著者
島津 明人 川上 憲人 宮本 有紀 大塚 泰正 種市 康太郎 西 大輔 津野 香奈美
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,米国およびカナダで開発されたCREW(Civility, Respect & Engagement with Work)プログラムに関して,(1)日本版CREWプログラムの開発,(2)日本の職場での適用可能性の検討,(3)実施効果の検討,の3点を目的とした。某大学病院の2つの病棟を対象にプログラムを実施し(2014年9月~2015年2月の6か月間)中間解析を行った結果,参加者の大部分を占める看護職において,ワーク・エンゲイジメントの得点が上昇する傾向が認められた。
著者
行動医学コアカリキュラム作成ワーキンググループ 堤 明純 石川 善樹 乾 明夫 井上 茂 島津 明人 諏訪 茂樹 津田 彰 坪井 康次 中尾 睦宏 中山 健夫 端詰 勝敬 吉内 一浩
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.63-68, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
4
被引用文献数
3

行動科学について、医学生が卒業時に求められるコンピテンシーを明らかにすることを目的として、デルファイ法による調査を行った。日本行動医学会教育研修委員会の下に設置されたワーキンググループで、行動科学(行動医学)に関して、医学生が卒業時までに身につけておきたいと思われる知識や技術(コンピテンシー項目)のリストアップを行い、日本行動医学会評議員111名に対して、2ラウンドのデルファイ様式のオンライン調査に参加を呼びかけた。電子メールによる呼びかけに対し26名が参加した。参加者のうち、17名は心理学、5名は臨床、2名は看護、5名は社会医学のバックグラウンドを有していた(一部重複あり)。8名は大学医学部での講義の受け持ちを持っており、教育歴は平均11年であった。2回の調査で「説明もしくは概説できる」と集約されたコンピテンシー項目は、ストレスとコーピング、動機付け、行動療法、認知行動療法、利用者-医療者関係、医療者関係、クオリティ オブ ライフ、ソーシャルサポート、セルフ・エフィカシー、刺激統制、リラクセーション法、アドヒアランス、服薬行動、傾聴技法および質問技法であった。「知っている必要あり」と集約されたコンピテンシー項目は、情報処理の自動化、ローカスオブコントロール、ティーチング、社会的認知、性行動、エンパワーメントであった。回答数は少ないものの、専門家からの意見として得られた今回の所見は、我が国の医学部における行動医学のカリキュラムを開発するにあたって参考になると考えられる。
著者
島津 明人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.261-266, 2018 (Released:2018-04-01)
参考文献数
22

産業構造の変化, 働き方の変化, 情報技術の進歩など従業員や組織を取り巻く社会経済状況が大きく変化している. こうした変化に伴い, 従業員はこれまでよりも健康で, 「かつ」, いきいきと働くことが必要になってきた. 本稿は健康の増進と生産性の向上を両立させる鍵概念としてワーク・エンゲイジメントに注目する. 最初に, ワーク・エンゲイジメントが, 活力, 熱意, 没頭から構成される概念であることを定義したうえで, ワーク・エンゲイジメントの先行要因と結果を統合した 「仕事の要求度-資源モデル」 を紹介した. 次に, 行動医学の視点からワーク・エンゲイジメントを高めるための方策について言及した.
著者
市倉 加奈子 日野 亜弥子 田上 明日香 井村 里穂 石田 陽菜 深瀬 裕子 村山 憲男 村瀬 華子 島津 明人 平井 啓 田ヶ谷 浩邦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.94.21046, (Released:2023-02-01)
参考文献数
39

