著者
白藤 徳夫 和田 洋藏 西垣 友和 八谷 光介 竹野 功璽
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.203-209, 2008-06-20 (Released:2012-09-10)
参考文献数
24

外海域でのイワガキ養殖を可能とする「鋼製魚礁を用いた浮体式養殖法」を考案し,その有効性を実証するため,2003年 2 月に鋼製魚礁を府下沿岸の水深約10 m の外海域に設置し,長期養殖試験を実施した。養殖されたイワガキは,養殖 3 年後(生後満 4 年)には,平均殻高(±SD)が103.1±16.3 mm となり,約 6 割の個体が200 g 以上の出荷サイズに成長した。浮体式養殖法では,養殖施設全体が海面下 4 m 以深にあり,波浪の影響を受けにくいため,試験期間中に台風や冬季の波浪によって施設が破損することはなかった。また,付着生物の着生量が少なく,それらの除去作業は不要であった。さらに,養殖施設には20種の魚類の蝟集が観察され,魚礁としての機能も確認された。これらの結果より,浮体式養殖法の有効性が実証された。
著者
上林 孝豊 柳原 一広 宮原 亮 板東 徹 長谷川 誠紀 乾 健二 和田 洋巳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.566-569, 2003-07-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
2

目的・対象: 当院で手術を施行し, 病理組織学的に肺カルチノイドと診断された20症例 (定型15例, 非定型5例) の臨床的検討を行った.結果: 定型, 非定型の5年生存率は, それぞれ86.6%, 60%であった.定型の1期症例は術式に関わらず全例, 無再発で生存中である.非定型は全例, 葉切除および肺門縦隔リンパ節郭清が行われていた.1期3症例は, いずれも無再発で生存中であるが, T2N2のIIIA期症例, T4NOのIIIB期症例は, 集学的治療にも関わらずそれぞれ術後10ヵ月後, 61ヵ月後に遠隔転移にて癌死した.定型では観察期間1~250ヵ月間 (平均観察期間72.8ヵ月) において, 5年生存率は86.6%であった.非定型では観察期間10~251ヵ月間 (平均観察期間121, 4ヵ月) において5年生存率は60%であった.まとめ: T2の定型カルチノイドに対する縮小手術の可能が示唆された.またIII期以上の非定型カルチノイドに対しては有効な集学的治療の確立が望まれる.
著者
清水 信義 寺本 滋 人見 滋樹 伊藤 元彦 和田 洋巳 渡辺 洋宇 岩 喬 山田 哲司 山本 恵一 龍村 俊樹 山口 敏之 岡田 慶夫 森 渥視 加藤 弘文 安田 雄司 三上 理一郎 成田 亘啓 堅田 均 鴻池 義純 福岡 和也 草川 實 並河 尚二 木村 誠 井上 権治 門田 康正 露口 勝 宇山 正 木村 秀 香川 輝正 斉藤 幸人 武内 敦郎 森本 英夫 垣内 成泰 横山 和敏 副島 林造 矢木 晋 西本 幸男 山木戸 道郎 上綱 昭光 長谷川 健司 山田 公彌 岡本 好史 中山 健吾 山内 正信 佐々木 哲也 毛利 平 江里 健輔 宮本 正樹 森田 耕一郎 平山 雄 中川 準平 吉松 博 村上 勝 永田 真人 溝口 義人 大田 満夫 原 信之 掛川 暉夫 枝国 信三 足達 明 富田 正雄 綾部 公懿 川原 克信 西 満正 島津 久明 三谷 惟章 馬場 国昭 岡田 浪速 内藤 泰顯 櫻井 武雄 岡田 一男 西村 治 前部屋 進自 前田 昌純 南城 悟
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1011-1019, 1991-12-20
被引用文献数
1

西日本地区30施設の共同研究により,肺癌の治癒切除例に対する補助化学療法の有用性を検討した.このtrialが終了した後5年の観察期間が経過したのでその成績を報告する.対象は絶対的治癒切除,相対的治癒切除となった肺腺癌であり,A群はMMC(20+10mg)+tegafur600mg1年間経口投与,B群はMMC(20+10mg)+UFT400-600mg1年間経口投与とした.1982年11月から1985年11月までにA群113例,B群111例の計224例が集積された.不適格例が43例であり,A群88例,B群93例を解析対象とした.背景因子には差は認めなかった.成績は5年生存率および5年健存率で検討した.両群の全症例の5年生存率はA群64.3%,B群55.6%で有意差は認めず,健存率でも差はなかった.後層別解析で,N2症例において5年生存率および5年健存率とも,B群が良好であった(p=0.029,p=0.048).
著者
小阪 真二 片倉 浩理 金光 尚樹 水野 浩 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.44-48, 2000-01-15
被引用文献数
4 2

胸腺嚢踵の壁に胸腺腫を合併した希な症例を経験した.症例は28歳男性で, 健康診断にて胸部異常影を指摘された.胸部レントゲソ写真にて心陰影の左側に重なる腫瘤影を認め, 胸部CTにて前縦隔の嚢腫様陰影とその壁に一部充実性の腫瘤影を認めた.胸骨正中切開にて腫瘤を切除したところ多房性の胸腺嚢腫の壁に胸腺腫を合併していた.胸腺嚢腫に胸腺腫を合併した症例は本邦11例目の報告であった.前胸部の嚢腫で胸腺嚢腫が疑われる場合, 悪性腫瘍の合併, 嚢胞性胸腺腫なども考慮に入れ, 慎重に切除することが大切と考えられた.
著者
福瀬 達郎 有安 哲哉 張 謙益 室恒 太郎 水野 浩 神頭 徹 青木 稔 田村 康一 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.829-834, 1991-10-20
被引用文献数
4

当科に於ける過去17年間の肺癌総手術症例733例中, 40歳未満の若年者肺癌手術症例は24例(3.3%)であった.最年少は17歳女性で, 30歳未満は全例腺様嚢胞癌であった.性別は, 女性7例(29.2%)で肺癌手術症例全体での女性25.2%に比しやや多い.発見動機は, 検診が9例(37.5%), 有症状例が15例で, 症状の内訳は, 咳嚇が9例と最も多かった.若年者の非喫煙者の率は33.3%と総手術例の17.1%に比し有意に高かった.組織型は腺癌が10例と最も多く, 扁平上皮癌は少なかった.病期はI期11例, II期1例, lIIA期6例, IIIB期5例, IV期1例であり, 進行癌は50.0%で全体の59.6%に比しやや少なかった.手術は絶治12例, 相治6例, 相非2例, 絶非2例, 試験開胸2例であった.手術成績は, 5生率74.1%と良好で, 病期別ではI期列は5生率100%だったが, IIIA期例は5生率0%と悪かった.検診例に進行癌は比較的少なく, 予後良好であった.