著者
大谷 京子
出版者
日本ソーシャルワーク学会
雑誌
ソーシャルワーク学会誌 (ISSN:18843654)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.39-50, 2019 (Released:2020-06-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本調査の目的は,スキルの構造を明らかにし,スキル評価尺度を開発することと,スーパーバイザーの属性との関連を明らかにし,訓練のための基礎資料とすることである. 質的調査によって抽出された634のスキルを基に21項目のスーパービジョン(以下SV)スキル評価のための質問紙を作成し,各団体認定スーパーバイザー558名を対象に郵送調査を実施した. 回答者の半数近くは経験も浅く,日本における組織的SVの展開は始まったばかりであることが示された.スキルについて確認的因子分析の結果,「スーパーバイジー中心」「課題焦点化」「実践化」「承認と評価」という4因子が得られた.スキル得点と属性との関連を分析した結果,ソーシャルワークの経験年数とは関連がなく,担当したスーパーバイジーの人数とは関連が高かった.すなわち,質の高いSVのためには,そのための訓練とSV実践が必要であることが明らかになった.
著者
都賀谷 京子
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.162-171, 2018-09-30 (Released:2019-09-30)
参考文献数
12

Cosmetics and medicated cosmetics are recognized as a necessity of daily life to increase the quality of life, and are used to maintain health and increase beauty. Cosmetics and medicated cosmetics are mainly regulated by The Law on Securing Quality, Efficacy and Safety of Products Including Pharmaceuticals and Medical devices. The main purpose of the Law is to improve public health, and to achieve this, securement of the quality, efficacy, and safety of cosmetics etc. is required. To fulfill the purpose, it is necessary to understand the regulation for cosmetics and medicated cosmetics accurately and to follow the Law properly. In this report, the definition of cosmetics and medicated cosmetics, regulations on ingredients and efficacy-effects, and regulations for selling cosmetics etc. are described.
著者
大谷 京子
出版者
一般社団法人日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.31-43, 2010-11-30

日本の精神保健福祉領域におけるソーシャルワーカーとクライエントとの関係性の構成要素を明らかにし,またその関係性に影響を与える要素を検証することを目的に,日本精神保健福祉士協会会員5,595人を対象に質問紙調査を実施した.因子分析の結果,「関係性」については,5因子からなる指標を開発した.また,先行研究から「関係性」に影響を与える要因として抽出した,ソーシャルワーカーが自らの役割をいかに規定するかという「自己規定」と,クライエントをどのようにとらえるかという「対象者観」についても,それぞれ4因子からなる指標を開発した.すべての因子について項目反応理論を用いて被験者母数を算出し,回帰分析を行った結果,「自己規定」と「対象者観」が「関係性」を予測すること,また他方で両者は「関係性」から影響を受けていることが明らかになった.これらの結果から,精神保健福祉領域のソーシャルワークへの提言を試みた.
著者
上田 紋佳 猪原 敬介 塩谷 京子 小山内 秀和
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.121-133, 2017-10-06 (Released:2017-12-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1

This longitudinal study examines the effects of reading specific genres(fiction,nonfiction,and picture books)on vocabulary growth and reading comprehension skill in elementary school students through two surveys;one at the start of the study and another one year later. Administered to 58 children,the surveys were conducted in the Decembers of their third and fourth grades,respectively. The number of books borrowed from the school library was used as an index of the amount of reading done by the students and the genres of the borrowed books were identified using the Nippon Decimal Classification. Vocabularies and reading comprehension skills were measured using the Reading-Test(Fukuzawa & Hirayama, 2009), which is a standardized test for Japanese students. The results indicated that amount of reading significantly accounted for the variances observed in the childrenʼs vocabulary and reading comprehension scores one year later after controlling for their scores when they were at third grade. Moreover,the amount of reading for nonfiction material significantly predicted gains in reading comprehension skills,although the amounts of reading for fiction and picture books did not.
著者
大谷 京子
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.129, pp.1-13, 2013-09-30