Workplace changes, such as remote work during the COVID-19 pandemic, have caused serious psychological distress for workers. The aim of this study was to examine job stressors and coping strategies among Japanese workers during the pandemic. The study was a qualitative methods approach using a web-based survey for Japanese workers in May 2020. We asked about job stressors and coping strategies with free text comments. We performed context analysis and categorized job stressors and coping strategies. Of the participants, 59.2 % suffered psychological stress from workplace changes during the pandemic. We identified 11 categories of job stressors including “work-life balance,” “lack of communication,” “overwork,” and “diminishing work role.” We also identified 16 categories of coping strategies including “distraction,” “dealing with work tasks,” “looking for ways to communicate,” “environmental coordination of work-at-home,” “online chatting,” and “psychological disengagement.” This study shows that Japanese workers tried many ways to manage their job stressors under the burden of the state of emergency. In the future, we should examine the association between coping strategies and psychological distress during the COVID-19 pandemic.
著者
島津 明人
出版者
公益財団法人 パブリックヘルスリサーチセンター
雑誌
ストレス科学研究 (ISSN:13419986)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-6, 2010 (Released:2010-06-01)
参考文献数
38
被引用文献数
10 16

This article gives an overview of the recently introduced concept of work engagement: a positive, fulfilling, affective motivational state of work-related well-being. I first define engagement as a state including vigor, dedication, and absorption, and then refer to how engagement differs from related concepts (i.e., burnout and workaholism). Work engagement is a unique concept that is best predicted by job resources (e.g., autonomy, supervisory coaching, performance feedback) and personal resources (e.g., optimism, self-efficacy, self-esteem) and is predictive of psychological/physical health, proactive organizational behavior, and job performance. The most often used instrument to measure engagement is the Utrecht Work Engagement Scale, a self-report instrument that has been validated in many countries across the world. The paper closes with practical implications to improve work engagement in terms of job and personal resources.
著者
島津 明人
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.320-325, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本論文は、近年、新しく紹介されたワーク・エンゲイジメント(仕事に関して肯定的で充実した感情および態度)について概観したものである。最初に、エンゲイジメントが、活力、熱意、没頭から構成される概念であることを定義したうえで、先行要因と結果要因について言及した。すなわち、ワーク・エンゲイジメントは、仕事の資源(自律性、上司のコーチング、パフォーマンスのフィードバックなど)や個人の資源(楽観性、自己効力感、自尊心など)によって予測されるとともに、心身の健康、組織行動、パフォーマンスを予測することができる。次に、ワーク・エンゲイジメントに注目した組織と個人の活性化の方策について言及した。最後に、組織の活性化に向けたストレスチェック制度の戦略的活用について言及した。
著者
窪田 和巳 島津 明人 川上 憲人
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.69-76, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
37
被引用文献数
8

本研究では、仕事に関する積極的態度であるワーカホリズムとワーク・エンゲイジメントが、それぞれリカバリー経験(就業中のストレスフルな体験によって消費された心理社会的資源を元の水準に回復させるための活動)とどのような関連を有しているのか、 日本の労働者を対象として明らかにすることを目的とした。ワーカホリズム、ワーク・エンゲイジメント、リカバリー経験に関する各質問項目を含むインターネット調査を、調査会社である株式会社マクロミルの登録モニタを対象に行った(調査期間:2010年10月)。登録モニタから、性別、年代、居住地域が人口統計比率に合うように無作為抽出された13,564名の労働者に対して研究協力の案内が送付された。本研究では回答期間内に回答した先着2,520名を解析対象とした(男性1,257名、女性1,263名:平均年齢44.4歳、SD = 12.9)。分析は、各構成概念(ワーカホリズム、ワーク・エンゲイジメント、リカバリー経験)間の関連を明らかにするため、共分散構造分析を実施した。共分散構造分析の結果、ワーカホリズムとワーク・エンゲイジメントとは、弱い正の相関を有していた。また、ワーカホリズムは4つのリカバリー経験(心理的距離、リラックス、熟達、コントロール)と負の関連を有し、ワーク・エンゲイジメントは3つのリカバリー経験(リラックス、熟達、コントロール)と正の関連を有することが明らかになった。これらの結果は、ワーカホリズムはリカバリー経験を抑制するのに対して、ワーク・エンゲイジメントはリカバリー経験を促進することを示唆している。ワーカホリズムとワーク・エンゲイジメントは仕事に対して多くのエネルギーを費やす点では共通しているものの、リカバリー経験との関連については、それぞれ異なる影響を有することが考えられる。
著者
島津 明人
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.471-475, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
16

