著者
福永 寛 櫻木 悟 藤原 敬士 藤田 慎平 山田 大介 鈴木 秀行 宮地 剛 川本 健治 山本 和彦 堀崎 孝松 田中屋 真智子 片山 祐介
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.2, pp.S2_154-S2_158, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
3

Kounis症候群とはアレルギー反応に伴い急性冠症候群をきたす症候群であり, 冠攣縮に合併したタイプ1とプラーク破裂に伴う血栓形成に起因するタイプ2に分類される. 今回, われわれはKounis症候群により心肺停止をきたした2症例を経験したので報告する.症例1: 76歳, 男性. 腰部脊中柱管狭窄症の術中にセフォペラゾンを投与したところ, アナフィラキシーショックを発症した. 下壁誘導にてST上昇を認めたため急性冠症候群と診断, 緊急冠動脈造影にて右冠動脈#1に血栓および#4AVに完全閉塞を認めた. 血栓吸引療法のみで再疎通が得られた.症例2: 61歳, 男性. 起床時より四肢・体幹に蕁麻疹を認め, その後, 心肺停止となり, 当院へ搬送された. 心肺蘇生術にて心拍再開したが, その後, 心室頻拍が頻発, 急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影を施行した. 冠動脈に有意狭窄は認めなかったが, 心電図上胸部誘導で一時的にST上昇を認めたため, 左前下行枝の冠攣縮と診断した.
著者
藤原 敬大
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.63-74, 2016-03

チークは,最も経済的価値が高い熱帯広葉樹の1つであり,その材質は,高密度,高い耐朽性や寸法安定性,装飾性によって特徴付けられる。インドネシアは,チークの世界三大生産地の1つであるが,主要な生産者であった林業公社によるジャワの国有林での生産量が減少している。一方で拡大する私有林が,新たなチーク材供給源として期待されている。本稿は文献調査を通じて,(1)国有林と私有林の特徴や現状について整理し,(2)新たなチーク材の供給源としての私有林の可能性ついて検討し,(3)チーク材の安定供給に向けて国有林と私有林が取り組むべき課題について提示した。伝統的な国有林管理は,功利主義と科学林業で特徴付けられる。一方で一般的な私有林管理では,共同管理のための森林計画や管理組織が存在せず,また樹木は地域住民の生活の必要に応じて伐採される。国有林と私有林の管理の実態は大きく異なり,それゆえ生産されるチーク材の材質にも大きな差がある。チーク材の安定供給のためには,国有林では地域住民と協働して長期間安定的にチーク林を管理していくこと,私有林ではチーク材の「質」と「量」の課題に取り組むことが必要である。
著者
山口 和孝 藤原 敬
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.25-37, 2014

The educational values have been shaken by the critiques from post-modernism. To reconstruct the values in education, the correlation between educational values and the ideas based on the theory needed to be analyzed. I used liberalism approach to this analysis.
著者
尾分 達也 山田 咲月 藤原 敬大 佐藤 宣子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.17-25, 2022 (Released:2022-08-19)
参考文献数
14

林業は労働者千人当たりの年間死傷者数が,全産業の中で最も高い産業であり,その労働災害対策は,労働災害の発生の抑制だけではなく,発生時に負傷者の重症化を防ぐことが求められる。本研究は,徳島県庁林業戦略課と林業労働災害防止協会徳島県支部,徳島県南部の林業事業体,並びに消防署へ林業労働災害対策の取組みについて聞き取り調査を行い,労働災害発生時の連絡体制および負傷者の移送体制について明らかにした。緊急を要する労働災害が発生した場合,現場作業者は事業体を介さず消防署へ直接連絡を取っており,消防署と円滑に連絡を取るための通信インフラや事業体内での連絡体制の整備の重要性が明らかになった。また負傷者を早急に搬送するためには,通報する作業員が救急処置や状況を消防署へ説明するための当事者意識教育やマニュアルの整備,作業地の位置情報を消防署と事前に共有するなど緊急車両やヘリが現場へ迅速に到着できる体制づくりが求められていた。それゆえ,労働災害発生時の緊急合流地点を事業体と消防署の間で共有し,事業体は現場や状況が変わる度にミーティングなどで作業員へ安全の意識付けを行うことが課題として示唆された。
著者
市川 啓之 櫻木 悟 藤原 敬士 西原 大裕 辻 真弘 横濱 ふみ 谷本 匡史 大塚 寛昭 山本 和彦 川本 健治 田中屋 真智子 片山 祐介
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.60-65, 2018-01-15 (Released:2019-03-28)
参考文献数
11

