- 著者
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山崎 彬
山本 和弘
山田 明文
- 出版者
- 社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.5, pp.369-375, 1995-05-15 (Released:2009-05-26)
- 参考文献数
- 25
餅の劣化は製造後の熱的環境に大きく依存することが知られている.これは熱により,餅の中の水の存在状態が変化し,復元性が喪失されるものと考えられる.本研究は餅の熱による劣化度を,温度と導電率との関係により数値化しようとしたものである.製造直後の餅から60℃, 1時間の熱処理の繰り返しにより,劣化度の異なる4種類の餅のサンプルを作成し,0℃以下で凍結させながら導電率を測定した.その結果,水分が41.5-44.0%の場合,凍結により導電率の急減する温度点が離水による劣化の程度と密接に関係し,餅の劣化を示す指標となることを確認した.また,離水状態の確認のために行なったDSC, DTA,および酸に対する溶解度もこの傾向を裏付けるものであった.さらに,無添加で製造された種々の餅について食味テストで判断した結果,3回の熱履歴を受けたサンプルが品質限界と考えられ,このサンプルの導電率の急減開始温度点は,-6.0±0.5℃であった.