著者
長原 しのぶ Shinobu Nagahara
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.76-90, 2002-02-10
著者
藤原 しのぶ
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.98-106, 2010-09-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The objectives of this study were to evaluate a practical method of determining more accurately conversion factors for calculating the protein content of food from the total nitrogen content (N : P factors) and to propose a reliable procedure for routinely converting total nitrogen data to the protein content. First, mushrooms and vegetables were selected as model foods to explore a novel method of determining N : P factors for the reason that these foods contain high levels of nonprotein nitrogen. These foods were analyzed for total nitrogen content, amino acid nitrogen and nonprotein nitrogen and then the N : P factors were calculated. Based on the results, the novel method for calculating N : P factors was proposed; the N : P factor was defined as the proportion of the amino acid residue content to the total nitrogen content. The average N : P factors calculated by this novel method were 3. 99±0. 76 (mean±SD) for mushrooms and 4. 10±0. 60 for vegetables. Protein contents estimated using these factors were in good agreement with the contents determined by amino acid residues. Second, applying this novel calculation method, the N : P factors for some other foods were investigated. Cereal products and several pulses were determined the novel N : P factors, based on the total nitrogen content and amino acid residues. The averaged factors were 5. 26 for rice, 5. 47 for wheat, 5. 54 for other cereal products and 5. 51 for pulses. Then, the N : P factors for 295 foodstuffs in “the Revised Standard Tables of Food Composition in Japan, Amino Acid Composition of Foods”, were calculated. These results suggested that the N : P factor of 6. 25 commonly used for many foods was not a realistic factor for estimating the protein content of food by converting the total nitrogen. Third, the protein contents of 11 school lunch menus and 2 convenience store lunch boxes were calculated from the total nitrogen content using the novel N : P factors. The proportion of the protein contents multiplied by the novel N : P factors to the traditional protein contents was approximately 84%. The averaged novel N : P factor for 13 menus was 5. 16±0. 10. The protein content of diet meals containing various foods should be multiplied by this value.  It was concluded that this novel calculation method should be practical and suitable for the evaluation of the N : P factors.
著者
篠原 しのぶ 原崎 聖子
出版者
福岡女学院大学
雑誌
臨床心理学 (ISSN:13499858)
巻号頁・発行日
no.1, pp.9-20, 2004-03

