著者
古森 孝英 佐藤 修 森 良之 石井 正俊 榎本 昭二
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.696-701, 1988-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
14

In this report we presented a case of emphysema of the parotid gland induced by abnormal habit.The patient was a 45-year-old man. In Sept. 1983, he noticed painless swelling of the left cheek. In Feb. 1985, concerned about the swelling which had continued to grow at times, he visited a clinic of an otorhinolaryngologist. However he received no cure because no swelling was found at that time. On Dec. 3, 1986, when he was admitted to a hospital for a physical examination, the swelling of the same region was pointed out by the doctor. And on Dec. 12, he was referred to our university clinic.In the clinical examination, a diffuse swelling of the left cheek was observed. W hen we pressed the bilateral parotid gland regions, we felt as if we had pressed a mass of flour. And foamy saliva was ejected from the parotid papilla with air. CT scan and sialogram revealed air in the bilateral parotid glands and ducts.Clinical diagnosis of emphysema of the bilateral parotid glands was made. This emphysema was considered to be induced by the abnormal habit that he had puffed out his cheeks strongly with his breath many times since he was 11 years old.
著者
佐藤 綾佳
雑誌
文学会論叢
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.121-140, 2016-03-15
著者
佐藤 和
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.29-37, 2019 (Released:2019-09-26)

企業文化を層として考えるハイブリッド・モデルで見ると,日本型経営とその変化は,国の文化とその変化に伴う問題として考えることができる。最も変わりにくい基層文化は宗教的,歴史的に定着している集団主義であり,これにより終身雇用制度の考えや実態が根強く残っている。一方,権力格差の次元である垂直的な側面は,戦後教育の変化と世代交代により,水平的に変化しつつある。そこでは従来のピラミッド構造ではなく,価値観の共有による組織統合がより有効となり,また年功序列制から能力主義評価への変化がもたらされている。表層的な文化である会社を共同体と考える信頼メカニズムは,いわゆるタコツボ型の問題を引き起こすが,ダイバーシティを進めるためにも,従業員に会社以外の共同体への参加を促すと同時に,経営理念の浸透による価値共有を進める事が必要である。また垂直的な組織ほどコンプライアンスに問題がある傾向が見られ,価値共有型の企業倫理の制度化が不十分であると不祥事が起こるのであり,そこでは企業文化変革が必要とされよう。
著者
板倉 有紀 伊藤 和恵 佐藤 美智子 佐藤 はま子 大田 秀隆
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.151-161, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
14

「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では認知症高齢者等にやさしい地域づくりが目指されている.本稿では,認知症啓発・予防および認知症当事者支援が行われる秋田県羽後町の事例を取り挙げる.「若竹元気くらぶ」と「うごまちキャラバンメイト・認知症サポーター協会」という二つのグループの認知症に関する活動が成立する背景要因を検討する.特に「認知症予防」という考え方が,どのように働いているかに焦点化する.認知症予防の取り組みは認知症当事者を結果的に排除するという議論がなされてきたためである.「若竹元気くらぶ」は,認知症予防のための活動として始まったが認知症当事者支援の場にもなっている.「うごまちキャラバンメイト・認知症サポーター協会」は「若竹元気くらぶ」から独立して結成され,当事者支援のための活動として始まったが認知症予防に関心のある会員を取り入れ活動を継続している.いずれの活動においても保健福祉に関する専門知識を持つ行政職員や住民が活動に深く関与している.地域社会において認知症予防という考え方は,認知症の当事者の参加の機会にもなりうる.当事者の参加のためには専門職の関わりかたが重要である.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.85-93, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
15

