著者
岡崎 由佳子 片山 徹之
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.151-156, 2005-06-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
46
被引用文献数
4 8

フィチン酸は, ミオイノシトールに六つのリン酸基が結合した化合物であり, そのリン酸基が無機質の吸収抑制に関与すると考えられ, 一般的に抗栄養因子と位置付けられている。一方, ビタミン様物質であるミオイノシトールは, 抗脂肪肝作用を有することが知られている。著者らは, フィチン酸のイノシトール骨格に着目し, フィチン酸がミオイノシトールと同様に抗脂肪肝作用を有することや, フィチン酸によるこの効果が現実に摂取しているレベル付近で発揮されることを明らかにした。また, ミオイノシトールとフィチン酸が共通して抗がん作用を有することも報告されている。さらに, 最近の研究からフィチン酸が哺乳動物細胞内における常成分で, 哺乳動物の脳に結合タンパク質が存在し, 細胞内小胞輸送に関与している可能性が考えられている。著者らは, これらの結果からフィチン酸が栄養的にみてビタミン様物質の前駆体あるいはビタミン様物質そのものとして機能しうるのではないかと考えている。
著者
片山 徹
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.638-643, 2017-09-10 (Released:2017-09-20)
参考文献数
27
著者
福永 聖子 片山 徹也 庄山 茂子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.25-34, 2014-05

同一の料理工程画面を用いて、異なるフォントや配置のテロップを作成し、女子大生を対象に可読性やおいしさ感にどのような違いがみられるか検討した。料理名と材料名のテロップを5種類のフォントで組み合わせた25画面の印象では、「可読性」ではゴシック体、「料理に調和している」では行書体と楷書体の画面の評価が高かった。料理画面に「最もふさわしいフォント」では楷書体が選ばれた。このことから、可読性より和食の料理に調和するフォントが重視されたことが明らかとなった。さらに、楷書体を用いて、料理名と材料名の配置を変えた32画面の印象評価では、料理画面に「最もふさわしいテロップの配置」は、左上に料理名、右下に材料名であった。テレビ番組のテロップにおいては、視聴者の視線が左上から右下へ移動していると考えられた。また、テロップを黙読し終える平均時間には32画面間に有意差はみられなかった。
著者
油田 健太郎 山場 久昭 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2395-2405, 2015-12-15

現在,P2Pファイル共有ネットワークが世界中で利用されている.しかし,その多くはファイルの流通制御を持たないため,著作権侵害ファイルの流通やコンピュータウイルスによる個人情報の流出などが社会問題となっている.その解決策としてインデックスポイゾニングと呼ばれるファイル流通制御方式が研究されている.しかし,P2Pファイル共有ネットワークへインデックスポイゾニングを適用する際に,トラフィックの増大やインデックスの汚染などの問題が発生することが確認されている.そこで本論文では,ファイルの流通制御を低下させることなく,それらの問題を解決する手法として,P2Pファイル共有でのクラスタリングに着目して,重点的なポイゾニング機能を提案することで従来手法を改善し,その一部をWinnyネットワーク向けに実装することで,提案手法の有効性を評価する.
著者
片山 徹 手嶋 晃 池田 良穂
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会論文集 (ISSN:13467727)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.236, pp.181-190, 2001
参考文献数
9
被引用文献数
1

An experimental investigation on the transverse porpoising instability of a planning craft in drifting motion at high advance speeds in calm water is carried out. Some types of transverse porpoising are observed in measuring motions in oblique towing tests under heave, pitch and roll free condition. In order to clarify the influence of hydrodynamic forces on the transverse porpoising, captive model tests in oblique towing condition are carried out. The experiments are carried out by systematically changing trim angle, drift angle, towing speed and draft. From the measured hydrodynamic forces, the restoring forces and moments of heave, roll and pitch are calculated. The results show that the coupling restoring coefficients between heave and pitch have the different sign each other(∂F_z/∂θ>0, ∂M_y/∂z<0)and the coupling restoring coefficients between heave and roll also have the different sign each other (∂F_z/∂ψ>0, ∂M_x/∂z<0)at large drift angle. The results suggest that the transverse porpoising considering in the present paper may be a self-excited phenomena in a coupling motion among roll, pitch and heave.
著者
阿瀬 始 片山 徹
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.262, 2007

線形動的システムの後に静的非線形関数が結合したWienerシステムに対し、線形動的システムを状態空間モデルで表現し、静的非線形関数については逆関数の存在を仮定して基底関数展開し、状態空間モデルのシステム行列と基底関数展開の係数とを交互に反復しながら推定する方法を開発した。予測誤差最小化の枠組みにおける状態空間モデルのシステム同定のためのパラメトリゼーションは積年の課題であるが、フルパラメトリゼーションの欠点を克服するデータ駆動局所座標(DDLC)を応用した。
著者
片山 徹郎 菰田 敏行 古川 善吾 牛島 和夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.2223-2232, 1993-11-15
被引用文献数
3

