著者
横山 浩之 廣瀬 三恵子 奈良 千恵子 涌澤 圭介 久保田 由紀 萩野谷 和裕 土屋 滋 飯沼 一宇
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.431-435, 2009 (Released:2016-05-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

「指示待ち」はすでに獲得された日常生活行動をスモールステップな指示があるまで待つ状態である. 中等度以上の知的障害を伴う自閉症があり, 「指示待ち」を呈した9症例を検討したところ, 全例で大うつ病エピソードを満たし, 気分障害の合併と診断し得た. 9症例のうち7症例でfluvoxamineが「指示待ち」を含めた抑うつ状態に有効であった. 無効例ではrisperidoneやvalproate sodiumが有効であり, これらの症例が双極II型障害である可能性がある. 「指示待ち」は気分を言語表現できない自閉症がある児 (者) にとって, 抑うつ状態の症状であり, 診断上有用と考えられた.
著者
横山 浩之 小林 淳子 富澤 弥生
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

コロナウィルス感染症による影響で、全国的に不登校などの問題が増えることがとりざたされているが、研究協力市町村での様相は大分異なっていた。① すでにさまざまな施策がとられてきたA市・B町では、3歳半健診における就寝時刻が遅れる傾向があった(統計学的有意差なし)のみで、メディア曝露時間は増加しなかった。また、小中学校の不登校も増加しなかった。② 施策を取り始めたばかりのC市・D市・E市・F町・G町では、3歳半健診における就寝時刻が有意に悪化した。2時間を超えるメディア曝露している3歳児が有意に増加しており、C市では、妊産婦と母親に対して、本研究で作成した啓発パンフレットを母子手帳配布時、妊産婦健診、出産時、乳児健診等で繰り返し配布し、1歳半健診における要フォローアップ率で評価する研究を開始した。これらの市町村では、小中学校の不登校率も悪化の一途をたどっていた。③ 教育委員会が本事業に参加するD市では、先進地域のA市・B町を視察していただき、D市の事業展開にあたり、どのような観点が切れ目のない支援にとって大切かを検討し、令和4年度からの事業展開に活かすこととなった。 この視察で明確になったのは、市町村差よりも県域の差による制度面の異なりが大きいことで、D市では令和4年度に文部科学省の特別支援教育調査官経験者による研修会を本研究の協賛で行うことになった。④ 昨々年度に作成した簡易版ペアレントトレーニング手法のパンフレットをA市・H町において1歳6か月健診において配布し、3歳半健診において、手法の有効性を検討する試みを開始した。
著者
赤枝 建夫 浅川 徹也 多屋 優人 横山 浩之 林 拓世 水野(松本) 由子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.89-94, 2013-04-10 (Released:2013-09-10)
参考文献数
21

The objective of this research is to evaluate autonomic nervous function in Holter Electrocardiogram (ECG) using smartphone under the emotional stimuli. Twenty-four healthy subjects were assessed using State Trait Anxiety Inventory (STAI) and divided into two groups:high anxiety group and low anxiety group. ECG was measured under emotionally audio-visual stimuli (relax, pleasant, and unpleasant stimuli) and emotional sentence stimuli (pleasant sentence and un-pleasant sentence stimuli) using smartphone. The RR interval from ECG was analyzed for estimating the HF% and LF/HF values. The HF% and LF/HF values among stimuli and between groups were compared using analysis of variance (ANOVA) and t-test, respectively. The LF/HF values of pleasant, unpleasant, pleasant sentence, and unpleasant sentence stimuli were significantly higher than the value of relax stimuli. The LF/HF value of unpleasant stimuli in low anxiety group was significantly higher than the value in high anxiety group. This research suggests that the autonomic nervous function would be different based on the emotional stimuli and the presence of anxiety.
著者
横山 浩
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

