著者
川村 隆浩 渡邊 勝太郎 松邑 勝治 櫛田 達矢 古崎 晃司
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.839-848, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
23

近年,大規模書誌情報データベースを対象とした科学計量学の研究が盛んに行われている。そのため,論文や特許,研究データの分類やクラスタリング,検索のため科学技術に関するシソーラスの重要性が増している。科学技術振興機構(JST)では,1975年からJST科学技術用語シソーラス,また2005年からは関連する大規模用語辞書の構築・改訂を進めてきたが,今回,合わせて約24.5万概念を含む両者を国際標準化団体W3Cが規定するResource Description Framework形式のLinked Dataに変換し,期間限定で公開した。本稿では,まずJSTシソーラスおよび大規模辞書の概要,およびLinked Data版の特徴や有用性について述べる。そして,さまざまなドメインオントロジーをつなぐハブとなるトップレベルオントロジーとしての位置付けについて考察し,オントロジー的観点から概念間の関係性の再整備を進めているライフサイエンスカテゴリーにおける取り組みを紹介する。最後に今後の取り組みとして自然言語処理技術による半自動的なシソーラス保守・整備作業の可能性について触れる。
著者
古崎 晃司 上田 洋 高橋 徹
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.620-625, 2016-06-15

最近,シビックテック(Civic Tech)と呼ばれる市民(=Civic)がIT技術(=Technology)を活用して地域課題を解決しようという取り組みの広がりがある.オープンデータは,シビックテックにおいて活用されることが多く,両者を連携した活動も各地で行われている.これらの取り組みは,LOD技術の普及活動とも相まって様々な展開が見られている.本解説では,関西を中心としたLOD技術の普及活動とシビックテック活動の経験を踏まえ,LODという新しい技術の普及活動を進めていく上で,シビックテックとの関わりから得た知見を活動事例と共に報告する.
著者
川村 隆浩 江上 周作 田村 光太郎 外園 康智 鵜飼 孝典 小柳 佑介 西野 文人 岡嶋 成司 村上 勝彦 高松 邦彦 杉浦 あおい 白松 俊 張 翔宇 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では,2018年よりスタートしたナレッジグラフ推論チャレンジについて報告する.近年,機械学習技術の進展によりさまざまな社会システムにAI技術が組み込まれつつある.今後,そうしたシステムを安心・安全に使っていくためにはAIによる判断・動作を適切に説明する技術が重要になってくるだろう.そこで,本会セマンティックWebとオントロジー研究会では,データセットとしてシャーロック・ホームズの小説を題材としたナレッジグラフを構築,公開し,説明付きで犯人を当てる(推論または推定する)技術を募集するチャレンジを企画・開催した.発表では,第1回となった2018年のチャレンジの概要と共に,ナレッジグラフの構築手法,SATや推論,文書ベクトルなどを用いた4つのアプローチ,およびそれらの評価方法・結果等について述べる.また最後に,2019年に予定している次回チャレンジの計画について紹介してまとめとする.
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.633-638, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)

LOD(Linked Open Data)はWeb上のオープンデータを相互に“つなげる”仕組みとして広く普及し,多くのLODが公開されている。LODの普及には様々なコミュニティ活動が関わっており,国内ではデータを公開する研究分野ごとのコミュニティに加え,分野によらないLOD技術普及のための活動も行われている。本解説ではその一例として,筆者が携わってきたLODハッカソン関西を中心として,コミュニティ活動を通して生まれたLODの活用事例を,アイデア・データ・技術の“つながり”という観点から紹介する。
著者
川村 隆浩 江上 周作 長野 伸一 大向 一輝 森田 武史 山本 泰智 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論では,2018年に国内で初開催するナレッジグラフを対象とした推論チャレンジについて述べる.近年,深層学習をきっかけに人工知能(AI)技術への関心が高まっている.今後,AI技術は幅広く普及し,さまざまな社会システムに埋め込まれるようになるだろう.しかし,安全・安心に社会の中でAIを活用していくためには,AIによるシステムの動作を正しく解釈,検証し,品質を保証する技術が必要となる.そこで,本会セマンティクWebとオントロジー(SWO)研究会では,解釈可能性なAIに関する最先端技術の共有と研究開発の促進を図るため,推論に関するチャレンジを開催する.具体的には,広く知られたシャーロックの推理小説をナレッジグラフ化し,そこから犯人を推理(推論)する技術を広く一般から募集する.本チャレンジは2018年度人工知能学会全国大会開催当日より約半年間の日程でスタートする.是非,チャレンジへの参加をご検討されたい.
著者
古崎 晃司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.406-412, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)

Webで公開したデータを相互につなげる(リンクする)ことにより,データのWebを形成しようとするLinked Dataの取り組みは,2010年ごろから盛んに進められている。中でもオープンなLinked DataであるLinked Open Data(LOD)は,さまざまな分野で構築されており,その有効活用が期待される。本稿では外部のLODとつながったデータを作成することで,複数のデータを統合して活用する方法について解説する。特にLinked Data用のクエリ言語SPARQLを用いて,複数のデータセットを横断して検索する統合クエリ(Federated Query)の基本的な使い方を紹介する。
著者
古崎 晃司 山縣 友紀 国府 裕子 今井 健 大江 和彦 溝口 理一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.396-405, 2014-07-01 (Released:2014-06-18)
参考文献数
23
被引用文献数
5 2

