15 0 0 0 OA (1)炎症とは

著者
加藤 秀人
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-13, 2020-02-15 (Released:2020-02-26)
参考文献数
69

Stress responses are part of an important system in maintaining the homeostasis of a living organism. After acute inflammation, if tissue repair is incomplete or stress is not completely removed with an excessive and prolonged inflammatory response, damage is accumulated in living organs and chronic inflammation persists. Thus, irreversible tissue and organ damage occurs, which is accompanied by fibrosis. Further, inflammatory diseases, such as fibrotic diseases, autoimmune diseases, allergies, and arteriosclerosis, account for most causes of deaths in humans; therefore, it is extremely important to understand mechanisms of inflammation and to establish a control method. Inflammation is caused by a complex influence of various molecules and cells that form networks through inflammatory cytokines. Since various factors influence each other, the onset time, degree, and duration of inflammation may differ. This article explains the mechanism of inflammation, presents findings on its regulatory factors and methods, and enumerates the innate immune system receptors (pattern recognition receptors) and responsible cells (neutrophils, innate lymphoid cells, natural killer T cells) that cause inflammation. This article thus aims to understand the complex networks involved in inflammation.
著者
道祖土 勝彦 雨宮 恵司 佐藤 秀人 岡部 顕史 小川 直人 釜谷 保志 木暮 一啓 西村 昌彦 奥川 光治 楠井 隆史
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.629-636, 2012-07-05 (Released:2012-07-27)
参考文献数
26
被引用文献数
2 8

日本には毎年5から15万トンの海ゴミが漂着している.この漂着ゴミの70% がポリスチレン(PS)である.漂流・漂着PSは海洋環境でスチレンオリゴマー(SO)を発生すると予測される.本研究では,PS由来の化学物質/SOによる沿岸汚染を明らかにし,発生源に関する知見を得ることを目的に現地調査を行った.このためアジア大陸から発生した漂流プラスチックが漂着する代表的な島々である沖縄本島,八重山諸島(西表島・石垣島)において目視調査をすると共に調査地において海水,砂を採取した.採取した海水,砂の選択イオンモニタリング–ガスクロマトグラフィー/質量分析(SIM-GC/MS)からSO,[スチレンモノマー,フェニルエチレン(SM),スチレンダイマー,2,4-ジフェニル-1-ブテン(SD),スチレントリマー,2,4,6-トリフェニル-1-ヘキセン(ST)の混合物]が検出された.検出されたSOの最大成分はSTであり,海砂中で最大4400 ng/gのSTが検出された.検出されたSO組成は市販発泡ポリスチレン製品中のSO組成,精製ポリスチレン単独熱分解反応生成物のSO組成とほぼ同様の傾向であった.
著者
丹羽 政美 安藤 秀人 平松 達 深澤 基 伊藤 栄里子 安藤 俊郎 渡邉 常夫 藤本 正夫 小出 卓也 岡野 学
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.143, 2006 (Released:2006-11-06)

