著者
原田 康徳 勝沼 奈緒実 久野 靖
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1765-1777, 2014-08-15

近年,コンピュータプログラミングが小学校教育においても重要な教育テーマと見なされるようになりつつある.わが国においても,小学生を対象とした多くのプログラミング教育活動があるが,その大半は専門家が教え,多数のヘルパーがつくものであり,そのまま公立小学校などに導入することは難しい.本稿では東京都墨田区立緑小学校の課外活動である「みどりっ子クラブ」において,教育用プログラミング言語「ビスケット」を使用したプログラミング教育の事例について報告している.この活動は,1人ないし2人の非専門家の地域ボランティアによって,各回数名~数十名の児童を集めて3年半にわたり実施されているが,本稿で報告する教え方に関する多様な工夫やそれをサポートするビスケットシステムの工夫のおかげで,うまく機能している.評価として,参加児童の数名に対してインタビューを実施した結果,(1)子どもたちはコンピュータをブラックボックスではなくそのうえで自力で面白いものが作れるようなものだと認識するようになったこと,(2)プログラミング上のさまざまな「技」を進んで教え合っており,協同学習がうまく行われていることが示された.
著者
原田 康徳 勝沼 奈緒実 久野 靖
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1765-1777, 2014-08-15

近年,コンピュータプログラミングが小学校教育においても重要な教育テーマと見なされるようになりつつある.わが国においても,小学生を対象とした多くのプログラミング教育活動があるが,その大半は専門家が教え,多数のヘルパーがつくものであり,そのまま公立小学校などに導入することは難しい.本稿では東京都墨田区立緑小学校の課外活動である「みどりっ子クラブ」において,教育用プログラミング言語「ビスケット」を使用したプログラミング教育の事例について報告している.この活動は,1人ないし2人の非専門家の地域ボランティアによって,各回数名~数十名の児童を集めて3年半にわたり実施されているが,本稿で報告する教え方に関する多様な工夫やそれをサポートするビスケットシステムの工夫のおかげで,うまく機能している.評価として,参加児童の数名に対してインタビューを実施した結果,(1)子どもたちはコンピュータをブラックボックスではなくそのうえで自力で面白いものが作れるようなものだと認識するようになったこと,(2)プログラミング上のさまざまな「技」を進んで教え合っており,協同学習がうまく行われていることが示された.Recently, computer programming is being recognized as an important topic in elementary schools of the next decade. Even in Japan, various activities which teach programming to elementary school children are in progress. However, most of those activities are taught by professionals (of programming education), with supoort of many assistants; such activities cannot be ported as-is to public schools. In this paper, we introduce our experiences with "Viscuit" educational programming language on Midorikko-club, after-school activities held in Midori elementary school, Sumida-city, Tokyo. The activities, in which ten to several tens of children have attended, are led by small number (one or two) of local non-professional volunteers for more than three years. Thanks to the novel teaching method and supporting funcionalities of the Viscuit system, both described in this paper, the activity turned out to be very successful. As an evaluation, we have conducted interviews to some of the attended children, which has shown that (1) children have become to recognize that computers are not the blax boxes, but something on which they can create interesting things, and (2) they have become to enjoy teaching various programming techniques each other, thus realizing cooperative learning.
著者
山田 寛章 石井 雄隆 原田 康也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.100, pp.55-60, 2014-06-21

大学1年生50〜90名が第三著者の担当する英語の授業で3人ずつのグループで「応答練習」を30分ほど行ったのちに、30分前後の時間で授業中に500語を目標に英語で作文をまとめて提出し、次の授業で宿題として完成させた作文を提出して6人のグループで相互チェックを行い、さらに次の週にコメントに基づいて修正した最終版を提出している。年間30回の授業で15の作文について授業中のドラフト・宿題として完成させたバージョン・相互チェックを反映した最終版の3つのバージョンを回収した電子ファイルが過去10年分ほど蓄積してあるが、単語数の自己報告を毎回の授業で提出したものを集めているほかは、各種統計情報の抽出等の分析を行っていなかった。構文解析器などを利用して作文の特徴量を抽出し、年間を通じての作文の長さと質の向上を検討する目安に利用したいが、学生が提出する電子ファイルに若干の事前処理を施す必要があり、どのような特徴量に着目すべきかも実データをもとに検討する必要がある。本発表では、事前処理と手作業の一致具合なども含め、予備的調査の結果と今後の課題について報告する。
著者
横川 博一 定藤 規弘 田邊 宏樹 橋本 健一 吉田 晴世 原田 康也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