ソフトウェアのテストを行う際、テストデータについての条件を記述したテストケースは、ソフトウェアの信頼性向上に重要な役割を果たす。逐次処理プログラムのテストケース作成技法については、さまざまな方法が実用化されている。しかしながら、並行処理プログラムの場合、テストケースの考え方すらほとんど研究されていない。並行処理プログラムが実用化されるようになり、並行処理プログラムのテストの質を向上させることが重要になっている。本稿では、並行処理プログラムのテストケースの定義、およびその生成ツール(TCgen)の試作と利用経験について述べる。プログラム単位ごとに事象グラフを作り、事象グラフ間で同期する節点を同期関係で結んだ事象同期グラフ(ESG)によって、並行処理プログラムをモデル化する。事象同期グラフ上の協調路(Copath)を、並行処理プログラムのテストケースと定義する。テストケース生成ツールTCgenは、プログラミング言語Adaで書かれた並行処理プログラムを入力とし、協調路を出力とするツールである。ツールTCgenによって作成された協調路は、テストケースの漏れや重複を少なくすると期待される。しかしながら、実際のテストデータを作成する段階で、実行可能性についての間題が残る。
著者
片山 徹也 庄山 茂子 栃原 裕
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29-38, 2015

本研究では、女子大学生16名を対象に、白文字に対して明度と彩度が異なる青色相を背景色にした陰画表示画面8配色を用い、VDT画面の配色が作業効率と疲労に及ぼす影響について検討した。30分間の文字探索課題によるVDT作業の結果、作業量及び誤入力率については8配色間に有意差はみられなかった。8配色のうち2配色において作業後の収縮期血圧及び心拍数が有意に高く、6配色において作業後のCFF値が有意に低かった。画面に対する見やすさや読みやすさの機能性に関する印象評価では、文字色と背景色の明度差が大きいほど機能性の評価が高かった。文字色と背景色のコントラスト比が国際基準WCAG2.0に適合する配色においても、生理的疲労及び主観的疲労感に影響を及ぼす場合が確認された。文字色と背景色のコントラストが確保された配色の場合、文字色と背景色の彩度差が小さい配色ほど、疲労感を軽減する傾向がみられた。
著者
岡崎 由佳子 片山 徹之
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.151-156, 2005-06-10
参考文献数
46
被引用文献数
1 8

フィチン酸は, ミオイノシトールに六つのリン酸基が結合した化合物であり, そのリン酸基が無機質の吸収抑制に関与すると考えられ, 一般的に抗栄養因子と位置付けられている。一方, ビタミン様物質であるミオイノシトールは, 抗脂肪肝作用を有することが知られている。著者らは, フィチン酸のイノシトール骨格に着目し, フィチン酸がミオイノシトールと同様に抗脂肪肝作用を有することや, フィチン酸によるこの効果が現実に摂取しているレベル付近で発揮されることを明らかにした。また, ミオイノシトールとフィチン酸が共通して抗がん作用を有することも報告されている。さらに, 最近の研究からフィチン酸が哺乳動物細胞内における常成分で, 哺乳動物の脳に結合タンパク質が存在し, 細胞内小胞輸送に関与している可能性が考えられている。著者らは, これらの結果からフィチン酸が栄養的にみてビタミン様物質の前駆体あるいはビタミン様物質そのものとして機能しうるのではないかと考えている。
著者
西山 直希 片山 徹郎 最所圭三 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.71, pp.69-76, 1998-08-06
参考文献数
7
被引用文献数
1

家電製品や計測機器などに組み込まれているコンピュータ、いわゆる、組み込みシステムが重要視され、様々なシステムが開発されている。また併せて、組み込みシステムに特化した専用のソフトウェアも作成されている。本稿では、組み込みシステムの制御ソフトウェア開発の際にかかる負担を軽減するために、機器制御ライブラリの生成支援を目指す。ここでいう、機器制御ライブラリとは、機器を直接制御するコードであり、低レベルデバイスドライバと呼ぶ。8ビット、あるいは16ビットワンチップマイコンなどを使用した、制御向け小規模組み込みシステムにおけるアプリケーション開発を支援するため、低レベルデバイスドライバの生成システムを提案し、システムの入力形式、および生成自動化の可能性について考察する。Embedded systems such as computers used in electrical appliances and instruments are considered. Various embedded systems are developed, and software dedicated to them is also. This paper shows support to generate libraries of devices to reduce the burden in development of software to control an embedded system. A library of devices is defined as a set of codes to directly control a device and is called as a low-level device drivers. A low-level device driver generation system is proposed in order to support development or an application program for a small scale embedded system with an 8-bit/16-bit micro-computer. Input forms of the low-level device driver generation system and the possibility of automatic generating the low-level device driver are examined.
著者
佐藤 拓弥 片山 徹郎 喜多 義弘 山場 久昭 油田 健太郎 岡崎 直宣
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1137-1149, 2018-04-15

