著者
三井 一希 佐藤 和紀 渡邉 光浩 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45052, (Released:2021-09-07)
参考文献数
5

本研究は,児童同士の交流に着目したプログラミングの学習の場を,休み時間等の授業時間外に設定した実践を行い,その有効性と交流の実態を調査した.結果,提示した課題を教師が介入することなく,児童だけで達成することが概ね可能であることが示唆された.また,教師が指導する学習形態よりも児童だけで学ぶ学習形態を好む児童が有意に多いことが示された.さらに,児童同士の交流の実態を調査したところ,児童は事前のプログラミング技能の差に関わらずに他者と交流を行い,課題を達成している可能性が示唆された.
著者
瀬戸崎 典夫 佐藤 和紀
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.15-24, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
18
被引用文献数
5

戦後70年以上が経過し,被爆体験証言者の高齢化にともなった継承者の減少は,喫緊の課題である。また,若い世代の関心を高めるような平和教育の方法について検討する必要がある。近年,教育現場への普及が推進されているタブレット端末を有効活用したアプリケーションを開発し,学習効果に関する実践的な知見を得ることは意義があると言えよう。そこで,本研究はタブレット型全天球パノラマVR教材を用いた自由な探索活動および,他者への学習内容の発信を取り入れた平和教育を実践し評価すること,さらにノートテイキングの有無を分析の要因として学習効果を検討し,本教材の有効活用についての知見を得ることを目的とした。授業実践による理解度テストの得点変移について分析した結果,知識獲得の観点において,本教材による自由探索的活動は,ノートテイキングと同等の効果が得られることが示された。また,主観評価の結果から,本教材の利用時にノートテイキングをすることで,学習内容に対する関心や意欲を喚起することが示された。
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46046, (Released:2022-10-27)
参考文献数
13

本研究は,写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導の効果を検証した.この学習では,①児童が写真の読み取りを行った結果を文章でまとめ,②その内容を児童同士が話し合い,③最後に教師が1名の児童の読み取りの結果を学級に共有した.写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導を全14回実施した結果,10回目から写真を読み取る力が向上した.
著者
佐藤 和紀 小田 晴菜 三井 一希 久川 慶貴 森下 孟 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.117-120, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
6

小学校高学年児童がクラウドサービスの相互参照を用いて,他者の文章を参照して意見文を作成する実践を行った.意見文の評価と意識調査の結果,他者の意見文を参照したグループ児童の意見文の評価は有意に高く,他者の意見文を参照していないグループの児童よりも読み手にどう伝わるか気をつけて書く,自分の考え以外の視点でも書く,主語と述語のつながりを注意して書く,形式的なミスを少なくする,ことを意識していた.
著者
恩田 真衣 大久保 紀一朗 板垣 翔大 泰山 裕 三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46026, (Released:2022-10-13)
参考文献数
9

