著者
高野 俊幸
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.213-223, 2010-09-10 (Released:2014-03-31)
参考文献数
78
被引用文献数
11

リグニンは,最も豊富に存在する天然の芳香族ポリマーであり,再生可能な資源として注目されている。しかしながら,リグニンは,紙パルプ製造プロセス,あるいはバイオエタノール製造プロセスの副生成物として得られているのみで,その利用は進んでいないのが現状である。本稿では,天然リグニン,および単離リグニンの化学構造,単離リグニンの利用例を紹介し,今後のリグニンの利用に向けての課題について述べる。
著者
城所 隆 藤崎 祐一郎 高野 俊昭
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.306-308, 1982-11-25

The damage caused by the smaller rice leaf miner was severe when rice was transplanted in early May or early June. When rice was transplanted between these periods, the miner caused very little damage. It is suggested that the relation between adult emergence and the time of rice transplanting was the main factor in the occurrence of the outbreaks of the insect.
著者
伊藤 葉子 鶴田 敦子 片岡 洋子 高野 俊 宮下 理恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.9, 2009

<B>目的</B><BR>家庭科の女子のみ履修に抗して、家庭科の男女共学の実践に取り組んだ「源流」は京都府(1963年1校開始、1974年全面共修実施)の教師達であった。本研究では、ほぼ同時代(1970年代)に長野県の高校において、同じく自主編成の教育課程として男女共学家庭科の実現を導いた元家庭科教師たち5人のライフヒストリー研究に取り組む。元家庭科教師たちのライフヒストリーから、それぞれの人となりとその活動を明らかにしながら、なぜ各自が男女共学家庭科の実現に取り組んだのか、どのように男女共学実現を果たしていったのかを考察していく。また、その授業づくりにはどのような特徴がみられるのかを検討する。<BR><B>方法</B><BR>1960-70年代に長野県において男女共学家庭科の実現に関与した元家庭科教師5名に対して、一人約2時間のインタビュー調査を実施し、スクリプトを作成し、分析・考察を行った。この方法を用いることで、教師の価値観や動機および周囲の状況に対する理解が、その教師の実践にどのような影響を及ぼしたかを探求することが可能になる。加えて、同種の集団(ここでは、男女共学に取り組んだ教師たち)に属する複数のライフヒストリーは、互いに補い合うことができることから、個人史を超えて、社会状況の中での考察を可能にするものである。<BR><B>分析・考察</B><BR> <B>1</B> 当時の家庭科教育への疑問<BR>(1) 元家庭科教師たちは、その成長過程における家庭・社会環境の複合的な影響により、精神的な自立・自律心や、批判的に思考できる力を育くんでいった。これには、戦前からの伝統的性別役割観に基づいた女性の進路・進学の閉塞性への反発や、戦中・戦後の激動を中国で過ごした際の、差別と被差別の双方をみた経験に基づく、平等への志向が根底にあった。<BR>(2) この批判的思考力が、女子だけの家庭科履修や生徒たちの生活現実から遊離した当時の家庭科の教育内容への疑問につながっていった。<BR><B>2</B> 教師たちの学び合いと授業づくり<BR>(1) 元教師たちは、自主的な学習会や地域および全県的な研究会で出会い、個々に有してきた上記の疑問を、互いの学び合いの中で、単なる疑問から授業の創造の段階へと移行させ、自主編成の指導資料を作成するまでに至った。<BR>(2) 元教師たちの授業づくりには、大きく二つの特徴がみられた。一つは、女性への道徳教育の色合いが濃い、理論を有しない非科学的な家庭科の教育内容からの脱皮と、生徒の生活現実から出発し生活に帰結する家庭科の授業の創造である。<BR>(3) 個々の元教師たちの実践を支えたのは、家庭科を学びたいという男子学生の存在と、実際に男女共学を授業のなかで進める中で感じた手応えであった。<BR><B>3</B> 元教師達の根底にある教育観等<BR>(1) 男女共学家庭科の実現は、教師は教科書に書かれている知識・技術の伝達者であるという考え方から、教師が授業の創り手であるという考え方の転換だと捉えられる。<BR>(2) 家庭科の男女共学実現のための元教師たちの活動は、戦後の民主的な家庭を目指した男女平等実現への運動という側面と、家庭科が科学的理論体系を備えた教科となるための教科論の探求という側面を持っていると考えられる。<BR>
著者
宗本 順三 鉾井 修一 張本 和芳 吉田 哲 高野 俊吾
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.551, pp.85-92, 2002-01-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
34
被引用文献数
9 6