Publishing open data as linked data is a significant trend in not only the Semantic Web community but also other domains such as life science, government, media, geographic research and publication. One feature of linked data is the instance-centric approach, which assumes that considerable linked instances can result in valuable knowledge. In the context of linked data, ontologies offer a common vocabulary and schema for RDF graphs. However, from an ontological engineering viewpoint, some ontologies offer systematized knowledge, developed under close cooperation between domain experts and ontology engineers. Such ontologies could be a valuable knowledge base for advanced information systems. Although ontologies in RDF formats using OWL or RDF(S) can be published as linked data, it is not always convenient to use other applications because of the complicated graph structures. Consequently, this paper discusses RDF data models for publishing ontologies as linked data. As a case study, we focus on a disease ontology in which diseases are defined as causal chains.
著者
古崎 晃司 溝口 理一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.C-I52_1-13, 2019-01-01 (Released:2019-01-07)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Ontological considerations about part-of relations have been extensively investigated because they are basic and important relationships for ontology building. Although there are various discussions on kinds of part-of and their ontological characteristics, there remains some room for discussing a couple of fundamental issues such as “What is a part?” and “When is a part-of relation composed?” This paper discusses ontology patterns of descriptions of part-of relationships on the basis of ontological theories in order to provide practitioners with useful guidelines for descriptions of part-of structurers. This paper focuses on ontology patterns which capture commonality and special characteristics of parts so that complicated structures of physical objects are described appropriately. We discuss four problems related to descriptions of parts. 1) interdependence between the whole and its parts, 2) kinds of parts such as components, portions and materials, 3) multiple inheritance according to substance and properties of parts, 4) the commonality and specificity of parts. To cope with these problems, this paper introduces a part representation model based on ontological theory of roles. The main idea of the part representation model is to distinguish between a part dependent on its whole and the context-independent properties of the part. The former is defined as the role-holder which plays roles and the latter is defined as the player of the role. The role defines properties of the part which is dependent on its whole. These three kinds of definitions enable to describe differences of various properties of parts according to their context dependence. We show how this model is used to describe various parts through practical examples of the anatomical structure of human body developed in the medical ontology project in Japan.
著者
古崎 晃司 江上 周作 松下 京群 鵜飼 孝典 川村 隆浩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2E6GS302, 2022 (Released:2022-07-11)

「ナレッジグラフ推論チャレンジ」は説明可能性を有したAI技術の体系化と普及促進を目的とした技術コンテストである.このチャレンジでは,知識グラフとして表現された推理小説を用いた「1.犯人の推定」と「2.推定理由の説明」をタスクとしている.提供する知識グラフは,説明生成に用いられることを念頭に,対象とする小説の追加や知識グラフとして記述する内容の検討等の改良を重ねてきた. 本研究では,これまでの考察をもとに,説明生成に利用することを想定した知識グラフ構築におけるガイドラインを提案する.推論チャレンジで公開している8つの短編推理小説を対象とした知識グラフを元に記述内容の修正方針を検討し,10項目からなる知識グラフ構築のガイドライン案を作成した.さらに作成したガイドラインをそれら8つの知識グラフに適用し,その妥当性の検討を進めている.本発表ではガイドラインの概要と知識グラフに適用して得られた知見を報告する.
著者
江上 周作 鵜飼 孝典 太田 雅輝 川村 隆浩 松下 京群 古崎 晃司 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-057, pp.05, 2022-08-05 (Released:2022-08-10)

ナレッジグラフのトリプルに出典,文脈,時間等の様々なメタデータを付与するメタデータ表現モデル(MRM)が複数提案されている.本研究では同一のナレッジグラフに対して異なるMRMを適用したデータセットを作成し,ナレッジグラフ埋め込み手法によるリンク予測の精度評価を行うことで,各MRMの特性を埋め込みの観点から分析する.
著者
溝口 理一郎 古崎 晃司 來村 徳信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.361-371, 2015-08-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3

有用な情報をいかにして手に入れるかという問題は古くて新しい問題である。異分野交流の典型であるバイオミメティクスではそれが顕著に表れる。バイオミメティクスでは,生物が実現しているさまざまな機能を模倣することによって,これまでにない有用な機能を革新的な方法で実現することを目指している。しかし,生物学に不案内な工学者が生物に関する有用な情報を入手することは容易ではない。本稿では,そのような工学者を支援するための新しいシソーラスであるOntology-Enhanced Thesaurus(OET)に関する概要を解説する。OETは,オントロジーという一般的で抽象度の高い概念群を従来のシソーラスの上位に位置付けることによって,異分野間に存在するギャップを埋めることを目指している。オントロジーやシソーラスの解説も含めて,OETの構成やキーワード探索自体を支援するツールに関してわかりやすく説明する。