著者
平野 貴大 Takahiro Hirano
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.99-119, 2019-03-31

本稿の目的は、現在のイランの最高指導者であるハーメネイーのシャイフ・ムフィード観を分析することで、現代のシーア派学者が同派とムウタズィラ派との教義上の類似性をどのように説明するのかを解明することである。その分析を通じて、ハーメネイーをムフィードの学統に繋がる中道的な法学者・神学者として位置づけることも目指す。欧米研究者の通説によれば、ムフィードはムウタズィラ派をイマーム派に導入した、もしくはムウタズィラ派に強く影響を受けた合理主義者であるとされる。ハーメネイーは欧米研究者のムフィード観を批判し、ムフィードは法学と神学における伝承主義と合理主義の中道的な学統の創始者であると主張した。シーア派がムウタズィラ派を導入したという主張を否定することは、ハーメネイー独自の学説ではなく、シーア派学者の間の定説となっていた。以上より、保守派/原理主義者とみなされる傾向にあったハーメネイーはムフィードの学統に繋がる中道的な法学者・神学者として再評価されるべきであるといえる。
著者
笛田 和希 山本 七彩 横山 遥 手嶋 日菜子 五十川 奈穂 柴田 航志 中原 涼花 乘次 優希奈 宮川 光林 田中 聖子 平野 貴士 上野 桃子 藤戸 文子 高嶋 綾香 菅野 憲一
出版者
近畿大学産業理工学部
雑誌
かやのもり:近畿大学産業理工学部研究報告 = Reports of Faculty of Humanity-Oriented Science and Engineering, Kindai University (ISSN:13495801)
巻号頁・発行日
no.24, pp.15-20, 2016-07-15

We investigated long-lasting bubbles by mixing commercially available reagents. The features of the soap bubbles depended on the composition of the detergent, polymer, and other chemical components. Soap bubble containing sucrose, sodium alkyl ether sulfate (AES)- detergent and PVA laundry starch gave a spherical shape on various solid surfaces, including concrete, asphalt, tile, and grass after landing. We revealed that the low surface tension of the bubble was not the singular reason for its long lifetime. The lifetime of the film tended to be prolonged with decreasing humidity.
著者
平野 貴也
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.14, pp.283-290, 2008

キッズウインドサーフィン体験の実施状況を報告し、今後の実施方法およびプログラム内容を検討することに加え、小学生及び中学生対象の短期的なウインドサーフィン体験活動を評価するための基礎的な観点を得ることを目的とした。「キッズウインドサーフィン体験」には3日間で153名の参加があった。準備運動、陸上練習、海上練習、シーマンシップの学びの4つのプログラムで構成された。参加者からは非常に高い満足度が得られた。「通常の生活の中で感じる風と異なる感覚」「風の力の理解」「スピード感や水面を滑る感覚」「体験する機会の重要性」に関する特徴的なコメントが得られ、短期的なウインドサーフィン体験を評価する観点が得られた。This research examines the teaching method and the contents of a water sports program, with the additional purpose of obtaining fundamental data for evaluating short-term windsurfing experience activities for elementary and junior-high school students. 153 students participated in the "Windsurfing Experience for Kids" program over three days. This program consisted of the four learning stages of warm-up, land practice, marine practice, and seamanship. A very high degree of satisfaction was reported by the participants. Characteristic comments were "An unusual experience of wind", "Understanding the power of wind", "The feeling of gliding over the water surface and of speed", and "The importance of the apportunity for direct experience". We gained new perspective from evaluating this short-term windsurfing experience.
著者
山田裕子 平野貴幸 西本一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.1392-1403, 2003-05

オンラインチャットは、現在最も広く利用されているネットワーク上でのコミュニケーション手段の1つである。しかし、そこでは基本的に文字情報しかやりとりできないため、非言語情報が欠落してしまう。この結果、同じ文であっても、その発話者がどんな心境や状況でその発話をしたのかが不明瞭となってしまう。そこで本研究では、オンラインチャットで必ず行われ、かつ最も自然な行為である「打鍵」に着目する。これは、打鍵行為に各種の対話状況が表出されると思われるからである。そこで打鍵によって生じる振動を対話相手に伝達し、触覚情報として提示することにより、対話状況アウェアネスを伝え合うことを試みる。プロトタイプシステムであるTangibleChatを用いた実験の結果、振動の伝達によって複数の話題の同時進行が減少し発話順序交代が円滑化すること、および、感情が伝達される可能性があることを確認した。 : An on-line chat is a typical communication medium that is widely used. However, it can usually transmit only verbal information. Therefore, there is lack of non-verbal information. Consequently, it is hard to exactly know the situation of conversation at remote locations. In this study, we focused on “Key-stroke” that is taken necessarily in an on-line chat, because it is considered key-stroke-act expresses some conversation-situation. We developed “TangibleChat” that conveys the conversation-context-awareness mutually by transmitting vibration that is naturally produced by the key-stroke -act in the on-line chat to a dialog partner, and by displaying it as tactile information. Based on experimental results, we confirmed that simultaneous progress of two or more topics decreased and that smooth turn-taking was achieved by using TangibleChat. Moreover, we also confirmed that some emotional status can be conveyed by TangibleChat.
著者
平野 貴章
出版者
一般社団法人 日本フットケア・足病医学会
雑誌
日本フットケア・足病医学会誌 (ISSN:24354775)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.11-16, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)
参考文献数
14

