著者
石崎 一明 川人 基弘 今野 和浩 安江 俊明 竹内 幹雄 小笠原 武史 菅沼 俊夫 小野寺 民也 小松 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.252, pp.17-24, 1999-08-05
被引用文献数
1

Javaはプログラムの安全性のために、例外チェックやポインタを排除したオブジェクトへのアクセスなど、他の言語より大きなオーバヘッドを持つ。またプログラムの柔軟性を提供するために、型検査、動的なクラスリンク、オブジェクトを伴ったインスタンスメソッド呼び出し、を提供している。これらの特徴を失うことなくプログラムの性能を改善するためには、実行時にバイトコードからネイティブコードへコンパイルを行うJust-In-Time (JIT)コンパイラが必須である。本稿では、JITコンパイラへ実装した以下の最適化、定数伝搬、不要コードの除去、例外チェックの除去、共通部分式の除去、型検査の単純化、メソッド呼び出しのインライン展開、メソッド呼び出しの一意決定、について述べる。さらに、9つのプログラムの実行結果より、これらの最適化が効果的であることを示す。
著者
竹内 幹
出版者
一橋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

カブトムシの闘争傾向を分析しナッシュ均衡の実証をするために、111頭のカブトムシを各4回(延べ444回)闘争させたデータの分析を行った。そこでは、基準となる個体を設けて、それに対する各個体の闘争傾向を観察することで、体格や頭角長と闘争傾向の関係を個体ごとに整理できた。2種類の戦略を特徴づけるデータが得られたと確信している。ただし、学会報告で受けたコメントから、判別分析の手法を開発する必要があると判断し、その正しい手法を調査した(現在も続行中)。以上とは独立に、カブトムシの体格の決定が、幼虫時の栄養摂取状態にあることを実証するために、幼虫を114匹飼育し、栄養状態を統制し、成虫の体格に与える影響の分析を試みた。だが、大型個体を中心に3割近くが死亡してしまったため、残念ながら分析結果を得ることはできなかった。以上と並行して、信念形成の実証として、コオロギの闘争行動を統制することを試みた。闘争させることはできているが、信念形成をうながすためには、数ヶ月単位で一定期間飼育を続ける必要があり、安定的な飼育を試行した。なお、研究成果を、平成29年10月にバージニア・コモンウェルス大学で開かれた「Economic Science Association (ESA=実験経済学の分野で最も代表的な国際学会)」の北米大会、また、平成29年11月にシドニー大学で開かれた「Behavioural economics: Foundations and applied research」の学会で報告し、非常に有用なコメントを受けた。
著者
堺 雄之介 竹内 幹太 伊東 栄典
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2021-ICS-203, no.9, pp.1-5, 2021-06-25

近年,SNS での誹謗中傷やいじめ,それを原因とする自殺が問題になっている.動画サービスでも,視聴者が投稿するコメントが荒れ,誹謗合戦になることも発生している.本研究では,機械学習による動画サイトにおけるコメントが誹謗中傷状況にあることの検出を目指す.対象とする動画サイトは YouTube を想定している.コメントが荒れている動画を人力で見つけ,そのコメントデータを正例とする.また荒れていない一般動画のコメントを負例とする.これらのデータを機械学習に適用して炎上状態発見器を作る.機械学習を適用するには,対象のベクトル化と,判別アルゴリズムが重要である.本論文では,コメント収集手法,コメントの炎上判定,ベクトル化,アルゴリズムについて,検討内容を報告する.
著者
竹内 幹太郎 阿部 宏史 氏原 岳人 金野 裕一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.1039-1044, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
7

産業集積などの衰退により都市内部で発生しているエリアレベルの低・未利用地(例えば、空き工場群など)において、新たな店舗集積の形成を検討する際に有用な情報を提供するため、本研究では、用途転換の取り組みにより空き倉庫・事務所群を活用した新たな店舗集積が形成されている岡山市北区問屋町の卸商業団地を事例に、その特性を来訪者へのアンケート調査結果を用いて分析した。具体的には、まず、どのような来訪者が問屋町内の出店店舗にとって利点となる行動をするのかその関係性を分析した。そして、問屋町における出店店舗にとって利点となる行動の発生には、来訪者の"居住地"や"同伴者"の要素が総体的に関係しているとわかった。次に、既存店舗集積と比較して、問屋町が店舗集積としてどのように評価されているのかを分析した。その結果、問屋町は、中心市街地と郊外ショッピングセンターそれぞれにおける店舗集積としての"不足部分(自動車の交通利便性や店舗の魅力など)"を、同時に特長として有することで、都市内部における新たな店舗集積としての位置づけを見出していると考えられることが明らかになった。
著者
竹内 幹雄 小松 秀昭 中谷 登志男
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.355-362, 2003-07-25 (Released:2012-02-15)

