著者
山口 徹
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、森鴎外による翻訳作品とその原典との比較分析を行い、次にそれが鴎外の創作作品にどのような反映が生じたかという点について検証した。これにより、近代日本とヨーロッパとの文化情報伝達の事例の中でももっとも高度な一面について明らかにすることができた。広範な領域に亘って多くの訳語を日本語に定着させた鴎外の文業は、近代社会の形成をソフト面から支援した点でも重要であり、その意義を幅広く問う必要がある。本研究の成果は、近代日本の形成期における国際文化情報の伝播と影響についての実態解明に繋がるものである。
著者
葭葉 清香 代田 達夫 山口 徹太郎 新 真紀子 栗原 祐史 槇 宏太郎 新谷 悟
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-7, 2013-04-15 (Released:2013-05-13)
参考文献数
27

In this study, we evaluated the usefulness of bioabsorbable poly-L-lactide (PLLA) mini-plates for bone fixation after Le Fort I osteotomy and bilateral sagittal split osteotomy (SSRO). The subjects were 19 patients, who received two-jaw surgery using titanium and PLLA mini-plates. Lateral cephalograms were taken before surgery (T1), immediately after surgery (T2), and more than six months after surgery (T3). Changes in the measurement points were statistically analyzed. There was no statistical difference in the postoperative skeletal difference between the two groups. The post-operative stability of PLLA mini-plates is comparable to that of titanium mini-plates. PLLA mini-plates are considered to be clinically useful.
著者
松本 大成 志田 純一 上ノ町 重和 濱田 貴広 山口 徹 弓削 英彦 有薗 剛
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.577-580, 2008-09-25 (Released:2008-11-20)
参考文献数
6

症例は70歳男性.草取りをした後に右前腕の疼痛が出現したため,クリニックを受診し,筋肉痛の診断でステロイドの局注を受けた.翌日,疼痛の増悪と前腕の腫脹を来たし,近医へ入院となった.抗生剤投与するも,腫脹は上腕まで広がり,Vitalの悪化と意識レベルの低下をきたしたため,受傷後2日目に当院紹介,救急搬送された.入院時,既に意識レベルの低下を認め,右前腕から上腕まで著明な腫脹と暗赤色調の紫斑と水泡形成を認めた.単純レントゲン,CTにて皮下から筋層内まで及ぶガス像を認め,ガス壊疽の診断にて緊急手術(上腕及び前腕切開排膿,デブリードマン)を施行した.培養にてKlebsiella pneumoniaeを認めた.全身管理の甲斐なく術翌朝永眠された.非クロストリジウム性ガス壊疽の死亡率は25.1% と生命予後不良の疾患である.いかに早期診断,早期治療,迅速な救命処置が必要か考えさせられる症例であった.
著者
⼭⼝ 徹 眞⽥ 昭平 隅本 倫徳 堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O8, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

薬剤の安定性試験に際し、分解反応に対する理論的な予測データを得られれば有⽤である。本研究では、アスピリンの加⽔分解反応に対し理論的解析と⾃由エネルギーを⽤いた反応速度論シミュレーションを⾏った。B3LYP/6-311+G(d,p)//B3LYP/6-31G(d)レベルの反応解析の結果、アスピリンは⽔2 分⼦によるプロトン移動を介してΔG‡=27.2 kcal/mol で分解されると計算された。これを⽤いた反応速度論シミュレーションの結果、温度37℃、湿度42%条件下での6 ヶ⽉⽬の分解率の実測値0.083%に対し、計算値0.091%と⾮常に良い⼀致を得た。また、湿度30〜100%での広い範囲のシミュレーションを実施し、温度60℃、湿度30%条件下でも実測値と⾮常に良い⼀致を得た。
著者
杤山 修 高須 亜紀 池田 孝夫 木村 英雄 佐藤 正知 長崎 晋也 中山 真一 新堀 雄一 古屋 廣高 三頭 聰明 山口 徹治
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.3-19, 1998-09-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
44
被引用文献数
3 5

放射性廃棄物の地層処分の安全性評価において,現在用いられている核種移行モデルは主として,固体物質による遅延効果を収着分配係数 Kd を用いて評価している. しかしながら,収着はその機構が未だ十分解明されていない現象であるため,移行モデルに Kd を用いるにあたっては,いくつかの注意が必要となる. このような問題は,収着が固体と水の界面あるいはその近傍で起こる不均一系の反応であることと,核種の移行媒体である地質媒体の物理的性質や化学的性質が一様でないことに起因している. 本論文では,収着は固体と水の界面あるいはその近傍で起こる現象であるという理解のもとに,Kd を用いて記述できる収着現象の範囲について考え,さらに原位置での核種移行の評価に対する Kd による記述の妥当性と適用性について考察した.
著者
山口 徹也 南 憲一 佐藤 孝子 小野 正人 外村 喜秀 難波 功次 菊地 由実 星出 高秀 森住 俊美 小野 朗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.402-411, 2020
被引用文献数
1