<はじめに>前立腺癌は日本人の高齢化と食生活の欧米化に伴い、日本でも増加傾向にある疾患である。前立腺疾患の診断においてはprostate specific antigen(PSA)、直腸診、経直腸的超音波断層法、MRI、針生検などが中心になっているが、生検が簡便に施行できるため画像診断よりも生検が優先される傾向にあった。しかし、従来の生検のsensitivityは50%前後という報告や最近のMRI診断法の進歩によって前立腺の内部構造が明瞭に描出されるようになり生検で前立腺癌と確定した症例の臨床病期診断のみならず、生検前の癌病変の検出においても非常に有用であることがわかってきた。生検前にMRI検査を行って癌部が検出もしくは疑いができれば系統的生検と標的生検を同時に実施することができ、診断能の向上が期待できる。以前勤務した西美濃厚生病院や当院でも前立腺癌を疑った場合、生検前にMRI検査を行うことをルーチン化し、生検の診断能の向上を目指して担当技師が画像についてコメントを記載している。 今回、東濃厚生病院と西美濃厚生病院で昨年度一年間に生検前にMRI検査を施行した症例について生検結果と比較検討した。また拡散強調画像が可能であった症例についてADC(apparent diffusion coefficient)値を測定したので報告する。<方法>東濃厚生病院と西美濃厚生病院で昨年度一年間に生検前にMRI検査を施行し標的生検が可能であった91例について生検診断をゴールドスタンダードとして年齢、PSA値、MRI診断について検討した。撮影装置は1.5T(PhilipsおよびGE社製)装置でphased array coilを用いて撮像した。撮像法はT1強調画像、T2強調画像、Gdダイナミック画像で検討した。(可能であった24症例についてはADC値も検討した。)<結果>生検前にMRIが施行された91症例中37症例に生検によって前立腺癌が認められた。癌の平均年齢は72.5歳でPSA値の平均値は46.5ng/mlであった。PSA値を年代群別に癌とBPHを比較検討すると年代群が高くなるにつれて高値になる傾向がみられたが年代群別では有意差はみられなかった。しかし、癌とBPHでは各群で有意差を認めた。生検結果を基準にみたMRIの正診率は84%、感度96%、特異度76%、陽性的中率73%、陰性的中率95%と高い診断能が得られた。また拡散強調画像が可能であった前立腺癌部のADC値は平均0.97×10-3mm2/sec、正常部のADC値は1.57×10-3mm2/secであった。<考察>前立腺は生検後の出血によって前立腺の信号強度は修飾され、しかもその影響が長く続くことが知られている。これらの信号変化は読影の妨げになるだけでなく、偽病変の原因となり病変の検出能をも低下させる。そのためMRIは生検前に撮像することが推奨されるが、今回の検討でかなり精度の高い診断が可能であることが認められた。また、Gdダイナミック撮像やADC値を測定することにより、より精度が増すと考えられる。さらにMRIは検出能だけでなく皮膜外浸潤や隣接臓器浸潤などの検出も可能で治療法を選択するためにも必要不可欠な検査であると考えられた。ただし、MRIで強く前立腺癌が疑われたにもかかわらず生検でBPHと診断された症例があることやMRIで癌と良性病変との鑑別が困難な場合もあったことより十分に経過観察し今後の検討課題としたい。
著者
加藤 秀人 柳沢 直子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.2-10, 2021-02-25 (Released:2021-03-16)
参考文献数
52

Viruses require host cellular machinery for protein translation and replication. Upon proliferation, virions damage the cells and are released from the infected cells prior to infecting other cells. Acute inflammation is observed when host cells are damaged by infection. Receptors for SARS-CoV-2 on cells are distributed more widely than those specific for other viruses, resulting in a wide range of symptoms such as rhinitis, pneumonia, and enteritis. Typically, RNA viruses, including SARS-CoV-2, demonstrate high frequencies of gene mutations. Antigenic modulation due to genetic mutations in the spike protein causes cytokine storms due to strong activation of the innate immune system. This is similar to the phenomenon previously observed in highly pathogenic avian influenza. The proportion of severely ill patients due to COVID-19 varies from country to country. Factors that are responsible for the severity of the disease include antibody-dependent enhancement (ADE), BCG (Bacille de Calmette et Guérin) vaccination, and HLA (Human leukocyte antigen) type. ADE and HLA types may also contribute to the protective effect during an immune reaction including vaccine response against SARS-CoV-2.
著者
斎藤 秀人 池谷 純一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.63-70, 2000-09-25 (Released:2012-11-13)
参考文献数
5

Carbon fibers are one of the most effective materials for seismic strengthening. However fire endurance of strengthening with carbon fiber reinforced plastics (CFRP) should be taken into account because of its combustibility. This paper describes the several tests in accordance with methods of Japanese Industrial Standard; tensile strength tests of CFRP exposed with elevated temperature, residual tensile strength tests of CFRP exposed with elevated temperature, quasi-noncombustibility tests of CFRP and fire resistance tests of wall, column, column with wing walls and T-shaped beam specimens strengthened with CFRP. As the results of the tests, tensile strength of CFRP at 40 °C decreased to approximately 40-50 % of normal tensile strength. Residual tensile strength of CFRP had heated up to 200 °C were two-thirds of normal tensile strength. CFRP covered with a plaster board had quasinoncombustibility. For fire resistance, reinforced concrete members strengthened with CFRP maintained their functions during 2 hours. Reinforced concrete walls or slabs with CFRP penetrations maintained their functions during 2 hours.
著者
森山 雄介 渡邉 恵介 新海 正晴 後藤 秀人 石ヶ坪 良明 金子 猛
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.755-759, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

