4 0 0 0 OA 熱中症とは

著者
松本 孝朗
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.5-6, 2015 (Released:2015-01-25)
被引用文献数
1 1
著者
松本 孝朗 小坂 光男 菅屋 潤壹
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.65-69, 1999-08-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
20
被引用文献数
1

暑熱に繰り返し暴露されると, 暑熱による負荷を軽減する適応が生じる.規期の暑熱順化では, 発汗能の亢進により熱耐性が獲得される.一方, 長期暑熱順化した熱帯地住民は, 非蒸散性熱放散能に優れ, 少量の発汗で有効に熱放散を行える.その発汗抑制には発汗中枢の活動性抑制と汗腺のアセチルコリン感受性低下の両者が関与する.発汗量を減少させる長期暑熱順化は, 暑熱環境での生存のための経済性を重視した適応戦略であり, 発汗量を増加させる短期暑熱順化は暑熱環境下での行動能率を重視した適応戦略と言えよう.後者は脱水の危険をはらんでおり, 体液・浸透圧調節の面からは, 前者が優れている.発汗反応の点からは両者は両極に位置するが, 果たして短期暑熱順化の延長線上に長期暑熱順化が位置するのか否か, 興味深い.地球温暖化が危惧されている今日, 暑熱環境への適応は重要な課題となるであろう.
著者
樊孟 松本 孝朗
雑誌
中京大学体育学論叢
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.33, 2016-03-15
著者
小坂 光男 大渡 伸 松本 孝朗 山下 俊一
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

【緒言】暑熱順化の形成過程における個体レベルの反応は急性の神経性・亜慢性の内分泌性調節変化に引き続いて器質性変化の誘発がある。この器質性変化と言えども細胞レベルにおいては温度刺激後の比較的早期に誘起される可能性は否めない。温熱生理学的手法に加えて、昨今、がん温熱療法のハイパ-サ-ミア分野で脚光を浴びている温熱感受性・熱耐性に関連の深い熱ショック蛋白(Heat shock proteins:HSPs)の誘導の有無を検索し、暑熱負荷時の生体反応、特に暑熱順化機序を個体および細胞レベルで解析・究明することを研究の目的としている。【方法】ナキウナギ、ラット、家ウサギに熱ショック(直腸温:42℃,15分)や寒冷ショック(直腸温:20℃,30ー120分,平成2年度はさらに筋肉・脳温を42℃,15分間加温負荷)を加え、各種体温調節反応を記録、動物は20時間後 10%SDSーPAGEによって、肝・腎・脾・副腎・脳・筋肉の各組織のcytosol fractionに新しい蛋白質(HSPs)の誘導の有無を検索、一部、HSP 70抗体によるWestern Blotting法によって詳細な分析を加えた。【結果】1熱ショック負荷方法(直腸温42℃に到達時間20ー30分が至適)で多少結果に差異が生じるが、2家ウサギで肝の cytosol fraction に 68KD の HSP の誘導、3ラットでは殆んど全組織で HSPs 70KD の誘導、4ナキウナギでは5例中1例において肝ーcytosol frction で 70KD 誘導、他の組織では HSPs の誘導困難、5寒冷ショックによる Cold shock protein(CSP)の検出に関してはラットの肝の cytosol fraction で 32KD の蛋白質が寒冷ショックによって消失する1例を観察している。6すべての動物の筋肉および脳のcytosol fraction で HSP の誘導はやや困難であるが、熱ショック負荷方の改善筋および脳(被殼)温度を42℃,15分間、直腸温43℃によって陽性の結果を得ており、今後更に検討を行う。【まとめ】熱耐性に関連の深い熱ショック蛋白(HSPs)が暑熱負荷20時間以後には細胞内に誘導される本研究結果は暑熱順化機序解明に光明を与える快挙である。
著者
松本 孝朗 山下 直之 伊藤 僚 樊 孟 稲葉 泰嗣 渡辺 新大
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.130_1, 2018