「甘え」という概念の中には多くの要素が含まれているが、今回は過去の研究結果(篠原・1998)で抽出した6個の甘え因子を用いて女子の大学生に対して調査を実施し、その背景との関わりを検討した。その概要は次のとおりである。1.幼少期に両親から受けた養育と「甘え」との関係 大学生の幼少期は、「家族全員が集まって食事」をし、「寝るときに本を読んで」もらっており、「大切に育てられ」ているが「養育の中心は母親」であったことがわかる。更に「自分でできることは自分でする」ように言われて育った者は、『引っ込み思案』『責任回避』『非自立』『追従』の各甘えがいずれも低い。また、「両親から大切に育てられた」者たちは『引っ込み思案』『屈折』等の甘えが低い。即ち、幼少期の適切な育て方が甘えの低減に大いに役立っていることがわかる。2.「経済観念」と「甘え」との関係 全ての「甘え」因子が経済観念と深く関わっている。 殊に「甘え」得点の高いものは『親のすねをかじる』傾向が高いが中でも『非自立の甘え』においてこの傾向が顕著である。また、「家庭の経済状態」を熟知しているものや、倹約的、計画的金銭使用を心がけている者たちは、いずれも各甘え因子の低群に多いということが明らかである。3.生活意識と「甘え」との関係 『親の厳格性』『親との親和性』等が全般的に高く、幼少期の親の養育態度をよく反映している。しかし、男性のほうが「度胸がある」「職務に忠実である」「リーダーシップがある」等の項目が軒並み下位に位置している。即ち男性に対する信頼感が非常に低いということである。 これを「甘え」との関係で見てみると、『自己主張』『親の厳格性』『親との親和性』等は全て、甘え得点が低い者たちに多いことがわかる。即ち、親との関係が良いものは甘えが少なく、自己主張ができるものは甘えの低い者たちである。殊に『責任回避』『非自立』『追従』等の甘えはいずれも甘えの少ない者たちが望ましい生活意識を持っていることがわかる。ただ、『受容承認を求める甘え』のみは他の甘え因子とは異なる様相を呈している。いずれにしても「生活意識」の持ち方は「甘え」と大きく関わっている。4.愛他行動と「甘え」との関係 『協調的愛他行動』、『積極的愛他行動』、『許容的行動』の因子で見てみると、女子大学生は『協調的愛他行動』はかなりよくできているのに対して、『積極的』『許容的』愛他行動をとることはあまり育っていないことがわかる。 次に各項目を「甘え因子」との関係で見てみると、『受容承認を求める甘え』以外の各甘え因子ではいずれも低得点群、即ち甘えの少ないものの方が愛他行動をよくとっている。ここでも『受容承認を求める甘え』のみは他と異なる様相であることは興味深い。5.将来の配偶者に対する役割期待と「甘え」との関係 28項目中18項目において、4.0を超えて配偶者に家事分担を期待している。卒業後キャリアを持ち続けたいと望む女子大学生が多いことから、結婚後の家庭生活において夫に分担を期待しているのであろう。しかし、「掃除・洗濯」「食事の用意」「食事の後片付け」「食料の買出し」等、従来から女性の役割とされてきたものに対しては、夫への期待が他の項目より少なくなっている。「甘え」との関係では、『引っ込み思案』『屈折』『責任回避』の甘え群は、そのような甘えの傾向が少ないものの方が夫への期待が大きく『受容承認』ではその甘えが強いもののほうが期待が大きい。しかし、伝統的女性役割とされてきた項目は一項目も甘えとの関係が見られていない。即ち甘えの高低に関わらず、女性的役割は夫へ期待していないということがわかる。6.日本人的価値観と「甘え」との関係 昭和初期から総理府が調査し続けてきた項目の中から3問を抜き出して調査した。 (1)蟻とキリギリスについて 1991年の結果と比較してみると、いずれも"諭した上で食べものを分け与える"という回答が多いが、この10年余りの間にこの回答、即ち「日本人的回答」が有意に減少している。「甘え」との関係で見てみると、『受容承認』『屈折』『責任回避』の甘えに関しては、"追い返す"と回答したものの方が甘え得点が高い。 (2)課長のタイプ選択について この項目では10年間に変化無く「日本人的回答」である"人情課長"を選択するものが多く、外国の回答と大きく異なっている。上司に対する受け止め方の違いを如実に表している。「甘え」との関係で見ると、『責任回避』の甘え以外では甘えの得点に有意な差が認められなかった。 (3)将来の暮らし方について この質問項目では、1991年の結果とかなりの変化がみられ、特に、"社会のためになるようなことをして暮らしたい"と、"清く正しく暮らしたい"という回答が増えていることは興味深い。しかも殆どの甘え項目において"社会のために"を選択したものの甘え得点が低くなっている。 以上で見てきたとおり、現代若者(今回は女子大学生)の甘えの背景には、幼少期に受けた親の養育や、日本人的価値観等が大きくかかわっており、ひいては、生活意識、経済観念、愛他行動、夫婦の役割に対する期待等が甘えと強く関連していることが明らかとなったと言える。
著者
春日 敦子 藤原 しのぶ 菅原 龍幸 青柳 康夫
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.201-206, 1996-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
30
被引用文献数
1