ソーシャルワークにおけるアセスメント概念を, 先行研究を通して整理した. アセスメントは, ソーシャルワーカー主導でクライエントの問題を把握する情報収集と分析のプロセスとされていた. しかし徐々に, 問題に焦点を絞るのではなく, クライエントの置かれている状況を, クライエントと共に理解していくことを指すように変化してきている. また, アセスメントプロセスについてモデルを提示した. すなわち, ソーシャルワークプロセスの中に, 情報収集 → アセスメントという段階があるのではなく, ソーシャルワークの全プロセスを通じて, アセスメント/リアセスメントという循環がクライエントとの協働でなされているというものである.以上を踏まえて, 研修プログラム開発を目指したアセスメントプロセスの操作定義を, 「クライエントとワーカー, そして周囲の状況を, ワーカーとクライエント双方が理解するためになされる, 情報収集と分析のプロセスであり, ワーカーは専門的価値に基づき知識を導出し, クライエントは固有の経験知に基づき, 協働して目の前の現実を解釈し共有するプロセスである」 とした.ニーズ主導アセスメントプロセスを, 交換モデルで展開するための, ソーシャルワーカーのスキル向上を目指すプログラム開発のために, さらにアセスメントスキルを明らかにすることが今後の課題である.
著者
大谷 京子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.143, pp.81-98, 2021-03-31

ソーシャルワーカーにとって,専門職アイデンティティ形成は極めて重要であるが,それが困難な環境に置かれている.本論では,ソーシャルワーカーの専門職アイデンティティに焦点を絞り,それがどのように語られているのか,概念を整理し,その形成のための教育訓練について提示する. ソーシャルワーカーの専門職アイデンティティは,①専門職集団が共有するアイデンティティ,②個人の中に統合された社会的アイデンティティの一つとしての専門職アイデンティティ,さらにはそれに対する自己認識,③個人の中にそのアイデンティティを内在化させるプロセスという 3 つの意味で使用されていた. ③のプロセスに注目した専門職アイデンティティ形成のための取り組みとして,養成課程では,「非公式カリキュラム」の土壌づくり,専門職アイデンティティを省察し表明する機会の提供など 5 点,現任者に対しては,専門職集団との日常的な交流の場の提供,ソーシャルワーカーによるスーパービジョンの提供など 4 点を提示した.
著者
猪原 敬介 上田 紋佳 塩谷 京子 小山内 秀和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.254-266, 2015 (Released:2015-11-03)
参考文献数
25
被引用文献数
10 4

海外の先行研究により, 読書量, 語彙力, 文章理解力には緊密な相互関係が存在することが明らかになっている。しかし, 我が国の小学校児童に対する調査はこれまでほとんど行われてこなかった。この現状に対し, 本研究では, これまで調査がなされていなかった1・2年生を含めた小学校1~6年生児童992名に対して調査を実施した。また, 読書量推定指標間の関係についても検討した。その際, 海外では使用例がない小学校の図書貸出数と, 新たに作成したタイトル再認テストの日本語版を含め, 6つの読書量推定指標を同時に測定した。結果として, 全体的にはいずれの読書量指標も語彙力および文章理解力指標と正の相関を持つこと, 読書量推定指標間には正の相関があるもののそれほど高い相関係数は得られなかったこと, の2点が示された。本研究の結果は, 日本人小学生児童における読書と言語力の関係についての基盤的データになると同時に, 未だ標準的方法が定まらない読書量推定指標を発展させるための方法論的貢献によって意義づけられた。
著者
光島 徹 永谷 京平 有馬 信之 横田 敏弘 南原 好和 井熊 仁 津田 純郎 大橋 茂樹 横内 敬二 阿部 陽介 野村 朋子 抱井 昌夫 吉田 美代子 浅野 幸宏 小久保 武
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.23-27, 1989

4種類の免疫学的便潜血テストを,全大腸内視鏡所見を至適基準として評価した。一泊人間ドック受診者1,800名を対象として検討した結果,発見大腸癌6例に対する感度及び特異度はそれぞれ,イムディアヘムSPO.33,0.98,0Cヘモディア0.17,O.98,モノヘムO.33,0.99,チェックメイトヘモO.50,0.97であった。
著者
金谷 京子
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.31-37, 1994-03-31

本研究は対人行動に問題を持つ、軽度の発達障害幼児にパートナーとの2人学習の場面で1年9ヵ月の間、社会的スキルの獲得のための指導を行った経過を通して、そのプログラムと指導法について検討したものである。指導法には、行動修正技法を用い、初期の段階では、個別的課題を2人で同じ机上で移行し、お互いを観察すること、模倣することを強化した。第2段階では、パートナーとの共同作業やゲームを増やし、適切な言語伝達法を学習させるとともに、ルールの理解や競争意識の喚起を促した。そして最終段階では、ごっこ遊びやゲームを通して相手への援助行動や協力行動を強化し、子ども同士の相互作用を促して、教師の介入は漸次撤去していった。以上の結果、対象児の注目行動の定着、適切なコミュニケーション手段の獲得、相手との協力・援助行動の増加をもたらした。
著者
猪原 敬介 上田 紋佳 塩谷 京子 小山内 秀和
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.254-266, 2015
被引用文献数
4

