著者
岩本 晃明 柳瀬 敏彦 高 栄哲 堀江 均 馬場 克幸 並木 幹夫 名和田 新
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.751-760, 2004-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
28
被引用文献数
22 24

(目的) 日本人成人男子の血清総テストステロン (総T) および遊離テストステロン (遊離T) の基準値を設定すること.(対象と方法) 健常に日常生活を営んでいる年齢20歳から77歳の男性1,143例を対象とした. 採血時間は総Tおよび遊離T共に日内リズムを認めたことから高値で比較的安定に推移する午前中に実施し, 分離した血清検体は測定まで-20℃保存した.(結果) 総Tの基準値は加齢の影響が小さかったことから全データを一括して2.01~7.50ng/mL (平均±2SD) と設定した. 一方遊離Tは加齢の影響を強く認めたことから10歳毎の年齢階層別に群別して, その基準値 (平均値±2SD) を求めた. 20歳代は85~27.9pg/mL, 30歳代は7.6~23.1pg/mL, 40歳代は7.7~21.6pg/mL, 50歳代は6.9~18.4pg/mL, 60歳代は54~16.7pg/mL, 70歳代は4.5~13.8pg/mLと設定した.(結論) 日本人成人男子の総Tおよび遊離Tの基準値を設定した. また, 遊離Tについては, 基準値とは別に20~39歳の若年成人平均 (YAM: Young Adult Mean) 値を求め, このYAM値の80% (124pg/mL) および70%値 (10.9pg/mL) を, 男性ホルモン補充療法の参考適用値として提示した.

2 0 0 0 OA 2.成人多毛症

著者
名和田 新
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.501-505, 1992-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

多毛症(hirsutism)はアンドロゲン〔DHEA-(S), androstenedione, testosterone〕の過剰又は末梢でのアンドロゲン感受性の増大により,女性が男性性毛を生じる事を言い,その背景には重篤な疾患を含め,多くの疾患が存在する事が明らかにされつつある.その病因を解明し診断法を確立する事は,その治療法の選択の上からも極めて重要である.各種ステロイドホルモンのRIAの確立に伴う成人多毛症の病因,診断治療の最近の進歩について概説する.
著者
鐘ケ江 光 Igor Massahiro de SOUZA SUGUIURA 佐々木 恭子 大塚 美加 濱野 剛久 田代 連太郎 Mario Augusto ONO 和田 新平 Eiko NAKAGAWA ITANO Md. Amzad HOSSAIN 佐野 文子 植田 啓一
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.107-114, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Paracoccidioides cetiiを原因菌とするクジラ型パラコクシジオイデス症 (英名:paracoccidioidomycosis ceti) は,小型鯨類を宿主とし,皮膚の慢性肉芽腫性病巣を特徴とする人獣共通真菌症である。今回,臨床症状を示すものの従来法では確定診断に至らなかったバンドウイルカ(Tursiops truncatus) とオキゴンドウ (Pseudorca crassidens) の皮膚病変生検組織由来DNAより,原因菌の特異的遺伝子であるgp43をPCRとLAMPの組み合わせにより検出し,確定診断を得た。なお,オキゴンドウ症例は世界初の確定診断例である。
著者
中島 直樹 杉村 隆史 小野 恭裕 江崎 泰斗 柳瀬 敏彦 梅田 文夫 名和田 新 本村 正治
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.521-529, 1997-08-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

副腎アンドロゲンは抗糖尿病作用を有すとされるが, その詳細な機序は明らかでない. 今回, 非インスリン療法中の成人男性糖尿病患者59名および非糖尿病者32名の計91名について早朝空腹時に血中dehydroepiandrosterone (以下DHEA), DHEA-sulfate (DHEA-S), testosterone, estradiol, cortisol, 空腹時血糖, HbA1c, IRIを測定した. 全対象において, 血中DHEA-S濃度はHbA1c (p<0.05) や空腹時血糖値 (p<0.05) と有意の負相関を示した. 比較的高IRI血症群 (IRI10μU/ml以上群, n=25) では, 正IRI血症群 (n=66) に比して血中DHEA濃度が有意に低下していた (1.91±1.32ng/ml vs. 2.42±1.12ng/ml, p <0.01).糖尿病群から抽出した28名で6カ月後に再検をしたところ, HbA1c値1%以上改善群 (n=6) では血中DHEA-S濃度は有意 (p<0.05) に増加した. また, 血中IRI低下群 (n=12) では血中DHEA濃度が有意に (p<0.05) 増加した. 以上, 成人男性においては, 糖尿病コントロール状態と血中DHEA-S濃度が関連し, 一方血中IRI値と血中DHEA濃度が関連することが示唆された. これらの関連は経時的観察においても認められた.
著者
和田 新平 ウィーラクン ソンポ 倉田 修 畑井 喜司雄 松崎 章平 柳澤 牧央 内田 詮三 大城 真理子
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.39-43, 2008-03
被引用文献数
1

2004年に沖縄美ら海水族館で飼育中の希少魚種であるリュウキュウアユ(Plecoglossus altivelis ryukyuensis)に死亡するものが認められた。病魚は回転しながら遊泳,あるいは力なく遊泳し,体表に微細な出血点が散在していた。病魚の肝臓には様々な大きさの白色結節が認められ,数尾の魚では腎臓の顕著な腫大も観察された。最も顕著な病理組織学的所見は,体腎,脾臓,肝臓,心臓,鰓および脳膜にみられた肉芽腫性病変であった。これら肉芽腫性病変はマクロファージ様細胞が敷石状に配列する構造を呈していた。肉芽腫内には抗酸性を示す長桿菌が多数観察され,病魚から分離された菌株はMycobacterium marinumと同定された。
著者
皆川 智子 植田 啓一 佐野 文子 上迫 春香 岩永 海空也 小峰 壮史 和田 新平
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.45-50, 2018
被引用文献数
4