本稿の目的は,ソーシャル・キャピタルの生成メカニズムをミクロ・メゾ・マクロレベルの相互連関に着目して解明することである.ソーシャル・キャピタルをめぐっては,(1)ソーシャル・キャピタルの定義・概念化,(2)ソーシャル・キャピタルの生成過程の解明,(3)ソーシャル・キャピタルの効果の分析という大きく3つの問題群がある(Portes 1998).(1)と(3)については多くの研究が蓄積されてきたが,(2)の研究は(1)と(3)に関する研究ほど進んでいない.それは,Coleman(1988=2006)が指摘するように,ソーシャル・キャピタルが副産物であるという特性によるものである.本稿ではこのことを踏まえて,下位レベルのソーシャル・キャピタルを促進する上位レベルの仕組みを分析するとともに,下位レベルのソーシャル・キャピタルが上位レベルのソーシャル・キャピタルを促進する過程も同時に分析する.そして,すべてのレベルでソーシャル・キャピタルが高まる好循環過程とすべてのレベルでソーシャル・キャピタルが低下する悪循環過程があることを示すとともに,下位レベルのソーシャル・キャピタル向上のために上位レベルの仕組みが介入することの問題点も指摘する.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.39-41, 2015-07-16 (Released:2018-03-28)
参考文献数
5
著者
佐藤 康行
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.11-21, 2011-07-16 (Released:2014-02-07)
参考文献数
12

日本は財政再建や社会保障改革という大きな政治課題を抱えている.地方自治体は国に先行してすでにこうした問題の解決を迫られている.たとえば佐渡市は,人口減少に加えて生産高と財政が縮小する社会になっている.また,環境に優しい福祉の充実した地域づくりをしている点で持続可能な社会を構築している.こうした点で,まさしく佐渡市は日本の縮図を成していると言える. 初めに,佐渡市の人口,世帯数,高齢化率,生産高,財政規模の推移を概観し,トキが生息できる環境に優しい島づくりと福祉社会の形成を進めてきた経緯を見る.その後,2つの集落を取り上げ,持続可能な生計アプローチの観点から地域づくりを比較考察し,地域再生の条件を検討する.その結果,2つの地区のあいだで経済資本や人的資本が相違していることに加え,文化資本の性質の相違と社会関係資本の質と量が相違していることを示す.
著者
佐藤 利明
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-6, 2007-07-20 (Released:2013-10-23)
参考文献数
4
著者
佐藤 典子
出版者
日仏社会学会
雑誌
日仏社会学会年報 (ISSN:13437313)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-16, 2019-11-30 (Released:2021-08-25)

2008 年、若手看護師が過労死認定される事件が相次ぎ、同年の日本看護協会の調査では、23 人に1人、約2 万人の看護師が過労死危険レベル(残業時間が月60 時間となった判例から)で働いている(特に経験の浅い20 代の看護師)ことがわかった。勤務時間インターバルは、ホワイトカラー全体では、11 時間未満が10.4%、教員が26.3%だが、日本看護協会によれば、2 交代制、3 交代制勤務の看護師は、3交代制ではインターバルが実質4 時間、2 交代制の場合、80%以上の看護師が15 時間以上、 17 時間の長時間夜勤を行っているなど、シフトが厳守されないことによる長時間労働を行っていることが示された。 そこで、看護師の過労(死)は、なぜ、生まれるのか。長時間労働は、いかにしてなされるのか。また、サービス残業の問題などを看護師の働き方を時間から考えることで新たな視点を示したい。というのは、看護職の時間外労働による過労が常態化し、それに見合った手当がなされていないこと、それ以外にも、看護職本来の業務以外に行うことが自明視されていることが看護職にとっての大きな負担となっているからである。それでは、なぜこのようなことが起きているのかということについて、いくつかの視点から考察したい。
著者
佐藤 一光
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.230-249, 2011 (Released:2022-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1

環境問題の深刻化と環境意識の高まりによって,欧州諸国で次々に環境税が導入されてきた。そこでの重要な概念は,環境税による環境改善と環境税収によって既存の歪みをもたらしている税率を引き下げることによって社会厚生をさらに高めるという二重の配当論であった。二重の配当の可能性について,理論的・実証的研究がなされてきたが,必ずしも十分に財政学的考察がなされてきたわけではなかった。本稿ではドイツのエコロジー税制改革を題材とし,政治過程分析と制度分析を組み合わせることで,環境税と二重の配当論の財政学的な考察を試みた。本稿の分析によって,ドイツにおける公的年金制度の構造によって受益の不均衡が生じ,軽減税率の導入によってその是正を図ったことが明らかになった。このような軽減税率の導入は租税原則上も,環境税と二重の配当の理論上も,望ましいものではなかったが,軽減税率の導入を肯定的に評価する可能性も示された。
著者
佐藤 一光
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.155-175, 2012 (Released:2022-07-15)
参考文献数
25