ソフトウェア開発におけるデバッグは,手間のかかる工程である.プログラムの欠陥を効率良く特定するためには,プログラム実行時の挙動を把握することが重要である.しかし,プログラム実行時の挙動は一般的に不可視であり,その挙動がどこまで正しかったのかを把握することは困難である.そこで,本研究では,Javaプログラムのデバッグの効率化を目的として,プログラムの欠陥特定を支援するデータ遷移可視化ツールTFVIS(Transitions and Flow VISualization)を開発した.TFVISは,プログラム実行時のデータ遷移と実行フローの可視化を行う.評価実験では,TFVISを活用することで欠陥特定に要する時間を約35%削減できることを確認した.このことから,TFVISによる可視化がデバッグ効率の向上に効果的であるといえる.
著者
竹野 倫彰 片山 徹
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.231-239, 2011 (Released:2011-12-15)
参考文献数
17

This paper considers the state and parameter estimation problems for nonlinear dynamical systems by using the Unscented Kalman filter (UKF). Since unlike the extended Kalman filter (EKF), the UKF does not require Jacobians of nonlinear transformations, we show that the UKF can be used together with the higher order Runge-Kutta approximation. We then derive a Runge-Kutta based UKF algorithm for nonlinear dynamical systems. Numerical studies show that the Runge-Kutta based UKF provides better numerical results compared with EKF and UKF algorithms coupled with the Euler approximation.
著者
山場 久昭 長友 想 油田 健太郎 久保田 真一郎 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. IOT, [インターネットと運用技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.32, pp.1-6, 2015-05-14

近年,スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末の普及に伴い,覗き見によって認証に必要な情報が第三者に取得されてしまてしまうことが問題となってきている.これを解決する技術として,指紋などの生体情報を用いた生体認証が注目されている.本論文では,そのひとつである筋電位を用いた個人認証について検討を行う.具体的には,前腕部の筋電位の波形が手首から先の手の動き (ジェスチャー) によって異なる波形を示すことを利用し,そのジェスチャーを組み合わせてパスワードとして用いる手法を提案する.今回は,個人認証に用いる生体認証として筋電位が利用可能であるのか,筋電位の波形からジェスチャーを判断することができるのか,また,それを計算機上に行わせるのが可能かどうかについて検討を行ったので,報告する.
著者
田村 拓己 久保田 真一郎 油田 健太郎 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.808-818, 2015-03-15

ボットによるWebサービスの不正利用対策として,CAPTCHAと呼ばれる反転チューリングテストが利用されている.Webサイトへの導入のしやすさや回答方式の理解のしやすさから,文字列の画像を用いたCAPTCHA方式が広く普及している.しかし,ボットによる文字認識技術の発展が著しく,高い確率でテストが突破されるなど,その脆弱性が指摘されている.高度化するボットの文字認識技術に対抗し,解読難度を高くしたCAPTCHAや画像識別などの人間の高度な能力を利用するCAPTCHAが提案されているが,利便性が低いことや特定の攻撃に弱い点が問題となっている.本稿では,人間特有の画像認識能力を利用することで,利便性を保ち十分な堅牢性を持つ新たなCAPTCHA方式を提案する.提案手法は,判定に利用する提示画像に正答の文字列を含まないようにすることで文字認識攻撃に耐性を持たせた.また,提示画像には,人間が画像を補完して認識できる程度の妨害図形を付加し,堅牢性を向上させた.提案手法の有効性を確認するため,画像CAPTCHA方式において考えられる攻撃への耐性を考察し,利便性の評価としてアンケートによるユーザビリティ評価を行った.その結果,システム実装に必要な妨害図形の量に関する閾値を明らかにし,提案手法が攻撃に対して十分な耐性を持ち,ユーザビリティが優れていることを示した.A reversal turing test called CAPTCHA is used in many webservice sites to prevent the automatic program called bots from making unauthorized accounts. The CAPTCHA with images of correct answer string, called as the text-based CAPTCHA, is widely prevalent because of an ease implementing in the website. The optical character recognition technologies enable bots solve the text-based CAPTCHA automatically. Any researchers have pointed out the vulnerability of the text-based CAPTCHA. Absorbing the vulnerability of the text-based CAPTCHA, the image-based CAPTCHA is proposed, which use the human abilities to discern objects in images. However, the existing image-based CAPTCHAs also have problems about usability and robustness. In this paper, we propose a new image-based CAPTCHA using images without a correct answer string and with obstruction figures, to achieve high usability and robustness. In order to confirm a effectiveness of the proposed method, we argue to absorb some considerable attacks in the image-based CAPTCHA, and conduct assessment of usability through our questionnaire. The results show that the proposed system absorb the attacks adequately and has usability.