著者
八巻 和彦 矢内 義顕 川添 信介 山我 哲雄 松本 耿郎 司馬 春英 小杉 泰 佐藤 直子 降旗 芳彦 橋川 裕之 岩田 靖男 芝元 航平 比留間 亮平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

<文明の衝突>から<文明の対話>への道は、各社会が己の価値観を絶対視することなく、互いの相違を外的表現の相違であって本質的な相違ではないことを認識することによって確保されうる。たとえば宗教において教義と儀礼を冷静に区別した上で、儀礼は各社会の文化によって表現形式が異なることを認識して、儀礼の間に相違が存在するから教義も異なるに違いないとする誤った推論を避けることである。キリスト教ユニテリアニズムとイスラームの間の教義には本質において相違がないが、儀礼形式は大いに異なることでしばしば紛争が生じ、他方、カトリックとユニテリアニズムの間では教義は大いに異なるにもかかわらず、儀礼が類似しているとみなされることで、ほとんど紛争が生じない、という事実に着目すれば、われわれの主張が裏付けられるであろう。
著者
後藤 直子 佐藤 健二
出版者
徳島大学
雑誌
徳島大学総合科学部人間科学研究 (ISSN:09199810)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.25-39, 2006

The purpose of this study was to investigate the experience rates and gender differences of self-injurious behaviors (SIB) and aggressive behaviors among the healthy undergraduates in Japan. In addition, we tested whether alexithymia, which is a personality construct defined as a difficulty in identifying and expressing emotional experience, mediates between childhood maltreatment, SIB, and aggressive behaviors. The sample was comprised of 300 (143 male, 157 female) undergraduate students. Measures were the Childhood Trauma Questionnaire, the Toronto Alexithymia Scale-20, the Self-Injurious Behaviors Questionnaire, which assessed the lifetime frequency of six methods of superficial self-injury, and the Aggressive Behaviors Questionnaire. As results, there were gender differences in 3 variables of emotional abuse, physical neglect and emotional neglect. Multiple Regression analyses revealed that the correlation between maltreatment and alexithymia was positive also in Japan. The relation was not seen between maltreatment and SIB even in the undergraduates in Japan. And, the relation was not found between alexithymia and SIB. Furthermore, the relation was not found between maltreatment, aggressive behaviors and alexithymia in the undergraduates in Japan. It was suggested that alexithymia does not contribute significantly as the mediational factor between childhood maltreatment, SIB, and aggressive behaviors among undergraduates in Japan. One reason that the hypothesis of this study was not supported may be that the quality of the SIB in this sample differed from that of previous study.
著者
三宅 直之 柳原 幸治 新藤 直子
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.644-648, 1999-10-18
被引用文献数
1

家事動作での能力障害とその自立度との関係を調査した.対象は知的低下のない84名の女性脳卒中患者であった.調査した家事動作は料理・掃除・洗濯・買い物の4項目であった.その結果,16名が4項目全てをこなし,22名が全て行えず,残りの46名は一部分の項目を行っていた.数量化I類による分析では,歩行能力と上肢機能の回復の程度が最も家事動作の遂行度に影響を与えた.また,今回の対象では,高次脳機能障害,加齢自体は,遂行度に与える影響は小さかった.積極的に主婦業をこなすには,屋外歩行の自立,補助手以上の回復が望まれた.多くの対象者が家族内の他のメンバーから援助を受け,また家事動作能力が低いほど,より多くの援助がなされていた.(リハ医学1999;36:644-648)
著者
伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 本間 沙織 川上 未央 堀田 康雄 村山 篤子
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.32-35, 2006-12-30

牧草(2品種)、枝豆(3品種)、人参(1品種)を1/20希釈海洋深層水、1mM水溶液、脱塩海洋深層水を与えて、プランター又は野外で栽培して、牧草については葉、枝豆については種子、人参については根の亜鉛含量を測定した。対照は、水道水で栽培したものである。総ての実験区で対照区より乾燥重量あたりの亜鉛含量が増加し、外見・味や食感に変化は無しに、食品の栄養価を高めた。佐渡海洋深層水の農業への利用の可能性を示し、亜鉛含量が低い我国土壌の改良とそこから生産される作物が健康に貢献する可能性を示した。
著者
伊藤 直子
出版者
国立音楽大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.13-24, 2007

本稿は大正期のオペレッタ受容のあり方について、当時もっとも人気の高かったスッペの《ボッカチオ》を例に考察することを目的とする。まず最初に社会的・文化的背景として、都市化と大衆化、消費と娯楽、メディアの発達などの現象を挙げ、音楽的下地としては、明治期すでに外来歌劇団によるオペレッタ公演や軍楽隊によるオペレッタ関連楽曲の演奏が行われていたことを確認した。大正期のオペレッタ受容は明治期の官主導型の洋楽受容とは様相を異にし、帝劇、ローヤル館、浅草と上演空間を転じながら、大衆化の道のりを歩んでいった。上演の実際については、オペレッタ受容に不可欠である訳詞の観点から主に論を進め、代表的な訳者の一人で、《ボッカチオ》の訳詞を手がけた小林愛雄を取り上げ、あるべき訳詞の姿を求めて文語体から言文一致体へと至る小林の訳業と、その後の浅草オペラにおける庶民的かつ自由奔放な訳詞の世界を追った。