Javaの高速化の研究が盛んになされているが,数値計算の分野では依然Fortranに水をあけられたままである.その理由の1つに,浮動小数点演算の厳密な正確さ(accuracy)が原因で最適化が困難なことがある.とりわけ,融合型積和演算(fused multiply-add (FMA))命令や,再結合(reassociation)を利用できないことが,Javaの性能に大きく影響している.この論文では,浮動小数点演算の正確さに関する投機(floating-point (FP) speculation)を提案する.FP speculationは,既存アーキテクチャの余ったハードウェア資源(浮動小数点レジスタと演算ユニット)を利用して,各最適化対象に対し正確さの異なる2通りの計算(投機計算と検算)を同時に実行することで,Javaの言語仕様を満たしつつ平均実行時間を短縮する.
著者
藤間 功司 佐藤 紘志 鴫原 良典 竹内 幹雄 千葉 智晴 飯田 勉 砂坂 善雄 高梨 和光
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.881-889, 2007 (Released:2010-11-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

我が国の沿岸には多くの下水浄化センターが存在する. これらは一般には高潮水位などを考慮して建設されているが, 地震・津波による二重被害を想定して建設されている訳ではない. 我々は既に中越地震などでパイプラインの損傷, 浄化センターの一時機能停止などにより, 生活用水が使用できなくなりトイレなどの使用自粛により, エコノミークラス症候群による犠牲者の発生と言う悲しい事実も経験している. 本文では, 東海地震・津波の来襲が予想される静岡市中島浄化センターをモデルに現在得られている予測当該地点地震波の内, 最強と考えられる地震波を用いて構造物の地震被害の予測を行うと共に, 津波の初期予想水位をパラメーターとして被害の予測と復旧日数の算定を試みた.
著者
高薄 敏史 菱山 豊平 平 康二 中村 豊 竹内 幹也 近藤 哲 加藤 紘之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.254-258, 2001-01-25 (Released:2009-08-24)
参考文献数
12

杙創(刺杭創, Impalement injury)は刺創の要素に加えて鈍的外傷の要素をもつ穿通性挫創とも言うべき特異な開放性損傷である.われわれは最近15年間に杙創8例を経験したので治療法の選択を中心に報告する.患者は全例男性で年齢は12~57歳(平均38.9歳)であった.刺入経路,損傷臓器の有無を確認するために腹部X線検査, CT検査および刺入路造影を行った.治療法としては刺入路を十分検索し,デブリードマン,ドレナージを行い,臓器損傷を合併した場合はそれらを修復し,必要に応じて人工肛門,膀胱瘻を造設した.その結果, 1例に術後の肺塞栓を認めたが, 8例全例を救命しえた.杙創における治療方針はまず刺入路を明かにしたうえで,損傷臓器を的確に把握し,それに対する処置を的確に行うことで救命率を高め得る.
著者
田近 栄治 渡辺 智之 佐藤 主光 山重 慎二 國枝 繁樹 竹内 幹 別所 俊一郎 林 正義 小林 航 油井 雄二 河口 洋行 菊池 潤
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

長期にわたるデフレと進行する高齢化のなかで日本の財政は、厳しさを増している。同時に経済のグローバル化のなかで賃金は伸び悩み、非正規雇用の増大など雇用の流動化が生じている。そうした経済状況のもと、本研究は税と社会保障を一体でとらえ、受益と負担の実態分析を踏まえ、政策への貢献を目指した。研究成果は個別論文としてだけではなく、雑誌特集号として出版した。そのほか国家戦略相を招聘した政策シンポジウムや、財務省・財務総合研究所との共催事業および書籍出版などにより成果の公表を図った。