本稿では,労働者のメンタルヘルスについて,特にワーク・ライフ・バランスに注目して言及する. 従来の労働者のメンタルヘルス対策,特に第1次予防対策では,職場環境や働き方に焦点を当て,管理監督者教育,職場環境の改善,セルフケアの支援などが行われてきた.しかし,労働者のメンタルヘルスのあり方は,職場環境や働き方だけでなく,ワーク・ライフ・バランスや休み方など,仕事外の要因によっても影響を受ける.筆者らは,2008年にTWIN study(Tokyo Work-life INterface study)を立ち上げ,未就学児をもつ共働き夫婦のワーク・ライフ・バランスのあり方が自己とパートナーの健康に及ぼす影響をTWIN study Ⅰ,自己・パートナー・子どもの健康に及ぼす影響をTWIN study Ⅱの2つの大規模コホート研究を通じて明らかにしてきた.さらに,TWIN study Ⅲでは,労働者・夫婦・子どもの3者の健康を支援するプログラムを新しく開発し,その効果を無作為化比較試験によって評価してきた.本稿を通じて,心身医学と社会医学および心理学との協働が促進され,労働者の心身の健康の維持・向上につながれば幸いである.
著者
島田 恭子 島津 明人 川上 憲人
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.76-84, 2016 (Released:2017-06-23)

本研究では、未就学児を持つ日本人の共働き夫婦496組を対象に、ワーカホリズムとパートナーの精神的健康との関連における心理社会的メカニズムを検討した。ワーカホリズムがパートナーの精神的健康に影響を及ぼす心理社会的プロセスとしては、これまでに、パートナーのワーク・ライフ・バランスの悪化(家庭役割から仕事役割への葛藤の上昇)、パートナーへの社会的支援の低下、の2つのプロセスが明らかにされてきたが、本研究では、第3のプロセスとして、パートナーとのコミュニケーションに注目した。具体的には、自己のワーカホリズムが自己の心理的ストレス反応の上昇と職務満足感の低下を導き、パートナーとのネガティブなコミュニケーションを増加させることで、パートナーの心理的ストレス反応の上昇と家庭生活満足感の低下につながることを想定した。東京都某区の保育園に児を通わせる共働き夫婦を対象に自記式質問紙による調査を行った。想定した因果関係を共分散構造分析により分析し、モデル全体の妥当性を確認後、概念間の因果係数によりモデル各部の検証を行った。その結果、仮説モデルは男女ともに支持された。すなわち自己のワーカホリズムは、自己の心理的ストレス反応の上昇および職務満足感の低下を媒介して、パートナーへのネガティブなコミュニケーションの増加につながり、さらにパートナーの心理的ストレス反応の上昇とパートナーの生活満足感の低さにつながること、これらの関連は夫から妻、妻から夫のいずれの方向にも当てはまることが明らかになった。共働き夫婦のワーカホリズムに注目し、その影響が自己からパートナーへと至る心理社会的プロセスを大規模なカップルデータを用いて検討した本研究は、ワーカホリズムおよびワーク・ライフ・バランスに関する研究と実践に重要な示唆を与えるものと考えられる。
著者
尾形 明子 宮谷 真人 中尾 敬 島津 明人 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.33-42, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究は、不安と自己関連処理との関連について検討することを目的とした。60人の実験参加者は不安条件、ノイズ条件、負荷なし条件に割り当てられ、呈示された中性語に対して、自己関連づけ課題、他者関連づけ課題、意味課題の3つの方向づけ課題を行い、その後自由再生課題を行った。実験中、不安条件では不安を喚起させ、ノイズ条件では80dBのホワイトノイズを呈示した。その結果、不安条件では他の条件に比べて自己関連づけ課題の再生率が低くなっており、不安は自己関連づけ課題の再生成績にのみ影響を及ぼしている可能性が示された。
著者
網谷 真理恵 中尾 睦宏 中山 健夫 端詰 勝敬 吉内 一浩 石川 善樹 乾 明夫 井上 茂 島津 明人 諏訪 茂樹 津田 彰 堤 明純 坪井 康次
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.37-40, 2015