【目的】Lisfranc関節損傷では, 解剖学的特徴や機能を理解し治療に当たることが重要である. Lisfranc関節の解剖と病態について文献的報告を加えて報告する. 【対象および方法】解剖の対象は, 解剖用屍体39体78足 (男17体,女22体) , 平均年齢は84.5歳 (60歳~99歳) であった. 第1中足骨から第3中足骨および第1楔状骨から第3楔状骨を一塊として取り出し, 第2中足骨-第1楔状骨間に存在するLisfranc靭帯複合体の解剖学的特徴および第1楔状骨-第2楔状骨間の楔状骨間靭帯の走行形態を観察した. 【結果】Lisfranc関節は足根骨と中足骨の間に存在する関節で, 骨形態と靭帯結合により安定性を得ていた. 骨の安定性として, 楔状骨がほぞ構造を形成し第2中足骨が安定した位置に存在する. その上に靭帯性の安定性として背側靭帯・Lisfranc靭帯・底側靭帯の複合体が構成される. 同部位の解剖により, Lisfranc靭帯を囲むように関節軟骨が存在している. Lisfranc靭帯は足底部と平行に走行している骨を結ぶ太い靭帯であり, その付着部平均面積は第1楔状骨81mm², 第2中足骨88mm²であった. 【考察】Lisfranc関節損傷は, 治療が難しいことが報告されている. この理由として, Lisfranc関節の解剖学的報告でさまざまなバリエーションがあることやさまざまな損傷形態があることが考えられる.
著者
袴田 航 平野 貴子 西尾 俊幸
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.72-78, 2021-05-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
25

糖鎖は細胞内で糖タンパク質・糖脂質などとして存在し,重要かつ多様な生命機能を提供している.それら糖鎖の構築には,多種類の糖加水分解酵素・糖転移酵素が関わっている.ヒト細胞内の主要なオルガネラには複数のexo-型糖加水分解酵素が存在し,その阻害剤は細胞内で糖鎖構造を変化させることにより,免疫機能調節・がん転移制御・抗がん作用・バクテリアおよびウイルス感染抑制と予防効果等を示すため,有望な創薬ターゲットとなっている.これら酵素の阻害剤を開発するためには,ヒト細胞を用いた標的酵素阻害評価系の構築が必要となる.本研究では,ヒト培養細胞を酵素源とし生細胞中の微弱な標的酵素活性を効率的に検出可能な蛍光基質を開発し標的酵素阻害評価系の構築することによって,目的阻害剤の探索を可能とした.本稿では特に小胞体グルコシダーゼ阻害剤がエンベロープウイルスに対して抗ウイルス活性を示すこと中心に述べる.小胞体グルコシダーゼ阻害剤は,薬剤耐性ウイルスの出現回避・ウイルス感染予防薬となりうる宿主標的型抗ウイルス剤に大別される.しかしながら,糖構造を基盤とする既知小胞体グルコシダーゼ阻害剤は,抗ウイルス活性を示すが高い親水性に基づく低い膜透過性の問題があり,問題解決を目指したそれらの誘導体も抗ウイルス薬として上市には至っていない.そのため,既知阻害剤の構造展開といったアプローチではなく,標的酵素の蛍光基質開発,それを用いたヒト培養細胞における阻害剤探索系を構築し,化合物ライブラリより阻害剤探索する方法を採用した.その結果,目的の性質を有するヒット化合物が得られ,その合成法を確立,さらに構造展開を行うことによって,既知阻害剤よりも高い抗ウイルス活性を有する誘導体を得ることができた.
著者
田守 伸一郎 平野 貴識
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-78, 2006-07-09

本研究では、3次元差分法を用いて諏訪盆地における震動シミュレーションをおこない、1次元波動論による速度振幅の最大値と3次元差分法による速度振幅の最大値を比較することにより、諏訪盆地の不整形性が与える影響についての検討をおこなうことを目的としている。3次元差分法により、盆地端部においてエッジ効果がみられることや、波の到来方向による異常震域が地盤の不整形性により説明できた。
著者
渡辺 大作 阿部 省吾 植松 正巳 阿部 榮 遠藤 祥子 後藤 浩人 小林 隆之 藤倉 尚士 小形 芳美 伴 顕 平野 貴 杉本 喜憲 斎藤 博水
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.41-45, 2004-11-10 (Released:2009-04-22)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