本研究では,小学校第4学年理科「物のあたたまり方」の単元で日常生活や社会との関連を図るアニメーション教材を開発し,その効果を検証した.その結果,開発したアニメーション教材を使用すると,学習内容と日常生活や社会との関連に気づき,理科学習に対しての興味が高まること,アニメーション教材に,児童が選択したり,繰り返し試行したりできるような機能をつけることで,思考を深めようとする理科学習に対しての興味が高まること,正しい概念形成が促されることが示唆された.
著者
遠藤 みなみ 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.27-31, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,クラウド上のスプレッドシートを利用して振り返りを入力する実践の初期段階における児童の意識調査を行った.その結果,児童は,スプレッドシートでの振り返りの効果については【今後の学習に役立つ】,【タイピングが速くなる】と回答した.効率については【修正がしやすい】,【速く書くことができる】と回答した.一方で,負担については【ファイルを開く手間】,【タイピングが大変】と回答した.不満については,【ネットの接続に時間がかかる】と回答した.
著者
大久保 紀一朗 板垣 翔大 佐藤 和紀 中川 哲 山本 朋弘 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.60-67, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,小学校第6学年を対象にAIの画像認識について理解する学習を開発し,児童のAIに対する理解や意識の変容から授業を評価した.授業は4単位時間で実施し,画像認識の仕組みについてAIについて体験的に理解する学習と,身近な問題解決にAIの活用を体験する学習を実施した.事前調査とAIについて体験的に理解する学習後の事後調査1,身近な問題解決にAIの活用を体験する学習後の事後調査2の結果の比較から,開発した学習プログラムの効果を検討した.
著者
手塚 和佳奈 井澤 美砂 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.169-176, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究は,各教科等において想定されるメディア・リテラシーを検討することを目的とした.平成29年告示小学校学習指導要領における教科等の目標及び内容に関する記述から,メディア・リテラシーに関連すると考えられる記述を抽出し,メディア・リテラシーの構成要素(中橋 2014)に対応づけて分析した.その結果,全ての教科等でメディア・リテラシーの構成要素と対応づけることができ,教科等により関連づけた構成要素の種類やその内訳の特徴が異なることが示された.
著者
井澤 美砂 大行 莉乃 堀内 蓮太郎 神生 凌我 佐藤 和紀 森下 孟
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.130-135, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,教員養成学部生の情報モラル指導力育成に対する有効性とICT活用指導力への影響を明らかにすることを目的とした.学校現場で児童生徒に指導を行っている外部講師による講義後,受講生を対象に情報モラルの意識及びICT活用指導力に関するアンケート調査を実施した.その結果,本講義を通じて情報モラル教育について学ぶ良い契機となったことが窺えたが,実践的なICT活用指導力の向上にはつながらなかった.
著者
齊藤 陽花 金松 萌々花 南條 優 下﨑 高 小泉 遥香 佐藤 和紀 森下 孟
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.96-101, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,X大学の教員養成学部1年生を対象に,高校時のオンライン授業の経験の有無が,ICT活用指導力にどのような影響を及ぼすのか検討することを目的として,それらに関するアンケートを実施した.その結果,①オンライン授業の経験をしていた学生の割合は,高校2年次が最も高く,次いで高校3年次,また,高校1年次はオンライン授業の経験はほとんどなく,②オンライン授業の経験により,オンライン授業に対する肯定的な意見や情報モラル指導に関する意識を持つことができると示唆された.
著者
板垣 翔大 浅水 智也 佐藤 和紀 中川 哲 三井 一希 泰山 裕 安藤 明伸 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.58-63, 2021-12-01 (Released:2022-06-02)

本研究では,中学校技術・家庭科技術分野におけるAIを活用したプログラミングを取り入れた授業を実施し,生徒のAIに対する意識の変容から授業を評価した。授業は3単位時間で行い,ビジュアル言語に,AIによる画像認識を組み合わせることができるツールを用いて,身近な問題解決の活動に取り組ませた。授業前後のAIに対する意識を比較したところ,AIの進歩に対する不安の軽減やAIを活用して身近な問題を解決できる自信の高まりなどが確認された。
著者
三井 一希 佐藤 和紀 渡邉 光浩 中野 生子 小出 泰久 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.78-83, 2021-06-01 (Released:2021-12-01)

本研究では,1人1台の情報端末を活用した児童の発表場面に,モバイルディスプレイを導入することの効果を検討した。その結果,モバイルディスプレイの導入前は,情報端末の画面サイズや画面の提示方法に困り感を持つ児童が一定数いたが,モバイルディスプレイの導入によってこれらの困り感が軽減され,グループ発表の場面にモバイルディスプレイが有効に作用する可能性が示唆された。また,モバイルディスプレイの活用を経験すると,多くの児童が必要感を持つことが示された。
著者
大久保 紀一朗 佐藤 和紀 山本 朋弘 板垣 翔大 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45075, (Released:2021-10-19)
参考文献数
25

本研究では,小学校社会科の農業の学習においてドローンを用いたプログラミング教育を実践し,テクノロジーを米作りへ活用する必要性の理解に関する効果について検証した.授業の事前事後において,米作りへの参画意識に関する調査への回答と,米作りに関連すると考えられる仕事の記述をさせた.その結果,ドローンを用いたプログラミング教育が,ドローンを米作りに活用することを想起させることに有効であり,米作りへの参画意識を育むことが示唆された.また,授業の事後において米作りに対するイメージを自由記述で回答させ,テキストマイニングによる分析を行った.その結果,ドローンを用いたプログラミング教育を経験することにより,ドローンを米作りに活用することの必要性を理解するとともに,人が担う役割について再考するなど,これからの米作りに必要なことについての思考を促すことが示唆された.
著者
深見 友紀子 佐藤 和紀 森谷 直美 中平 勝子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-96, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14
被引用文献数
4

