著者
松本 裕行
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100350, 2017 (Released:2017-05-03)

2015(平成27)年は,戦後70年としてアジア・太平洋戦争の終結前後における日本の史実についての活発な議論が行われた.占領期日本の空間社会的変容は,戦後日本の歩みと現代日本の立ち位置を知る上では重要である.米軍進駐により接収された土地や建物,いわゆる接収不動産は「占領」という影響を多大に受けた対象であった.これまで,占領軍専用住宅の概要や(商工省工芸指導所1948),その建設方法と生活用品の仕様に関する分析(小泉ほか 1999),既存の一般住宅の接収に関する東京や京都を対象とした調査がなされてきた.また,接収にともなう改修工事の実例とその特徴,生活設備の産業技術的な側面に焦点を当てた調査も進められた(松本 2014・2016). 接収不動産をめぐる占領軍の意図や生活環境の日米の差異と戦後日本への影響などといった事柄は,今後も検討されるべき余地が残されており,接収不動産の実態をより精査することも,占領下の日本社会に与えられた影響の一端を明らかにできるものと考えられる. 本発表では,一次資料を重点的に調査して実証的分析を進めてきた中で,これまで具体化されてこなかった占領期大阪の接収不動産に関する総合的な調査結果と,今後の研究展望について報告するものである.
著者
松本 裕治 武田 浩一 永田 昌明 宇津呂 武仁 田代 敏久 山下 達雄 林 良彦 渡辺 日出雄 竹澤 寿幸
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.48(1998-NL-125), pp.1-8, 1998-05-28

近年,電子化テキストの急激な増加,および,インターネットによる一般利用者の電子媒体への日常的なアクセスに伴って,言語処理研究と言語に関する実用技術の間のギャップが徐々に狭まってきており,実用的な自然言語処理研究という言葉が真に現実的な意味を持ち出してきた.本報告では,そのような実用的言語処理技術の事例のいくつかを「ここまでできるぞ言語処理技術」というタイトルで紹介する.
著者
北村 美穂子 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.3-25, 2006

高精度の機械翻訳システムや言語横断検索システムを構築するためには, 大規模な対訳辞書が必要である.文対応済みの対訳文書に出現する原言語と目的言語の単語列の共起頻度に基づいて対訳表現を自動抽出する試みは, 対訳辞書を自動的に作成する方法として精度が高く有効な手法の一つである.本稿はこの手法をベースにし, 文節区切り情報や対訳辞書などの言語知識を利用したり, 抽出結果を人間が確認する工程を設けたりすることにより, 高精度で, かつ, カバレッジの高い対訳表現抽出方法を提案する.また, 抽出にかかる時間を削減するために, 対訳文書を分割し, 抽出対象とする文書量を徐々に増やしながら確からしい対訳表現から段階的に抽出していくという手法についても検討する.8,000文の対訳文書による実験では, 従来手法は精度40%, カバレッジ79%であったのに対し, 言語知識を利用した提案手法では, 精度89%, カバレッジ85%と向上した.さらに人手による確認工程を設けることにより, 精度が96%, カバレッジが85%と向上した.また, 16,000文の対訳文書による実験では, 対訳文書を分割しない方法では抽出時間が約16時間であったのに対し, 文書を4分割する方法では, 約9時間に短縮されたことを確認した.
著者
工藤 拓 山本 薫 松本 裕治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.47(2004-NL-161), pp.89-96, 2004-05-14

本稿では Conditonal Random Fields (CRF) に基づく日本語形態素解析を提案する. CRFを適用したこれまでの研究の多くは 単語の境界位置が既知の状況を想定していた. しかし 日本語には明示的な単語境界が無く 単語境界同定と品詞同定を同時に行うタスクである日本語形態素解析にCRFを直接適用することは困難である. 本稿ではまず 単語境界が存在する問題に対するCRFの適用方法について述べる. さらに CRFが既存手法(HMM MEMM) の問題点を自然にかつ有効に解決することを実データを用いた実験と共に示す. CRFは 階層構造を持つ品詞体系や文字種の情報に対して柔軟な素性設計を可能にし label biasやlength biasを低減する効果を持つ. 前者はHMM の欠点であり 後者はMEMMの欠点である. また 2つの正則化手法(L1-CRF/L2-CRF) を適用し それぞれの性質について論じる.
著者
大山 浩美 小町 守 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.195-225, 2016-03-14 (Released:2016-06-14)
参考文献数
47
被引用文献数
5