家畜排泄物の処理、及び資源回収法として水素発酵が注目をされている。水素発酵には単離された水素生産菌を種菌として接種する純粋培養系と、堆肥や活性汚泥、嫌気性消化汚泥などを純化することなく種汚泥としてそれらに含まれている微生物群を利用する複合培養系がある。複合培養系では、原料の滅菌が不要である利点があり、家畜排泄物などを原料とした場合に適している。近年、分子生物学的手法による有力な菌叢解析法として、16SrDNA領域の多型を利用したDenaturing Gradient Gel Electrophoresis (DGGE)法が開発されている。本研究は、DGGE法による乳牛糞尿スラリーからの水素発酵に関与する微生物群の菌叢解析を実施して、その水素発生のメカニズム解明を検討する。60℃と75℃で嫌気培養した乳牛糞尿スラリーとコントロールとして、培養前のスラリーをDGGE解析の試料とした。その試料から16S rDNAのV3領域をGC-341Fと534RプライマーでPCR増幅した。そのPCR産物のDGGEで分離して、バンドに含まれているDNA配列を決定した。60℃発酵させたスラリーからは、Clostridium thermocellumやClostridium stereorariumに類似した細菌が検出された。これら細菌種は、高温水素発酵での種菌として使われる水素生産菌であることから、スラリーの60℃発酵における水素発生に関与する可能性が示唆された。また、75℃発酵させたスラリーからは、Caldanaerobaeter subterraneusに類似した細菌が検出された。C.subterraneusは、海底の熱水噴出口などの高度高温環境に生育する嫌気性高度好熱細菌であり、水素を発生することが知られている。従って、C.subterraneusに類似性を示す細菌がスラリーの75℃発酵における水素発生に関与する可能性が示唆された。本研究から、乳牛糞尿に水素を産生する有用細菌種が明らかとなった。家畜排泄物は発酵の汚泥として有用であり、また、微生物資源としても貴重であること考えられる。さらに、70℃以上に至適増殖温度を持つ嫌気性高度好熱細菌が家畜糞に含まれていることは想定されておらず、本研究結果は新規知見であると考えられる。
著者
南川 敦宣 横山 浩之 Minamikawa Atsunori Yokoyama Hiroyuki
雑誌
データマイニングと統計数理研究会(第 12 回)

In this paper, we propose egogram estimation method from weblog text data. Egogram is one of the personality models which illustrate the ego states of the users. In our method, the features which is appropriate for egogram are selected using the information gain of the each word which is contained in weblog text, and estimation is performed by Multinomial Naïve Bayes classifiers. We evaluate our method in some classification scenario and show its effectiveness.
著者
中澤 仁 由良 淳一 岩本 健嗣 横山 浩之 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.149-154, 2009-01-15

無線センサノードを,ユビキタスサービスにおける様々な用途に広く利用するためには,多くの無線センサノードと協調的に動作しながら情報を交換する機能を,人々がいつも持ち歩いている携帯デバイスにおいて動作させることが重要である.本稿では,携帯電話上でユビキタスセンサネットワークアプリケーションを動作可能とするための技術として開発した,(1)センサ情報トランシーバ,(2)センサ情報収集ソフトウエア,および(3)Zigbee環境情報センサについて報告する.利用者は,センサ情報レシーバを携帯電話に装着し,所望のアプリケーションをダウンロード,インストールするだけで,周囲の無線センサノードを利用したユビキタスサービスを享受できる.従って本技術は,今後のセンサネットワークならびにユビキタスサービスの普及に資するものである.
著者
宮本 進生 大西 綾乃 武内 良男 前山 利幸 長谷川 晃朗 横山 浩之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.9, pp.710-718, 2022-09-01

近年,アンテナから収集した電磁波のデータに対して機械学習により無線通信の信号を分類する研究が注目を集めている.一方で,工場等の製造現場で産業機器等から発生する電磁ノイズは発生源となる機器により発生頻度やパターンが異なるため,これらを機械学習により分類しようとすると,限られた時間で収集した学習データに含まれない未知のパターンが運用中に発生する可能性が高い.それらを既知のパターンに分類すると,発生源の異なる電磁ノイズを混同し,取るべき対策の検討において誤りを生じさせる恐れがある.未知のパターンを見つけ出す方法として機械学習の新規性検出を利用することが考えられる.しかし実際の運用では,製造現場の限られた計算資源で,学習データに基づく電磁ノイズの分類と新規性検出のための機械学習を同時並行で実行するのは負担が大きい.そこで本論文では,分類の際に得られる事後確率値から未知のノイズを検出する方法を提案する.この手法が計算資源の消費を押さえつつ,未学習のパターンを高い精度で検出可能であることを,実測データを用いて実証する.
著者
鴨 宏一 村松 歩 多屋 優人 横山 浩之 浅川 徹也 林 拓世 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.193-201, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2