本稿はドイツの「エコロジー税制改革の更なる発展に関する法律」の特徴を明らかにし,その成立過程を分析することで環境税と二重の配当を租税論的に再検討するものである。第2次シュレーダー政権のもと成立した同法の特徴は,①環境政策上有害な租税支出を縮小し,②エネルギー源別の税率を調整し,③租税負担のキャップにエネルギー利用削減のインセンティブを付与するという,エコ税のグリーン化ともいうべきものであった。その一方で,④二重の配当による失業の減少を目指さずに財政健全化の財源として位置づけられた。このことは,第1次シュレーダー政権の雇用政策と租税政策が景気後退期において失敗し,失業と財政赤字が拡大するという文脈の中で理解されうる。租税論的知見として,①費用効率性ではなく原因者原則と充分性による環境税の理解,②雇用政策に租税政策を活用することの困難性が示唆された。
著者
佐藤 圭史
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.50, pp.72-87, 2021 (Released:2022-06-11)
参考文献数
50

Since the last month of 2016, after the assumption of the self-proclaimed presidency of Vadim Krasnoselsky, Pridnestrovskaya Moldavskaya Respublika (PMR, Transnistria) has implemented full-fledged “State Program of Patriotic Education in PMR” and its legal-administrative decisions concerned, in addition to pro-Kremlin patriotic policy. It is worthy to note that the political outcomes were abided on the 5-year State Program of Patriotic Education of Citizens of Russian Federation and have obvious similarities to patriotic educational programs which were introduced in Luhansk, Donetsk, Crimea, and other areas.The patriotic policy in PMR was officially launched at the establishment of self-proclaimed independence in September 1990 in the aim of promoting national solidarity among inhabitants as “Pridnestrovians,” which was essentially created along the Soviet national line. In contrast to the policy, however, the PMR Patriotic Program and subsequent related decisions after 2016 more focused on national awareness as “Russo-Pridnestrovians” which had inherited an indivisible historical legacy from Russian civilization. To recognize internal-external PMR policy and geopolitical relation between PMR and Russia, this paper deals with “State Program of Patriotic Education in PMR” and its related political decisions for the purpose of fostering patriotic awareness among “Pridnestrovian” youth. Eye-grabbing patriotism and patriotic movements followed Soviet nostalgia by retired veterans and elderly people are not main objects of this paper; rather, inconspicuous state-planned patriotic activities through school regular education, cultural festivals, academic-cultural exchange based on the state program are focal themes. The theory of “everyday patriotism,” which is penetrated in daily life without discomfort among subjects, leads to understanding this political phenomenon.From that perspective, Russian authority tends to control specific territory through cultural-social associations, NGOs, thinktanks or any other “non-political” organized bodies. In PMR, a patriotic youth organization “Unarimia” and a thinktank “Dnester-Prut Information Analytic Center”, a Pridnestrovian branch of RISI, had been activated under official support by the PMR state patriotic programs. This paper also focuses on the process and content of the state patriotic program and the effect and result of their patriotic activities toward “Pridnestrovian” children and youth by above mentioned organizations.
著者
佐藤 桃子
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21, 2017 (Released:2018-07-01)

デンマークの保育所では、他の社会サービスと同様に利用者委員会の設置が義務化され、保護者が積極的に保育所運営に関与している。本稿では、保護者会の制度化、保育サービスの民営化という歴史的背景から、保育サービスにおいて保護者の関与が拡充されてきた経緯をまとめ、さらにA 市の公立保育所と私立保育所の保護者に対するインタビュー調査の分析を行い、保護者が参加する経路がどのように確保されているかを考察した。A 市の事例より、公立保育所と私立保育所では異なる経路で保護者が運営に関与しており、私立保育所では保護者会が予算や園長の人事などを担う直接の運営主体になっていることが明らかになった。保護者の参加の経路は公立・私立保育所で大きく異なるが、保育サービスの歴史的な発展の中で保護者の関与が大きな役割を果たしていることが示された。