著者
岡田 洋二 首藤 亜紀 丘島 晴雄 吉澤 清良 大澤亜 貴子 紅林 佑介 大瀧 純一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.107-114, 2013 (Released:2013-01-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

唐辛子の辛味成分であるカプサイシン(capsaicin,CAP)の抗酸化活性部位を特定することを目的に,CAPの主要骨格であるグアヤコール構造を有する3種化合物の抗酸化活性( kinh) を速度論的に比較検討した。また,CAP分子表面上の静電ポテンシャルエネルギーの最大値(maximam potential energy,MPE)を分子軌道計算で求めて同様に検討した。速度論的に求めたグアヤコール誘導体のk inh値は4.4×10 3 ~ 1.2×10 4 M-1sec -1で,CAPでは5.6×10 3 M-1sec -1とほぼ同じ値であった。また,グアヤコール骨格を持たずCAPのacetamide部位を有するN -benzylacetamideには抗酸化活性が全く認められなかったことから,CAPの抗酸化活性を有する部位はグアヤコール骨格部分のフェノール性水酸基であることが推測された。この結果は,CAP分子表面上のMPEを分子軌道法に基づいた計算の結果からも確認することができた。以上,速度論的研究と分子軌道法に基づいた計算結果より,CAPの抗酸化活性部位はそのフェノール性水酸基であることが強く示唆された。
著者
紅林 佑介 原田 祐輔 井上 善久
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-8, 2016-03-20 (Released:2017-09-25)
参考文献数
20

目的:精神科看護師の職業性ストレスと看護実践能力との関連性を明らかにし、精神科看護師の看護実践能力の向上を促進する支援策について考察することとした。方法:精神科病院に勤務する看護職者56 名を対象に、属性項目の調査、職業性ストレス簡易調査票を用いた職業性ストレスの調査、看護問題対応行動自己評価尺度(OPSN)を用いた看護実践能力の調査を行った。結果:平均年齢は44.6±12.2歳、精神科経験年数は13.7±7.3年であった。OPSNの5つの下位尺度全ての平均点は18 点以上だった。重回帰分析を行ったところ、OPSN に関連した変数は「仕事や生活の満足感」と「抑うつ感」および「心理的な仕事の負担(質)」であった。考察:経験の豊富な精神科看護師の看護実践能力の向上は、経験年数ではなく、仕事や生活に満足感を抱き、些細な場面でも援助内容を内省することと関連すると考えられた。精神科看護師の看護実践能力を向上させるためには、仕事への満足感を感じやすくし、援助の内省という苦痛の伴う作業へのサポートを通じて抑うつを軽減すること、治療的かかわりをする上で重要なサインを優先して教育するなどの支援策が必要であると考えられる。
著者
若狭 雅信 小林 佑輔 岡野 光俊
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.271-275, 2006-08-25 (Released:2011-02-17)
参考文献数
20

半導体光触媒である酸化チタン (TiO2) 薄膜による, メチレンブルー (MB) の光触媒分解反応に対する磁場効果を0-1.5 Tの磁場下で研究した. MB水溶液中で酸化チタン薄膜に光照射すると, 光触媒反応により, MBが分解され, N-メチル基が脱メチル化したAzure AおよびAzure Bが得られた. MBの分解量を紫外可視吸収スペクトルにより定量した.OTと1.5Tの磁場下では, 1.5Tのほうが, 約7%分解量が増加した. 磁場効果のメカニズムとしては, Δg機構によりTiO2薄膜中の電子-正孔対の寿命が延びたものと考えられる.
著者
高橋 忠伸 紅林 佑希 大坪 忠宗 池田 潔 南 彰 鈴木 隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.689-701, 2016-12-05 (Released:2017-01-12)
参考文献数
67