本研究では携帯端末による情動刺激下での脳波を用いた脳機能の評価を目的とした。被験者は健常成人24 名で,Cornell Medical Index(CMI),日本版State-Trait Anxiety Inventory(STAI),簡易ストレス度チェックリスト(SCL)によって心身状態を評価し,心理検査低値群と心理検査高値群に分類した。情動刺激は,情動的視聴覚セッション(安静,快,不快)と情動的文章セッション(快文章,不快文章)を用意し,携帯端末からの視聴覚刺激として被験者に提示し,脳波を計測した。脳波は離散フーリエ変換を行い,パワースペクトル値を算出した。α2 帯域の結果から,心理検査高値群は不快刺激および不快文章刺激時に側頭部でスペクトル値が高値を示した。以上より,携帯端末による情動刺激が精神安定度と関連して,脳機能の反応に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
横山 浩
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.21, pp.36, 2005

(目的)飼育下のニホンザルを適正に飼育管理するためには個体数調整が不可欠である。しかしその方策としての余剰個体の搬出は最小限に留めるべきである。千葉市動物公園ではオトナメス(飼育頭数10&sim;20頭)へのホルモン剤のインプラントなどの避妊措置を実施してきたが、インプラントを行うヒトにもされるサルにも負担が重く、確実で負担が軽い方法として、ニホンザルの季節繁殖性に着目した、オスメス別居飼育による繁殖制限を中心に個体数調整を行ってきた。<br> (方法)1998年から完全繁殖制限のため、交尾期の始まる10月中旬からオトナオス(1&sim;2頭)を群れからはずし、室内ケージで別居飼育した。交尾期終了と共に、ふたたび群れに戻した。この方法で2001年まで行った。2002年は繁殖制限しなかった。2003年からは少数繁殖を目的として2&sim;3頭のオトナメスを選抜し、室内ケージでオトナオスと同居させて交配を試みた。<br> (結果)上記の方法により、1999年から2004年までの総繁殖頭数を9頭、年平均1.5頭に抑えることができた。(これ以前の年平均繁殖頭数は6頭)。また室内ケージにおいて少数繁殖が可能なことが確認できた。当初懸念されたオトナオス不在による群れの乱れや、移動に伴う激しい攻撃的行動も発生しなかった。一方で交尾期が長引き(別居飼育終了後の3月に交尾例あり)、別居飼育の期間を4月過ぎまで延長する必要があった。<br> (考察)上記の方法は単純、確実ではあるが、オトナオスが多数である場合、多くの飼育スペースが必要になりまた、別居飼育期間が半年近くに及ぶなどの難点がある。一方、個体選抜による交配を行うことで、近親交配を避け、計画的繁殖に基づいた個体数調整を行うことも可能である。しかしながら個体数調整を単一の方法で行うには限界がありいくつかの方法と併せて行う必要があると考えられる。
著者
久永 明人 伊藤 隆 新沢 敦 横山 浩一 喜多 敏明 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.501-505, 2002-01-20
参考文献数
9
被引用文献数
3

閉塞性睡眠時無呼吸症候群に半夏厚朴湯が有効であった1例を経験した。症例は32歳の男性で, 21歳頃よりいびきと睡眠時無呼吸を指摘され, 27歳時に口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を受けたが改善なく, 日中の過度の眠気を自覚するようになり来院した。「咽中炙臠」と考えられる咽喉部不快感を認めたため半夏厚朴湯エキス (ツムラ, 7.5g/日) を投与し, 2週間後には咽喉部不快感が消失した。1ヵ月後にはいびきが消失し, 日中の過度の眠気が自覚的に改善した。投与前と投与5ヵ月後に終夜睡眠ポリグラフィを施行したところ, 無呼吸指数は19.2から10.3に, 無呼吸低呼吸指数は19.2から12.8に改善していた。本例の経過から, 半夏厚朴湯が上気道抵抗を上気道下部において減弱させた可能性があると推察した。
著者
山本 潤 西山 伊佐 井上 嘉 横山 浩
出版者
日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
no.2004, pp.270-271, 2004-09-26

