著者
沢田 正昭 巽 淳一郎 西村 康 町田 章 村上 隆 二宮 修治
出版者
独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

陶磁器研究は肉眼観察が基本であるが、さまざまな自然科学的手法を駆使して得られた新しい知見が、産地や年代、さらには製作技法に関する理解を深める可能性を秘めている。本研究は、陶磁器の流通の実態を解明するために、自然科学的な方法論とその具体的な検証法の確立をめざすことを目的とし、米国スミソニアン研究機構と、奈良文化財研究所をはじめとする文化庁関係機関との間で1990年から実施している日米国際共同研究の一環として行なった。まず、陶磁器の産地推定に対する分析手法の確立をめざして、胎土に対する熱中性子放射化分析、蛍光X線分析の比較検討を行なった。分析対象には17世紀中葉の肥前産磁器を選び、生産地資料として現地窯跡出土資料、消費地資料として、東大構内遺跡やベトナムなど海外での出土資料も含めて検討した結果、双方の分析結果は良い一致を示すことがわかった。また、同じ資料に対して大型放射光施設SPring-8において高エネルギー蛍光X線分析を行い、新しい分析手法としての可能性を検証した。釉薬に関しては、瀬戸美濃産陶磁器資料を研究対象とし、蛍光X線分析による成分分析、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による釉薬層の微細構造解析を行い、不均一な元素分布状態に対する新しい知見を得た。また、スミソニアン研究機構フリーア美術館所蔵の漢代緑釉に対する鉛同位体比測定から、産地推定の可能性を示唆することができた。さらにカンボジアにおける窯跡群の探査を実施し、窯構造の調査を行なうとともに、出土陶器片に対して熱ルミネッセンス法による年代測定も試みた。関係者の相互理解を深めるために研究会に加えて、日米の研究者が一堂に会する国際シンポジウムを開催し、本研究の成果を公開すると共に、陶磁器資料研究に対するさまざまな問題点を議論する機会を設けた。
著者
田近 英一 多田 隆治 橘 省吾 関根 康人 鈴木 捷彦 後藤 和久 永原 裕子 大河内 直彦 関根 康人 後藤 和久 大河内 直彦 鈴木 勝彦 浜野 洋三 永原 裕子 磯崎 行雄 村上 隆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

約25億~20億年前に生じた全球凍結イベントと酸素濃度上昇の関係を明らかにするため,カナダ,米国,フィンランドにおいて地質調査及び岩石試料採取を実施し,様々な化学分析を行った.その結果,同時代の地層対比の可能性が示された.またいずれの地域においても氷河性堆積物直上に炭素同位体比の負異常がみられることを発見した.このことから,氷河期直後にメタンハイドレートの大規模分解→温暖化→大陸風化→光合成細菌の爆発的繁殖→酸素濃度の上昇,という可能性が示唆される.
著者
柳井 晴夫 椎名 久美子 石井 秀宗 前田 忠彦 池田 輝政 箱田 裕司 繁桝 算男 荒井 克弘 村上 隆 市川 伸一
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究期間は2003年4月から2006年3月までの3年間であった。まず、一年目の2OO3年12月に、全国国公私立の教員2,5000名を対象にした、大学生の学習意欲と学力低下に関する調査を実施した。この調査は、2002年に本研究の研究代表者が実施した学生調査(柳井、2003)との比較を可能にするよう調査項目が設計され、被験者となった教員も学生調査と同一の大学に所属する教員が選ばれた。調査回収数は11,481名でこの数は全国の大学の教員(教授・助教授に限定)数の11.6%に相当する。上記の調査結果を2004年6月までに分析し、その結果報告に関する研究会を2004年7月に開催した。2004年度には、上記の調査結果の分析の他、東北大学、九州大学、名城大学に所属する分担者が、それぞれの大学における大学生の学力低下を示すデータを分析し、2005年8月に開催された研究会において、九州大箱田裕司氏より、「卒業論文テーマ選択にみる自主性の経年変化」、名城大学池田輝政氏より、「大学初年次調査からみた学力問題」についての研究発表があった。2006年2月には、長崎県の教育センターで開催された「大学入学前に培うべき資質・学習意欲に関するシンポジウム」を共催し、研究代表者(柳井)と研究分担者(渡部・石井)が2004年に実施した全国教員に対する学習意欲・学力低下に関する調査結果を発表した。2006年2月下旬に、研究会を開催し、3年間の研究のまとめとなる報告書作成のための打ち合わせを行い、下記の目次による報告書(全部で258頁)を作成した。さらに、2004年の教員調査の際に自由記述欄に記載されていた内容を、大学の設置形態(国立、公立、私立)、学部別に並べて記載した小冊子「大学生の学習意欲と学力低下に関する実証的研究」を補足資料として作成した。報告書の内容は以下の通りである。第1部 大学生の学習意欲と学力低下に関する調査結果第1章 総合報告第2章 大学生の学習意欲と学力低下に関する調査結果の分析-第3章 教員所属専攻別の分析第4章 学力低下の内容分析一非対称多次元尺度構成法を用いた分析第5章 長崎教育センター「大学入学前に培うべき資質・学習意欲に関するシンポジウム」-入試改善の視点を踏まえて-第2部 実証データを用いた学力低下の分析第6章 日本語基礎能力の経年変化第7章 卒業論文テーマ選択にみる自主性の経年変化第3部 学力低下問題再考-今後の課題第8章 教育接続からみた日本の学力低下問題再考第9章 今後の大学教育の在り方をめぐって-終わりにかえて
著者
村上 隆 小暮 敏博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