牛クローディン-16(CL-16)欠損症19頭およびそれ以外の腎不全黒毛和種牛2頭におけるビタミンA(VA)とレチノール結合蛋白質(RBP)の動態および過長蹄の発現について調査した。CL-16欠損症では、1-6ヶ月齢の子牛3頭を除き84%で過長蹄がみられた。CL-16欠損症を過長蹄群と正常蹄群にわけて正常黒毛和種子牛群36頭と比較したところ、過長蹄群ではRBP、VA、尿素窒素(UN)およびクレアチニン(Cre)の有意な増加がみられ、正常蹄群ではVAのみ有意な増加がみられた。RBPはVA、UN、およびCreと有意な正の相関を示し、VAはVA添加飼料が給与される5-13ヶ月齢で著しい高値を示した。腎不全牛2頭(腎盂腎炎、腎低形成症)でも過長蹄がみられ、VAおよびRBPは高値を示した。CL-16欠損症で正常蹄の牛は、若齢または軽度の腎障害であったことから、過長蹄はCL-16欠損症に特異な症状ではなく、重度の腎機能障害の持続により発現すると考えられた。
著者
松田規 伊藤隆 柴田秀哉 服部充洋 平野貴人
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.2067-2074, 2013-07-03

Bonehらによって公開鍵暗号に基づく検索可能暗号が提案されて以来,AND/OR検索や範囲検索などの高機能化を図った成果が提案されている.しかし,検索時に,暗号化した文書に添付された検索用のタグを順次チェックする必要があるため,検索時間が文書数に比例するという欠点がある.一方,Bellareらによって提案された確定的暗号に基づく方式は,検索時間は文書数のlogオーダに抑えられるが,キーワードのエントロピーがBrute Force攻撃に対して安全であるほど大きくなければならないという制約があり実用的ではない.本論文では,はじめに安全性と高速性のバランスを調整可能な検索可能暗号方式を提案する.本方式は,タグから数ビットの情報漏れを許容することで,サーバ側で索引生成が可能となり,検索の高速化が可能となる.次に,提案方式をWebアプリケーションに適用する方式を提案する.本方式では,データベースのユーザ定義関数として検索可能暗号を実装し,またブラウザにて暗号・復号を行う構成をとることで,Webアプリケーションで復号のための秘密鍵を一切管理する必要がなくなり,利用者自身が機密情報のセキュリティをコントロールすることが可能となる.
著者
平野 貴俊
出版者
東京藝術大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本年度は、フランス国立公文書館でフランス国営放送ORTF(Office de Radiodiffusion Television francaise、運営期間1964~1974[Televisionのe2つにアクサン・テギュ、francaiseのcにセディーユ])とフランス文化省に関連する資料を閲覧し、口頭発表でその研究成果を発表した。日本音楽学会全国大会での発表では、ORTFと文化省が1960年代半ばの「音楽の危機」をいかに打破しようと試みたかを論じた。1964年ころから、『ル・フィガロ』等の新聞・雑誌に寄稿する音楽批評家は、フランスにおけるレコード産業の興隆と、自国の音楽家の外国での認知度の低さを糾弾した。こうした問題に対処するため、1966年文化省に新設されたのが音楽局 Direction de la Musique である。発表では、本改革を準備した音楽家の多くが、1950年代に国営放送の音楽活動審議会に参加したことに着目し、1960年代に音楽行政の主体が国営放送から文化省へと移行したと述べた。以後、ORTFは文化省と協同して危機に対処することになる。ORTF音楽監督ミシェル・フィリッポ Michel Philippot(在任1964~1972)は、文化省の改革に沿う形でレコード会社との連携、ORTF出版部門の活用を推進した。一方、フィリッポの後任ピエール・ヴォズランスキー Pierre Vozlinsky(在任1972~1974)は、文化省への従属に懐疑的な態度をとり、独立した公的組織として質の高い音楽番組を製作することを重視した。こうした方針の変遷は、1970年代までにフランスの音楽界が上記の危機を乗り越えたことを示唆している。2014年12月には、以上の内容を増補した研究発表を、パリのフランス国立社会科学高等研究院におけるシンポジウムで行った。
著者
名塚 雄太郎 安室 千晃 井上 貴仁 横山 浩 平野 貴之 金丸 正剛 伊藤 順司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.404, pp.39-44, 1994-12-15

走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM)は,探針と試料表面の間に働く微弱な電気力を測定する走査型プローブ顕微鏡である.特徴は,非接触で表面電位と形状の2次元イメージを同時にしかもナノスケールの分解能で測定できる事である.電界放射エミッタの高機能化を図るひとつの手段として,その表面状態の高精度な制御技術の開発が考えられる.そこで,このSMMを用いて各種エミッタ材料の表面状態(表面電位,形状)の観察,評価を行い,エミッタ高機能化への手がかりを得るのが本研究の目的である.本稿では,SMMの原理や使用したカンチレバーについて述べるとともに,Al,Mo,Nbなどの表面電位の測定結果を議論する.
著者
平野 貴識 田守 伸一郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.48, pp.161-164, 2005-07-10

本研究では、長野盆地において、S波速度構造を推定し、3D地盤モデルを構築することを目的としている。地下構造を推定する方法として、1点移動観測による方法を用いて、36地点でおこなった。地震基盤(S波速度=4.3km/s)までの深さは、長袖方向では、篠ノ井から豊野に向かって深くなっており、250mほどの差があることが分かり、最大450mほどの差があることが分かる。短軸方向においては盆地端部から中央部にかけて深くなっていることが分かった。