著者
久保 仁美 今井 彩 阿久澤 智恵子 松﨑 奈々子 金泉 志保美 佐光 恵子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.18-26, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究の目的は、NICU入院児の母親への退院支援に対する熟練看護師の認識を明らかにすることである。5年以上のNICU勤務経験を有する熟練看護師12名を対象に、退院支援の認識について半構成的面接調査を行い、Berelson. Bの内容分析を行った。結果238コードから、49サブカテゴリー、15カテゴリー、6コアカテゴリーが生成された。6コアカテゴリーは、【母子関係・母親-看護師関係を構築し深める】、【出産後のプロセスを支える一貫した支援】、【退院後の育児を見据える】、【退院調整に多職種でかかわる】、【退院後の母子の生活を知りNICUでの退院支援を評価する】、【妊娠中から退院支援が始まる】であった。熟練看護師は、出産後のプロセスを支える一貫した退院支援の認識を基盤とし、各時期における退院支援の認識を相互に補完し合い、母親への退院支援に結びついていることが示唆された。
著者
松﨑 奈々子 阿久澤 智恵子 久保 仁美 今井 彩 青栁 千春 下山 京子 佐光 恵子 金泉 志保美
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2016 (Released:2016-12-09)
参考文献数
13
被引用文献数
5

【目的】小児訪問看護の際に訪問看護師が行った他機関・多職種との連携内容を明らかにし、連携における訪問看護師の役割について示唆を得ることである。 【対象と方法】A県内の訪問看護ステーションに勤務し、小児の訪問看護を経験したことのある訪問看護師12名。半構成的面接法によるインタビュー調査を実施した。 【結果】訪問看護師は、【小児と家族についての情報共有】、【小児と家族のための退院支援】、【在宅での支援方針の決定】を連携の基盤とし、小児のニーズを満たすための【多職種の専門性を活かしたケア提供】、【小児のニーズに応じて専門職を巻き込む】働きをしていた。 【考察】訪問看護師は、情報共有や協議を通じて連携するための基盤をつくり、在宅生活を送る中での様々な状況や小児の成長・発達に応じて必要な他機関・多職種とつながり、小児と家族の支援体制に他機関・多職種を巻き込んでいく役割があることが示唆された。
著者
大柿 徹 苦瓜 知彦 大久保 仁 小松崎 篤
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.1323-1331,1477, 1992-09-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

職業ダイバー31人について聴力検査, 内視鏡による外耳道の検査を行った. この結果, 外耳道外骨腫は40%以上に, 感音性難聴は70%以上に認められ非常に高い発生率を見た. 外骨腫は潜水歴の長さとは関連性がなく, またこれと難聴との関連性もなかった. 感音性難聴においてはその程度と潜水歴と長さとに関連性が認められた. 感音性難聴が認められた者の中で内耳窓破裂等の内耳圧外傷による急激な聴力の低下を経験している者は極めて少なかった. 現在, 潜水による感音性難聴としてはこの内耳外傷による急性の感音性難聴が認められている. しかし内耳圧外傷が生じる程の大きな圧変化でなくても何らかの経路を介して内耳リンパ液圧の変化をもたらし, これが頻回に繰り返されると内耳聴覚器に障害が生じ, 慢性の感音性難聴が発症するのであろうと推察した.
著者
野本 保夫 川口 良人 酒井 信治 平野 宏 久保 仁 大平 整爾 本間 寿美子 山縣 邦弘 三浦 靖彦 木村 靖夫 栗山 哲 原 茂子 浜田 千江子 佐中 孜 中尾 俊之 本田 雅敬 横田 眞二 須賀 孝夫 森 典子 下村 旭 金 昌雄 今田 聰雄 田中 良治 川西 秀樹 枝国 節雄 福井 博義 中本 雅彦 黒川 清
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.303-311, 1998-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
24
被引用文献数
25 25

硬化性被嚢性腹膜炎 (sclerosing encapsulating peritonitis, SEP) はCAPD療法における最も重篤な合併症の1つである. 平成7-9年度にわたり, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業慢性腎不全研究班に参加した『CAPD療法の評価と適応に関する研究班』にてこの病態に焦点をあてSEPの診断基準, 治療のガイドラインを作成し検討を重ねてきた. 今回平成7-8年度の成果を土台に1年間経験を各施設より持ち寄りその実際的な問題点を明らかにし, 改訂するべき事項があればさらに検討を続けることを目的として叡知をあつめ, 平成9年度硬化性被嚢性腹膜炎コンセンサス会議を開催した.今回は主に診断指針の見直しおよび治療および中止基準の妥当性に焦点をあて検討し改訂案を作成した. 診断基準に関しては昨年度に提示した定義に根本的な変更点はなかった. しかし, 治療法に関し若干の手直しを行った. 栄養補給は経静脈的高カロリー輸液 (TPN) を主体に行うが, 具体的投与量を提示した. 一部症例にステロイド薬 (含パルス療法) がSEP発症直後の症例に著効を示した症例に加えて, 一方不幸な転帰をとった症例も報告された. また, 外科的腸管剥離についても再検討を行った. 中止基準に関しては一部の手直しと小児症例に関するガイドラインも新たに加えた.以上当研究班で3年余にわたる作業を行ってきたが, 現時点での諸家のコンセンサスを得たSEP診断治療指針 (案) を上梓することができた. しかしながら本病態の多様性, 治療に対する反応性の相違から基本的な治療方針の提示にとどめた. 今後さらに中止基準を含んだSEP予防法の確立や生体適合性の良い透析液の開発が重要であることはいうまでもない.
著者
横尾 隆 久保 仁 石川 匡洋 加藤 尚彦 木村 弘章 大井 景子 我那覇 文清 川口 良人 細谷 龍男
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.33, no.7, pp.1115-1119, 2000-07-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