平成28年度は,外国語処理における繰り返し接触による気づき・注意機能の発現と自動化に関する理論的・実証的研究として,主として以下の3つの研究課題を設定し,次のようなことが明らかとなった。(1)「相互的同調機能の発現が日本人英語学習者の第二言語産出に及ぼす影響」を研究課題として設定し、日本人英語学習者を対象にプライミング手法を用い、相互的同調機能を支えるメカニズムである統語的プライミング効果について検証した。その結果,英語母語話者を対象とした実験で見られた、プライムを音声提示、ターゲットを音声または文字産出した際の統語的プライミング効果が日本人英語学習者に対しても見られることが明らかになった。(2)「日本人英語学習者の文理解における統語構造および意味構造の構築の検証」を研究課題として設定し、初級および中級熟達度の日本人英語学習者を対象に、目的格関係節文と受動文とを用いて、音声提示および文字提示で心理言語学的実験を行った。その結果、中級熟達度の学習者は、意味役割の再付与はある程度自動化しており、音声と文字とでは同程度に処理ができるが、複雑で複数の統語処理が必要な場合、文理解が困難になることがわかった。一方、初級熟達度の学習者は、意味情報に依存して文を理解し、意味役割の再付与に困難性があり、統語構造の構築が困難であることがわかった。また音声のほうが文字よりも処理が困難であることが判明した。(3)「タスクによる注意機能が第二言語文理解時における言語情報処理に与える影響:自己ペース読み課題による検討」を研究課題として設定し,句構造規則違反では、低熟達度群は統語情報に注意を向けなければ意味主導の処理を行っていることが、また、意味違反では、高熟達度群は意味情報から注意をそらしても意味違反を即座に検出したが、依然として日本人英語学習者は意味主導の処理を行っていることが明らかになった。
著者
首藤 佐智子 原田 康也 武黒 麻紀子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、前提を伴う言語形式の運用のしくみを明らかにすることを目的として、近年問題視されている表現をとりまく言語現象を考察した。研究成果として特筆できるのは、ポライトネス効果を狙った語用論的制約の操作使用の結果、意味が客観化するという現象を指摘することができたことである。これはポライトネスが意図された語用論的制約操作が行われた場合に、その意図が形骸化するという社会言語学的パラドックスが存在することを示唆する。この現象のモデルとして扱った「残念な」に関する分析は、「日本語語用論フォーラム」の第1号(2015年刊行予定)に掲載される予定である。
著者
原田 康也 前坊香菜子 河村 まゆみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.69, pp.1-8, 2007-07-07
参考文献数
12
被引用文献数
5

本発表においては2007年2月17日コンピュータと教育研究会CE-88 (24)『学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告した研究プロジェクトのその後の進捗状況を報告する。本研究プロジェクトでは、2003年5月16日コンピュータと教育研究会CE-69 (3)『エーワンのマルチカードを用いた英語応答練習』にて報告した応答練習を中心とする授業中の学習活動を2005年6月18日コンピュータと教育研究会CE-80 (4)『対面での応答を重視した英語学習活動と発話収録装置の試作と試用』にて報告したマルチトラック・ハードディスク・レコーダにて音声収録するとともにならびにCE-88 (24)『VALIS:学習者プロファイルに基づく学習者音声コーパス構築を目指して』において報告したブルートゥース・ワイヤレス・マイクとハードディスク・ビデオカメラを用いて音声画像の収録を進めている。本プロジェクトで収録している音声データはきわめて多量であるため、その大部分を対象とすることは本プロジェクトの期間と予算から不可能であるが、将来的な作業の見通しを付けるために、発話データの書き起こしを試行している。本稿では、これに際して検討すべき事項の整理と現在進めている試行的な書き起こしの途中経過を報告する。The first author has implemented college English classes emphasizing face-to-face oral interactions within small groups of students in class, presupposing and expecting further cultivation of learners' ability to learn for themselves, by themselves and among themselves. Previous experiences confirm such expectations, and the authors are currently working on compiling spoken corpora of learners' interactions with relatively high-quality audio and video recordings of those interactions. In this second installment of interim reports, we touch on our transcription procedures and possible tools, further detailing our recording procedures and project goals. It is interesting to notice, in passing, how introduction of digital audio recorder with cabled microphones and digital hard-disk video cameras with Bluetooth wireless microphones positively affect students' motivations and performances in those practices.
著者
原田 康也 鈴木 正紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.63, pp.21-25, 2010-05-21
被引用文献数
1

