著者
森本 豪 加藤 和弘
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.589-592, 2005 (Released:2006-05-08)
参考文献数
31
被引用文献数
16 11

The value of urban parks is currently reconsidered and the guidelines are required to institute plans for greenery and open spaces of high quality as habitat. In this study, we aimed at illustrating the relationship between bird species richness and the conditions of urban parks such as coverage by woods or shrubs, connectivity by greenways, and surrounding land-use of woodlots or agricultural lands. During two consecutive wintering seasons, we studied the bird distributions within urban parks, some of which were connected to each other by greenways. The study sites were located in Yokohama city, near Tokyo. Two Way Indicator Species Analysis (TWINSPAN) divided bird species into two groups. To detect clearly the relationship between birds and urban park variables, we adopted the species richness of one of the group for multiple regression analysis. The result showed that the bird species richness significantly correlated with area covered by woods, ratio of coverage by shrub, and the arrangement of greenways that connected urban parks. It is suggested that we could improve the quality of habitats in urban area not only by increasing the area or the vegetation structure, but also by arranging greenways to connect the habitats.
著者
一ノ瀬 友博 高橋 俊守 加藤 和弘 大澤 啓志 杉村 尚
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-13, 2008-06-30 (Released:2009-06-30)
参考文献数
30
被引用文献数
5 2 1

Biotope (habitat) type maps are essential as base maps for land use planning and biodiversity conservation. Actual vegetation maps are often used as the base maps, though important information for biotope evaluation such as vegetation structure and anthropogenic land modification is not shown enough. We proposed a procedure of biotope type mapping for rural areas and drew a prototype map. We classified biotope types following German system of biotope classification in some part and also considering soil moisture of rice paddies in winter, bank modification of irrigation canals, vegetation management frequency in grasslands and density of woodland understory.
著者
加藤 和弘 樋口 広芳
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.177-183, 2011-07-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
17
被引用文献数
3

三宅島において2000年噴火後の鳥類の生息状況を調査してきた。噴火直後に鳥類は一時減少した。その後、植生被害の少ない場所では鳥類の個体数は増加し、近年ではほぼ安定している。ただし、鳥類の種数(種密度)や個体密度は樹木植被率と正の相関を一貫して示しており、植生が破壊されて回復していない場所では、植生がより健全な場所に比べて鳥類群集は種密度、個体密度ともにより小さかった。この相関関係は噴火後終始一定であったわけではなく、回帰直線の切片が有意に正の値をとるという状況、すなわち植生が破壊されている場所でもある程度の鳥類が記録されるという状況が、2005〜2007年にかけて認められた。これは、何らかの理由、おそらくは衰退木や腐朽木から発生した多量の昆虫により、植生が貧弱な場所でも鳥類の食物が供給されていたことによると考えられた。2008年度になってこの状況に変化が見られ、植生が破壊された場所では鳥類の種密度、個体密度ともに小さくなった。今後、昆虫の調査結果との対応付けを行う必要があるが、腐朽木や衰退木からの昆虫発生がこれら樹木の消失や除去に伴って減少しつつあるのであれば、樹林性の昆虫食の鳥類は、本来の照葉樹林が回復するまでの間に食物の深刻な不足に直面することが懸念される。
著者
杉田 昭栄 前田 勇 蕪山 由己人 佐藤 雪太 青山 真人 加藤 和弘 竹田 努
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、カラスの病原体と感染症のキャリアの可能性を探るため保有病原体や飛翔の動態について調べた。多くのカラスが鳥マラリアHaemoproteus属とLeucocytozoon属原虫に感染していた。また、腸内細菌叢は、Caulobacteraceae、Bradyrhizobiaceae、Streptococcaceae、Helicobacteraceae、Leuconostocaceaeであることが分かった。GPSの解析結果、カラスの飛翔速度は時速10~20kmであり、その多くは4~5km圏内で生活していた。また、畜産農家の多い地域では、畜舎から畜舎と移動して採餌していることも分かった。
著者
加藤 和弘
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.805-808, 2009 (Released:2011-02-03)
著者
加藤 和弘 若山 睦月
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.723-726, 2017-03-31 (Released:2017-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 4