<p>諸言 : わが国の医学教育においては, 行動科学が医学教育の中で独立したカリキュラムとして取り扱われることはほとんどなく, 体系的な教育はなされていない.<br>方法 : 日本行動医学会評議員に対するデルファイ法を用いた意見調査から明らかになった医学部卒業時に求められる行動科学に関するコンピテンシーを基に討議を重ね, アウトカム志向型のカリキュラム案を考案した.<br>結果 : 演習や実習を取り入れた, 行動科学1単位=15時間の学習モデュールを提案した.<br>考察 : アウトカムに到達するために, 疾患の全人的理解および行動変容を目的とするロールプレイなどを取り入れた実習・演習や, 実際の治療戦略を考案するPBL, TBL形式の学習を推奨したい.</p>
著者
行動医学コアカリキュラム作成ワーキンググループ 中尾 睦宏 中山 健夫 端詰 勝敬 吉内 一浩 堤 明純 石川 善樹 乾 明夫 井上 茂 島津 明人 諏訪 茂樹 津田 彰 坪井 康次
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.63-68, 2014

行動科学について、医学生が卒業時に求められるコンピテンシーを明らかにすることを目的として、デルファイ法による調査を行った。日本行動医学会教育研修委員会の下に設置されたワーキンググループで、行動科学(行動医学)に関して、医学生が卒業時までに身につけておきたいと思われる知識や技術(コンピテンシー項目)のリストアップを行い、日本行動医学会評議員111名に対して、2ラウンドのデルファイ様式のオンライン調査に参加を呼びかけた。電子メールによる呼びかけに対し26名が参加した。参加者のうち、17名は心理学、5名は臨床、2名は看護、5名は社会医学のバックグラウンドを有していた(一部重複あり)。8名は大学医学部での講義の受け持ちを持っており、教育歴は平均11年であった。2回の調査で「説明もしくは概説できる」と集約されたコンピテンシー項目は、ストレスとコーピング、動機付け、行動療法、認知行動療法、利用者-医療者関係、医療者関係、クオリティ オブ ライフ、ソーシャルサポート、セルフ・エフィカシー、刺激統制、リラクセーション法、アドヒアランス、服薬行動、傾聴技法および質問技法であった。「知っている必要あり」と集約されたコンピテンシー項目は、情報処理の自動化、ローカスオブコントロール、ティーチング、社会的認知、性行動、エンパワーメントであった。回答数は少ないものの、専門家からの意見として得られた今回の所見は、我が国の医学部における行動医学のカリキュラムを開発するにあたって参考になると考えられる。
著者
加賀田 聡子 井上 彰臣 窪田 和巳 島津 明人
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.83-90, 2015 (Released:2015-11-19)
参考文献数
39

