著者
高橋 哲也 武居 哲洋 伊藤 敏孝 平野 雅巳 竹本 正明 八木 啓一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.504-508, 2014-08-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
15
被引用文献数
1

目的:診断が遅延したWallenberg 症候群の特徴を検討すること。方法:2005年4月1日から7年間に横浜市立みなと赤十字病院へ入院した新規発症脳梗塞1,331例のうち,神経内科医によりWallenberg症候群と診断された症例の特徴を後方視的に検討した。また初診時に正診された群(初回診断群)と後日診断が確定した群(遅延診断群)の比較検討を行った。結果:調査期間内のWallenberg症候群は23例で,神経学的異常所見は失調歩行が47.8%と最多であった。遅延診断群は11例(47.8%)で,初診時診断名と外来転帰は末梢性めまい(帰宅3例/入院5例),片頭痛(帰宅2例/入院1例)であった。初診時に頭部MRIを施行された3例中2例に異常所見を認めなかった。遅延診断群は初回診断群と比較し,発症から来院までの時間が有意に短く(4.1 ± 5.7 vs 17.8 ± 19.5時間,p<0.05),神経学的異常所見数が有意に少なかった(1.2 ± 1.0 vs 2.5 ± 1.5,p<0.05)。結論:発症早期に神経学的異常所見が少なく,MRIでも偽陰性となる場合があることがWallenberg症候群の診断遅延の要因と考えられた。
著者
矢野 俊彦 高田 容司 平野 雅親 中山 勇
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.253-263, 1994
被引用文献数
1

地下街に棲息するゴキブリ類の棲み分けとその薬剤感受性について, 飲食店街24店舗と食料品街12店舗を対象に10年間の推移を調査した。その結果, 優占種はチャバネゴキブリとトビイロゴキブリであり, 若干のクロゴキブリが混在していた。飲食店街における優占2種の平均捕獲率はほぼ拮抗していたが, チャバネゴキブリが洋食店・喫茶店で優占種であったのに対し, トビイロゴキブリは和食店・酒房・寿司屋で優占種となっていた。店舗間に仕切りがなく各店舗内の温度が共通である食料品街においても同様の棲み分けが認められた。この棲み分けは10年間にわたりほとんど変化がなかったが, 両種ともその棲息密度はやや減少の傾向にあった。棲み分けの要因の一つとして, 両種の食物嗜好性の違いが関与していると考えられた。チャバネゴキブリ成虫に対する薬剤感受性は, 供試した3薬剤(フェニトロチオン, ピレトリン, d-transペルメトリン)のいずれに対しても10年の間に徐々にLD_<50>値が上昇する傾向にあったが, その変化幅はさほど大きくなく, 抵抗性比としては低レベルにあった。一方, トビイロゴキブリに対する薬剤感受性は, フェニトロチオンにおいては10年間にわたりほとんど変化なかったが, ピレスロイド系2剤の場合はLD_<50>値の上昇傾向が認められ, とくにd-transペルメトリンでは中程度と目される感受性低下が観察された。この地下街では, 1968年以降有機リン剤(フェニトロチオン等)とピレスロイド剤(ペルメトリン等)の交互施用が行われてきている。この防除プログラムは, チャバネゴキブリに対しては密度抑制と薬剤抵抗性発達の抑制の両面から有効な防除技術の一つと考えられたが, トビイロゴキブリに対しては, さらにモニタリングを続け, 動向を注視していく必要があると考えられた。
著者
清水 たくみ 平野 雅章
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.269-272, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

ICT投資は経済・企業成長の主要な要因としての役割を果たし続けている。マクロレベルでのICT投資の正の影響については合意が形成されつつある一方、ミクロレベルでどのような組織がICT投資を成果に結びつけているかについては統一的な見解が得られていない。そこで本研究では「デジタル文化資本」概念に着目し、ICT投資成否を左右する組織要因について明らかにする。日本企業に対する大規模サーベイ調査のパネルデータ分析を行った結果、ICT投資は組織内デジタル文化資本の高低に応じて企業業績に与える影響が変化することが示された。本研究により、ICT投資と企業業績の関係性に関する新たな理論的・実証的貢献がもたらされた。
著者
高田 哲雄 広内 哲夫 平野 雅道 羽倉 弘之 海津 ゆりえ 若林 一平
出版者
文教大学
雑誌
湘南フォーラム:文教大学湘南総合研究所紀要 = Shonan Forum : Journal of the Shonan Research Institute Bunkyo University (ISSN:18834752)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.117-137, 2008-03-01