<p>近年,高精細な8K映像の提供や様々な没入型スクリーンの活用など,映像サービスの臨場感向上に向けた取り組みが拡大している.一方,スポーツや音楽ライブ等のエンタテイメントイベントを,実際に会場に行けなかったユーザのために,遠隔地に中継してより多くの人の観戦,観劇を可能とするライブビューイングのニーズも高まっている.本論文では,臨場感の高いライブビューイングサービスを実現するために,リアルタイムで複数の4K映像を水平垂直方向に結合し,単一カメラで撮影可能な解像度を大きく上回る高精細で広視野角なサラウンド映像を生成する技術と,生成したサラウンド映像および他の映像や音声を,遠隔会場に同期伝送する技術について提案する.合わせて,提案方式に基づき実現したシステムの内容と評価結果について報告する.</p>
著者
山口 徹 竹井 仁 安彦 鉄平
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.191-198, 2012-03-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
16

本研究では健常成人男性10名を対象に,超音波診断装置を用いて,座位における骨盤肢位の違いや股関節屈曲運動の有無による大腰筋の形態変化を検討した。骨盤前傾位・中間位・後傾位において,超音波診断装置を用いた大腰筋の測定では各腰椎部における検者内信頼性はほぼ良好であり,骨盤肢位の違いによる測定の信頼性が示された。骨盤前傾位・中間位・後傾位と各肢位から股関節屈曲運動を行う計6肢位において,大腰筋の筋厚の測定を行い,検討した。全腰椎において,大腰筋は骨盤前傾位及び前傾位から股関節屈曲運動時が骨盤中間位・後傾位に比べ有意に厚くなり,骨盤中間位・後傾位から股関節屈曲運動時が骨盤後傾位に比べ有意に厚くなった。これは大腰筋が骨盤肢位や股関節屈曲運動によって筋形態の変化が生じることを示した。この結果を踏まえ,臨床における様々な活動時の大腰筋の筋形態を超音波診断装置を用いて定量的に解析できる可能性が示唆された。
著者
山口 徹也 森川 雄貴 盛岡 通 尾崎 平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_229-II_236, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
12

本研究では,電力負荷平準化による需要家の経済的便益という側面に着目して,電力負荷とPV出力の2つの変動を表すモデルを適用し,PV・BTシステムを設置・稼働した場合の費用効果を算定するモデルを構築した.産業工場の屋根にPVを設置し,BTからの放電をピークカットに用いた場合のパフォーマンスを表すモデルを用い,確率分布を推計し,分析評価を行った.現在のPV,BT価格を前提とした費用効果算定では,総支払額の削減には程遠いという結果となった.PVは現在価格の0.50倍になってもそれを導入することの費用効果がプラスに転じることはないが,BTの現在価格の0.8倍より下がると費用効果がプラスに転じる点が初めて現れた.PVとBTを組み合わせて導入する場合,価格低下が進むにつれて,需要家に費用効果がマイナスになることなく導入できるPVの容量が大きくなることがわかった.また,契約電力超過確率10%程度まで許容すれば,超過による罰則金を支払い,契約電力を削減した利得を多く得られなくとも,PV・BT容量を抑えて,導入費用を低減させる方が費用効果が大きくなることがわかった.
著者
栗原 祐史 勝田 秀行 山口 徹太郎 安田 有沙 塩竃 素直 佐藤 仁 斉藤 芳郎 鴨志田 慎之助 鎌谷 宇明 代田 達夫
出版者
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.17-23, 2017-04-15 (Released:2017-05-02)
参考文献数
9

We report two cases of genioplasty performed using a navigation system. In recent years, virtual orthognathic surgeries have been performed using simulation software with data from preoperative computed tomography (CT), and the osteotomy design, direction and distance of bony segment movement have been established. Despite the accuracy of simulations using three-dimensional CT data, results obtained from simulations cannot be effectively applied to clinical practice unless comparisons can be made to actual surgery. We report our experience of performing genioplasty using simulation software with preoperative CT data, and established the osteotomy design as well as the direction and distance of bony segment movement. Simulation-guided navigation osteotomy was performed with reference to simulation results transferred to the navigation system. A reference antenna was attached to the head of the patient using a headband. Next, interfacing laser registration was performed. Osteotomy was then performed along the osteotomy line drawn on the chin bone surface using piezosurgery and a tracker, and the bone segment was mobilized by down-fracture using a bone saw. Using the image of the simulated repositioned bone segment shown on the navigation system screen, the bone segment was moved to the determined position and fixed. Our results suggest that use of a navigation system allows safer, more precise genioplasty.
著者
今井 正之 茂木 健司 三木 沙央里 山口 徹 笹岡 邦典 根岸 明秀
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.628-632, 2007-10-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
14