We have found the new types of photonic liquid crystal, SmBP_<Iso> Phase, which shows the uniform isotropic iridescent color strongly dependent on the concentration, chirality and temperature for the first time. SmBP_<Iso> has both the finite local order parameter of the helix of the orientation and the smectic layer simultaneously, but spontaneously achieves complete isotropic nature in optical wave-length without any discontinuity in mesoscopic length scales. It was confirmed by visco-elastic measurement that the SmBP_<Iso> should be originated from the anomalous softening of the smectic layers due to the freezing effect on the molecular fluctuation induced by the introduction of the connection of the molecules. We expected that the random distribution of the distinct helix in 3-dimensional space can be stabilized by the apparent elastic long-range interaction "field" produced by the deformation of the smectic order. We have also first recognized two different types of thermodynamic phase transitions among SmBP phases, order-disorder transition for the spatial arrangement of the helix and the transition of the connectivity of smectic layers, which are attributed to the transition of the spatial distribution of the both orders, not belong to the order parameters themselves.
著者
久永 明人 伊藤 隆 新沢 敦 横山 浩一 喜多 敏明 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4-5, pp.501-505, 2002-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

閉塞性睡眠時無呼吸症候群に半夏厚朴湯が有効であった1例を経験した。症例は32歳の男性で, 21歳頃よりいびきと睡眠時無呼吸を指摘され, 27歳時に口蓋垂軟口蓋咽頭形成術を受けたが改善なく, 日中の過度の眠気を自覚するようになり来院した。「咽中炙臠」と考えられる咽喉部不快感を認めたため半夏厚朴湯エキス (ツムラ, 7.5g/日) を投与し, 2週間後には咽喉部不快感が消失した。1ヵ月後にはいびきが消失し, 日中の過度の眠気が自覚的に改善した。投与前と投与5ヵ月後に終夜睡眠ポリグラフィを施行したところ, 無呼吸指数は19.2から10.3に, 無呼吸低呼吸指数は19.2から12.8に改善していた。本例の経過から, 半夏厚朴湯が上気道抵抗を上気道下部において減弱させた可能性があると推察した。
著者
横山 浩
出版者
日本化学会
雑誌
化学と工業 = Chemistry and chemical industry (ISSN:00227684)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.249-251, 1995-03-01
参考文献数
16
著者
井上 貴仁 横山 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.94, no.192, pp.1-6, 1994-08-09

ヘテロダイン力検出走査型マクスウェル応力顕微鏡により相分離リン脂質単分子膜とフタロシアニン蒸着膜のトポグラフィー、表面電位、誘電率の周波数分散の同時測定を行った。また、当所で開発した先鋭シリコン探針を用いることによって、より高分解能の像を得ることが可能となった。
著者
横山 浩 井上 貴仁 伊藤 順司
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.281-286, 1994-04-05
参考文献数
16
被引用文献数
1

走査型トンネル顕微鏡の誕生というコロンブスの卵は,原子間力顕微鏡をはじめとするSPM(走査型プローブ顕微鏡)と呼ばれる顕微鏡技術の一族に成長・進化し,現在では,表面の形状に留まらず様々な物性・機能をも局所的に観測し画像化する表面解析技術として,著しい発展を見せている.筆者らは,表面電位,誘電率などの電気物性をナノメートルオーダーの分解能で計測するSPMとして,走査型マクスウェル応力顕微鏡(SMM)の開発をすすめている.SMMは,原子間力顕微鏡と同様に,探針に働く力を検出するタイプのSPMであり,外部交流電圧により誘起される強制振動電気力の測定のみから,表面の様々な電気的情報を同時に引き出せることを特徴とする.ここでは,金属薄膜の接触電位差や有機分子薄膜の相分離構造の微視的観察の例を交えて,その概要を紹介する.