Though factors influencing species composition in urban patchy woodlands have been studied, the ecological meanings of surrounding residential areas are still unclear. In residential areas in the Chiba City we surveyed relationship between bird species composition and land attributes such as vegetation structure and land cover considering landscape conditions indicated by the distance from the nearest large woodland and vegetation index, to clarify the factors influencing bird species composition, from January to March (wintering season) and April to June (breeding season) in 2009. The results were as follows. 1) Sixteen "urban avoider" species were recorded through the survey, which suggested that residential areas can play a role of movement pass for such species. 2) RDA (Redundancy Analysis) extracted three major axes of species compositional change in each season. Vegetation coverage of trees, agricultural land cover, coverage of grassland and distance from the nearest large (>5ha) woodland were significantly correlated with the axes. 3) The results indicated that two "urbanization gradients" could be considered in the residential area: one is the compositional gradient of woodland species and the other is that of grassland species.
著者
伊藤 浩二 加藤 和弘
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.449-452, 2007-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

To clarify the interrelations between various semi-natural grassland types (verge meadows, ditch walls, paddy levees, fallow fields, abandoned rice fields and farm roads) maintained by traditional agricultural management methods, we conducted vegetation investigation in a ‘Yatsuda’ rural landscape, and compared species richness between the grassland types using the rarefaction method. Each grassland type was characterized by indicator species extracted by INSPAN and life-form composition of the grassland types were compared. The results of rarefaction method showed that the paddy levees located between paddy field and hillslope were species-rich grassland habitat, as rich as the verge meadows which were cutting grassland adjacent to woodland. The abandoned rice fields, the verge meadows and the paddy levees were consisted of different species groups, and similarity indices were not large between these grassland types. Therefore, in Yatsuda rural landscapes, we suggested that the different types of grasslands should be maintained by traditional agricultural management methods for conserving plant diversity.
著者
加藤 和弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東京都およびその近県にある11の緑道で、緑道内の鳥類相と緑道の植生構造、緑道周囲の都市化の程度の関係を調査した。緑道内の鳥類相の場所による違いは、緑道周辺の都市化の程度にも影響を受けていたが、緑道内と隣接部における植被の発達の程度、特に上層の植被の発達の程度によってよく説明された。但し、緑道内外の下層植生が発達していない場合には、出現する鳥類種が限定され、アオジ、ウグイス、シロハラなどの下層植生や地表を利用して採食する森林性鳥類は出現しなくなる傾向が認められた。また、緑道内で記録された鳥類個体の多くは、移動する場合には緑道に沿った形での移動が多いことが示された。
著者
高橋 俊守 加藤 和弘 上條 隆志
出版者
日本生態学会暫定事務局
雑誌
日本生態學會誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.167-175, 2011-07-30
被引用文献数
2

時系列的に観測した衛星画像を用いて、三宅島2000年噴火後の植生の変遷をモニタリングした。1994年から2009年にかけて、JERS-1/0PS及びTerra/ASTERによって観測された16時期の画像を用い、噴火前1時期および噴火直後2年まで、噴火後3~5年、噴火後6~9年の3時期分のNDVI画像に集成した。これらのNDVI画像をもとに、ISODATAクラスタリング法により教師無し分類を行った結果、NDVIの変遷パターンを分類することができた。分類された画像では、噴火後もNDVIの値が相対的に高く、噴火に伴う植生被害が相対的に少ない地域が認められた。これらの地域は樹林地を示しているが、NDVI値は徐々に減少する傾向が続いていた。一方で、噴火後にNDVI値が著しく減少し、その後増加に転じている、草地を示すグループが認められた。NDVI値の変化が植生のどのような変化に対応しているか検証するため、三宅島南西部の阿古地区において、噴火後に継続して実施されている11地点の植生調査の結果をもとに対応関係を評価した。植生構造を高木層、亜高木層、低木層、草本層に分け、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIとの相関分析を行った。この結果、それぞれの階層の植被率を合計した値とNDVIにはいずれの時期においても有意な相関関係が認められた。ただし、それぞれの階層の植被率とNDVIの相関関係は、植生変遷の過程とともに変化し、一定でなかった。
著者
加藤 和弘
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.77-80, 1996-03-29
被引用文献数
40 26