In the oral region, traumatic neuroma is rarely encountered in daily clinical practice. As this lesion is caused by some kinds of trauma, traumatic neuroma may develop after operations such as tooth extraction. Traumatic neuroma appears to be a tumors, however, pathologically it is not thought to be a neoplasm, but nodular hyperplasia in nerve fibers. A typical case of traumatic neuroma is presented. A 32-year-old woman with a nodule arising in the left mental foramen region was referred to us. The nodule was first noted 6 years ago and persisted without any change until treatment. Before the nodule had appeared, the patient underwent surgical removal of a mucocele from the left mental foramen at another hospital. After the operation, the same region underwent surgery twice because of recurrence. The nodule was slightly tender, covered with normal mucosa, and red-bean size at presentation. A traumatic neuroma was diagnosed clinically. The tumor was removed under local anesthesia and examined histopathologically. Numerous distinct neural bundles with densely fibrous connective tissue were observed histopathologically in the specimen. The histopathological diagnosis of traumatic neuroma was established. No signs of recurrence have occurred so far.
著者
山口 徹 棚橋 訓 吉田 俊爾 朽木 量 深山 直子 佐藤 孝雄 王 在〓 下田 健太郎 小林 竜太
出版者
慶應義塾大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

今みる景観を自然の営力と人間の営為の絡み合いの歴史的産物と位置づけ、オセアニア環礁(低い島)と八重山諸島石垣島(高い島)のホーリスティックな景観史を、ジオ考古学、形質人類学、歴史人類学、文化人類学の諸学の協働によって明らかにし、その中で人とサンゴ(礁)のかかわり合いを遠い過去から現在まで見とおした。立場や系譜が必ずしも同じではない人々のあいだに、サンゴ(礁)とのこれからの「共存」のあり方への共通関心を喚起する目的で、研究成果を活用したアウトリーチに積極的に取り組んだ。
著者
茅根 創 山野 博哉 酒井 一彦 山口 徹 日高 道雄 鈴木 款 灘岡 和夫 西平 守孝 小池 勲夫
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008-11-13

サンゴ礁学の目的は,生物,化学,地学,工学,人文の諸分野を,複合ストレスに対するサンゴ礁の応答という問題設定のもとに融合し,サンゴ礁と人との新たな共存・共生を構築するための科学的基礎を築くことである.本領域では,ストレス要因の時空変化を評価して,遺伝子スケールから生態系スケールまで整合的なストレス応答モデルを構築し,サンゴ礁と共生する地域のあり方を提案した.本課題は,こうして産まれた新しい学問領域を確立し,他分野へ展開するとともに,地域社会への適用と人材育成を継続的に行うために,以下の活動を行った.新しい学問領域の確立:平成25年9月29日―10月2日に,海外から研究者を招へいして,「サンゴ礁と酸性化」に関する国際ワークショップ(東京大学伊藤国際学術センター)を開催し,今後の展開について議論した.12月14日日本サンゴ礁学会第16回大会(沖縄科学技術大学院大学)では,「サンゴ礁学の成果と展望」というタイトルで,総括と次のフェイズへ向けての戦略を示した.また,”Coral Reef Science” の原稿を,各班ごとに作成して,現在編集作業を進めている.他分野への展開:12月15日,日本サンゴ礁学会第16回大会において,公開シンポジウム「熱帯・亜熱帯沿岸域生物の多様性へのアプローチと課題」を,日本サンゴ礁学会主催,日本ベントス学会,日本熱帯生態学会共催によって開催して,サンゴ礁学の成果を,関係する生態系へ展開する道を議論した.地域社会への適用:これまでに19回石垣市で開催した地元説明会・成果報告会のまとめの会を,2013年8月に実施して,プロジェクト終了後の地元と研究者の連携のあり方,研究成果の還元の継続を話し合った.人材育成:サンゴ礁学の取り組みのひとつとして,これまで4回実施したサンゴ礁学サマースクールを,東京大学と琉球大学共同の,正規の実習科目として定着させることに成功した.
著者
松尾 光一 山口 徹 高田 康成 戸山 芳昭
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、発生過程と骨折治癒過程における内軟骨性骨化の起動メカニズムを解明した。発生過程の軟骨形成は正常で、骨折時の炎症性メディエーターの産生が低下しているトランスジェニックマウスを解析したところ、骨折線の融合不全を起こしていた。徐放性のPGE2ペレットを骨折線近傍に投与したところ、軟骨形成が回復し、骨折融合が促進された。すなわち、骨形成プログラムの起動メカニズムが発生過程と修復過程とで異なることが明らかになった。