著者
片岡 裕介 及川 清昭 浅見 泰司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
no.39, pp.829-834, 2004-10-25
参考文献数
19
被引用文献数
2

本研究では,通常,周辺住民から好まれない施設である迷惑施設の配置計画について,距離に基づいた数理的な分析および評価を行うことを目的としている.施設立地の適性を考える際に「公平性」という概念に着目し,不平等度を計量する指標として知られるジニ係数を,住民から施設までの距離に適用したときの数理的把握を行い,その特性について明らかにした.また,清掃工場を想定したときに,「大気汚染」,「電波障害」などの施設立地に伴う,自然・社会的な諸条件に基づいた目的関数を用いた場合での,候補地比較に関する計量的評価法を提案した.以上の分析では,最適地についてのみならず,対象領域内の任意の地点での立地適性度を把握することで,候補地どうしを比較することが可能となること,および,計画の初期段階に要求されるような,複数候補地を挙げる際の手法としての有効性が示された.最後に,実際の配置計画をもとにして,最終的な用地決定に伴う決定要因の優先度の推測を行った.ここでは,各候補地の適性度の値を用いて,現状の施設位置と他の候補地とを比較し,より重視されたと考えられる項目に関する説明の妥当性を検証した.
著者
金 洪稷 樋野 公宏 浅見 泰司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1304-1311, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2

今後,高齢者の増加により要介護者の人数も増えていく中で、介護保険の赤字額もより上昇すると予想されている.介護保険の収支構造見直しの一環として社会参加による介護予防を促進する必要があるが,その効果も地域によって異なる可能性がある.本研究では,年齢・要介護度別の人口推計モデルを用いて高齢者の社会参加による介護保険の財政および介護労働力への効果を分析することで,社会参加の促進政策の優先順位を考えることを目的とする.その結果,人口規模が一定水準以下の地域において高齢者の社会参加による効果に地域差があり得ることが分かる.また,社会参加による財政的な効果と介護労働量の逓減効率は必ずしも一致するとは限らない.2055年までは都心部から距離がある地方が介護保険への財政的効果の観点でより効果的であるが,2060年からは都心部がより効率が高い可能性がある.
著者
浅見 泰司
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

敷地形状の基本要素である敷地の奥行、間口の分布に関して分析した。敷地の平均奥行や間口の長さの分布関数に関する理論的・実証的分析を行った。また、住宅市場分析も行い、中国北京の住宅市場における床面積の選好度の違いや住戸プラン選考の分析、地域内の社会階層居住分化の分析、地域評判情報の分析、居住満足度の分析、居住階層と店舗空間分布の関係の分析も行った。
著者
村上 周三 山口 信逸 浅見 泰司 伊香賀 俊治 蕪木 伸一 松隈 章 内池 智広 橋本 崇
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.13, no.25, pp.191-196, 2007-06-20
被引用文献数
1

CASBEE-UD, a new member of "CASBEE family", is developed to assess the environmental efficiency of planned projects consisting of multiple buildings and public areas. Its particular emphasis is on the outdoor environment and compound function of group of buildings. This tool inherits the general framework of other CASBEE tools, such as the assessment by BEE defined as the quality of buildings performance divided by the environmental load. It enhances well-balanced planning of urban projects, so that it can contribute to the realization of sustainable cities.
著者
浅見 泰司
出版者
公益社団法人 都市住宅学会
雑誌
都市住宅学 (ISSN:13418157)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.64, pp.137-143, 2009-01-31 (Released:2012-08-01)
参考文献数
8

This paper examines the optimal majority rule and amount of social loss for consensus building in the event of rehabilitation of condominiums, when there is a correlation among benefits of stakeholders. The results show that (1) simple majority rule is optima even when excess compensation is necessary and even when there is some resistance in agreement for rehabilitation;(2) the larger the correlation among the benefits of stakeholders, the larger social loss may incur by having stricter majority rule;(3) the number of stakeholders does not influence so much concerning the optimal majority rule. These results suggesthat the 4/5 majority rule in current sectional ownership law should be amended to a simple majority rule or similar mild majority rule.
著者
李 廷秀 浅見 泰司 高木 廣文 下光 輝一 梅崎 昌裕 山内 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、国内で初めて客観的な物理的環境指標による居住地域環境が人々の身体活動行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。研究初年度の文献研究の結果、複数地域の複数集団を対象とすること、居住地域環境因子としては客観的、主観的な種々の因子についての検討が必要であること、身体活動については各種構成要素(移動・余暇・総身体活動)を包括的に網羅した検討が必要であることが明らかになった。身体活動に影響を及ぼす可能性のある居住地域環境の評価法としては、物理的環境をGIS(Geographic Information System)を用いた客観的な方法による実測で評価する方法と、住民の主観的認知指標調査法によって評価する方法を提案することができた。作成したGISデータベースによって、地域環境指標(世帯数、道路総延長、土地利用状況など)を対象者ごとに数値化することが可能であった。住民側の環境認知を評価する質問紙としてはAbbreviated Neighborhood Environment Walkability Scale(ANEWS)日本語版を作成し、国際比較も可能とした。住民の日常身体活動量は加速度計、歩数計等を用いた客観的な測定と、身体活動量調査票(International Physical Activity Questionnaire)による方法を用いて、その妥当性を検討した。文化的・社会的背景の異なる国内地域として、都心部1ヶ所、地方都市2ヶ所において、身体活動を推進する物理的環境要因について検討した。居住地域環境と身体活動との関連は、地域や性別による違いがみられた。住民の身体活動を推進する都市基盤整備には、地域の特性を活かした進め方が必要と考えられた。さらに、個人の行動パターンを時間、位置、身体活動レベルの3つの側面から関連づけて分析するために、小型GPS(汎地球測位システム)と加速度計を同時に装着し、GISとともに3つのデータを統合する方法を提案した。今後はこのシステムを利用することで都市の土地利用分類ごとの身体活動パターンの特徴を明らかにし、健康増進につながる都市空間創造の基礎データを蓄積することが可能になる。
著者
崔 延敏 浅見 泰司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.564, pp.303-310, 2003
被引用文献数
4

For newly built condominium supply, it is crucial to uncover characteristics of the potential buyers' behavior as "rules" or "patterns" from historical data. A new approach is applied to extract informative and unexpected rules or patterns from a database with relatively few transactions but a huge number of attributes using data mining methodology. For the val idity of the proposed method, the real data of 798 condominium purchasers in Tokyo metropolitan area are analyzed. Results include that if access time to the nearest railway station to be over 10 minutes, then "accessibility" as a resigned factor increases, which implies that potential accessibility in mind would be around 10 minutes on walk or within about 350 meters from nearest railway station.
著者
新藤 大介 浅見 泰司 佐土原 聡 大澤 正治
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.70, no.598, pp.59-64, 2005
被引用文献数
1

This research was performed on methods to promote integration between urban and rural sectors in the San En Nan Shin region using an Urban-Rural Linkage Model that investigates social surplus maximization, effects of introducing an environmental tax, and transport cost minimization due to land use transformation in a fallow agricultural region. Land use transformation was studied in terms of (1) an economic priority model,(2) an environmental harmonization model, and (3) a balanced model. Economic and environmental outcomes including the impact on price from the environmental tax were quantitatively analyzed for each case.