著者
大谷 京子 Kyoko Otani
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal of social welfare, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.130, pp.15-29, 2014-03-31

ソーシャルワークアセスメントプロセスにおいて求められるソーシャルワーカーの態度と,プロセスを進めるための行為・スキルについて,先行研究をレビューした.態度としては,ソーシャルワークの価値に根ざした認識論を基礎にしたときに求められる態度について先行研究を整理した.その「世界の見方」として,「問題の所在は社会の抑圧構造にある」という見方,「真実は一つではない」という見方を取り上げた.そこから導き出されるあるべきワーカーの態度とは,自らの役割に対する徹底的な自己批判的省察と,クライエントに対して欠損を負わせないストレングス視点,自らの偏った見方へのわきまえとクラエントとの協働を促進する態度である.行為・スキルとしては,①どのようなデータを,②どのように集め,③いかに分析し,④記録に残すか,ソーシャルワーカーの行為とそこで使われるスキルに関する先行研究を整理した.これらの整理を基に,ニーズアセスメントに焦点を絞って研修プログラムを開発することが今後の課題である.
著者
荒又 美陽 足立 大育 加納 怜育 菊川 理気 坂本 和大 渋谷 京佑 田嶋 玲 萩原 周太郎 菱沼 航
出版者
東洋大学社会学部
雑誌
東洋大学社会学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Sociology, Toyo University (ISSN:04959892)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.117-133, 2018-01

In recent years, seichi-junrei( pilgrimage to animation settings) has become a popular topic of study. Existing researches have mainly focused on the reaction of targeted areas, understanding seichi-junrei as a kind of tourism, and describing the events or souvenirs that are prepared for guests. Few works, however, have studied how the animations in question have affected the areas' image. This paper uses a methodology of literary studies to analyze nine animations and discuss their effect on the areas in which they are set and how they have led to pilgrimage. Although more systematic research is necessary, our work makes the followingconclusions: 1 ) the pilgrimages tend to be held so that fans can have the same experiences as animations' characters. Fans like to visit the everyday places in animations, including schools and small restaurants. One symbolic place is enough to spark a pilgrimage. 2 )Animations need to accurately reproduce these places, since photos taken by pilgrims must correspond with animation scenes. 3 ) Pilgrimages can bring about relationships between residents and anime fans, but this relationship is not necessarily a motivation for pilgrims. 4 ) Recent anime works tend to portray the idealized human relations, which do not oftenexist in reality. However, many fans may expect those ideals when relating to residents. 5 )It is possible that animation works and any resulting pilgrimage can change the image of regions of anime settings, which can obscure regions' actual history.
著者
軸丸 勇士 大森 美枝子 田代 恵 照山 勝哉 中谷 京一 河野 志津子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.39-44, 2005-11-26 (Released:2017-11-17)
参考文献数
5

野生ニホンザルの生息地の一つである高崎山自然動物園(大分市)。その山の麓に平成16(2004)年4月, 学習施設「おさる館」が開館した。山や館を訪れた人々のニーズをアンケートにより掴み, それを活用した見学や学習支援のための人材育成とその手法について紹介し, 連携した科学教育の必要性を述べる。
著者
野村 幸世 川瀬 和美 萬谷 京子 明石 定子 神林 智寿子 柴崎 郁子 葉梨 智子 竹下 恵美子 田口 智章 山下 啓子 島田 光生 安藤 久實 池田 正 前田 耕太郎 冨澤 康子
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.187-195, 2015

日本では外科を選択する医師は減少していますが,日本外科学会に新規入会する女性医師は年々増加しており,2008年新入会の22%が女性でした.ところが,日本の女性の年齢別就労人口をみると,M字カーブを描き,30,40代での離職が目立ち,医師も例外ではありません.この現状を打破するために必要な支援を探るため,日本外科学会女性外科医支援委員会と日本女性外科医会が中心となり,2011年6月下旬~8月末に日本医学会分科会に対し,専門医,認定医制度,評議員,役員,委員会委員,男女共同参画,女性医師支援に関しアンケートを行いました.その結果,多くの学会で女性医師支援の活動は行われつつあることがわかりました.しかし,役員,評議員,委員会委員といった意志決定機構における女性の割合は低いままにとどまっています.あらゆる意思決定機関に女性を参入させることが,女性外科医の活動を,ひいては我が国の外科医療そのものを加速させるのではないかと思われました.
著者
塩谷 京子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.527-532, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

