著者
杉本 直己 川上 純司 中野 修一 三好 大輔
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

分子クラウディングのモデル実験系を構築することで、細胞で行われる相互作用や化学反応の橋渡しとなる定量データを取得し、核酸の構造と機能に対する分子環境効果を化学的に解明する試みを行った。こうして得られたデータに基づいて、分子環境効果を利用した機能性核酸の開発とその機能解析を行い、細胞反応を理解するための新規実験系や、細胞内部のような特殊環境で機能する種々の核酸マテリアルを開発することに成功した。
著者
中野 修
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.764, 2006 (Released:2007-06-05)
被引用文献数
2
著者
小野 美咲 今井 克己 安武 健一郎 渡邉 啓子 岩本 昌子 大和 孝子 竹嶋 美夏子 森口 里利子 上野 宏美 中野 修治
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.641-648, 2021 (Released:2021-11-01)
参考文献数
8

大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習が受講者の意識に及ぼす影響について、独自に設定した科目の到達目標に対する教育効果評価指標を用い評価した。実習内容は大学付属医療施設に通院している患者の栄養支援の見学と、グループワークによる担当症例の検討、および栄養支援計画の立案とした。効果の検討はアンケートにより行った。アンケートは本科目受講により認識の変化が期待される管理栄養士の能力としてのコミュニケーションおよび専門的知識に関する10項目とし、項目に対する受講者の重要性の認識の変化と、自己評価の変化を把握した。受講前後および栄養支援見学後に実施したアンケートの継時変化をFriedman検定にて解析した。重要性の認識では、身だしなみ、態度、対話力、想像力、記録力、聴き取り力、意思疎通力、調理および食材の知識の8項目が受講により上昇傾向を示した(全てp <0.05)。栄養学の専門的知識の重要度は変化しなかった(p=0.064)。自己評価では10項目全て上昇傾向に変化した(p <0.001)。大学付属医療施設を利用した参加型臨床実習は、コミュニケーションおよび専門的知識に対する重要性の認識の強化および自信の向上に貢献する可能性がある。
著者
小野 美咲 中野 修治
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.204-211, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
4

【目的】管理栄養士養成課程の初年次学生に対して,管理栄養士としての将来像を明確化することに重点を置いた導入教育を実施し,導入教育の有効性の検証を行うことを目的とした。【方法】対象はN大学栄養科学科に入学し,授業を受講した学生214名。初年次前期に90分3回,180分1回の計4回実施した。受講前後に目標設定や養成課程における学修の意義の理解,管理栄養士としての就労意欲,目標に対しての努力の実行度などを含む計17項目のアンケートを実施し教育効果を評価した。【結果】すべての教育効果評価項目の受講後の得点は受講前得点よりも有意に高かった。受講初日の将来への目標設定段階の違いにより,向上する教育効果が異なり,進路希望先はあるもののその理由の記述がなかった場合,受講により管理栄養士としての就労意欲が高まった。卒後のビジョンの記述がない場合,受講により管理栄養士資格取得意欲が高まった。対して進路希望理由が明確な場合,および希望する動機付け経験がある場合は,目標に対して実際に努力するという教育効果が向上した。【結論】将来像を明確にすることを主眼とした管理栄養士養成課程初年次学生に対する導入教育としての本プログラムは,受講により教育効果が向上するものであり,さまざまな将来への目標設定段階に対応する教育内容であった。さらなる教育内容の改善が必要ではあるものの,総合的に管理栄養士を目指す気持ちを育む教育の効果があると評価できた。
著者
中野 修治 竹嶋 美夏子 小野 美咲
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

フィトケミカルの抗癌作用の分子機序を異なったサブタイプの乳癌細胞で解析するとともに、一次予防へ応用可能かどうかをEMS誘導乳癌モデルラットで検討した。用いたフィトケミカルはイソフラボン、クルクミン、リコペン、ノビレチン、レスベラトロールで、すべて乳癌細胞に抗癌作用を示した。その分子機序はフィトケミカルによって異なるが、増殖とアポトーシスに関連する細胞内シグナル蛋白に働き、増殖抑制とアポトーシス誘導により発揮されることが判明した。動物モデルではイソフラボンやリコペンは乳癌発症を抑制することがわかった。フィトケミカルは乳癌の一次予防に効果があるだけでなく、癌の増殖・進展を抑制する可能性がある。
著者
中野 修
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.121-130, 1991-07

epidermal growth factor (EGF)が胃粘膜において,如何なる機序で損傷粘膜の修復機転あるいはその恒常性保持に関与するのかを胃粘膜細胞を用いたin vitroの系で検討した。静止期に同期させたモルモット培養胃粘液細胞を10%血清存在下でEGFと共に刺激すると,細胞数及びDNA合成は対照に比し刺激時間及びEGFの濃度に依存して増加し,その最大効果はlOng/ml EGF刺激24時間で観察された。細胞を0.5%血清下で[3^H]-アラキドン酸で標識しつつEGFを加え上清を薄層クロマトグラフィー(TLC) 法で分析すると,上清中にプロスタグランジン(PG)E_2を主とするアラキドン酸(AA)代謝産物の産生が認められた。ラジオイムノアッセイ(RIA)法によりPGE_2量を定量すると,10%血清下でEGF刺激によりPGE_2分泌は刺激後6時間まで時間及びEGFの濃度に依存して増加し,その最大濃度は4.18X10^<-7>Mであった。又,シクロオキシゲナーゼ(COX) 阻害剤であるインドメタシン(IND)をEGFと同時添加すると,EGFにより刺激されたPGE_2分泌はほぼ対照レベルまで抑制された。INDは又,EGFの細胞増殖刺激効果をも抑制したが,さらにPGE_2を同時添加することによりINDにより惹起された増殖抑制はPGE_2の濃度に依存して有意に解除された。従って,EGF刺激により分泌されたPGE_2がEGFの増殖刺激作用に関与する可能性が考えられた。次に,どのような機序でEGFがPGE_2分泌を刺激するかを検討した。EGFは0.5%血清下で,添加したAAの濃度に依存してPGE_2分泌を刺激した。又,EGFは刺激後の細胞の破砕液を酵素源として[14^C]-AAからの[<14>^C]PGE_2への転換率より評価したCOX活性を亢進させ,かつウエスタンプロット法によりEGF刺激細胞においてはCOX酵素蛋白質の誘導が認められた。これらはEGF刺激により,COX蛋白質誘導,その活性冗進及びPGE_2分泌の順序で認められ,これら3者間に明確な時間的相関性が認められた。一方, EGFはCOX刺激を認める同条件下で評価した細胞のホスホリバーゼA_2活性には影響を与えなかった。以上より胃粘液細胞においては, EGFはCOX蛋白質合成過程を刺激し,かつ外液中のAAを利用することによりPGE_2分泌を刺 激するものと考えられ,このようなPGE_2を介した増殖刺激機序がin vivoで認められるEGFの胃粘膜保護作用の一部を担う可能性が示唆された。
著者
中野 修一 杉本 直己
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.251-256, 2006 (Released:2006-09-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

The medium of biomolecules in a living cell differs remarkably from a dilute solution, and many properties of biomolecules that are not observed in vitro are emerged as a result of such intracellular environments. Molecular crowding which is one of the important intracellular environments changes equilibria and rates of biomolecular interactions. Studies with solutions containing high concentration of water-soluble inert cosolutes reveal influences of the molecular crowding on the structures and interactions of proteins and nucleic acids, providing significant insights not only into traditional biology but also bionanotechnology.