In this study, we find combination of building materials and construction methods to reduce environmental loads (LCCO_2, final waste, LCC) with using genetic algorithms system which is developped to select those combination. We apply the system to "the standard building model (often used at calculating thermal load)", and search combinations to minimize each value through life cycle. Then we can find combinations to reduce a11 values at the same time by the system using "restriction method". Each value is much less than each of house which has enough thermal insulating material to satisfy "standard by energy conservation next generation".
著者
高橋 守 伊藤 正道 山本 裕子 高橋 等 高野 俊彦 高野 弘彦 高橋 朋枝
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-71, 1978

尾瀬の繁殖期(5月~8月)の鳥類調査を1974年から1978年にわたり線センサス法により実施し植生環境別鳥類群集構造,垂直分布などにつき調査し,あわせて鳥類からみた尾瀬の自然保護を記し検討を行なった.得られた結果は次のとおりである.<br>1.カヤクグリ,イワヒバリなどの高山帯の鳥をはじめ総計93種が記録された.<br>2.各林相地域とも標鳥のウグイス,ヒガラ,夏鳥のメボソムシクイなどの食虫性鳥類が優占し食葉性鳥類のウソ,ホシガラス,カケスなども広く分布しており本州亜高山帯針葉樹林の特徴を示していた.<br>3.エゾムシクイとクロジの2種は亜高山帯針葉樹林と落葉広葉樹林の推移部で集中的に記録された.<br>4.尾瀬全体で最優占する種はウグイス20.0%で次にヒガラ15.8%,メボソムシクイ14.3%,コマドリ5.2%,ルリビタキ3.1%で,これら上位優占鳥種5種で全体の58.4%を占め,しかも鳥種が豊富なことから一定の鳥類群集型を保持しているといえる.<br>5.ムクドリ,センダイムシクイ,エゾムシクイは5月に生息密度が高かったのに8月では低く,すでに移動•分散していた.<br>6.ウグイス,メボソムシクイ,ヒガラ,ハシブトガラス,ミソサザイ,コマドリの6種は低山帯から高山帯にいたるまで幅広く分布しており尾瀬における夏期の基本的構成種であった.<br>7.鳥類の垂直分布の決定要因としては,鳥の選好する植生と標高が強くはたらくことを示していた.たとえばメボソムシクイ,エゾムシクイ,センダイムシクイなど.<br>8.尾瀬ヶ原の湿原にはムクドリが最優占し,ハシブトガラス,ヒバリなどヒトとの結びつきの深い<br>種が記録された.<br>9.イワツバメは1970年に約10,000羽生息していると言われたのに対し,1978年には約4,000羽と推定された.
著者
片岡 洋子 伊藤 葉子 高野 俊 鶴田 敦子 宮下 理恵子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.226-237, 2011-01-01

In 1963, the Japanese National Curriculum Standards for upper secondary school made home economics the compulsory subject for only female students. However, some home economics teachers in Kyoto Prefecture, who had opposed to the subject as "an education to become good wives and wise mothers", were united to create alternative home economics education as a coeducational subject. They requested Kyoto Board of Education to change home economics education from female-only to coeducational subject which resulted in the implementation of coeducational home economics in 1973. This study aims to clarify the process to implement home economics as a coeducational subject, and analyze the theory of school subjects in 1960s to 1970s in Kyoto Prefecture. Results were as follows 1. In Kyoto Prefecture, not only many teachers but also the Board of Education supported the principle of coeducation. This was one of the reasons which contributed to realize coeducational home economics despite the opposition by the National Curriculum Standards. 2. Teachers who promoted coeducational home economics attempted to home economics from an education to become good wives and wise mothers to an education about managing a new family life based on couples' gender-equal relationship. 3. The theory of coeducational home economics needs to be composed of sciences and cultures, and to be revised from the subject dealing only home maintenance skills to that of family life education including historical, social, and scientific perspectives.
著者
中坪 文明 矢野 浩之 高野 俊幸 佐川 尚 伊達 隆
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に用いられている p-および n-型半導体機能官能基担持させたセルロースおよびセルロースナノファイバー(CNF)誘導体からバルクへテロ接合型光電変換デバイスを作成し、そのエネルギー変換効率を測定した。その結果、CNF-ZnPc から作成したフィルムデバイスは低いエネルギー変換効率(0.0011%)ではあるが光電変換機能を示した。また、CNF-graft-poly-3-alkylthiophene から作成したフィルムデバイスのエネルギー変換効率は 0.025%(約 25 倍)に向上した。すなわち、CNF 担持 p-型官能基の構造を最適化することで、更なるエネルギー変換効率の向上が期待されると考えられる。