In Shiitake mushroom (Lentinus edodes),5′-nucleotides, especially 5′-GMP, are major umami components.5′-Nucleotides are degraded products by ribonuclease (RNase) from RNA and moreover they degrade into nucleosides by phosphomonoesterase (PMase). In this process, RNase is more stable on heating than PMase and consequently 5′-nucleotides accumulates.Taking this property into account, we studied on the effect of various heat processing and damaging of tissues on 5′-nucleotide contents of Shiitake mushroom. The following results were obtained.1. In various heat processing tests, the heating from water to boiling or by a 100W electronic oven accumulated the more amount of 5′-nucleotide than that by putting in boiling water or a 500W electronic oven.2. Heating from water to boiling after damaging the tissues of Shiitake mushroom, especially damaging by freezing led to the increase of 5′-nucleotides.3. According to the defrosting methods, the amounts of 5′-nucleotides in frozen Shiitake mushroom, when heated from water to boiling, increased in the order of defrosting in a refrigerator, without defrosting and defrosting in an electronic oven.4. Though the amounts of 5′-AMP,5′-UMP and 5′-CMP in frozen Shiitake mushroom seemed to decrease slightly when heated after defrosting in a refrigerator or an electronic oven after storage at -40°C, RNA and 5′-GMP were constant in any way.
著者
石黒 弥生 藤原 しのぶ 佐々木 弘子 松本 仲子 菅原 龍幸
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.247-254, 2006 (Released:2007-01-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

シイタケ, マツタケ, ブナシメジ, エリンギ, マイタケ, ツクリタケの6種類のキノコ類を緩慢凍結した後に加熱すると, 実験に用いた6種類のキノコ類全てについて, RNAは生キノコを加熱調理したものより有意に, 或いは, より低下の傾向を示した。これに伴い, 生キノコを加熱したものに比べ, 緩慢凍結してから加熱したキノコの5'-GMPは, 実験に用いた全てのキノコについて有意に増加した。これは, SEMによる観察から凍結したキノコの場合, 加熱調理時にドリップの生成が多く, 酵素作用が活発に行われるためと考えられる。  冷凍したキノコと生キノコを用いてキノコ飯を作り, 両者についてその受容性を比較したところ, 冷凍キノコを用いたものが生キノコを用いた場合より味が好まれたのは, シイタケであり, 味, テクスチャー, 総合で好まれたものは, ブナシメジであった。香りで好まれたものは, マツタケ, ブナシメジ, 醤油味のマイタケであった。  逆にマイタケを用いた塩味の場合は, 生キノコが色, テクスチャー, 総合において冷凍キノコを用いた場合より有意に好まれていた。しかし, 醤油味にした場合は, 香りについて逆に冷凍キノコが好まれた他, 両者の間で有意な差は見られなかった。マイタケを味噌汁の具にした場合は, 冷凍キノコが生キノコを用いた場合より, 色, 汁の味, キノコの味, 総合評価共に有意に冷凍キノコが好まれた。  以上の他に, テクスチャー, 総合の評価では, 冷凍キノコを用いた場合と生キノコを用いた場合とを比較した場合, 両者間に有意な差は見られなかった。これらの結果から, キノコ類を家庭でブランチング処理をせずに冷凍して短期間保存し利用することは可能であると考えられる。
著者
藤原 しのぶ 春日 敦子 菅原 龍幸 青柳 康夫
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.34-37, 1996-03-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1

野生および栽培キノコ13種20試料についてアミノ酸組成分析を行った. 全体的な傾向として, 含硫アミノ酸, トリプトファン, ヒスチジンは低含量, グルタミソ酸は高含量であった. また, ヒラタケ, コウタケ, サクラシメジはアミノ酸量が多く, ナラタケ, ハナイグチ, ムキタケは少なかった. コウタケを除く12種のキノコの第一制限アミノ酸は, 含硫アミノ酸であった. コウタケの第一制限アミノ酸はロイシソであった.第二制限アミノ酸は, ホンシメジを除くすべてのキノコでロイシソあるいはリジソであった.アミノ酸スコアはムキタケの33.7からコウタケの86.7の範囲であったが, 全体的に低い傾向にあった. また, 1985年 (学齢期前2-5歳) の評点パタソと比較した場合の第一制限アミノ酸は, エノキタケではロイシソ, シイタケ, ニオウシメジ, ハナイグチ, ムキタケでは含硫アミノ酸, その他のキノコではリジンであった. この場合のアミノ酸スコアはサクラシメジの39.9からコウタケの84.6となった.
著者
吉田 真美 齋藤(大越) 麻美 富井 架乃 諸岡 祐佳里 藤原 しのぶ 冨田 綾子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.192-203, 2019-06-05 (Released:2019-06-21)
参考文献数
29