症例は54歳男性, 肝硬変を合併する維持透析患者. 1989年に腹膜透析導入, 1996年よリ血液透析に変更となった. 血液透析中に一過性意識障害をくり返すため精査加療目的に入院. 頭部CTにおいて有意所見みられず, また脳血流シンチでも透析前後で明らかな差異は認められなかった. しかし血液透析後にアンモニア濃度が上昇するため, 門脈ドップラー検査を施行したところ門脈血流は肝内, 本幹とも遠肝性で脾静脈の一部から始まる側副血管を介して下大静脈に流入していた. さらに透析中に本幹での門脈血流の低下が指摘された. このため短絡血流の増加が意識障害を説明するものと考え, 透析中にアミノレバン®を投与することにより認められなくなった. これまでに透析中の門脈血流中の変化に対する報告はみられず, 今回の門脈ドップラーによる血流の結果は肝硬変合併血液透析患者の特殊性を示し, 意識障害が生じた場合の精査に重要であるものと考えられた.
著者
北島 知夫 赤司 有史 山口 泉 北島 正親 大久保 仁 井上 啓爾 小原 則博 前田 潤平
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.223-228, 2009 (Released:2009-06-25)
参考文献数
20
被引用文献数
4

胆嚢捻転症の1例を経験した.胆嚢捻転症は,特異的な症状に乏しく比較的希な疾患であるが,画像診断の進歩により術前診断例も増えてきている.一方で,捻転により血行障害を来し,壊死性変化が急速に進むこともあり治療は緊急を要する.症例は高齢の女性で,急性胆嚢炎症状で発症し,手術時の所見で胆嚢捻転症と診断した.360°の捻転を呈する完全型の胆嚢捻転症で壊疽性胆嚢炎に陥っていた.胆嚢捻転症においては,高齢の痩せた女性に多いなどの特徴的な疾患背景や画像所見上,著明な胆嚢腫大に胆嚢管の先細り様の途絶や渦巻き像の描出などがないかを念頭におき診療にあたることが重要であると考えられた.また,胆嚢捻転症の根本は遊走胆嚢であることから,治療に際しては胆嚢穿刺は控え,緊急での手術,特に腹腔鏡下胆嚢摘出術の良い適応になると考えられた.
著者
大久保 仁
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.251-270, 1993-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
48
被引用文献数
2
著者
新関 泰夫 渡辺 勇 大久保 仁 石田 博義 山本 修三 水越 鉄理 渡辺 行雄
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 補冊 (ISSN:09121870)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.Supplement8, pp.104-115, 1986-12-05 (Released:2012-11-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Registered cases of Ménière's Disease collected by the Committee members were studied and classified according to the age of onset and the duration of the disease. The influence of each factors on the vestibular symptoms and hearing impairment was analyzed. Next, the influence of these two factors on the hearing loss of the affected side was studied in 120 cases of definite Ménière's Disease.The results of this study were as follows:1) The hearing impairment of the affected side increased gradually with the age of onset and the duration of the disease.2) The vestibular symptoms of Ménière's disease were not significantly affected by these two factors.
著者
大久保 仁 渡辺 勇 石川 紀彦 渋沢 三伸 石田 博義 大柿 徹 大木 幹文 羽成 敬一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.495-499, 1985

The Eustachian tube opens and closes in response to swallowing movements. Sonotubometry records these opening and closing movements as changes in sound pressure. Moreover, it shows that the timing of the opening and closing of the Eustachian tube varies with the material swallowed (saliva, Barium, liquid, etc.) even in healthy adults. These differences effect the interpretation of the test results. We considered that the soft palate might have some relationship to nasal closure when the nasopharynx is closed in response to swallowing movements.<br>Since the contribution of the soft palate to nasopharyngeal closing can be estimated by observing pressure changes, its relationship to the tubal opening and closing time was examined by combining various swallowing movements with sonotubometry during Toynbee's maneuver. It was found that the incease in intranasal pressure during saliva swallowing was lower than that during liquid swallowing; however, its decrease was greater. This may indicate that the soft palate is moved more voluntarily during swallowing behavior which requires an increased negative pressure of the pharynx. It was further estimated that the movement of various muscular groups involved in the tubal opening may also be activated, ultimately providing more positive results sonotubometry.
著者
大久保 仁 渡辺 勳 小山 澄子 奥野 秀次 苦瓜 知彦 臼居 洋行 寺邑 公子 小川 明
出版者
耳鼻
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.189-196, 1989