近年,様々な種類の言語学習者コーパスが収集され,言語教育の調査研究に利用されている.ウェブを利用した言語学習アプリケーションも登場し,膨大な量のコーパスを収集することも可能になってきている.学習者が生み出した文には正用だけでなく誤用も含まれており,それらの大規模な誤用文を言語学や教育などの研究に生かしたいと考えている.日本語教育の現場では,学習者の書いた作文を誤用タイプ別にし,フィードバックに生かしたい需要があるが,大規模な言語学習者コーパスを人手で分類するのは困難であると考えられる.そのような理由から,本研究は機械学習を用いて日本語学習者の誤用文を誤用タイプ別に分類するというタスクに取り組む.本研究は,以下の手順で実験を行った.まず,誤用タイプが付与されていない既存の日本語学習者コーパスに対し,誤用タイプ分類表を設計し,誤用タイプのタグのアノテーションを行った.次に,誤用タイプ分類表の階層構造を利用して自動分類を行う階層的分類モデルを実装した.その結果,誤用タイプの階層構造を利用せず直接多クラス分類を行うベースライン実験より 13 ポイント高い分類性能を得た.また,誤用タイプ分類のための素性を検討した.機械学習のための素性は,単語の周辺情報,依存構造を利用した場合をベースライン素性として利用した.言語学習者コーパスの特徴として,誤用だけではなく正用も用いることができるため,拡張素性として正用文と誤用文の編集距離,ウェブ上の大規模コーパスから算出した正用箇所と誤用箇所の置換確率を用いた.分類精度が向上した誤用タイプは素性によって異なるが,全ての素性を使用した場合は分類精度がベースラインより 6 ポイント向上した.
著者
中西 匠 松本 裕史
雑誌
健康運動科学 (ISSN:2185338X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.45-53, 2011-10

Revitalization of peer learning in university skiing practice classes by introducing buddysystem and utilizing learning cards while riding ski lifts.In physical education classes, peer learning among students plays an important role in integratingtheir awareness of skills and proficiency at techniques, thus promoting autonomouslearning and improving communication skills. During skiing classes, training is carried out by instructorswith small groups of students. Although there is a communication/receptive manualin place for this type of training, methodologies that promote peer learning among students arestill at an early stage of development.This study investigated revitalization of peer learning among students by introducing amethod whereby students taught each other during classes utilizing a buddy system. With thissystem, the students were split into pairs, with the pairs rearranged for each training section,while learning cards were also developed for review while riding the ski lift. Implementation ofthese methods resulted in promotion of peer learning among students, the effectiveness ofwhich was also verified by positive feedback received from them.
著者
大山 浩美 小町 守 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.195-225, 2016
被引用文献数
5

近年,様々な種類の言語学習者コーパスが収集され,言語教育の調査研究に利用されている.ウェブを利用した言語学習アプリケーションも登場し,膨大な量のコーパスを収集することも可能になってきている.学習者が生み出した文には正用だけでなく誤用も含まれており,それらの大規模な誤用文を言語学や教育などの研究に生かしたいと考えている.日本語教育の現場では,学習者の書いた作文を誤用タイプ別にし,フィードバックに生かしたい需要があるが,大規模な言語学習者コーパスを人手で分類するのは困難であると考えられる.そのような理由から,本研究は機械学習を用いて日本語学習者の誤用文を誤用タイプ別に分類するというタスクに取り組む.本研究は,以下の手順で実験を行った.まず,誤用タイプが付与されていない既存の日本語学習者コーパスに対し,誤用タイプ分類表を設計し,誤用タイプのタグのアノテーションを行った.次に,誤用タイプ分類表の階層構造を利用して自動分類を行う階層的分類モデルを実装した.その結果,誤用タイプの階層構造を利用せず直接多クラス分類を行うベースライン実験より 13 ポイント高い分類性能を得た.また,誤用タイプ分類のための素性を検討した.機械学習のための素性は,単語の周辺情報,依存構造を利用した場合をベースライン素性として利用した.言語学習者コーパスの特徴として,誤用だけではなく正用も用いることができるため,拡張素性として正用文と誤用文の編集距離,ウェブ上の大規模コーパスから算出した正用箇所と誤用箇所の置換確率を用いた.分類精度が向上した誤用タイプは素性によって異なるが,全ての素性を使用した場合は分類精度がベースラインより 6 ポイント向上した.
著者
東 藍 浅原 正幸 松本 裕治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.53(2006-NL-173), pp.67-74, 2006-05-19

