著者
溝上 哲也
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.481-483, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
樫野 いく子 溝上 哲也 由田 克士 上西 一弘 長谷川 祐子 斉藤 裕子 青柳 清治 倉貫 早智 中村 丁次
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.445-450, 2018 (Released:2018-07-26)
参考文献数
12

国民一人ひとりが健康的な食品を特定し、選択することは容易ではない。近年、栄養素密度に基づき食品をランク付けする栄養プロファイリングモデルが各国で開発されている。しかし、わが国ではこのような概念による食品の評価は十分に行われていない。そこで、日本食品標準成分表2015年版に掲載された食品を対象に食品のランク付けを行った。積極的な摂取が推奨される9つの栄養素と、摂取量を制限すべき3つの栄養素を用いて高栄養素食品指数9.3 Nutrient-rich food index 9.3(NRF9.3)を各食品100kcal当たりで算出した。その結果、藻類、野菜類、きのこ類、豆類の食品群順にNRF9.3が高かった。また、同食品群内でも栄養価の高い食品と栄養価の低い食品を区別することができた。食品を購入する際に、栄養価のより高い食品を選択する、あるいは同食品群内で代替食品を選択するにあたり、本指数を参照することは有用であるかもしれない。
著者
溝上 哲也
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.167-172, 2018 (Released:2018-11-19)
参考文献数
15

機能性甲状腺結節に対して,従来,我が国では手術が行われてきた。欧米では131I内用療法が広く行われており,近年は国内外でインターベンションが甲状腺にも応用されている。手術は最も確実で速やかな治療効果を得ることができる。131I内用療法は効果発現が緩徐であり結節の縮小も限定的であるが,十分量の131Iを投与することにより手術と遜色ない甲状腺機能亢進症の改善が可能である。インターベンションでは,経皮的エタノール注入療法が最も普及しているが,さらに有効性の高い熱焼灼療法(ラジオ波焼灼術,レーザー焼灼術,高密度焦点式超音波治療法など)が開発されている。これらの治療法は,手術に比して低侵襲で放射線被曝を伴わないが,熟練した高度の技術を要することもあり広く普及していない。各治療法には長所と短所があり,それぞれの症例,および結節の状態に応じて治療法を的確に選択する必要がある。
著者
南里 明子 溝上 哲也
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.835-841, 2014-09-01 (Released:2017-08-01)

労働者における血中の葉酸,ビタミンB_6,ビタミンD,さらに,食事全体を考慮した食事パターンと抑うつ症状との関連を検討し,以下の結果を得た.1)男性では血中葉酸濃度が高いほど,3年後の抑うつ症状が少なかった.2)血中ビタミンB_6濃度が高いほど,3年後の抑うつ症状が少ない傾向であった.3)冬場の血中ビタミンD濃度が高いほど抑うつ症状が少ない傾向であった.4)野菜や果物,大豆製品,きのこなどの高摂取により特徴づけられる健康日本食パターンは,抑うつ症状の低下と関連していた.健康日本食パターンは,葉酸やビタミンC,ビタミンEなどの摂取と関連しており,これらの栄養素の複合効果により,抑うつ症状が低下したと考えられる.本研究は対象者数が少ないことなどいくつか限界点もあるため,今後さらに規模を拡大し前向き研究や介入研究により,うつ病予防につながる食事要因について検討を行う必要がある.
著者
吉村 健清 溝上 哲也 徳井 教孝 渡邉 英伸 MARIO Miranda Gutierrez MIGUEL A. Garces
出版者
産業医科大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.目的:胃がんの疫学像は、Diffuse Type(DT)とIntestinal Type(IT)で異なっているため、胃がんのリスクファクターが組織型別に異なっているか否かを症例対照研究によって明らかにする。2.方法:組織学的に胃がんと確認された症例を症例群、症例と性、年令、病院をマッチしたがん以外の患者を対照群とした。生活習慣、食生活の情報は、質問表を用いて直接面接法によって得た。採決血清は、日本でH.PyloriとPrpsinogenについて測定した。解析はCoxの比例ハザードモデルを用いて、オッズ比(OR)を算出した。3.結果:《グアテマラ》1999年末までに胃がん例200例、対照例245例について面接調査が実施された。同年7月までのDT79組、IT107組、計186組について解析した。《コスタリカ》1999年末までに胃がん症例250例、対照症例259例について調査が実施された。そのうち同年7月までのDT74組、IT110組の計184組について検討した。主な結果は(1)冷蔵庫使用はDT、IT胃がんともにリスクを低める(グアテマラ)。しかし、コスタリカではリスクの上昇がみられた。(2)IT胃がんがDT胃がんより食品に関連が強い傾向が見られる。(3)DT、IT胃がんともH.Pylori感染がリスクを上げている結果は得られなかった。(4)Pepsinogen PGI/II比による萎縮性胃炎陽性者はDT、IT胃がんともにリスクを上げているが、コスタリカがより顕著である。今後、最終の症例収集を待って、最終解析を実施し、各分担分野に応じて、発表論文を作成する。
著者
西阪 眞一 宇戸口 和子 溝上 哲也 徳井 教孝 荻本 逸郎 池田 正人 吉村 健清
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.119-131, 1996-06-01
被引用文献数
3