<p> 水族館飼育下のカマイルカの体表にクジラ型パラコクシジオイデス症を疑う多発性の肉芽腫性結節患部を観察した。生検を実施して各種検査を行ったところ,渡銀染色下にて多極性出芽を示した球形の酵母様細胞を認めた以外は何らかの感染症を示唆する所見は得られなかったが,抗真菌剤を用いた治療により患部が緩解しているため,本症例の病態に何らかの真菌が関与している可能性が考えられた。</p>
著者
和田 新平 倉田 修 畠山 仁 山下 亜純 高木 修作 西澤 豊彦 横山 博
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.7-15, 2014-03

2008年に南西海域で養殖されていたカンパチ稚魚に,死亡を伴う疾病が発生した。病魚は左右非対称な腹部膨大と鰓の褪色を呈し,頭腎,体腎,脾臓は腫大して褪色していた。既知の主要な病原体の検出を目的とした微生物学的および分子生物学的検査の結果はすべて陰性であった。病理組織学的に,本疾病は増殖性間質性腎炎および脾炎を特徴とし,増生している単核性細胞の細胞質内に微小な類円形構造が認められた。病魚の腎臓を用いた人為感染試験で病徴が再現されたことから,本疾病は何らかの感染症であり,感染因子として微小な類円形構造が最も疑わしいと考えられ,これらは未報告の真核性微生物であることが強く示唆された。
著者
福嶋 真理恵 古藤 和浩 遠城寺 宗近 中牟田 誠 名和田 新 相島 慎一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.42-47, 2005 (Released:2005-03-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1

症例は45歳,男性.平成10年より慢性硬膜血腫術後のてんかん発作にて,近医経過観察中,高アンモニア血症を指摘され,平成13年5月当科に紹介入院.HCV-RNA陽性だが肝予備能低下なく,門脈大循環へのシャントなく,アミノ酸分析正常であった.薬剤の関与としてバルプロ酸ナトリウムが考えられ,減量中止したところアンモニア値は改善した.基礎病変として肝疾患を持つ症例においても,常に薬剤による高アンモニア血症に考慮して診療にあたるべきと考えられた.
著者
尾形 悦郎 柳澤 純 市川 智彦 名和田 新 首藤 紘一 梅園 和彦 加藤 茂明 大薗 恵一
出版者
(財)癌研究会
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

ホルモン療法における作用機序及び耐性化の機序につき検討し、以下の結果を得た。1.ステロイド・ホルモンによる遺伝子抑制の機序をVDとPTHrP遺伝子とを例に検討し、PTHrP遺伝子上の責任promoter構造を決定。ついでそこにVDRとKu抗原が結合すること、Ku抗原によるVDRのリン酸化が抑制の作用機序である可能性を示した(尾形)。2.オーファン・レセプターとしてTixを新たに単離・同定した。Tixが神経芽細胞腫や結腸癌に発現すること、これの過剰発現が細胞増殖を強く誘導することを示した(梅園)。3.RAR・RXRに比較的特異的に結合・作用する薬物を合成し、それによりRAR・RXRの機能の解析を行った(首藤)。4.白血病細胞のグルココルチコイド抵抗性との関係で、PPARγの発現が極めて高いこと,増加が認められるGRβは核内で機能することを観察した(名和田)。5.ホルモン療法抵抗性前立腺癌の14%にAR遺伝子codon877の点突然変異を見出しこの変異を持つ癌細胞がアンチアンドロゲンによっても増殖刺激を受けることを示した(市川)。6.ビタミンD作用に拮抗する新規化合物(TEI9647)について検討し、これがVDRと結合し、そのco-activatorとの作用を阻害する可能性を示した(大薗)。7.乳癌患者に化療を施した場合のestrogenレベルの動態を明らかにした(堀越)。8.核受容体をめぐるステロイド・ホルモンと成長因子・サイトカインとの間のクロス・トークの例としてERがMAP-kinaseによりリン酸化され、AF1の転写活性が高まることを示し、このためのco-activatorの候補として68KD蛋白を見出した。また、TGFβの作用に関与するSmad蛋白がVDRと相互作用し、VDRの転写活性を増強することを見出した(柳澤)。

1 0 0 0 OA 1.先端巨大症

著者
生山 祥一郎 名和田 新
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2058-2063, 1994-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

先端巨大症は成長ホルモン(GH)の過剰分泌が骨端線閉鎖後に生じた場合に起こる病態で,ほとんどの場合下垂体のGH産生腺腫が原因である. GHおよびソマトメジンCの分泌増加に基づく骨・軟骨・軟部組織の肥大により特異な症候を呈し,血管障害や悪性腫瘍の合併が予後を左右する.診断はGHの過剰分泌と腫瘍の局在を証明することである.経蝶形骨洞手術による腺腫摘出が治療の第一選択であるが,薬物療法や放射線療法を行うこともある.
著者
明石 哲郎 河辺 顕 坂本 竜一 宜保 淳也 井上 直子 小島 瑞穂 久野 晃聖 有田 好之 伊藤 鉄英 名和田 新
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.713-718, 2003-06-05
被引用文献数
8

膵仮性嚢胞は, 急性膵炎や慢性膵炎の合併症として, しばしば経験する. しかし, 縦隔内膵仮性嚢胞はまれで, 我々の検索しえた範囲では, 本邦報告例は21例である. また, その治療は, 大多数が嚢胞摘出術や嚢胞ドレナージ術などの外科的治療を受けている. 今回, 我々は抗酵素療法に抵抗性を示す縦隔内膵仮性嚢胞合併膵炎に対しソマトスタチン誘導体投与が奏効し, 保存的に嚢胞の消失を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.