看護師を対象に、感情労働による心理学的影響を調べた近年の先行研究では、感情労働がバーンアウト/抑うつの悪化や職務満足感の向上に影響を与えることが着目されている。しかし、日本の看護師を対象に感情労働の心理学的側面に着目した先行研究は少なく、感情労働を要素別に分類し、ワーク・エンゲイジメントやストレス反応との関連を検証した研究は、我々の知る限り見当たらない。そこで本研究では、日本の看護師を対象に「看護師の感情労働測定尺度:ELIN」を用いて感情労働の要素を詳細に測定し、これらの各要素とワーク・エンゲイジメント、心理的ストレス反応および身体的ストレス反応との関連を検討することを目的とした。関東圏内の1つの総合病院に勤務する女性病棟看護師306名を対象に、感情労働(ELIN:「探索的理解」、「ケアの表現」、「深層適応」、「表層適応」、「表出抑制」の5下位尺度からなる)、ワーク・エンゲイジメント(The Japanese Short Version of the Utrecht Work Engagement Scale:UWES-J短縮版による)、心理的ストレス反応および身体的ストレス反応(職業性ストレス簡易調査票:BJSQによる)、個人属性(年齢、診療科、同居者の有無)に関する質問項目を含めた自記式質問紙を用いて調査を実施した(調査期間:2011年8~9月)。分析は、感情労働とワーク・エンゲイジメント、心理的ストレス反応および身体的ストレス反応との関連を検討するため、感情労働の各下位尺度を独立変数、ワーク・エンゲイジメント、心理的ストレス反応および身体的ストレス反応を従属変数、個人属性を調整因子とした重回帰分析を実施した。重回帰分析の結果、感情労働の構成要素の一つである「探索的理解」とワーク・エンゲイジメントとの間に正の関連が、「表出抑制」とワーク・エンゲイジメントとの間に負の関連が認められた。また、感情労働の構成要素の一つである「深層適応」と心理的ストレス反応および身体的ストレス反応との間に正の関連が認められた。これらの結果から、「探索的理解」を高め、「表出抑制」や「深層適応」を低減させるようなアプローチによって、看護師が自身の感情をコントロールしながらも、心身の健康を保持・増進するために有効な可能性が示唆された。
著者
島津 明人
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Special_issue, pp.131-137, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
21

Occupational mental health activities can be categorized into three strategies: primary, secondary, and tertiary preventions. Self-care training is one of the primary prevention activities, which aims to increase individual psychological resources such as coping. This article first refers to strategies for effective self-care training in occupational settings. Then, I introduced development process and contents of the evidence-based guideline for self-care education, which identifies factors facilitating self-care education in the workplace. I also introduced the self-care manual with tips for conducting self-care education and materials such as handouts and worksheet. This paper are expected to help the evidence-based self-care training prevail in more workplaces in Japan.
著者
吉川 徹 川上 憲人 小木 和孝 堤 明純 島津 美由紀 長見 まき子 島津 明人
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.127-142, 2007-07-20
参考文献数
29
被引用文献数
6

職場のメンタルヘルス向上を目的とした職場環境等の改善のためのアクションチェックリスト(Mental Health Action Check List, 以下MHACL)を開発した.ストレス対策一次予防における職場環境改善等の進め方と意義について検討した.3つのステップによりMHACLを開発した.(1)文献レビューと改善事例の収集と分類,改善フレーズの作成とMHACLのひな型作成,(2)産業現場への適用と産業保健スタッフ等を含むワークショップによる試用,(3)改善フレーズの見直しと改善領域の再構成を行って,広く職場で使える改善アクション選定チェックリストとして提案した.文献レビューにより職場環境等の改善を支援する8つの改善技術領域が整理された.全国の84事業場から延べ201件の事例の職場のストレス対策に役立った改善事例が収集できたので,これら事例から代表的な改善フレーズを抽出し,40項目からなるMHACL原案が作成された.現業職場の職員105名を対象としたMHACL利用の参加型研修会により,MHACLを用いて多様な改善提案を引き出せることが確認された.産業保健スタッフを対象としたMHACL利用のワークショップでは,MHACLの使用者とその受け手の明確化,使用手順と職域でのリスクアセスメント方法のマニュアル化,使用言語の平易化,などが必要と指摘された.これらの経験から,最終的に30項目で構成されるMHACLが作成された.それらの項目は,技術領域としてA)作業計画への参加と情報の共有,B)勤務時間と作業編成,C)円滑な作業手順,D)作業場環境,E)職場内の相互支援,F)安心できる職場の仕組みの6つの領域にまとめられた.現場ですぐ取り組めるメンタルヘルス改善アクション項目からなる職場環境改善用のチェックリストを作成した.今後チェック項目を利用した職場介入経験者との意見交換を行って,使いやすいチェックリストと利用方法を検討していく予定である.MHACLの利用によるストレス対策一次予防の推進による成果が期待される.
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。