著者
縣 公一郎 牧原 出 出雲 明子 松田 憲忠 大山 耕輔 伊藤 正次 山谷 清志 大西 裕 稲継 裕昭 渡辺 有希乃
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の成果は、大別して2つとなる。まず、国内行政学先達10名の方々による行政学説オーラルヒストリー集成である。16年度から18年度に行ったヒヤリングの結果、10本の原稿が結稿し、特定出版社との公刊内諾を得、19年度中にその出版実現の予定である。加えて、英国特定出版社からの勧誘を受け、既にオーラルヒストリーとして結稿している韓豪独英四国に関する行政学説史四稿に加え、現在執筆中である個別論文数本を、むしろ当初から英文として執筆して、二部構成の書籍として出版してはどうか、との構想が進んでいる。その前段階として、2019年6月21日に、国際行政学会(IIAS)年次大会にて、3本の英語報告を実施する。
著者
池内 恵 御厨 貴 牧原 出 宮城 大蔵 鈴木 均 小宮 京
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中東における政治・経済・外交の非公式の人的ネットワークを現地の文献・文書資料の発掘と解読を通じて明らかにし、中東への日本の関与に関する官庁・企業の文書資料を発掘し、当事者へのオーラル・ヒストリー記録の採取を行なった。成果は「日本経済外交史プロジェクト・オーラル資料編: イラン革命と日系企業 第一冊 IJPC関係(2)」「日本経済外交史プロジェクト・オーラル資料編: イラン革命と日系企業 第一冊 IJPC関係(3): 永嶋達雄氏(元三井物産)」ケイワン・アブドリ編訳・解説(鈴木均監修)『抄訳 ハサン・ロウハーニー回顧録』、池内恵編『IJPC研究の現状と課題 資料の所在と公開状況』にまとめた。
著者
牧原 出
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1_171-1_201, 2018 (Released:2021-07-16)

政治と司法との関係を裁判所の制度的定着過程から分析することを目的とした本稿は, 1960年代から70年代にかけての国際司法裁判所の危機とその収拾過程を歴史的に解明する。南西アフリカ事件の判決によって, アジア・アフリカ諸国から批判された裁判所は, 付託件数が僅少になるという事態に立ち至った。裁判所は, 国連総会に所長以下が出席してそのプレゼンスを強化するとともに, 裁判所移転問題としての国際司法裁判所規程第22条改正を総会の議題となるよう働きかけて, 総会での裁判所改革の論争に能動的に対応しようとした。こうした国連の諸機関との外交交渉を通じて, 裁判所は単なる孤立ではなく能動的な中立を志向する。結果的に裁判所は, 1970年代に規程改正を取りやめるが, 裁判所棟増築を実現させ, 徐々に付託件数も増えることで制度的定着を果たしたのである。
著者
御厨 貴 牧原 出 手塚 洋輔 佐藤 信 飯尾 潤
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

政治主導が高まる中で,多様な政策分野で活用されつつある有識者会議に注目し,その現代的変容を解析した。その成果として,(1)災害復興や皇室政策といった個別領域における有識者会議の作動について研究した。(2)聞き取りの方法論に関しても,近年の動向を踏まえて,整理と提起を行った。(3)現代的な変容の一つとして,同種のテーマで繰り返し有識者会議が設置され,しかも同一の委員が長期にわたって参画するという新しい傾向を指摘できる。
著者
佐野 真由子 有賀 暢迪 飯田 豊 市川 文彦 井上 さつき 君島 彩子 辻 泰岳 牧原 出
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、研究史の空隙となっている第二次大戦後の万国博覧会史に取り組むものであり、時期的対象は、万博を統括する政府間組織BIE(在パリ、1931年発足)が大戦終結を受けて活動を再開した1945年から、植民地独立を主要因とする国際社会の変容を背景に、今日も有効な万博の新定義を打ち出すに至った1994年までである。その目的は、催事としての万博それ自体を詳解することではなく、万博史研究というレンズを通じて、国際情勢から開催・参加各国内の政局、関係業界の動向、関係者個々人のミクロな経験までを途切れなく見通し、かつ、自ずと世界の多様な視点に立脚する、新たな戦後世界史叙述の可能性を提示することにある。
著者
牧原 出
出版者
日本公共政策学会
雑誌
公共政策研究 (ISSN:21865868)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-31, 2006

<p>本稿は,戦後日本の最高裁判所の制度的定着過程を分析するため,田中耕太郎長官時代の政治裁判と司法行政の動向を検討する。とくに昭和32年に生じた3つの事件,すなわち裁判所法改正の国会審議,戦後初の裁判官再任と全国大の人事異動,最高裁判所10周年記念式典を取り上げることで,岸信介内閣の下で司法権の独立を守るため,最高裁判所がとった政策を戦後史の中に位置づけた。戦後の日本国憲法によって,司法省から裁判のみならず司法行政面での独立を遂げた最高裁判所は,発足当初,国会・内閣と比べて制度的に脆弱であった。しかし,田中耕太郎長官と彼を支える事務総局の戦略によって,国会での裁判所法改正案の議員立法を斥け,再任の際に全国の裁判官を異動させる人事システムを構築し,10周年記念式典に昭和天皇を迎えて法曹三者の結集を図ることで,国会・政党・社会勢力から裁判所機構の独立を守ろうとした。確かにそれは,一見岸信介内閣の保守的な政治姿勢に最高裁判所が迎合したかのように見える。確かに,田中耕太郎長官のメディアでの発言と彼の少数意見が表面上政府見解と軌を一にしている面はあるとしても,事務総局の構築しつつある司法行政はこれとは距離をおいており,また判決における多数意見はむしろ田中の読み方を遮断する方向で変化していく。最高裁判所は,長官の言説を通じて政権と接近しつつも,裁判と司法行政面での独立を保つことで,その基礎を構築したのである。</p>
著者
牧原 出
出版者
ぎょうせい
雑誌
地方自治 (ISSN:02878534)
巻号頁・発行日
no.768, pp.2-12, 2011-11
著者
御厨 貴 小塩 和人 牧原 出 野中 尚人 河野 康子 伊藤 隆
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

今年度の研究の進展状況については、前年度から継続して行なってきた鈴木俊一氏(前東京都知事・現自治体国際化協会名誉顧問)に対するインタビューを7回(前年度よりの通算では17回)、後藤田正晴氏(元警察庁長官・元内閣官房長官)に対するインタビューを10回(同通算14回)実施したことに加えて、今年度より奥野誠亮氏(元自治事務次官・元国土庁長官・現衆議院議員)に対するインタビューを2回行なったことが主たる成果である。旧内務省出身の三者から、継続的、集中的にインタビューを実施した結果、新たなる知見を得ることができた。具体的には、戦前・戦中における地方(県)行政の状況、占領戦後期のおける地方財政制度整備の方針、警察予備隊発足時のGHQとの交渉の経緯、戦後の警察行政の流れ、内閣官房の役割の変遷、東京五輪時・いわゆるバブル期の東京都政、などが主要なものとして挙げられる。自治省、警察庁、東京都、そして政界・知事職とそれぞれに要職を経験した立場から、その時々の官僚機構における人事運営や意思決定の手法をもまじえての重要な情報がもたらされた。このような継続的、集中的インタビューをより実効性のあるのもとして実施していくために、迅速で正確な速記録を作成し、多くの資料を準備することにより、インタビュー前後の論点整理や質問項目の検討に役立てた。全体としては本プロジェクトは着実に成果を挙げ、基礎研究としての性格から見ても意義ある進展を示したと考える。