インフルエンザA型及びB型ウイルスや一部のパラミクソウイルスは,ウイルス受容体のシアル酸を糖鎖末端から切断する酵素「シアリダーゼ」を持つ.これらのウイルスの感染細胞上には,ウイルス遺伝子に由来するシアリダーゼが豊富に発現する.著者らが開発したシアリダーゼ蛍光イメージング剤「BTP3-Neu5Ac」は,シアリダーゼ活性の存在部位を組織化学的に蛍光染色する.BTP3-Neu5Acを利用することで,ウイルス抗体や細胞の固定化操作を必要とせずに,これらのウイルス感染細胞を簡便迅速に蛍光イメージングできる.さらに,インフルエンザ治療薬であるシアリダーゼ阻害剤をBTP3-Neu5Acと併用することで,薬剤耐性化インフルエンザウイルスの感染細胞を選択的に蛍光イメージングして,薬剤耐性化ウイルス株を高効率に単離することができる.本稿では,BTP3-Neu5Acを利用したウイルス感染細胞の蛍光イメージングについて概説する.
著者
奥田 知明 黒田 寿晴 奈良 富雄 岡本 和城 岡林 佑美 直井 大輔 田中 茂 HE Kebin MA Yongliang JIA Yingtao ZHAO Qing
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.287-292, 2009-04-05
被引用文献数
1

発がん性を有する多環芳香族炭化水素類(PAHs)の定量分析時における夾雑物除去操作の利便性向上を目指し,自動化カラムクロマトグラフィー装置の開発を行った.本装置は,夾雑物除去用固相抽出管を最大8本,展開溶媒は最大3種類,滴下容量は最大1 mL/ストロークでその分解能は1 μL,回収容器は最大8×3=24本までセット可能である.開発された自動化カラムクロマトグラフィー装置を用いて夾雑物除去操作を行った際のPAHs回収率は,手作業による精製を行った場合と比較して103±9% であり,両者は極めて良好に一致した.この自動化により,8検体の処理に要する時間は手作業の場合の半分である約45分に短縮され,また自動運転中は放置できるため,分析者にとっての利便性が著しく向上した.本研究により確立された高速ソックスレー抽出/自動化カラムクロマトグラフィー/高速液体クロマトグラフィー/蛍光検出法を中国北京市で採取された大気浮遊粒子状物質中のPAHsの定量へ応用した.測定された15種類のPAHs濃度の総和(ΣPAHs)は,暖房期では198.5±149.8 ng/m<sup>3</sup>(<i>n</i>=24),非暖房期では50.1±63.7 ng/m<sup>3</sup>(<i>n</i>=51)であり,北京市において特に冬季に暖房のための石炭燃焼由来のPAHsによる汚染が深刻化することが示された.
著者
大澤 義明 鈴木 勉 秋山 英三 吉瀬 章子 宮川 雅至 小市 俊悟 渡辺 俊 堤 盛人 藤井 さやか 竹原 浩太 有田 智一 田中 健一 小林 佑輔 櫻井 一宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は,老朽化する都市インフラ整備の選択集中に関して,独自にデータ収集し,実証分析を実行し,同時に理論的知見を導くことを通じ,施設整備に関する具体の政策を提言することを目的としている.最初に研究基盤を構築した上で,逐次廃止手法の効率性評価,リスク分析における効率性と冗長性とのトレードオフ構造等に関する理論研究・実証研究を展開した.様々な自治体と意見交換・情報収集することから,実装対象を北海道網走郡津別町,茨城県土浦市,茨城県常総市に絞り,研究・理論の自治体への実装を進めた.
著者
林 佑樹 小尻 智子 渡邉 豊英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.88, pp.39-44, 2008-06-07
被引用文献数
1

仮想世界での協調学習では,通信手段が制約されるため限られた情報しか取得できず,他者と円滑に学習することが困難である.実世界の協調学習では,発言や動作,そして相手の表情といった学習活動情報を,学習場の雰囲気や他者の状況から把握し,特定の他者・物に注目することができる.他者と協力して学習するためには,これらの学習活動に基づいて注目意識を直接反映できる学習空間であることが望ましい.本研究では,学習者の活動を注目変化のトリガと捉えて学習者の注目対象を推定する機構を考案し,注目の度合いに応じた学習空間への視線・視野を実現するインタフェースを提案する.また,構築したプロトタイプ・システムを用いて,注目対象推定機構と被験者の活動対象とを比べた評価実験を実施し,注目対象推定機構が学習者の注目対象の7割を正しく特定できたことを確認した.