Cultural tourism has become an important phase of the new age tourism. Attractively archiving cultural resources provide cultural tourists with an intellectual and practical guide especially to a performing aspect of the urban and rural culture. This study focuses on the 3D imaging of performing rituals, festivals and lodging accommodations.“Shonan” is mainly the coastal region facing Sagami Bay extending from Kamakura and Enoshima, through Chigasaki and Hiratsuka, to Oiso and Ninomiya. This region has a fine view of Mount Fuji and “Shonan” beach. The Kamakura Shogunate have left a wide variety of historical and cultural heritage in “Shonan” area.Minamoto No Yoshitsune (shortly "Yoshitsune") is the younger brother of Minamoto No Yoritomo who is the founder of the Kamakura Shogunate. But Yoshitsune is a famous tragic general of Japanese samurai. He was named as an “enemy of the Emperor” by the shogunate, and finally betrayed by his patronage and forced to commit suicide “harakiri.”He is enshrined in Shirahata Shrine in Fujisawa.Our research team successfully achieved a challenging 3D image recording of Shirahata Shrine “Kagura.” The chief priests of shrines related to and emerging from the Shinto religious or historical legend perform “Kagura.”Another challenge is VRML technology. We have reconstructed Maita “Honjin” official accommodations for “Daimyo” warriors using VRML stereoscopic technology. Maita “Honjin is official accommodations managed by Maita family in Fujisawa “juku”lodging spot.
著者
橋本 隆夫 内田 正博 小紫 重徳 光末 紀子 石川 達夫 三木原 浩 平野 雅史 石光 輝子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

冷戦構造の解体後の新たなナショナリズムのうねりの中で、ユーロ通貨統合に象徴される統合体としてのアイデンティティを模索するヨーロッパの文化の交錯をめぐるわれわれの研究は、これまでの成果を深めさらに一層の広がりと深みの地平を獲得し、ここでひとまず4年の区切りをつける。今年度は各自が4年の研究活動の集大成として、研究会の発表を基に、また、ある者は海外より持ち帰った最新の文献資料を駆使し、それぞれの研究を論文に結実させた。個々の活動としては、1 研究会としては11月30日に橋本隆夫氏が「新石器革命と大地母神信仰」と題して、ヨーロッパの基層にある大地母神信仰について考古学的知見とホメロスやヘロドトスの文献的研究をクロスさせた学際的発表を行った。2 7月12日に立命館大学教授西成彦氏を迎え、「小説の一言語使用」の題目で講演会および討論会を行い、ポーランド生まれのイギリス作家ジョセフ・コンラッドの言語的アイデンティティのゆらぎを中心に活発な意見が交わされた。3 12月7日には静岡文化芸術大学専任講師小林真理氏による講演会「ヨーロッパの文化権と文化法について」が行われた。文化芸術振興基本法についての議論が進められる中、文化の中心地として長く君臨したヨーロッパの現在の文化支援や文化政策について多くの知見が得られた。研究会、講演会、海外調査研究を通じて、わたしたちはヨーロッパにおける文化の交錯とアイデンティティの複雑さ、強靭さの一端を垣間見ることができた。地域研究=個別文化研究の枠組みにおさまりがちだったヨーロッパ研究の守備範囲を少しでも広げられたのではないかと小さな自負を感じるしだいである。
著者
平野 雅子 谷口 富貴子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-28, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