背景.Garcin症候群とは,主に頭蓋底部の腫瘍性疾患などにより,一側性多発性に脳神経が侵され,四肢麻痺及び頭蓋内圧亢進症状を認めないものとされている.Garcin症候群による症状を契機に発見された肺癌症例は2例のみ報告されているが,いずれも神経症状の改善は得られていない.症例.61歳の女性.嗄声,嚥下障害を主訴に当院を紹介受診した.左側IX~XIIの脳神経障害を認め,頭部CTにて左側後頭蓋窩に単発の腫瘤を認めた.また,胸部CTで右肺S2内側に腫瘤及び縦隔リンパ節腫大を認めた.頭蓋骨の腫瘍生検を施行し,肺小細胞癌,頭蓋骨転移及び片側性多発脳神経障害(Garcin症候群)の併発と診断した.カルボプラチン(carboplatin)+エトポシド(etoposide)にて化学療法を開始したところ,神経症状の改善及び腫瘍の縮小を得た.結論.片側性多発脳神経障害を認めた際,頭蓋底部の腫瘍性疾患を念頭に置く必要があると考えられた.また,肺癌の頭蓋底転移による腫瘍の縮小が認められると神経症状が改善する可能性が示唆された.
著者
佐藤 秀人 亀田 昌志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第70回, no.人工知能と認知科学, pp.519-520, 2008-03-13
著者
藤 秀人
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

臨床研究では、メトトレキサートによって治療を受けている関節リウマチ(RA)患者を対象に、多施設無作為割付二重盲検比較試験を行っている。中間解析では、既存治療群と比較して時間治療群において治療成績が高い傾向を示した。基礎研究では、RAモデル動物を対象に炎症反応の日周リズムを評価した結果、RA発症前では認められなかったが、RA発症後に血中SAA(炎症の指標)やTNF-alphaに明瞭な日周リズムがあることが明らかとなった。今後、この機序解明を実施することで、個別化治療に向けた投薬マーカーの同定が期待できる。
著者
藤 秀人 樋口 駿
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

当研究グループでは、抗癌剤アドリアマイシン(ADR)の副作用である心機能障害を抗癌剤ドセタキセル(DOX)の投薬タイミングを考慮することで顕著に軽減できることをこれまでに明らかにした。本年度は、この機序解明を行った。まず、プロテオーム解析にて、DOCを先行投薬することで、心組織中のglyceraldehydes-3-phosphate dehydrogenase(GAPKH)が、過剰発現することが明らかとなった。GAPDHは、フリーラジカルスキャベンジ作用を有する生体成分として知られている。ADRによる心機能障害として、ADRによるフリーラジカル産生が重要であることが知られていることから、DOCの先行投与によって過剰発現したGAPDHがフリーラジカルを抑制し、心磯能障害を軽減している可能性が考えられる。また、フリーラジカルの生成を抑制するセルロプラスミン(CP)も、DOCの先行投薬によって心組織中で増加することをこれまでの研究にて明らかにしている。しかし、これまで明らかにしてきた因子は、いずれも心臓組織から取り出された因子であり、臨床にてモニタリングすることは不可能であった。そこで、本年度は、CPの血液中測定方法を開発し、血液中濃度をモニタリングすることで、抗酸化活性が高まっている時期の推計が可能かどうか評価した。その結果、ADR投薬によって血液中CP濃度はcontrol群と比較して顕著に軽減することが明うかとなった。これは、ADRによるフリーラジカル産生をCPが抑制することによって減少したものであると考えられる。一方、DOCを先行投薬したところ、血中CP濃度はcontrolレベルで維持されることが明らかとなり、CP活性の増加がフリーラジカル軽減に寄与している可能性が考えられる。近年、CPの血液中濃度が臨床検査にて測定できるようになった。したがって、今後詳細な検討が必要であるが、ADRとDOC併用において両薬剤間の投薬時期を決定するための投薬マーカーとしてCPが活用できるのではないかと期待している。