小学校第5学年児童がタブレット端末を家庭に持ち帰り,約3週間にわたってリコーダー演奏に関するビデオを視聴し,卒業式での演奏に向けた練習に取り組んだ.その期間中,児童にはビデオ視聴回数の記録,3回の演奏録画が課された.実践終了後,録画された映像に対して音楽の専門家3名が総合評価(10点満点)と項目別評価(5点満点)を行った結果,児童の集団としての演奏技能が伸び,特に,実践開始時点において中位だった児童(中位群)にすべての項目で進歩が見られた.下位群には3回目に総合点で平均を上回った児童も存在したが,わずかしか伸びない児童もいた.上位群も全般的に伸びが小さかった.技能が伸びにくい児童に対する個別指導の必要性,ビデオ教材の改良等の課題が残ったものの,一般の音楽レッスンの形態を適用した一人1台端末を活用した家庭学習は,音楽科にとっては,授業時数不足という現状を打開する一方法であることが示された.
著者
久川 慶貴 佐藤 和紀 三井 一希 高橋 純 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.141-144, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
4

本研究は,小学校高学年児童の学校生活におけるグループでのチャットの活用の特徴を明らかにすることを目的とする.公立小学校の第6学年における,グループでのチャット(チャットルーム)の活用状況を調査した.その結果,児童がチャットルームを開設する目的は,「学校行事」「学年行事」「有志活動」であった.開設された目的によって,活用の頻度に差が見られること,同じ目的で開設されたものであっても,具体的な活用のされ方は異なることが示唆された.また,情報共有の手段の一つとしてチャットルームを活用している可能性が示唆された.
著者
八木澤 史子 安里 基子 遠藤 みなみ 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.118-123, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

クラウドでの共同編集機能を用いて,若手教師が作成した学習指導案を,ベテラン教師の助言を受けながら修正するという実践を行った.修正は2つの方法で実施した.1つめは,クラウドサービスのアプリを利用した「共同編集機能のみ」,2つめはクラウドサービスのアプリに加えて,テレビ会議システムを利用した「共同編集機能およびオンラインによる対話」であった.結果,2つの方法ではやりとりされたコメントの数に違いがあることが示唆された.
著者
三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Suppl., pp.9-12, 2021-02-20 (Released:2021-03-08)
参考文献数
4

本研究は,教職員用情報共有システムを導入した学校の1年間の書き込みの実態を把握し,今後導入を予定している学校の参考となる知見を提供することを目指している.ある学校で活用されている教職員用情報共有システムへの1年間の書き込み内容について調査したところ,1回の書き込みの平均文字数は200字程度であること,学校行事やイベントが多い月は情報量が多くなること,校内で指導的な立場にある者は投稿数が多くなること,「予定の確認・変更」,「施設・設備・備品」等が書き込みの内容として多いことなどが明らかとなった.
著者
佐藤 和紀 板垣 翔大 赤坂 真二 堀田 龍也
出版者
日本学級経営学会
雑誌
日本学級経営学会誌 (ISSN:24347760)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-37, 2023-03-20 (Released:2023-03-21)
参考文献数
17

学級経営の基礎的研究として,人工知能を用いた「下駄箱の靴の揃い方判断支援システム」を試作した。また,小学校教諭8名の協力を得て,本システムを1週間,小学校で試行的に実践した。活用中は毎日,下駄箱の写真を撮影し,判定結果を記録した。その結果,「揃っている」ことの判定結果の確信度は徐々に向上し,「揃っていない」ことの確信度は徐々に低下していった。実践の終盤には,撮影方法の違いによって確信度の割合がどのように変わるかを試みる児童の姿が見られた。このことから,児童は人工知能が示す確信度を意識し,下駄箱を整理したと考えられる。