著者
望月 康弘 大久保 秀夫 秦 大資 吉田 晃 細木 義郎 神田 成夫 仁科 徳啓 秋山 真人 塩澤 寛治 林 道明 杉枝 正明 村上 正博
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.52-60, 1989-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1

昭和61年9月~62年7月の間に静岡県立総合病院小児科を受診した腹痛, 下痢患者499例について糞便中の病原細菌の検索を行い, 47例よりCampylobacter jejuniを分離した.下痢発症前の食事内容, 調理器具の取り扱いなどを調査し, 患児と同年齢で家族内に最近2週間以内に下痢症のない対照群と比較した結果, 患者群では生肉を取り扱う際のまな板, 包丁を必ず洗剤や石鹸で洗う割合が対照群よりも少なく, 有意差が認められた.同居者, ペット動物の保菌状態を調査し, 下痢患者の祖母1例, 父2例, 母5例, 同胞6例より本菌を分離したが, 家庭で飼育しているペット動物からは分離されなかった.鶏肉を調理したあと, 家族内で集団発生した例が3家族あり, うち2家族において, 患者が摂食した鶏肉が冷凍保存されており, C.jejuniが検出された.患者から分離された本菌の血清型は, Pennerの方法で2型が多く, 市販の鶏肉分離株との間に共通性がみられた.静岡市内の小学校で飼育されている動物について広範に調査し, 387のうち10検体 (2.6%) より本菌を分離した.追跡調査により通常は比較的速やかに菌の消失をみた.飼育環境の悪い例では, 150日以上排菌が続いていたが, 飼育担当者のなかに下痢を発症した者はなかった.これらのデータより, 静岡市のような我国の平均的都市部では, 本症の発症原因として, 家族内での人から人への感染やペット動物からの感染は比較的少なく家庭内で生の鶏肉を取り扱う際の, 調理器具や, 手指を介する他の食品の汚染が最も重要な危険因子であり, 調理者に対する衛生教育と鶏肉の細菌汚染防止対策についての研究を進める事が, 最も重要と思われた.
著者
吉田 晃
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.384-387, 2017-08-20 (Released:2018-02-01)
参考文献数
5

ラヴォワジエの研究の出発点は1772年のリンと硫黄の燃焼実験であり,その際の質量変化に着目したことであった。2年後には,プリーストリから示唆された酸素気体を対象として定量実験を繰り返し,この酸素が質量変化をもたらす原因であることを突き止め,フロギストンではなく酸素と結びついていた熱素(カロリック)の遊離が燃焼の際の熱をもたらすことを明らかにした。
著者
吉田 晃浩 関谷 正徳 内藤 通孝
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.305-310, 2014-05-25 (Released:2014-07-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen,CEA)は各種悪性腫瘍の診断および治療後の経過観察において重要な指標であり,臨床において測定される最も一般的且つ,汎用されている腫瘍マーカーである.今回我々は,乳癌の術後経過観察で腫瘍の再発が認められないにも関わらず,血清CEA値が夏季において一過性に5~10 ng/ml以上の高値を示した症例を経験し,その原因について検討を行った.その結果,血清CEA値と週間平均気温,ALT,赤血球数,ヘマトクリット値との間に有意な負相関が認められた.また,週間平均気温が25℃を超えて急激に変化した場合においても,同様に血清CEA値が増加傾向を示すことが明らかとなった.以上より,血清CEA値が夏季,一過性に高値を示した原因として,気温上昇に伴う週間平均気温の上昇が,肝臓等の臓器機能に影響するとともに,CEAの産生・分泌,およびその後の代謝に影響を及ぼした可能性が示唆された.
著者
吉田晃敏
雑誌
新医療
巻号頁・発行日
vol.24, pp.60-62, 1997
被引用文献数
1
著者
吉田 晃章 Esparza Rodrigo Retiz Mario Rodriguez Francisco
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中米と南米の文明間の交流について研究するにあたり、まず両文明に共通する文化要素として、紀元前300年から後600年に現れる特殊な形状の墓に関する調査をメキシコ西部地域で実施した。研究の結果、ブーツ型の墓の一部が遺構と関連していることに注目し、同地域で埋葬文化の伝統が地域間交流により、時代を追って西部地域から少なくとも東へ拡大することを確認し、拡大プロセスのモデル化に成功した。また、メキシコ西部ロス・アルトス地方の考古調査のパイオニアとしてロス・アガベス遺跡を発掘し、同地域で先例のない大型祭壇とピラミッドを発見した。調査資料は、地域間の交流が文明形成と発展の主な要因の一つであることを示している。
著者
花田 一臣 石子 智士 守屋 潔 木ノ内 玲子 三上 大季 山口 亨 吉田 晃敏
出版者
日本遠隔医療学会
雑誌
日本遠隔医療学会雑誌 (ISSN:1880800X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.145-148, 2014-10