実験結果を要約すると1) 生クリームの起泡性はその外観、泡立て時間、オーバーラン、粘稠度、乳清分離量などにより評価できる。2) 生クリームの温度履歴は起泡性に大きく関与する。したがって、貯蔵および起泡は低温 (10℃以下) で行なわなければならない。3) 攪伴速度は速いほど泡立てに要する時間は短縮されるが、起泡性は落ちる。反対に速度を下げすぎてもオーバーランは低くなる。4) 一般に砂糖の添加はオーバーランを低下させる。砂糖は生クリームをある程度起泡してから添加する方がよい。5) 粉末生クリームは便利ではあるが、生クリームに比べ、起泡性や嗜好性は劣っている。
著者
平野 雅章
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.271-274, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

従来の「科学研究の研究」では、国または研究者および研究チームを分析単位として、説明変数としてのインプットとして予算、制度や科学者・研究者等を、被説明変数としてのアウトプットは研究成果(論文、特許など)を考え、それらの間の関係を分析してきた。本研究では、分析単位として従来見過ごされてきた大学や研究所などの研究機関(組織)を取り上げ、経営学の知見を援用することにより、研究機関の組織特性をモデレイタとして、組織特性が研究成果に及ぼす影響を、定性的かつ定量的に分析するモデルを作成する。
著者
神庭 重信 平野 雅己 大野 裕
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.481-489, 2000-05-15

はじめに—気分障害の生物学的構造 気分障害の脆弱性は遺伝子と環境により構築される‘脳構造’に内在化されるものである。この比較的永続的な成分(static成分)は,神経回路網,脳細胞とその構成物質の階層に局在すると考えられる15,16,18)。遺伝子の問題は後で扱うことにして,ここでは“環境”について若干の考察を加えておく。static成分にかかわる環境としては,主として脳の発達時期の環境(すなわち養育環境)が重要であると考えられることが多い。しかし脳の可塑性が作動し続けるかぎりにおいて,過度の心理社会的侵襲が度重なるならば,なんらかの病的な可塑性31)が発達後に生じても不思議はない。また,心理社会的侵襲が,液性因子などを介して,神経細胞を傷害することは事実であろうし,特定の神経細胞の死と再生にすら影響を及ぼす可能性も認められつつある。むろんこれらの環境因子が脳に与える影響の種類と程度は,ゲノム上の数多くの遺伝子との相互作用のもとに決定されるのであろう。さらにつけ加えるならば,老年期に初発する気分障害では,老化が招く多種類の異質な脆弱性も当然予想される。私たちは,このような複雑で異種なstatic成分を気分障害に認めないわけにはいかない。 一方,病相は,このstatic成分の上に,発症の引き金をひく因子により引き起こされる‘脳機能’の,一般的に,短期的・可逆的な変化(dynamic成分)が加わって生まれるものである。ここでいう発症の引き金をひく因子は,心理社会的環境因をはじめとして,内分泌障害,薬物やアルコールなどの物質,季節変動など多彩である。したがってその作用点は脳構造のあるゆる階層にわたりうる。
著者
岡崎 隆 平野 雅宣 高柳 滋 田口 哲 高久 元
出版者
北海道教育大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

金星の太陽面通過周期の「規則性」を考える-数理融合教材の試み;ハレーは金星の太陽面通過を観測することによって地球-太陽間距離の決定が可能であることを示した。この現象は8年の短周期と百年を超す長周期を繰り返すという特異な周期性をもっておりこの現象観測の科学史上の意義とともに、理科教育の題材として興味深い内容を持つ。金星と地球の公転周期が近似的に整数比(8対13)になっていることおよびこの整数比からの僅かなずれが特異な周期性の要因である。コンピューターシミュレーションを活用しながら、周期運動の合成、惑星現象の立体幾何学的考察、有理数がもつ意味を自然現象の中で明らかにする数理融合教材として検討した。電子天秤による液体の表面張力の測定-表面張力の分子論的理解のための実験教材;「表面張力」は日常の様々な場面で見かける液体表面の振る舞いを説明する言葉として用いられる。「液体(水)=引力で引き合う分子集団」として表面張力の正体を明らかにすることを目標とした測定実験を考案しその指導法を検討した。表面張力測定法として「ジョリーのバネばかり」が知られているが、この原理に従い電子天秤を利用することによって微小な表面張力を容易に測定することができる。水の表面張力の温度依存、エタノール、オリーブ油の表面張力との比較を測定結果から考察し、液体の物性(融点、沸点、比熱)を考え合わせて物質の分子論的理解を促す教材実験とした。教材実験の解説・演示映像の編集;これまでに検討、作成した以下の理科実験教材の解説・演示映像の編集を行った。創造性を育む理科実験教材として、教育現場での活用・普及を図っている。1)ブラウン運動の観察とアボガドロ数の導出-分子運動を見る、2)電子天秤による磁気力の測定-遠隔力の規則性を測る、3)ブランコの運動とパラメーター励振、4)断熱蒸発による液体の温度低下の観察・計測-分子が運ぶエネルギー、5)金星の太陽面通過周期の「規則性」を考える-数理融合教材の試み、6)電子天秤による液体の表面張力の測定-表面張力の分子論的理解のための実験教材
著者
富山 明男 平野 雅司 松田 隆男 坂口 忠司
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.58, no.551, pp.2177-2183, 1992-07-25
被引用文献数
1