<p> 2020東京オリンピックとパラリンピックが開催される真夏の東京の「高温・多湿」の暑さは、選手はもちろん、観客、スタッフやボランティアにとっても大きな問題であり、熱中症の大量発生も危惧される。【方法】2017年7・8月、東京オリ・パラのマラソンコース(国立競技場⇔浅草雷門)1km毎の21地点に、携帯型WBGT計(黒球式熱中症指数計、タニタ)を設置し、1分毎のWBGTを記録した。時間を横軸に、スタートからの距離を縦軸にとり、18℃~23℃(黄色)、23℃~28℃(褐色)、28℃~31℃(赤色)、31℃以上(黒色)の色スケールでWBGTを表し、「WBGT(時間×位置)マッピング」を作成した。【結果・考察】2017年の東京は涼夏であったが、実測した6日間のうち暑い方の2日においては、午前7時半(スタート予定時刻)~10時のコースほぼ全体が、WBGT28℃~31℃(赤色:熱中症リスク極めて高い、市民マラソン競技を行なってはならない)、31℃以上(黒色:原則運動中止)であった。スタート時刻を1時間繰り上げることで、大きく緩和できることが示された。【結語】スタート時刻の繰り上げを提言したい。</p>
著者
田井村 明博 松本 孝朗 大渡 伸
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究ではこれまでの水泳中の発汗量(体重減少量),水分摂取量についての結果を踏まえたうえで,水温,運動強度(泳速度)が発汗量および体温におよぼす影響と(実験1),水泳選手の体温調節反応の特性(実験2)を検討することを目的とした.対象は実験の目的,方法についての説明を行い,被験者として協力の承諾が得られた大学男子選手5名であった.実験1では水温2種類(26.4℃,29.2℃),泳速3種類(1,500m自由形ベスト記録の90%,95%,97.5%の泳速度)の条件で1,500m自由形を行わせた.測定は1,500mの記録,体温,心拍数,自覚的運動強度(R.P.E.)および体重減少から求めた発汗量であった.実験2では人工気象室内26℃,33%rhの条件にて,Water Bath法により温熱刺激を与え,下肢局所加温時の局所発汗量,発汗波,鼓膜温,皮膚温,を連続記録した.実験1では,心拍数,R.P.E.,体温変化は泳速(運動強度)による有意な差が認められ,泳速によって上昇することが認められたが,水温による有意な変化は認められなかった.発汗量は泳速,水温において有意な差が認められ泳速の上昇に伴い,また水温が高いほど発汗量が多くなった.以上の結果より,本研究で設定した水温の範囲では水泳中の体温は水温よりも泳速に影響されると考えられる.水温が高くなると発汗量が増えるので,水温が30℃前後あるいはそれ以上の水温での泳速度の大きい水泳トレーニングでは,水泳中の脱水予防と過度の体温上昇を押さえるために発汗に応じた水分摂取が必要であることが示唆された.実験2では陸上種目の鍛練者と比較して発汗開始時間が早く,発汗量が多い傾向にあった水泳選手の体温調節反応の明確な特徴は見いだせなかった.今後の検討課題としたい.
著者
北尾 直也 八幡 剛浩 松本 孝朗 岡松(小倉) 優子 大町 麻子 木村 和弘 斉藤 昌之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1065-1068, 2007-10-25

脱共役蛋白質UCP1は熱産生組織である褐色脂肪に特異的に発現し,寒冷下における体温調節に寄与している.高原性ナキウサギ(Ochotona dauurica)はモンゴルや中国北方の寒冷高地帯に生息する小型の非冬眠動物であり,同環境への適応にUCP1の関与が示唆されている.本研究では,高原性ナキウサギのUCP1 cDNAをクローニングし,ヌクレオチド配列を決定した.予想されるアミノ酸配列は他の動物種のUCP1と高い相同性を示し,UCPファミリーに共通するいくつかの配列が確認された.また,様々な組織におけるUCP1 mRNAおよび蛋白質を調べたところ,肩甲骨間の皮下脂肪組織に発現が認められたが,他の部位の脂肪組織や心臓,骨格筋,脳などには発現が認められなかった.これらの結果は,高原性ナキウサギのUCP1が褐色脂肪組織での熱産生に貢献していることを示唆する.