著者
池田 啓 江口 和洋 小野 勇一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-48, 1979-03-30
被引用文献数
10

Pattern of habitat utilization, home range and food habits of a raccoon dog are studied in a small islet, Takashima, western Kyushu. The home range and the number of individuals in the area are established by means of a bait-marking method which is a new technique developed in this study taking notice of the peculiar behaviour or the raccoon dog to defecate its feces daily on a definite fecal pile site. The size of home range estimated by the method ranged from 1.1 to 4.3 ha (2.8 ha av.) and the total number of individuals in this islet was 8.6-16.1,0.46-0.86 per ha in density. The individual home ranges overlapped closely to each in four seasons. The small population size and high population density in this islet are explained by the confined circumstances of habitat in the one hand and by the specific modes of life of the raccoon dog, that they can live together in a small area with cooperative utilization of the habitat on the other.
著者
小野 勇
出版者
江戸川短期大学
雑誌
江戸川女子短期大学紀要 (ISSN:09125310)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.103-113, 1996-03-31
著者
井上 哲生 内田 正興 松浦 鎮 佐竹 文介 西尾 正道 富樫 孝一 夜久 有滋 竹生田 勝次 小野 勇 海老原 敏 谷川 譲 武宮 三三 佃 守 河辺 義孝 松浦 秀博 佐藤 武男 吉野 邦俊 溝尻 源太郎 中田 将風 小池 聰之 中島 格 仁井谷 久暢
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1026-1033, 1993-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

全国のがん専門施設16施設の共同研究として頭頸部癌98例に対しCDDP+PEP+ MTX (PPM法), CDDP+PEP+5FU (PPF法) の無作為比較試験を行い以下の結果を得た.1. PPM法は44例中, CR3例, PR18例で奏効率48%, PPF法は54例中, CR2 例, PR25例で, 奏効率は50%であつた.2. 病期別治療効果では, III期においてPPM法で90%, PPF法で63%の奏効率が得られPPM法で高い効果が認められた.3. 初回再発別治療効果は, 初回治療例でPPM法54%, PPF法56%と高い奏効率を示したが, 再発治療例においては, それぞれ40%, 33%と低下した.4. 副作用は, PPM法で白血球数が2000未満となつた症例が30%に認められたが, その他, 重篤な副作用は認められなかつた.
著者
佐藤 眞一 倉本 満 小野 勇一
出版者
The Herpetological Society of Japan
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.119-125, 1994

九州の21地点から採集したブチサンショウウオ108個体の斑紋と体の大きさを比較した結果,地理的に隔てられた3型が区別された.九州北部に分布する北九州型は頭胴の背面に白斑をもたない.大分の中九州型と祖母山地以南の南九州型では白斑がよく発達しているが,前者は大形,後者は小形である.北九州型は中九州型に比して相対的に四肢が短く頭幅は大きい.これらの3タイプは系統的に異なり,九州の地史と関連して分化したものと考えられる.
著者
杉山 幸丸 岩本 俊孝 小野 勇一
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 = Primate research (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.197-207, 1995-12-01
被引用文献数
1 7

The number of Japanese macaques (<i>Macaca fuscata</i>) has rapidly increased under artificially provisioned conditions. At Takasakiyama it increased by 6.9 times during 22 years from 1953 to 1975 when food was given at 618kcal/day/head on average. To control the population growth, provisioning was decreased to 334kcal/day/head from 1975, after which, it increased only by 1.2 times for 19 years until 1994. Destruction of the forest from the increased number of monkeys has continued, however, through eating fruits, shoots and young leaves of the main food trees. Yearly consumption effeciency of monkeys in the forest for 1990 was calculated as 8.7%, which is near to the African elephant. As a result, the vegetation type is changing from that of natural forest. Computer simulation revealed if the population decreases to 60% of its current size and 282kcal/day/head of artificial food is given, consumption efficiency will decrease to 5.8% and the population can be kept almost stable. Further manipulation of the monkey population is necessary at present by altering mortality, natality or both. Supply of many free-ranging monkeys to biomedical experiments should not be recommended from the stance of animal welfare and the quality of experimental animals. On the other hand, temporary birth-control of each cycling female is to be considered. The principle of population control is to keep population parameters at about the level of the natural condition.
著者
岩崎 幸司 小野 勇 海老原 敏
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.2047-2054, 1989
被引用文献数
12 8