小学校現場において情報リテラシーとほぼ同様の概念で使われている用語に,情報活用能力,情報活用スキルがある。これらを習得・活用する場は,主に情報教育,図書館教育であるが,これらは,各教科等の学習における問題解決学習や探究的な学習の中に組み込まれていることが多い。そこで,本稿では,実践事例を紹介しながら,情報リテラシー教育を推進するための視点を整理した。その結果,情報リテラシー教育が行われるためには教科や学年を超えた教員間の連携が必要であり,このような連携が生まれると,教科横断的な視点である授業デザインや探究の過程が教員間の話題になることがわかった。
著者
塩谷 京子 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.27-38, 2008-01-21
被引用文献数
2

小学生に情報活用能力を育成するための指導は,各教科と領域で行われている.しかしながらこの指導を,学級担任・司書教諭・情報主任(以下,三者という)が別々に行っているため,指導内容の重複があり非効率な状態にある.そこで,三者の役割や指導内容を明確にしたカリキュラムを開発することが,指導状況の改善につながるのではないかと考えた.開発したカリキュラムは,三層構造とし,各層が互いにリンクできるように作成した.開発したカリキュラムの運用を2006年5月〜7月までの3ヶ月間11校に依頼し,指導に携わる三者にアンケートを実施した.その結果,カリキュラムを階層化したことにより,コミュニケーションをとるときに役立つこと,目的に応じた使い方ができることが確認された.さらに,子どもの指導内容の習得度は,三者の連携が進んでいる学校ほど高いことが確かめられた.以上より,開発したカリキュラムは,指導状況の改善に有効に働くことが示された.
著者
寺澤 桂太郎 渡部 和義 寺林 幹夫 蔵元 茂 横本 泰樹 大谷 京子 島村 和位 山下 和正
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-15, 1992-12-26

FUT-187の急性毒性をマウス, ラットでは経口, 皮下および静脈内投与により, イヌでは経口投与により検討し以下の成績を得た。1 LD_<50>値は, マウスでは経口投与で雄; 4,395mg/kg, 雌; 3,626mg/kg, 皮下投与群で雄; 6,284mg/kg, 雌; 5,492mg/kg, 静脈内投与で雄; 39.4mg/kg, 雌; 41.4mg/kgであった。ラットでは経口投与で雄; 4,653mg/kg, 雌; 3,761mg/kg,皮下投与で雄; 6,799mg/kg, 雌; 3,343mg/kg, 静脈内投与で雄; 21.8mg/kg, 雌で15.8mg/kgであった。イヌでは3,000mg/kg付近と推定された。2 一般状態観察においては, マウスおよびラットの各投与経路にほぼ共通して投与後に腹這い姿勢, 痙攣, 吃逆, チアノーゼ, 自発運動の減少, 立毛および流涎等がみられた。イヌでは嘔吐および自発運動の減少, 腹臥, 横臥, 蹲り姿勢, 歩行失調および流涎等が観察された。3 剖検では, マウスおよびラットの経口投与で, 胃の膨満, 胃と肝の癒着, 消化管における硬化, 斑状出血または糜欄等がみられた。皮下投与では投与部位に被験物質の貯留および壊死等が観察された。イヌでは死亡例に消化管粘膜の赤色化あるいは粗造化が見られ病理組織学的に消化管粘膜の剥離, 変性, うっ血ないし出血が, 生存例では雌の高用量群で小腸の絨毛の萎縮がみられた。
著者
阿部 陽介 光島 徹 永谷 京平 井熊 仁 南原 好和
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.836-845, 1995-05-05
被引用文献数
20 26

case-control studyの手法を用いて胃癌死亡減少に対する胃癌集団検診(胃集検)の効果の疫学的評価および胃集検の効率化の検討を行い,重点的に受診すべき対象年齢と適正な受診間隔の設定を行なった.対象は基本集団を千葉県安房11市町村の地域住民(人口約16万人)とし,caseを胃癌死亡者男527,女293例,controlは性,年齢±3年,住居地区をマッチさせた一般住民男1552,女861例である.これを胃集検受診者と未受診者に分類し,受診者の胃癌死亡の比較危険度(RR)は未受診者を1.0とすると,男0.417,女0.480に低下した.性年齢別では男40~74歳,女50~69歳,受診間隔では前回受診から最長3年間はRRの有意の低下が認められた.