テレビ会議システム遠隔診察とWebシステムを用いた相談の両方が可能な10施設と旭川医大間の遠隔支援167件から眼科緊急要請を抽出、疾患、支援方法、内容、治療を集計し支援状況と傾向を検討した。緊急要請は37例(22%)、疾患は、角結膜18例、網膜8例、緑内障7例、白内障4例だった。支援方法はテレビ会議システム遠隔診察25例、Webシステム相談12例であった。支援内容は、テレビ会議システム遠隔診察では、診療助言7例、手術手技指導4例、出張医派遣決定5例、紹介・転院指示9例で、Webシステム相談では、診療助言6例、出張医派遣決定1例、紹介・転院指示5例であった。治療は、現地外来加療10例、現地入院加療13例、転院外来加療2例、転院入院加療12例で、37例中23例(62%)で在地のまま診療が完結した。遠隔医療システムを眼科緊急支援に用いることで治療までの時間短縮と疾患に応じた専門医療の提供ができた
著者
中田 武志 楊 菲 吉田 晃人 立間 徹 玉田 薫
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.727-732, 2011-11-10 (Released:2011-11-15)
参考文献数
12

Remote photocatalytic reaction of a Pt-modified TiO2 thin film was investigated by using Ag nanosheet as a marker. The Ag nanosheet is a two-dimensional crystalline film composed of myristate-capped silver nanoparticles (d = 5 nm), which has a strong localized plasmon absorption band at λmax = 470 nm. The Ag nanosheet on a 50 nm gold film was set on a measurement cell at 10 μm distance from the Pt-modified TiO2 film. Then the refractive index change of Ag nanosheet was real-time monitored by a surface plasmon resonance (SPR) technique under UV light irradiation (wavelength: 365 nm) from the back side of the TiO2 film. The plasmon resonance angle shifted to lower angle in consequence of the degradation of Ag nanosheet due to the remote photocatalytic reaction. We found the reaction was continued even after stopping UV irradiation, i.e., a chain reaction in Ag nanosheet was suggested. The chain reaction was influenced by N2 gas purge as well as the ligand exchange of myristate capping molecules to alkyl thiolate.
著者
村松 治 五十嵐 羊羽 花田 一臣 吉田 晃敏
出版者
メディカル葵出版
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.1229-1232, 2004-09-30
被引用文献数
2

雑誌掲載版角膜移植術を行い6ヵ月以上経過した97例108眼について検討した.全層角膜移植術は99眼に行い,内訳は角膜白斑45眼,水疱性角膜症29眼,角膜潰瘍9眼,円錐角膜5眼,ヘルペス後実質混濁4眼,外傷5眼,その他2眼であった.表層角膜移植術は6眼に行い,角膜輪部デルモイド4眼,周辺部角膜潰瘍2眼であった.深部表層角膜移植術は角膜脂肪変性3眼に行った.全層角膜移植術の透明治癒率は全体で85%,視力改善は69%で認められた.表層角膜移植術,深部表層角膜移植術では全例に透明治癒が得られ,視力改善は深部表層角膜移植術の全例で得られたが,表層角膜移植術例はいずれも不変であった.術後合併症は全層角膜移植術の20眼に認め,うち拒絶反応が11%を占めた
著者
横山 玲子 松本 亮三 吉田 晃章
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本調査研究は、カンペチェ州南部地域を中心に、古代マヤ文明の発展と衰退のメカニズムを、文明と環境の相互作用から考察するための最初の調査である。古典期マヤ社会は、優越センターが複数の従属センターを支配する統合形態をもつとされるが、調査遺跡として特定したラモナル遺跡周辺の遺跡分布調査からは、古典期終末期に優越センターの支配とは異なった独立した諸集団の活動があったことが予見された。その要因として、当該地域の自然環境と、当時起こったと思われる気候変動(大干ばつ)が考えられるため、今後、さらなる調査を実施する必要がある。
著者
三上 大季 林 弘樹 守屋 潔 山上 浩志 吉田 晃敏
雑誌
日本遠隔医療学会雑誌 (ISSN:1880800X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.273-274, 2008-10
被引用文献数
1

著者版遠隔医療における通信インフラとして、低コストであるインターネットが多く利用されている。インターネットは公衆網であるため、通信内容の暗号化と共にサービスシステムへの不正なアクセスを防ぐための利用者認証が必須となる。最も一般的な利用者認証方式はID/パスワードによる認証であるが、認証情報の漏洩による第三者の「なりすまし」が行われる危険性が高い。そこで本研究では、インターネットを基盤とした遠隔医療システムにおいて、本人が所有する携帯電話を利用者認証手続きに利用することで安全性を高め、且つ利用者認証と連動して通信端末間に安全なVPN通信路を動的に確立できる通信インフラシステムを開発した。医療従事者に本システムを体験してもらいアンケート評価を行ったところ、92%の評価者が本システムの有効性を認めた。