Computational time for numerical simulation of transient incompressible viscous flow is governed by numerical methods to solve the Poisson equation of the pressure. In order to improve the computational efficiency of the SOR method, a mathematical analysis was conducted in the present study to derive the spectral radius, i. e., the maximum modulus of the eigenvalues of the iteration matrix for a discrete Poisson equation in staggered mesh system. The derived spectral radii for the point, line and area Jacobi iteration matrices are applicable to the Dirichlet, the mixed boundaryvalue and the Neumann problems in an n-dimensional rectangular region. The validity of the optimum relaxation parameter of the SOR method, which was calculated by the derived spectral radii, was confirmed by numerical experiments. Furthermore, a simple estimation method of the optimum relaxation parameter for the non-rectangular region was presented for transient flow analyses.
著者
大塚 英作 平野 雅章 古門 麻貴 田名部 元成 橋本 雅隆 松井 美樹
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

電子商取引の本格化によって新しいビジネスモデルが提唱され、これを実現するためのサプライチェーン・マネジメントのあり方が議論されはじめている。海外の事例としてウォルマートを、国内の事例として株式会社しまむらを取りあげ、小売業態を起点とするサプライチェーンにおけるロジスティクス・ネットワークの構造とオペレーションについて検討した結果、小売業態を起点としたサプライチェーンに、構造上・オペレーション上の特長を見出すことが出来、中間流通における物流機能の高度化は、小売業態の設計の中に組み込まれてはじめて可能になることが理解された。サプライチェーンの革新的効率化の道具として注目されているRFID(無線タグ)についても広範なサーベイを行い、その問題点、技術的課題、応用可能性などについて検討を行った。また、伝統的な企業(ブリック&モルタル)が情報技術をフルに活用する企業(クリック&モルタル)に移行(「ネットトランジション」と呼びます)するには、単にホウムペイジを作成すればよいわけではなく、企業がおかれた競争環境の他に企業自身の組織能力を見極め、自社の優位性を活かし不利をカヴァーするような、戦略と一体となった情報システムの使い方を編み出すとともに、一旦設定された戦略と情報システムの組み合わせも、競争環境や技術の変化に対応して見直していく必要もあるわけであるが、本研究では、既存企業が戦略的に情報システムを活用するためのネットトランジションの戦略パターンおよびネットトランジションに必要な組織能力・ネットトランジションプロセスのマネジメントのあり方について検討した。これらの成果を実験的に検証するためのシミュレーターとしてビジネスゲームを構築した。さらに、本研究では、これからの企業情報システムとして期待されるERPサーバーを実際に稼動させ、その可能性や操作性、新しいビジネスモデルやサプライチェーンへの応用などについて経験を積むことが出来た。
著者
飯島 淳一 妹尾 大 蜂谷 豊彦 平野 雅章
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、大規模な実態調査にもとづき、プロセス志向性、知識創造能力などの組織特性がイノベーション経営度やICT利活用効果との関連性を検証し、「プロセス志向度の高い企業は業界内で比較優位にあり,ICTを有効に活用している」ことや「表出化活動の実施度合いが他の活動と比して低い組織はIT投資成果を得にくい」などの結果が得られた。