- 著者
-
大平 高正
池内 秀隆
伊藤 恵
木藤 伸宏
- 出版者
- 一般社団法人日本理学療法学会連合
- 雑誌
- 理学療法学 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.7, pp.420-425, 2004-12-20 (Released:2018-09-25)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
-
2
本研究の目的は,高齢者を対象に歩行開始時の足圧中心点(以下,COP)の後方移動(以下,逆応答現象)を調べ,1)足指筋力,足関節背屈筋力,歩行開始前後の静的バランス能力との関連性を調べること,2)各パラメータの若年者との相違を調べ,高齢者における逆応答現象の移動距離が減少する要因を調べることである。中枢神経疾患の既往の無い,在宅生活を送っている自立歩行可能な高齢者15名を対象とした。計測パラメータは,①逆応答現象の前後方向最大距離 : As,②逆応答現象の左右方向最大距離 : Al,③歩行前静止立位バランス : Bd,④歩行後静止立位バランス : Ad,⑤逆応答出現までの潜時 : Cd,⑥足指最大圧縮力体重比 : Fg,⑦足指圧縮力の増加の傾き : Gs,⑧足指圧縮力発生までの潜時 : Gd,⑨足指圧縮力発生から最大圧縮力までの時間 : Tp,⑩足関節背屈トルク体重比 : Dtとした。AsとAlに強い正の相関が認められた。AlとBdに負の相関が認められた。CdとGdに正の相関が認められた。若年者群との比較では,高齢者群はGsが有意に低かった。転倒群に対し運動療法を施行するとAl,Gsの増大,Bd,Gdの短縮が認められた。今回の調査では,高齢者の逆応答現象に関与する因子の明確化には至らなかった。