著者
石橋 賢一 城 謙輔 作部 保次 影山 幸雄 鶴岡 秀一
出版者
独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

アクアポリン11(AQP11)ノックアウトマウスの解析と、線虫のアクアポリン(AQP-CE1~AQP-CE11)の解析を中心におこなった。AQP11がないと嚢胞腎になって腎不全で生後1ヶ月で死ぬ。嚢胞ができる前に近位尿細管に空胞ができるがこれが小胞体を中心とした拡張であることが電顕でわかっていたが、その原因として細胞内オルアネラのpH異常が関与している可能性があきらかになった。これは近位尿細管細胞の初代培養でノックアウトマウス由来のはエンドソームのpHの低下がよわくなっていたことからの類推である。また、ノックアウトマウスの異常がAQP11の直接作用によることが、抗体による組織染色で近位尿細管細胞のみが染まり、また細胞膜ではなく細胞内が染色されることから類推される。まだ空胞変性から嚢胞形成に至る過程が不明である。また培養株細胞(HEK細胞))にGFPでラベルしたAQP11を一過性に発現させると、やはり細胞膜には発現せず、細胞内にとどまっているが、小胞体マーカーと一致して発現しており、in vivoの発現様式に類似していた。空胞ができる1週令の腎臓のRNAのマイクロアレイを行い2倍以上変化する遺伝子を10同定し解析中である。腎臓皮質に限局した嚢胞腎の症例はみあたらなかった。生き延びた稀なノックアウトマスは子孫をつくれるが、精巣の萎縮、とくに精細管上皮の細胞数の減少がみられた。線虫のアクアポリンすべてについてプロモーターの下流にGFPをつけて発現細胞の同定をおこなった。オーバーラップした発現が観察された。また11個のアクアポリンすべてについてRNAiによる遺伝子破壊をおこなったところフェノタイプの異常は認められなかった。オーバーラップしたアクアポリンによる代償で異常が認められなかった可能性もあるので2重。3重の遺伝子破壊を計画している。
著者
堀 信行 岡 秀一 大山 修一 松尾 容孝 高岡 貞夫
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

最終年度として、研究代表者の堀は、霊山およびそれに関係する聖所にあたる広島湾内の厳島(宮島)の弥山など、自然植生に対する桜と紅葉の植生景観に関する人為的干渉の歴史や、その文化的背景について考察を加えた(この成果の一部は『風景の世界』(二宮書店:2004)に掲載された。このほか聖所を創出する樹としてのスギに注目し、自然植生としてのスギと植林としてのスギに分けて、その全国分布および神社の分布との関係について考察を進めた。このほか沖縄の代表的聖所である斎場御嶽の空間構成については、上述の『風景の世界』に公表した。このほか都市の中の聖所の事例として鎮守の森との関係についても考察を加え、上記出版物に公表した。なおこれまでに調査を行った各地の霊山および関連する聖所に関する全体的な考察は、本研究のおかげで更なる展開が期待され、そのまとめに向かって鋭意努力中である。また岡は、古代から古墳など歴史的なかかわりが深い隠岐諸島の森林植生について、土地利用との関連で人為的干渉の影響について現地調査を行うとともに、考察を行い報告書にまとめた。松尾は霊山の聖域の構造と自然植生の残り方に注目しまとめを行っている。高岡は、東日本を中心に霊山をはじめとする神社仏閣の分布と、GIS(地理情報システム)を活用して自然植生と人為植生との関係を追及し、論文としてまとめを行っている。大山は、琉球弧では食用に供されてきたソテツが、本州では神社仏閣に植栽されていることに注目し、ソテツの樹齢や歴史、逸話などの資料を収集し、日本人の自然観と人為的な営為との関係についてまとめを行っている。本研究が自然植生を見る視座に新たな観点を加えることができたと考えている。問題の深まりと新たな展開を取り入れて、さらなる研究成果を随時出して生きたい。
著者
松本 金矢 森脇 健夫 根津 知佳子 後藤 太一郎 中西 良文 滝口 圭子 上垣 渉 廣岡 秀一 八木 規夫
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

医学教育において実践されてきたPBL教育を,教員養成学部において展開するための基礎的な研究を行った.教育周辺領域の様々な現場においてPBL教育を実践し,コンテンツの開発を行った.特に,学生・院生に旅費を支給し,大学より離れた現場でのPBL教育を実践することができた.現場での実践を大学において省察し,学生が教員からのアドバイスを受けるためのネットワークシステムとしてmoodleを用い,そのための専用サーバを立ち上げた.例えば美術教育において学内・外のデザイン製作を学生と教員が協働して手がけるなど,教科の専門性を活かした活動や教科を超えた協働活動を展開した.また,先端的な取り組みを行っている他大学研究機関・学会の調査のために,海外視察を4回,国内視察を5回行った.これらの視察では,学生・院生を引率し,他大学の学生との交流も実現した.特に,秋田大学,愛媛大学とは双方向での視察・交流を果たし,moodle上で恒常的な交流の場を設置した.PBL教育の教育効果を明らかにするために,評価方法の開発にも注力している.日本教育大学協会研究助成プロジェクト(カルロス研究会)との協働により、パフォーマンス・アセスメント(PA)を用いた評価法の開発を推進し、そのためのマニュアル作成を行った。このようなPBL教育の成果を学内外に発信・共有するために、学内で開催された4回の公開研究会と4回のボスターセッションにおいて発表し,愛媛大学・島根大学とのジョイントシンポジウムを1回開催した。また、これらの成果を学会において論文・紀要等により発表した。開発されたすべてのコンテンツはデータベース化し、専用ホームページを通して公開している。
著者
堀池 元樹 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.374, pp.7-12, 2002-10-11
被引用文献数
34