東京都文京区内の17ケ所の緑地で樹林地における越冬期の鳥類を調査し,鳥類の種組成と植生の構造の関係を明らかにした。鳥の種類数は,高木に覆われた面積よりは植生の階層構造,特に低木層の発達の程度に依存しており,各階層の植被率や種数が増加するに従って鳥類の種数も増加した。但し植被率も植物種数も,ある程度以上になると鳥類の種数の増加に寄与しなくなる可能性が示唆された。鳥の種類が少ない緑地では,鳥類による低木層の利用が鳥の種類の多い緑地に比べて少なく,ウグイスなど低木層を好んで利用する種類は見られなくなる傾向があった。以上より,鳥類群集保全のためには,植生の下層部に配慮した緑地整備が必要であるといえる。
著者
樋口 広芳 仁平 義明 石田 健 加藤 和弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究ではまず,都市におけるカラスと人間生活との摩擦の現状について広く調査した.その結果,ゴミの食い散らかし,人への襲撃,高圧鉄塔への営巣による停電,列車や航空機との衝突など,さまざまな種類の摩擦が生じていることが明らかになった.次に,そうした個々の摩擦の事例について,発生の状況や仕組をいろいろな情報収集と野外観察から明らかにした.ゴミの食い散らかしは,カラスが食物として好む生ゴミが手に入りやすい地域を中心に発生していた.具体的には,プラスチック製のゴミ袋に入れられて路上に放置される地域,とくにその状態が朝の遅い時間まで続くところで頻発していた.生ゴミが大量に出され,カラスの食物になることは,カラスの個体数を増加させる根本原因になっており,それがカラスと人間生活とのさまざまな摩擦の発生につながっていることが示唆された.人への襲撃については,5月から6月に集中し,カラスの巣の付近で発生すること,親鳥が巣やヒナを防衛するための行動であることなどが明らかになった.襲撃は人の背後から飛んできて行なわれ,後頭部を足で蹴るという例が多かった.蹴られることによって頭から出血する例もあるが,大部分は大きな怪我には至らない.高圧鉄塔への営巣による停電は,絶縁上必要な距離を保っている,電線と鉄塔の接地部分の間にカラスが造巣したり,はさまったりすることによって発生していた.関東地方では,カラスによる停電事故が毎年40〜50件起きている.列車や航空機との衝突は,時速数100キロの速度で走ってくる新幹線や航空機を鳥がよけきれずに発生していた.空港では,空港が漁港,河口,ゴミの大規模処分場などの付近につくられている場合に衝突が多発していた.そうした場所にカラスなどが数多く生息しているからである.
著者
一ノ瀬 友博 加藤 和弘
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.73-76, 1996-03-29
被引用文献数
19 10

孤立樹林地内部の植生構造が鳥類の分布にどのような影響を及ぼしているかを明らかにするために,埼玉県所沢市の比較的面積の大きな孤立樹林地において鳥類の分布と植生構造の対応関係を調査した。樹林地を植生によっていくつかの林分に分け,それぞれの林分において点センサス法による鳥類群集調査を行った。既往の研究の多くは鳥類の繁殖期に調査を行っているが,本研究では越冬期に調査を行った。植生構造は各階層の植物体量と胸高断面積によって把握した。その結果,越冬期においても鳥類の種数は植物体量と有意な相関が見られた。鳥類の分布は,全階層の植物体量と低木・草本層の植物体量,枯れ木の胸高断面積と関係があることがわかった。