During the past eighteen months, 49 cases of diving accident were seen in our outpatient unit. Pressure injuries to the middle ear owing to tubal dysfunction occured most frequently as the primary accident sustained in an underwater pressure environment. However, in eleven of our cases (15 ears) of sensory neural deafness, most frequently involving high tone hearing loss, was determine & to be clearly attributable to pressure. In particular, with respect to auditory disturbance in beginner divers, the considerable veriety of dysfunctions, including low tone hearing loss, reflect the variable conditions present at the time of injury. During evaluation of Eustachian tube function in these diving accident victims by means of the sonotubometric function test employing Valsalva's method in which intranasal pressure serves as a parameter at the time of tubal opening, it became apparent that many beginners had no knowledge of or experience with Valsalva's method. It has been known that about 12% of normal adults have no knowledge or experience with this method. Knowledge of the correct application of Valsalva's method is imperative in the proper training of divers. Thus, competence should be demonstrated by all divers' training personnel in the performance of Valsalva's method as a countermeasure for pressure injuries and as a middle ear function test utilizing tympatometry.
著者
久保 仁美 今井 彩 阿久澤 智恵子 松﨑 奈々子 金泉 志保美 佐光 恵子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.18-26, 2018

<p> 本研究の目的は、NICU入院児の母親への退院支援に対する熟練看護師の認識を明らかにすることである。5年以上のNICU勤務経験を有する熟練看護師12名を対象に、退院支援の認識について半構成的面接調査を行い、Berelson. Bの内容分析を行った。結果238コードから、49サブカテゴリー、15カテゴリー、6コアカテゴリーが生成された。6コアカテゴリーは、【母子関係・母親-看護師関係を構築し深める】、【出産後のプロセスを支える一貫した支援】、【退院後の育児を見据える】、【退院調整に多職種でかかわる】、【退院後の母子の生活を知りNICUでの退院支援を評価する】、【妊娠中から退院支援が始まる】であった。熟練看護師は、出産後のプロセスを支える一貫した退院支援の認識を基盤とし、各時期における退院支援の認識を相互に補完し合い、母親への退院支援に結びついていることが示唆された。</p>
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。
著者
津村 宣彦 櫻木 範明 晴山 仁志 野村 英司 大河内 俊洋 山本 律 武田 直毅 西谷 雅史 平畠 功二 藤野 敬史 大久保 仁 佐藤 力 牧野田 知 川口 勲 藤本 征一郎
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.508-514, 1996-07-01

骨盤リンパ節 (PLN) および傍大動脈リンパ節 (腹大動脈節: PAN) を含む系統的後腹膜リンパ節郭清 (RPLND) を行った原発性上皮性卵巣癌137例の手術治療について後腹膜リンパ節 (後腹膜LN) の部位別転移頻度を求めた。137例のうち, 97例は化学療法施行前の初回手術時に, 40例は化学療法施行後の二次的手術 (secondary cytoreductive surgery) の際にRPLNDを行った。本研究で用いた臨床進行期は後腹膜LN転移所見を考慮せずに術中の腹腔内所見だけに基づいて決定した暫定的進行期である。得られた結果は以下のとおりである。1. 後腹膜LN転移は137例中30例 (21.9%) に認められた。PLNのみの転移が13例, PLNおよびPAN両方に転移を認めたものが11例あり, PANのみの転移が6例あった。2. 部位別のLN転移頻度はPANが12.4% (17/137) と最も多く, ついで総腸骨節, 閉鎖節, 外鼠径上節などと続いた。3. 化学療法施行前の初回手術時にRPLNDを行った症例における孤立性のLN転移はPANあるいは総腸骨節に認められた。4. PLN転移陽性24例のうち, PAN転移陽性例のPLN 転移部位数は5.27±3.00 (mean±SD) であり, PAN転移陰性例のPLN転移部位数2.62±1.66との間に有意差 (p<0.05) を認めた。これらの結果は卵巣癌のLN転移部位としてPANおよび総腸骨節が最も重要であること, PANとは独立して閉鎖節や内腸骨節などのPLNに転移が起こること, さらにPAN転移は直接の経路によるほかにPLN転移の拡大の結果として起こることを示している。したがってLN転移の有無を明らかにするためにはPANおよびPLN両方の系統的検索が必要と思われた。