日本が国際情報社会になるにつれて、「英語が使える日本人の育成」が緊急の課題と認識されているようになってきた。文部省・文科省の定める学習指導要領では1990年代以降は外国語科目(英語)の授業において「コミュニケーション」を重視することとなっており、2006年度以降の大学センター試験で英語リスニング試験が導入されるなど、日本人英語学習者の英語口頭運用能力に一定の変化・改善が見られてもおかしくない状況にある。一方、こうしたカリキュラム上の改変にもかかわらず、中学・高校における英語学習・英語指導の中核が大学入試に向けての訳読式学習にあり、口頭英語の運用能力の向上は見られないという感想も根強い。大学で英語を担当する教員からは、英語に限らず大学生の一般的な学力低下を嘆く声が年毎に強まっているが、高校卒業時・大学入学時の英語運用能力の経年的変化に関する信頼できる資料はあまり公開されていない。著者たちは2006年度から2008年度までの科研費基盤研究(B)『学習者プロファイリングに基づく日本人英語学習者音声コーパスの構築と分析』と2009年度から2013年度までの科研費基盤研究(B)『属性付与英語学習者発話コーパスの拡充と分析:大学新入生英語発話能力の経年変化調査』の交付を受け、大学新入生を対象とする英語授業の中で共創的な学習活動における学生の英語での発言・応答・相互作用をできる限りそのまま、可能な範囲でデジタル化して記録しようという試みを継続している。その一環として、大学入学時点での新入生の英語力、特にオーラルコミュニケーションに直接関係のある口頭英語運用能力ついても継続的にデータ収集を行っている。今回の発表では、2006年から2009年まで毎年4月に行っているVersant Enghsh Testのスコアについて報告する。
著者
原田 康徳 Yasunori Harada NTT基礎研究所 NTT Basic Research Laboratories
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.271-274, 1996-05-15
参考文献数
3

3回目となったWISS (Workshop on Interactive Software and Systems)は広島県加計町温井スプリングスで開催された.プログラム委員長は,2年間続いたSony CSLの竹内影一氏に代わり,筑波大学の田中二郎先生である.今回の参加者は約90名と,年々増加の傾向にある.古くて新しいテーマであるインタラクティブシステムも,ハードウェアの進歩に伴い,次々と新しいアイデアが産まれているようである.
著者
前野 譲二 原田 康也 楠元 範明 原田 康成 楠元 範明
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

携帯電話端末上で語彙学習を行うため、インターフェースについて携帯電話の特性を考慮したプロトタイプを作成した。語彙学習に付いて、語彙の難易度に関する検討を行い、約10,000語の語彙について辞書や難易度データーが公表されている指標に基づいて難易度分類を行った。また、学習個別化のために項目応答理論に基づいた出題の自動化に関する検討を行った。
著者
村松 浩幸 杵淵 信 渡壁 誠 水谷 好成 山本 利一 川崎 直哉 紅林 秀治 松岡 守 関根 文太郎 田口 浩継 川原田 康文 松永 泰弘 吉田 昌春 大橋 和正
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3年間の研究により,現実の技術開発を疑似体験させるロボット学習の教育システム(カリキュラム,関連教材)を開発した。技術観,職業観についても信頼性,妥当性のある尺度を開発できた。そして全国各地の中学校で複数の実践を行い,必修の授業での簡単なロボット学習であっても,現実の技術や技術開発と関連付けることで,生徒の技術観,職業観を向上させうる可能性を確認できた。
著者
原田 康徳 宮本 衛市
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.664-665, 1988-09-12

近年、ハードウエアの価格の低下に伴い、様々な分野へのコンピュータの進出が著しく、プログラマのすそ野が広がっている。そこでは、小規模なソフトウェアを短時間で開発できるような環境が重要であり、様々な簡易言語(いわゆる第4世代言語)が開発されているが、種々の問題を抱えている。ここでは、インタプリタ言語 Laplas(Language Processor for Listing and Stacking)を紹介し、汎用的な簡易言語として備えるべき性質を満足していることを示す。