A total of 27 cases of salivary gland adenocarcinomas were studied from clinicopathological view point. Adenocarcinomas of the salivary gland were microscopically subclassified into 3 groups according to Luna's classification : Salivary duct carcinomas histologically resembled the ductal carcinoma of the breast, displayed nuclear atypia and had poorer prognosis than the other subclasses of salivary gland adenocarcinomas. Terminal duct carcinomas lacked in nuclear atypia and displayed a variety of growth patterns, including papillary, cribriform, tubular, and solid. Some terminal duct carcinomas showed prominent mucin-production. Epithelial-myoepithelial carcinomas had clear cytoplasms and exuberant glycogen.<br>In addition to the clinicopathological study, nuclear areas of the tumor cells were measured in each of the 27 salivary gland adenocarcinomas, and mean nuclear area (MMA) and standard deviation (SD) were calculated. The group with more than 50 um2 of MNA had poorer prognosis than the group with 50 um2 or less of MNA, and the group with more than 13 um2 of SD had poorer prognosis than the group with 13 um' or less of SD.<br>Finally, immunohistochemical study was performed against various markers including keratin, epithelial membrane antigen, lactoferrin, S-100 protein, CEA, etc., using the Avidin-biotin-peroxe idase complex method. Lactoferrin was present in most of the salivary duct carcinomas, on the other hand, S-100 protein was detected in all of the five cases of the terminal duct carcinoma investigated. But immunohistochemical study is not especially useful in distinguishing subclasses of salivary gland adenocarcinomas or investigating the origin of tumor cells.
著者
塩沢 昌 田野井 慶太朗 根本 圭介 吉田 修一郎 西田 和弘 橋本 健 桜井 健太 中西 友子 二瓶 直登 小野 勇治
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.323-328, 2011-08-15
被引用文献数
10 31

福島第一原子力発電所事故で放射性物質が多量に降下してから約2か月後に,耕起されていない水田の深さ15cmまでの表土を厚さ1~5cmの6層に分割してサンプリングし,放射性セシウム(<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Cs)の鉛直濃度分布を求めた結果,放射性Csの88%が0~3cmに,96%が0~5cmに止まっていた。しかし,量的に大半は表面付近に存在するものの,15~20cmの層まで新たに降下した放射性Csの影響が及んでいた。濃度分布から求めた放射性Csの平均移動距離は約1.7cmで,70日間の雨量(148mm)から蒸発散量を引いて体積含水率で割った水分子の平均移動距離は約20cmと推定され,土壌への収着により,Csの移流速度は水の移流速度に比べて1/10であった。しかし,文献にみられる実験室で測定した収着平衡時の土壌固相と土壌水との間の分配係数から計算される移流速度よりは2~3桁大きく,現場の移動現象が収着平衡からほど遠いことを示している。一方,耕起された水田では,表層の高濃度の放射性セシウムが0~15cmの作土層内に混合されて平均値(約4000Bq/kg)となっていた。
著者
田野井 慶太朗 橋本 健 桜井 健太 二瓶 直登 小野 勇治 中西 友子
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.317-322, 2011 (Released:2011-08-29)
参考文献数
4
被引用文献数
11 14

著者らは,2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質の麦への蓄積様式について,γ線放出核種の同定及び分布について明らかにした。5月15日のコムギについて核種分析したところ,134Csと137Csが検出され,これらを足した放射性セシウム濃度は,枯葉で約284500Bq/kgと穂の約300Bq/kgと比較して約1000倍と突出して高い値であった。次に,5月26日のコムギについて,各葉位,穂及び茎に分けて同様に測定したところ,放射性セシウム濃度は,事故当時既に展開していた葉において高く,事故後展開した葉も含め,古い葉の順に高い値であり,穂が最も低い濃度であった。これら放射性物質の分布を可視化したところ,既に展開中の葉においてスポット状に強いシグナルが観察された。これらの結果から,事故時展開していた葉で高濃度に検出される放射性物質は,放射性降下物が直接付着したものが主であることが示唆された。一方で,事故時展開していなかった葉においても,古い順に放射性セシウム濃度が高かったことから,植物体内において葉へ移行した放射性セシウムは転流(再分配)されにくいことが示唆された。
著者
大島 康行 内嶋 善兵衛 吉野 正敏 浦部 達夫 小野 勇一
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1994