先カンブリア時代の大気中の酸素の濃度変化は、地球化学的課題のみならず、生命の進化と密接に関連し、近年盛んに研究が行われている。古土壌(paleosol)と呼ばれる、当時の風化を受けた岩石は大気中の酸素の情報を含む。しかし古土壌は風化後、例外なく続成・変成作用を受けた弱変成岩であり、当時の風化過程は未だに理解されておらず、従って、古土壌から推定される大気酸素の濃度は常に曖昧さを伴う。我々は当時の風化条件を室内で模擬し、実際の古土壌のデータと比較することで、当時の鉱物-水-大気の相互作用を明らかにすることを研究目的とした。35-25億年前の大気中の二酸化炭素と酸素を想定し、二酸化炭素の分圧は1atm、酸素分圧は3x10(-5)atm以下の条件で、グローブボックス内でFe-rich biotiteを試料としてバッチ式の溶解実験を行った(非酸化的実験)。比較のため、同様な実験を現在の大気の雰囲気下で行った(酸化的実験)。酸化的実験では溶出したFe(II)が即座にFe(III)となり、Fe(III)が生成する、またこのため、溶液中ではFeは殆ど検出されない。非酸化的実験では溶液中のFe濃度が比較的多く、Fe(II)を含むvermiculiteが二次鉱物として、生成した。この結果を25億年前の古土壌と比較したところ、古土壌中でのFe(II)とFe(III)の分布変化、またchloriteのFe/Mg比変化が一致し、先カンブリア時代における風化時の鉄の挙動は、われわれの実験結果から予想されることがわかった。またflow throughタイプの溶解実験から、溶解速度は、非酸化的条件では酸化的条件より、3から4倍、早い、また、この溶解速度にFe(II)は影響しないことがわかった。
著者
峯松 信明 志甫 淳 村上 隆夫 丸山 和孝 広瀬 啓吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.98, pp.9-12, 2005-05-20
被引用文献数
19

音声に不可避的に混入する静的な非言語的特徴を表現する次元を有しない, 音声の構造的表象が提案されている(音響的普遍構造)。音声事象を全て分布として記述し, 全ての二分布間距離を正規化相互相関として求め, 事象群全体を一つの構造として捉える。得られた構造はアフィン変換でモデル化される静的な非言語的特徴によって歪むことがない。これは言語学的には構造音韻論の物理実装, 認知心理学的には音声ゲシュタルトとして解釈できる物理表象である。本稿では, 異なる2つの発声が各々構造的に表象された場合の距離尺度, 即ち構造間距離尺度の導出を行なう。まずユークリッド空間に存在する2つのN点構造間距離を導出し, 次にその近似解について検討する。

1 0 0 0 OA 模倣論序説

著者
村上 隆夫
巻号頁・発行日
1996

筑波大学博士 (文学) 学位論文・平成8年7月25日授与 (乙第1203号)