陸上移動通信における盗聴対策として,通信路の不規則変動に基づいて鍵配送なしで秘密鍵を共有する方式を提案した.提案方式は,時分割復信で通信を行うシステム形態を想定し,伝送路の遅延プロファイルを相互に測定し,時変周波数特性に変換し,鍵の生成と鍵共有を図るものである.また,提案方式では,鍵生成誤り対策として伝送路特性の測定時間差の補償,同期加算処理による雑音軽減,鍵の不一致の訂正法などを適用している.計算機シミュレーションの結果,現実的な条件設定の下で秘密鍵の共有が可能であることを確認した.
著者
廣岡 秀一 横矢 祥代 Hirooka Shuichi Yokoya Sachiyo
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.111-120, 2006

本研究は、子どもの規範意識の実態を把握することと、日常生活に関する意識から規範意識が影響を受けている関係を探ることを目的とした。三重県内の小学生・中学生・高校生を対象に、日常生活で経験する可能性のあることがらについての社会的ルールや規則に対する認知を調査した結果、学年が上がるにつれて規範意識が低下すること、違法・暴力行為や迷惑行動に対する規範意識は、男子は学年が上がるほど低下するが、女子は中1~中2以降は低下しないということ、遊びや快楽を追求する行動に対する規範意識は女子の方が低いことを見出した。さらに、日常生活に関する意識と規範意識の関連を検討したところ、小学生は、一般的な大人にポジティブなイメージを抱いているほど規範意識が高いこと、中・高生は、大人から自分の行動を正当に評価してほしいと思っているほど規範意識が高いことが明らかになった。次に、学校で適応できていることが高い規範意識につながること、中・高生は、友人関係が良好なことが規範意識にネガティブな影響を与える可能性があること、さらに、友人関係が良好で学校に適応できていると感じていると規範意識が高いことが明らかになった。また、将来に見通しを持ち、自分の学習や社会的な活動に意味を見出していることが規範意識にポジティブな影響を与えることが明らかになった。

1 0 0 0 IR トピックス

著者
黒田 真也 広報誌編集委員会 加藤 千恵 平岡 秀一 須藤 靖
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.3-6, 2009-09

生物情報科学科、起動!/「連載:理学のキーワード」が単行本化!この9月に出版/参加者数3300人を記録した理学部オープンキャンパス2009/理学部オープンキャンパスあれこれ/ガリレオが見た宇宙、見なかった宇宙~世界天文年・七夕講演会~
著者
青野 智之 樋口 啓介 大平 孝 小宮山 牧兒 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.1801-1812, 2005-09-01
被引用文献数
24

電波の送受信場所が異なると電波伝搬路特性の相関は急速に減少する.一方, 通信可能な2局間では電波伝搬の相反性が成立するため, 伝搬路特性の変化情報を利用することで, 受信場所が異なる第三者が盗聴困難な秘密鍵の生成・共有が可能となり, 鍵管理・鍵配送の必要のない秘密鍵生成・共有方式を実現できる.また, 民生品向け可変指向性アンテナとして開発中のエスパ(ESPAR : Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)アンテナは, 可変容量素子であるバラクタダイオードを用いて指向性制御が可能であるため, 意図的に電波伝搬路特性を大きく変動させることが可能である.本論文では, エスパアンテナによる電波伝搬路特性の変動を利用した無線秘密鍵共有システムの試作に成功したので報告する.更に, 試作システムを用いた検証実験にて, 例えば128ビットの秘密鍵を3秒周期で変更するシステムの場合の鍵生成成功確率が99.998%以上となること, 及び盗聴局との相関特性から, 盗聴局が秘密鍵の解読に要する時間が, 7.19×10^4年以上かかる見積りとなることを確認した.
著者
浜口 清 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.445-453, 1995-06-25
被引用文献数
8

ディジタル陸上移動通信における,周波数利用効率の向上と高品質伝送を目指した伝送方式である直交SFH/16QAM方式について特性を明らかにした.本方式は,高能率伝送の観点からパイロットシンボル挿入形フェージングひずみ補償による16QAMで伝送する.但し,16QAMは耐干渉性に乏しいため,セルラシステムに適用する場合は何らかの方策を必要とする.そこで,誤り訂正手法の改良による新しい耐干渉復号を提案する.直交SFHでは,セル間移動局は互いに異なるホッピングパターンをとるため,他セルからの干渉波は希望波に対してランダム化される.この性質を利用してスロットに周期的に挿入した間げきより希望波に重畳した干渉波レベルを検出・推定し,重み付けユークリッド距離最小復号して16QAMの耐干渉性を向上する.周波数選択性下における計算機シミュレーションでは本方式は遠近問題に強く,セルラシステムの上り回線への適用が特に有効であることがわかった.下り回線についてはボイスアクチベーション制御の導入が有効である.またSFHによる周波数ダイバーシチ効果から,緩慢なフェージングに対しても特性の劣化が少ないという結果を得た.