今年度の研究成果は以下の通りである。1.SCOPE第8期は(1)持続可能な開発(2)生物地球化学的サイクル(3)地球規模の変化と生態系(4)健康と生物毒物学の4つのクラスターの下に19プロジェクトを進めている。これにどのようにアジアおよび日本が寄与していくかを検討するため現状を精査し、協力の在り方を検討した。2.これらの現状調査と協力体制の検討結果をふまえ、アジア地域で重要と思われるプロジェクトを想定し、SCOPE本部と連絡をとりつつ協力体制を確立した。3.日本とアジア地域で特有の研究課題候補を策定した。さらにアジア諸国と密接な連絡を取りつつ、検討を重ね1995年5月末、日本で開催される第9回総会に初日はアジアSCOPE分科会を開き、第9期にアジア地域から提案する新しいプロジェクトを検討し決定することが決まった。4.1995年5月29日〜6月3日に日本で開かれる第9回総会はアジア地域では初めてである。第9期以降アジア地域が組織的にSCOPEの活動に積極的に活動し、協力していくためには環境問題への日本の取り組みの現状を加盟各国と国際学術団体に衆知して貰うことが必要と考え、SCOPE理事会との合意を得て日本の環境科学研究の現状というテーマで半日のシンポジウムを決め、具体的な内容と演者を決定した。さらにアジア地域の組織的な今後の活動を進めるため、第9期のメインシンポジウムのテーマに「アジアにおける稲作」を取りあげ、アジア各国と協議しつつ、4つのサブテーマと演者を決定した。5.以上の作業を通じ、日本のSCOPEへの国際対応とその組織化を具体的に検討した。以上の成果を得るための全体会議4回、プログラム委員会3回、事務局会議を11回開催し、合わせてSCOPE本部と月2回連絡し、研究を遂行した。
著者
小野 勇一
出版者
鳥取大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

まず,メタルプリンタを用いて作製した多数の円錐状圧痕を有するステンレス板を使用して,微小な突起を有するニッケルリン合金薄膜を作製した.すなわち,硫酸ニッケルを主体とし,リン酸とホスホン酸を添加しためっき浴を用いて,圧痕密度の異なる2種類のステンレス基板にニッケルリン合金めっきを施した.めっき終了後,最終電着面には基板の圧痕に沿ってくぼみが残るため,耐水研磨紙によりくぼみがなくなるまで研磨して,最終電着面を平滑面とした.最後にめっき部をステンレス板から剥離して,突起密度の異なる2種類のニッケルリン合金薄膜を作製した.さらに,この薄膜に400℃×1hの加熱処理を施して,析出硬化させた.上述のニッケルリン合金薄膜に材料試験機に取り付けた炭素工具鋼製の圧力負荷治具を用いて種々の静圧を負荷し,突起部の塑性変形量を光学顕微鏡にて観察した.すなわち,突起の底面積Aと突起先端部と治具との真実接触面積Arの比Ar/Aを種々の静圧について計測した.静圧の増加とともに,突起の塑性変形量Ar/Aは大きくなるが,突起密度の高い薄膜では1.5GPa程度の圧力が作用しても突起が完全に塑性変形しない(Ar/A<1)ため,1GPa以上の静圧測定が可能となることが明らかとなった.これは,従来の銅薄膜を用いた方法で測定可能な圧力の最大値(300MPa)よりも格段に高い値である.しかしながら,突起密度の増加とともに静圧の変化に対する塑性変形量Ar/Aの変化は緩慢となるので,圧力感度は低下する.そこで低圧力の測定には突起密度をなるべく小さくして薄膜の圧力感度を向上させる必要があるといえる.この観点から,静圧の測定レンジに対して適切な突起密度を予測可能な汎用性のある較正式を導いた.さらに,本手法の有効性を検証するため,円柱同士が接触する問題として自作したローラ試験機に作用する圧力を求めてみた.すなわち,ローラ間に上述の突起を有するニッケルリン合金薄膜を挿入し,突起の変形量からローラ間の接触圧力を測定した.これにより得られるローラ間に作用する全荷重は,ロードセルから得られた値とほぼ一致し,本手法の有効性が確認できた.