米の消費拡大と小麦アレルギー疾患等の対策を目的として,米粉と大豆粉を主材料とした新しいグルテンフリー食パン調製法について検討した。一般の大豆粉よりも脱臭大豆粉を使ったパンが好まれ,脱臭大豆粉:米粉=6:4の配合割合が最も評価された。これに,粉重量の30%の泡立て卵白添加が膨化と食味を促進し,比容積が向上した。その時の加水量は80%が適切だった。これらの配合組成で調製した食パンを脱臭大豆粉パンと称した。 脱臭大豆粉パンの特性について検討し,米粉100%食パンおよび小麦粉100%食パンと比較した。検討項目は,パンの大きさ,物性,水分量,抗酸化性(ラジカル捕捉能),官能評価等である。さらに材料の粉類のイソフラボン量の測定もおこなった。総体的に,脱臭大豆粉パンの評価は小麦粉パンには及ばないが,米粉パンよりは優れていることが多かった。官能評価では脱臭大豆粉パンは,日常的に食べられるパンであると評価された。脱臭大豆粉中のイソフラボン含有量が高く,それを材料とした脱臭大豆粉パンは強い抗酸化性を示した。
著者
春日 敦子 藤原 しのぶ 菅原 龍幸 青柳 康夫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.201-206, 1996-08-20
参考文献数
30
被引用文献数
1

椎茸の旨味成分の一つである5'-ヌクレオチドは一連の酸素反応により、RNAから生成され、無味のヌクレオシドに分解される。この過程に於いて、昇温速度の違いが5'-ヌクレオチドの生成に影響を及ぼすことは既に報告されている。そこで、実際に家庭で調理を行う場合を想定し、熱付加の様相や組織の損傷方法を変えた時の、5'-ヌクレオチドの蓄積量について検討した。熱付加方法の違いでは、昇温が短時間である沸騰した湯で加熱や500Wのような高出力電子レンジ加熱の場合。5'-ヌクレオチド増加量は少なく、出力の小さい100Wレンジ加熱や水から加熱した場合は多く蓄積された。また、組織に損傷を与えると、自己消化能は高まり5'-ヌクレオチドは増加するが、包丁の柄で叩くより組織の損傷の度合が大きいと考えられる。一晩冷凍し組織を損傷させてから加熱した方が5'-ヌクレオチドは多く蓄積された。また、冷凍後の解凍操作として、冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍、解凍なしの3通りについて水から加熱し、5'-ヌクレオチド含量を比較検討したところ、冷蔵庫内自然解凍は蓄積が少なく、解凍なし、電子レンジ解凍の順に増加した。また、試料を-40℃ブリーザーに保存し、経時的に冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍し、それぞれ水から加熱したときと加熱操作を行なわない場合のRNAと5'-ヌクレオチドを測定した。冷蔵庫内冷凍又は電子レンジ解凍し加熱した場合、5'-RNA、5'-UMP、5'-CMPは30日以降若干減少している傾向にあったが、5'-GMP、RNAはいずれの場合もほとんど変化が認められなかった。
著者
横山 嘉子 藤原 しのぶ 岩崎 有希 白石 弘美 加納 和孝
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.77-83, 2019

要旨 【目的】本研究では牛乳清中のLPS/TLR 4シグナル抑制分子の検索を目的とした。【方法】TLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞及びRAW264.7 細胞を用い、LPS/TLR 4シグナルに対する乳清の阻害効果を調べた。【結果】乳清溶液では、LPS/TLR 4シグナルを介した、TLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞でのSEAP 発現、及びRAW 264.7 細胞接着の阻害が確認された。さらに、Superdex 75 10/300 GL クロマトグラフィーにより、LPS 刺激で誘導されるTLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞のSEAP 発現、及びRAW264.7 細胞からのTRAP 陽性多核巨細胞の形成を抑制する、proteinase K 感受性の分子量約7,000 の画分が得られた。【結論】乳清中に、従来報告のない分子量約7,000のLPS/TLR 4シグナル抑制分子の存在を見出した。
著者
友清 貴和 脇田 正恵 原 しのぶ
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学工学部研究報告 (ISSN:0451212X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.51-56, 2003-11

