著者
小山田 耕二
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

平成20年度は、大規模非構造ボリュームデータ向け粒子ボリュームレンダリング技術の高度化を行った。非構造ボリュームデータとは、4面体や6面体が不規則に配置された空間で定義された数値データのことであり、有限要素法を用いた数値流体シミュレーション結果によくみられるボリュームデータである。昨年度開発した粒子ボリュームレンダリング法は,格子の視線順並べ替え処理を必要としない画期的な可視化技術として評価されている一方すべてのサブピクセル値を格納するために巨大なフレームバッファが必要とされることが問題点として指摘された。また、粒子発生においてメトロポリス法を採用したためすべての格子データをメモリにロードしておく必要があり、巨大ボリュームデータ処理時の問題として認識されていた。本年度では,これら問題点を解決するために、アンサンブル平均法の考えを取り入れたピクセル重畳法の開発を行った。本手法は本質的にサブピクセルの個数と同数の繰り返しを行うことにより生成画質の向上を図る。具体的には、フレーム更新毎に乱数のシードを変えながら粒子を生成し、その粒子を画像平面に投影し、その寄与を加算する。指定された回数だけ加算後にその加算値を加算数で除し、最終ピクセル値を得るものである。この手法では、もとの解像度のフレームバッファを準備するだけでよく、巨大フレームバッファの確保の必要性がなくなった。しかも繰り返しの途中で重畳されている画像は若干画質が荒いものであり。大規模データ可視化の場合の詳細度制御に活用することが可能である。
著者
山田 耕司 小林 正
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
豊田工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02862603)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.135-138, 2006-11-24

Architects want the free shape for their architecture from the ordinary structural design. Free shape design needs the structural design agent system for their probability of structural limit. This report deals with the both the scanning of a free shape and the creation of its structural analysis data. As results, the smooth surface needs the scanning accuracy of 1/50-length for the short span of scanning object. The complicated surface needs the scanning accuracy of 1/4-wavelength of its surface. The useful file format is 3DMF. The smooth surface decreases the total number of nodal points into 10% of original scan data, and it can be analyzed with shell elements. The complicated surface needs 3Ds olid analysis with hexahedral solid elements.
著者
小山田 耕二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.55-56, 1996-09-04

現在使われている可視化手法は,数値データが格子点で定義されていることを仮定していることが多い.一方,数値シミュレーションの中には,格子中心で数値データを計算するものがある.有限体積法では,変数は,格子の中心に定義されている.また,有限要素法では,最初に数値データが格子点で計算されるが,その微分量は,格子の中心で計算されることが多い.このような格子の中心で定義された数値データを以降,格子中心データと呼ぶことにする.格子中心点を格子点とするような格子を再構築するのは,非現実的である.特に非構造格子データの場合,もとの境界を保持するのが困難である.その代わりに,これまで,格子中心データから次のような2つの手法によって格子点データに変換されてきた.1つは,距離逆数法である.これは,まず,格子中心から格子点までの距離の逆数を重みとして,格子中心データS^<cell>を各格子点に加算していく.同時に,重みそのものも格子点毎に加算しておき,最後に,加算された重みで加算されたデータを除して,その格子点でのデータS^<point>_iとする方法である.S^<point>_i=<Σ_<C^<cell>_i S^<cell>×W^<cell>>/<Σ_<C^<cell>_i W^<cell>>,ここで, W^<cell>は,距離の逆数を,Σ_<C^<cell>_iは,i番目の格子点について総和をとることを示す.もう1つは,格子中心で評価された勾配ベクタ▽S^<cell>から格子点データを外挿する方法である.S^<point>_i=S^<cell>+(D^^→,▽S^<cell>),ここで,D^^→は,格子中心から格子点への方向を,(A^^→,B^^→)は,A^^→とB^^→の内積,そして▽Cは,スカラ関数Cの勾配を表す.格子中心から格子点データに外挿する場合,一般的に格子点を共有する格子毎に違った値が計算される.格子点毎にユニークな値が必要となる場合,これらの値は,平均化される.以上のアプローチで得られる格子点データによって張られるデータ空間は,もとの格子中心データによって張られるそれと異なると考えられる.今,紹介した手法では,この違いによる誤差についてなんら考慮がなされていない.しかしながら,我々は,この誤差の定量化を行ない,この定量化された誤差を各格子点毎に極小化するアプローチを提案する.