背景:急性冠症候群(ACS)の急性期には,糖代謝異常を認めることが多い.本研究ではACSの急性期に糖負荷試験を行い,糖代謝異常の経時的変化とその機序について検討した. 方法:対象は,ACSで当院に入院した患者のうち,糖尿病既往がなく,心不全などの合併症のない26名.急性期と亜急性期に75 gOGTTを施行し,インスリン分泌能および抵抗性の経時的変化を調査した. 結果:急性期には糖尿病型の割合が46%と多く存在したが,亜急性期には15%に低下した.急性期から亜急性期にかけて,Insulinogenic indexは有意に上昇した(0.50±0.46 vs 0.91±0.78,p=0.003).一方,HOMA-IRには変化がみられなかった. 結論:ACS患者では糖代謝異常が多く存在し,その原因として,インスリン抵抗性よりもインスリン分泌能の低下が大きく関与していると考えられた.
著者
大西 晶子 諸頭 三郎 前川 圭子 山崎 朋子 玉谷 輪子 藤井 直子 藤原 敬三 内藤 泰
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.531-538, 2020-12-28 (Released:2021-01-16)
参考文献数
11

要旨: 人工内耳 (CI) 装用小児の装用状況と音環境についての知見を得ることを目的とし, 18歳未満の CI 装用小児100例のデータロギングから得られたログデータについて, 各項目の分布を調べ, 就学前群, 小学生群, 中高生群で3群間の比較を行った。 CI 装用時間は, 年齢が高くなるごとに装用時間が長くなり, 中高生になると送信コイルの装用が安定した。音環境は, 雑音下の話声の方が静寂下よりも高い割合を占め, ログデータからも情報保障のための環境調整の重要性が示唆された。 CI データロギングは, 一定数の結果を集積した値と, 個々の小児の経時的変化を医療者が把握し, 保護者や関連機関と共有することで, より個々の小児に即したハビリテーションを行うことを可能にすると期待される。
著者
宮﨑 達二郎 佐藤 敬介 藤原 敬宏 野田 尚昭 佐野 義一
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.155-165, 2020

<p>本論文では,角柱状突合わせ継手の界面端角部および直線部のBad pair条件の違いを考察した。有限要素法(FEM)に基づく固有値解析で突合わせ継手の特異性指数を種々の材料組み合せにおいて求めた。界面端角部でのBad pair条件は,2次元モデルで知られている条件α(α−2β) > 0とかなり近いが,明確に異なる場合がある。ここで,(α, β) はDundursの複合材料パラメータである。すなわち,多くの場合には (α, β) で表現できるが,(α, β) のみでは表現できない場合が存在する。Bad pair条件の違いを明示するため,界面端角部で特異性が出現・消失する材料組み合せを (α, β) マップで比較して示した。さらに,3次元モデルでのGood pair,Equal pairおよびBad pairを判別する簡便式を提案し,その妥当性を解析結果に基づいて議論した。界面端直線部でのBad pair条件は,α(α−2β) > 0で表現できることを示した。</p>
著者
諸頭 三郎 山崎 博司 内藤 泰 眞鍋 朋子 山本 輪子 藤原 敬三 篠原 尚吾
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.68-76, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
23