本稿では,日本語形態素解析において問題となる未知語処理に対して条件付確率場(ConditionalRandomFields CRF)を適用する手法を提案する.提案手法では,形態素解析と同時に入力文中の部分文字列に対して未知語候補を追加することにより,形態素解析と未知語処理を同時に行う.また,従来最大エントロピーマルコフモデル(MaximumEntropyMarkovModelMEMM)などを適用した手法で指摘されてい0たlabelbiasあるいはlengthbiasの影響は,単に既知語の解析において問題になるだけではなく,未知語処理においても重要な問題となることを示し,CRFを適用することによりこれらの問題が解決されることを示す.そして大規模な正解タグ付コーパスを用いて実験し,本稿の提案手法の有効性を検証した
著者
高村 大也 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SIG03(TOD17), pp.1-10, 2003-03-15

Latent Semantic Indexing(LSI)などの次元圧縮手法による構成的帰納学習法を,サポートベクターマシン(Support Vector Machine,SVM)と組み合わせて文書分類に応用した場合の振舞いを論じる.SVM の分類能力は,通常用いられる次元圧縮では向上させることが困難である.しかし,次元圧縮手法により変換された文書ベクトルを素性として元のベクトルに追加することにより,その向上が可能であることを示す.実験では,次元圧縮に用いる未知データの量が十分大きい場合に精度改善が見られた.
著者
中村 哲 松本 裕治 戸田 智基 サクリアニ サクティ Neubig Graham Duh Kevin 小町 守 高道 慎之介
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

同時通訳基本方式研究として、フレーズベース統計翻訳における右確率を用いた同時通訳方法により、翻訳単位を短くする方法、翻訳単位の長さを調整する手法を提案した。さらに、形態素情報を使って文を分割する方法、Tree-to-string翻訳での部分構文構造を考慮して分割する方法を提案して高精度化を実現。さらなる精度改善のため、訳文に単語順序の入れ替えが発生するかを予測するモデルを構築すると共に、ニューラル翻訳の実装、統計翻訳のリランキング、注意型ニューラル翻訳の研究を進めた。また、同時通訳コーパスとして日英合計約80時間、講義データの書き起こし約50時間、うち約22時間分の日英翻訳を完了した。
著者
吉本 暁文 新保 仁 原 一夫 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLP, 音声言語情報処理
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-6, 2015-05-18

一般的に依存構造解析のアルゴリズムでは,句構造を扱わないために並列構造を考慮することが難しい.そこで,依存構造解析のための Eisner アルゴリズムを,並列構造解析ができるように拡張した.その規則の導出木は,既存の依存構造のアノテーションから導出することができる.
著者
林部 祐太 小町 守 松本 裕治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-8, 2011-05-09

文脈情報と格構造の類似度を用いた日本語文間述語項構造解析手法を提案する.センタリング理論に基づく局所文脈情報と述語と項候補の共起頻度といった意味的情報という大まかには2つの情報を用いて従来の文間述語項構造解析は行われてきた.ところが,いずれの手法を用いても,「Xを逮捕した」という文をもとに「自首した」のガ格項がXであると判定することはできなかった.そこで本論文では,格構造の類似度と述語項構造解析の履歴を用いることで,文章全体の文脈情報(大域文脈情報)から文間述語項構造解析を行うことを提案する.We improve Japanese inter-sentential predicate argument structure analysis with contextual information and similarity between case structures. Two types of clues have been often used in previous work. One is local contextual information based on centering theory, and the other is semantic information such as co-occurrences between a predicate and an argument candidate. However, those approaches fail to identify the nominative argument in the sentence "He turned himself in to police", even if the document has a sentence like "The police arrested him." Thus, we propose a new method using global contextual information and similarity between case structures in order to exploit global contextual information over a document.
著者
浅原 正幸 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.1442-1450, 2004-05-15

一般的に日本語固有表現抽出で提案されている手法は形態素解析とチャンキングの組合せによる.形態素解析出力結果をそのままチャンカの入力にすると,形態素解析結果より小さい単位の固有表現を抽出することは困難である.そこで,文字単位でチャンキングを行う手法を提案する.まず,統計的形態素解析器で入力文を冗長的に解析を行う.次に,入力文を文字単位に分割し,文字,字種および形態素解析結果のn 次解までの品詞情報などを各文字に付与する.最後に,これらを素性として,サポートベクトルマシンに基づいたチャンカにより決定的に固有表現となる語の語境界を推定する.CRL 固有表現データを用いて評価実験(交差検定5-fold )を行った結果,F 値0.87 という高精度の結果が得られた.
著者
浅原 正幸 松本 裕治
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.4(2002-NL-153), pp.49-56, 2003-01-20

