉄道において、駅、駅前広場の交通結節点と周辺のまちづくりが連携して整備された先進的な事例を採り上げ、現在の時間軸に焦点をあて、利用者評価の視点から事後評価分析を行った。はじめに、駅まち空間(駅、駅前広場、駅の周辺地区を包括した空間)の連携整備事例を抽出し、整備主体に基づき分類を行った。次に分類結果に基づき、事例数の多い鉄道主導と行政主導の両グループにおける代表駅をケーススタディとして選定し、利用者による事業目的の達成度評価、整備施策メニューの評価について考察を行った。続いて、駅まち空間の総合評価と整備施策評価との関連性について共分散構造分析により、利用者意識モデルを構築し比較分析することで、整備施策評価の構造及び連携整備推進にあたっての課題を明らかにした。
著者
瀬良 敦希 三浦 詩乃 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.258-265, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
39

近年米国では「公共交通の優先度が高い街路」を意味する「Transit Street」が提唱されている。公共交通と歩行者のみが通行可能なトランジットモールと違い、自家用車も通行可能であるが、様々な設備を導入し、自家用車の利便性を低下させることで公共交通や歩行者の有意性を保つものとされている。米国では既に整備ガイドラインの発行も見られる。一方日本にはTransit Streetやそれに近い概念は存在しないものの様々な整備が行われた結果、公共交通が優先されるような街づくり・街路づくりが行われた事例は存在する。そこで本研究は日米の事例を参照し、日本における今後の公共交通優先街路空間整備の指針を示すことを目的とする。このためにまずTransit Streetの歴史・定義・空間要素を示したあと、日本での類似事例として福岡市明治通りの整備経緯・内容を報告する。最後に日米の類似点・共通点を踏まえた日本での公共交通優先街路空間整備の指針を示す。
著者
松村 みち子 中村 文彦 田中 伸治 王 鋭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1107-I_1117, 2014

一般道路の路上に高齢者等の運転者が駐車できる「高齢運転者等専用駐車区間制度」が,わが国で2010年4月に導入された.本制度は日常生活に必要な施設の直近に,安全で快適な駐車環境を提供することで高齢運転者等を支援するものである.公共施設等の路外駐車場の移動制約者用駐車スペースとは異なり,対象車両が明確化され罰則もある.本研究では,事例として神奈川県における高齢運転者等専用駐車区間を取り上げ,利用実態,周辺施設の駐車場の整備状況,目的施設への公共交通によるアクセスのしやすさ等を併せて調査し,制度の導入効果を評価する.高齢者のモビリティを確保する上での課題や方策についても整理してみた.
著者
早内 玄 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.A_223-A_228, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
13

近年、都市内交通としての索道整備が複数報告され、新たな交通手段としての役割が期待されている。 そこで本研究ではトランスポーテーションギャップの考え方に基づき、所要時間の観点から索道の役割を定量的に明らかにすることを目的とする。はじめに、東京都市圏パーソントリップ調査から得られる手段別所要時間分布と人々が受容する所要時間との比較により、都市内交通において現在、既存交通手段では所要時間が受容されない、またはされにくいトリップ距離が複数存在することが明らかとなった。 次に、世界各都市の索道について、同様の比較によりその受容可能範囲が 0.3km~4.2km であることが明らかとなった。最後に両者を重ね合わせた結果、課題の残るトリップ距離のうちおよそ 2~4km の領域における課題を索道が改善しうることが明らかとなった。
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.
著者
伊藤 太郎 岡村 敏之 中村 文彦 王 鋭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_657-67_I_663, 2011

首都圏の都市鉄道で遅延が慢性化しており,利用者が自身の行動を決めるうえで遅延時の情報提供サービスが重要なものとなっている.利用者の情報利用選好を明らかにすることは,今後情報提供サービスの効果を定量化していくうえでも重要であるといえる.そこで本研究では,鉄道遅延時における利用者の情報収集実態および利用選好を明らかにすることを目的とする.本研究では,朝通勤時の鉄道遅延についての仮想状況を設定し,各状況下でどのような行動をとりうるのかSP調査をおこなった.その結果,「運転見合わせ」や「人身事故」といった遅延原因,運行状況の情報を認知することが経路変更に大きな影響を与えることが明らかになり,遅延情報を早い段階で的確に認知できる施策を行っていくことが重要であるという示唆が得られた.