健康度自己評価が,死亡に関わる様々な要因の影響を除いてもなお,独自に将来の死亡に関係するか否かを明らかにするために本研究を行った。対象は福岡県Y市の30-79歳の地域住民4,046名である。調査開始時に健康度自己評価と生活習慣に関する健康調査を行い,7年間の追跡調査を実施した。全解析集団を用い,性,年齢,喫煙,治療状況,肥満度,日常生活動作能力を調整して,自己評価が「健康でない」集団の,「健康である」集団に対する死因別の相対危険度を比例ハザードモデルを用いて算出すると,全死因,がん,循環系疾患,他死因の相対危険度はそれぞれ2.95 (95%CI; 1.93-4.50),2.96 (1.53-5.73),2.32 (0.86-6.26), 4.09 (2.12-7.89)であった。集団選択による偏りを除くために,追跡開始時に疾患をもっている者また追跡開始後最初の3年間の死亡者を除いて解析しても,前述の相対危険度のほとんどが若干低くなるが,実質的に大きな差はみられなかった。さらに前述の有病者,早期死亡者を同時に除いた解析でも,全死因の相対危険度は1.89 (0.91-3.94)と,自己評価による健康度と死亡リスクの関連がうかがえた。このことから健康度自己評価それ自体が死亡リスクに独自に影響する健康指標となり得ることが示唆された。
著者
吉村 健清 早川 式彦 溝上 哲也 徳井 教孝 八谷 寛 星山 佳治 豊嶋 英明
出版者
産業医科大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

地域住民を対象とした大規模コホート調査(JACC Study)の調査票情報および保存血清および1997年末までの予後追跡調査データを用いて、胃がんのリスク要因を解析した。死亡を結果指標としたコホート解析では、胃がんリスクを高める要因として、短い教育歴、胃がん家族歴あり(男:RR,1.6;女:RR,2.5)、男の喫煙(RR,1.3;喫煙開始10-19歳:RR,1.9)、女性では生殖歴・出産歴がないこと、胃がん検診未受診(男:RR,2.0)があげられた。家族歴では、特に女で母親が胃がんの塙合に高いリスクを示した。また胃がんには家族集積性があることも示唆された。一方で、これまで胃がん関連要因として報告されてきた緑黄色野菜・高塩分含有食品・緑茶の摂取との関連は明らかでなかった。追跡期間別に分けた分析方法を用いると、干物類は、胃がんがあると摂取が減少する可能性が示唆された。また、コホート内症例対照研究の手法により、調査開始時に採取された血清を用いて、IGF、SOD、sFAS、TGF-b1の4項目を測定、胃がん罹患および死亡との関連を検討した。TGF-b1は、女性において、4分位で最も低い群にくらべ、値が高い群ほど胃がん罹患・死亡のリスクが上昇する量-反応関係を認めた。その他の3項目は、罹患と死亡で一致した傾向は認めなかった。同様の手法により、胃がんとの関連が強いとされる血清項目を測定した結果、Helicobactor pylori陽性のオッズ比は1.2、pepsinogen低値(胃粘膜萎縮あり)のオッズ比は1.9であった。H. pyloriのリスクが比較的低かったことの理由として、本解析集団が高齢であることが考えられる。現在、H. pyloriのCag-A抗体について測定を進めている。