一般的に日本語固有表現抽出で提案されている手法は形態素解析とチャンキングの組み合わせによる.形態素解析出力結果をそのままチャンカーの入力にすると,形態素解析結果より小さい単位の固有表現を抽出することは困難である.そこで,文字単位でチャンキングを行う手法を提案する.まず,統計的形態素解析器で入力文を冗長的に解析を行う.次に,入力文を文字単位に分割し,文字,字種および形態素解析結果のn次解までの品詞情報などを各文字に付与する.最後に,これらを素性として,サポートベクトルマシンに基づいたチャンカーにより決定的に固有表現となる語の語境界を推定する.この手法により,1次解のみを用いる場合より豊かな素性をチャンカーに与えることができ,固有表現抽出の精度を向上させることができた.CRL 固有表現データを用いて評価実験(交差検定 5-fold)を行った結果,F 値約 88% という高精度の結果が得られた.
著者
松本 裕司
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、オフィスにおける感性価値が経営面、活動面に及ぼす影響について研究した。具体的には、①オフィスに求める場所選択の多様性及び選択要因、②デザインが組織戦略の浸透に及ぼす影響、③役立たないコミュニケーションの価値、④集団凝集力とオフィス環境との関係、⑤特別感と働きたいの関係、⑥コワーキングスペースの環境要件、⑦組織横断型ワークスタイルに求められる環境因子、⑧フューチャーセッションに適した環境印象調査、を通して、多面的な知見を得た。
著者
井手 厚 東 藍 松本 裕治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-6, 2010-05-20

Web 上の文章には,意図的に誤変換された漢字などを含む,多くの表記ゆれ表現が存在しており,Web フィルタリングを行う上では表記ゆれに対応したシステムを構築することが有効である.本論文では表記ゆれ表現を同定する方法として,KAKASI による漢字かな変換機能と MeCab の分かち書き機能という 2 つの技術を利用した手法について提案する.意図的に誤変換された表記を抽出するために,KAKASI を用いた読み候補の作成を行い,その読み候補が妥当かどうかについての判断を MeCab を利用して行う.本手法の効果を実験によって確認した.Web documents tend to include a number of spelling variations. Especially, in Japanese pages, some variations are intentionally used to hide improper words or expressions. This paper proposes to cope with this problem in two steps: expansion of possible pronunciation by KAKASI and morphological analysis by MeCab. Alter an exhaustive expansion of pronunciation of Kanji characters by KAKASI, and matching with the dictionary of improper expressions, Japanese morphological analyzer MeCab analyses the original sentence assuming the matched expressions existed in its system dictionary. We verify the effectiveness of our idea through experiments using sentences extracted from a real BBS.
著者
柳 敏晴 西田 順一 橋本 公雄 藤永 博 堤 俊彦 松本 裕史 榮樂 洋光 手島 史子 中島 俊介
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

平成 22 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別項目収集及び整理検討と予備調査、プログラム別仮プログラム作成・実施と要因探索から、プログラム開発・モデル構築を試みた。平成 23 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別本調査実施と尺度の信頼性・妥当性の検討から進め、プログラム別修正プログラムの実施し、因果モデル作成を試み、プログラム開発とモデル構築を進めた。平成 24 年度は、対象者別プログラム評価への使用と妥当性検討から、効果測定尺度作成を試み、プログラム開発とモデル構築に挑戦した。
著者
松本 裕治 杉村 領一
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.308-315, 1986-10-15
被引用文献数
8 1

構文解析システムSAXは,DCG (Definite Clause Grammars)で記述された文法を対象とする自然言語処理用のシステムで,DCGをPrologのプログラムに変換するトランスレータより成る.変換の手法自体は,DCGで記述された文法規則から並列論理型言語への変換を目的として考えられたものであるが,逐次型言語の上で実現されても効率のよい構文解析システムとして利用することができる.SAX (Sequential Analyzer for syntaX and semantiCS)は,特に逐次型言語の上で開発されたシステムの呼び名である.並列論理型言語の上で実現されたシステムは,PAX (Parallel AX)と呼ばれる.変換によって得られたPrologプログラムは,Prologに完全にコンパイルされたものになっており,副作用を用いないことやプログラムの動作が決定的になっていることなどの特徴がある.本システムは,特に,コンパイラを有するPrologに向いた構文解析システムである.