- 著者
-
源 裕介
- 出版者
- 了德寺大学
- 雑誌
- 了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
- 巻号頁・発行日
- no.13, pp.215-220, 2019
理学療法士が作成する足底挿板はどのような疾患に対して有効か, またどのような疾患が適応外かという傾向に関しては不明な点が多い. そこで今回, 理学療法士が作成するパッド貼付型足底挿板の治療効果にどのような傾向があるかを明らかにした.対象は千葉こどもとおとなの整形外科リハビリテーション科にて,1名の理学療法士が2014年4月から2017年3月までの3年間に作成された足底挿板を対象に調査を実施した.結果は膝関節(10名), 足関節・下腿(12名), 足部(18名)の3つ部位に分類して各部位での治療成績を示したところ, 膝関節は16名(70.0%), 足関節・下腿は4名(91.2%), 足部は14名(83.3%)の割合で症状の改善または消失が確認された. 疾患別で症例数が比較的多かったものを確認すると, 変形性膝関節症7名(4名改善), 足関節捻挫6名(5名改善), シンスプリント4名(全例改善), 有痛性外脛骨4名(全例改善),という結果であった.変形性膝関節症の足底挿板の適応としては,Kellgren-Lawrence 分類Grade1までが効果を示せる可能性が考えられた. 下腿・足関節・足部に関しては骨折などの形態異常や明らかな機能不全がなければ効果は十分に期待できると考えられた.