当科で人工内耳手術を行った小児内耳奇形例11例をSennaroglu分類による奇形の型と人工内耳使用マップ, 術前聴力と術後人工内耳装用域値, 術前後の語音聴取や言語発達の成績, 発話明瞭度との関連を評価し, この分類法の臨床的妥当性について検討した。内耳奇形の内訳は2例がcommon cavity (CC), 2例がincomplete partition type I (IP-I), 5例がincomplete partition type II (IP-II), 1例がcochleovestibular hypoplasiaとcochlear nerve deficiencyの合併例 (CVH/CND), 1例が内耳道狭窄とCNDの合併例であった。11例中8例において人工内耳で音感を得るのに通常より大きな電荷量を必要とした。嚢胞状の蝸牛を呈するCCとIP-Iの4例中2例は術後語音聴取成績, 言語発達は良好であったが2例は不良でばらつきがあった。IP-II5例はすべての検討項目で術後成績が良好で言語メディアに聴覚-音声を使用していた。CND合併例2例は術後も語音聴取や言語発達の成績が不良で視覚言語の併用を必要とした。IP-IとIP-IIを峻別するSennaroglu分類とMRIによる蝸牛神経の評価の臨床的意義が確認された。
著者
藤原 敬 鈴木 春彦 速水 亨
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林管理の義務と支援を直接対象とした国際約束をめざした国際森林条約の不調を背景に、市場を通じたアプローチが、国際的な持続可能な森林管理達成の一つの方向性を示すものとなった。第三者認証による「森林認証システム」、行政の森林法の手続きをベースとする「合法性証明システム」など、である。これらのシステムは日本市場で一定の役割を果たしているが、コスト効率性と信頼性を巡り議論がある。効率的で信頼性のあるシステムを構築する視点で、両者のシステムを、分析・評価する。森林経営の評価手続きを、①FSCの森林認証要求事項と、②森林法の森林経営計画の認定要求事項を比較検討すると、後者は運用実態として、生物多様性保全・労働安全分野・事業者への注意義務などの面で不足している面が多い。ただし、森林経営計画の記載様式は柔軟にできており、実質的な認定の基準となっている市町村森林整備計画との連携で、持続可能な森林管理のツールとしてさらに発展する可能性をもっている。森林経営計画とセットになった合法証明システムのサプライチェーン管理の効率性・信頼性の評価と合わせて、さらなる検討が必要。
著者
藤原 敬記 伊藤 敏彦 荒木 健治 甲斐 充彦 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.1493-1503, 2006-07-01
参考文献数
24
被引用文献数
9

実環境での音声対話システムの使用において,誤認識を回避することは難しい.誤認識が起きると,システムはユーザの期待する応答とかけ離れた応答を行い,対話がスムーズに進まなくなることも多い.そこで本研究では,音声認識器が誤認識した場合でも,認識信頼度と対話履歴を用いることで正しくユーザの意図を推定することができる音声言語理解手法を提案する.これは,音声認識器が誤認識した場合でも多くの場合,複数候補(N-best)中に正解が含まれていること,システムが誤認識した場合にはユーザは大体訂正反応を示すこと,タスク指向対話には強い一貫性がありユーザは基本的に意味的・文脈的に関係した内容以外を発話しないことを利用する.また,提案手法ではあらかじめすべての認識可能単語を理解候補として保持し,言語理解部の対話戦略において音声認識結果中の単語との意味的関連性などを考慮している.これにより音声認識結果のN-best中に正解の一部が含まれていない場合でも,複数のユーザ発話の認識結果に基づくことで正しい意図を推定することが可能となっている.評価データにおいて,提案手法における対話単位での理解率は72.2%(21,430/29,670対話),単語単位での理解率は87.1%(77,544/89,010単語)であり,従来手法の最新認識結果の上位候補を優先するシステムの57.9% (17,178/29,670対話),75.4%(67,084/89,010単語)と比較しても有効である.
著者
福永 寛 櫻木 悟 藤原 敬士 藤田 慎平 山田 大介 鈴木 秀行 宮地 剛 川本 健治 山本 和彦 堀崎 孝松 田中屋 真智子 片山 祐介
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.S2_154-S2_158, 2011

Kounis症候群とはアレルギー反応に伴い急性冠症候群をきたす症候群であり, 冠攣縮に合併したタイプ1とプラーク破裂に伴う血栓形成に起因するタイプ2に分類される. 今回, われわれはKounis症候群により心肺停止をきたした2症例を経験したので報告する.<BR>症例1: 76歳, 男性. 腰部脊中柱管狭窄症の術中にセフォペラゾンを投与したところ, アナフィラキシーショックを発症した. 下壁誘導にてST上昇を認めたため急性冠症候群と診断, 緊急冠動脈造影にて右冠動脈#1に血栓および#4AVに完全閉塞を認めた. 血栓吸引療法のみで再疎通が得られた.<BR>症例2: 61歳, 男性. 起床時より四肢・体幹に蕁麻疹を認め, その後, 心肺停止となり, 当院へ搬送された. 心肺蘇生術にて心拍再開したが, その後, 心室頻拍が頻発, 急性冠症候群を疑い緊急冠動脈造影を施行した. 冠動脈に有意狭窄は認めなかったが, 心電図上胸部誘導で一時的にST上昇を認めたため, 左前下行枝の冠攣縮と診断した.