An patient habitation space is what thing furthermore about how the Hansen's disease medical-treatment institution changed in Okinawa Prefecture, as for the purpose of research, and it is showing clearly how it changed. And it aims at grasping the feature by comparison with the Hansen's disease sanatorium (National Sanatoria Hoshizuka Keiaien) of a mainland.
著者
藤原 しのぶ 春日 敦子 菅原 龍幸 橋本 浩一 清水 豊 中沢 武 青柳 康夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.191-196, 2000-03-15
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

栄養添加物の混合割合を変えることにより段階的に窒素量の異なる菌床培地を設定し,培地窒素量と子実体中の窒素量との関係について検討した.<br>菌床培地とそれぞれの培地から発生した子実体の全窒素量との間には強い相関が認められた(p<0.001).窒素量の多い菌床培地から発生する子実体ほど窒素含有量が高くなるという相関関係が,同一の栽培方法と種菌を用いて得られたシイタケについて確認された.<br>シイタケ子実体に含まれる主要な窒素含有成分(総アミノ酸,遊離アミノ酸,核酸,キチン)中の窒素量は,全て培地の窒素量と有意な相関が認められた.特に培地窒素量との相関性が高かったのは総アミノ酸と遊離アミノ酸であった.また,レンチニン酸含有量と培地窒素量との間には明確な関係は認められず,むしろ栄養添加物の種類によって含有量に差が認められた.<br>栄養添加物の種類や混合割合などの菌床培地の組成を変える試みは,現在のところ収穫量の増加を主な目的としているが,発生する子実体の質も制御できる可能性が示唆された.
著者
関 文恭 吉田 道雄 篠原 しのぶ 吉山 尚裕 三角 恵美子 三隅 二不二
出版者
九州大学
雑誌
九州大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:02862484)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-10, 1999-03

本研究は, MOW国際比較研究の一環として, 日本・台湾・中国・オーストラリア・デンマークの大学生の"働くこと"に対する意識・態度を比較したものである。調査対象者は, 各国の大学生1678人であった。主要な結果は, 次の通りであった。(1)日本の学生の「仕事中心性」は, 5カ国の中で低いはうであり, 最も高かったのは中国の学生であった。また, 日本の学生がレジャーを最も重要と考えている点は, 他国の学生と比べて大きな特徴である。(2)働くことに対して, 中国の学生は, 日本の学生とは違ったイメージを抱いている。すなわち中国の学生は, 働くことを社会貢献として捉えているのに対し, 日本の学生は, 自己に課せられた仕事として把握している。(3)中国や台湾の学生は, "働くことは義務であり, 人は働いて社会に貢献すへき"という義務規範を強く支持している。一方, 日本の学生は, 権利規範を支持する度合いが強く, 職場の確保や教育・訓練は, 社会や雇用者側によってなされるべきであると考えている。(4)いずれの国の学生も, 働くことから得られるものとして, 「必要な収入」や「興味・満足感」に高い価値を与えている。中国の学生は, 他の4カ国の学生よりも「社会貢献の手段」として価値づけている。(5)仕事と余暇の関係について, 日本では, "余暇のための仕事"と考える学生の割合が, "仕事のための余暇"と考える学生の割合を上回っている。また, "趣味に合った暮らし"を望む学生の割合か, 他の4カ国よりも高い。(6)職業選択の基準として, 日本・台湾・中国では"適性"を重視する学生か多い。日本の学生は"やり甲斐"を重視する者も多いが, 仕事(職業)に対して, 明確な目標や期待を持っている学生は少ない。本研究の結果から, とくに日本と中国の学生の間で, "働くこと"に対する意識に対照的な違いが見いだされた。今後は, 両国の学生の意識の構造について分析を進めていく必要があろう。