海外の先行研究により, 読書量, 語彙力, 文章理解力には緊密な相互関係が存在することが明らかになっている。しかし, 我が国の小学校児童に対する調査はこれまでほとんど行われてこなかった。この現状に対し, 本研究では, これまで調査がなされていなかった1・2年生を含めた小学校1~6年生児童992名に対して調査を実施した。また, 読書量推定指標間の関係についても検討した。その際, 海外では使用例がない小学校の図書貸出数と, 新たに作成したタイトル再認テストの日本語版を含め, 6つの読書量推定指標を同時に測定した。結果として, 全体的にはいずれの読書量指標も語彙力および文章理解力指標と正の相関を持つこと, 読書量推定指標間には正の相関があるもののそれほど高い相関係数は得られなかったこと, の2点が示された。本研究の結果は, 日本人小学生児童における読書と言語力の関係についての基盤的データになると同時に, 未だ標準的方法が定まらない読書量推定指標を発展させるための方法論的貢献によって意義づけられた。
著者
坂井 隆敏 人見 ともみ 菅谷 京子 甲斐 茂美 村山 三徳 米谷 民雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.144-147, 2007-10-25 (Released:2008-02-05)
参考文献数
14
被引用文献数
16 15

液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)による,豚および牛組織中のβ-作動薬ラクトパミンの簡便かつ再現性の高い分析法を開発した.筋肉および肝臓の場合は,酢酸エチルによりラクトパミンを抽出し,得られた酢酸エチル層を減圧乾固後,残留物をアセトニトリル/n-ヘキサン分配により精製した.脂肪の場合は,アセトニトリル/n-ヘキサンにより分配抽出および精製を行った.精製後に得られたアセトニトリル層を減圧乾固し,残留物をメタノールに再溶解後LC/MS測定に供した.LCにおける分離は,分析カラムとしてWakosil-II 3C18HGカラム(150×3 mm i.d.),移動相として0.05%トリフルオロ酢酸-アセトニトリル(80 : 20)を用い,流速0.4 mL/minの条件で行った.MSにおける検出は選択イオン検出(SIR)モードにて行い,エレクトロスプレーイオン化法(ESI)により生じたラクトパミンの擬分子イオン(m/z 302)を検出した.本法による筋肉(0.01 μg/g添加),脂肪(0.01 μg/g添加)および肝臓(0.04 μg/g添加) からのラクトパミンの平均回収率(n=3)は,豚サンプルにおいてそれぞれ99.7%, 99.5%および100.8%,牛サンプルにおいてそれぞれ108.3%, 97.0%および109.4%であった.相対標準偏差は0.1∼9.5%の範囲であった.また,定量下限値は0.001 μg/g (1 ng/g)であった.
著者
佐藤 英雄 中村 中六 日比谷 京
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.579-584, 1962-06-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
12
被引用文献数
19 21

The processes of sex differentiation and sexual maturation of the eel, Anguilla japonica, were examined. In glass eels, the primordial germ cells standing in a line are found in each of the gonads (Pl. I, Fig. 1). The cells gradually increase in number under about 15cm in total length of the bodies, and steadily increase at 18cm or thereabout (Pl. 1, Fig. 2). The sex may differentiate at this stage, and histological structures of gonads become characteristic in both sexes, while ovaries and testes hardly be distinguished by means of their external appearance until the eels come to about 30cm in total length (Pl. I, Fig. 3 and 4). As they grow longer than some 30cm, the discriminative features of ovaries and testes become appreciable. In view of the observations described above, it is suggested that there is neither “phase of precocious feminization” nor “phase of juvenile hermaphroditism” in A. japonica. In testes of eels less than about 40cm, there may be seen many spermatogonia but no spermatocyte (Pl. I, Fig. 5), and the former gradually increase in number accompanying with body growth (Pl. I, Fig. 6). In silver eels having catadromous nature, a number of spermatocytes are found in testes, but spermatids scarcely ever (Pl. II, Fig. 1). In ovaries of eels ranging in total length from 25cm to 40cm, oogonia and primary oocytes are found intermingling (Pl. II, Fig. 3 and 4). As they grow over about 40cm, oocytes increase fast. In catadromous female fish, the cells develop up to the yolk vesicle stage (Pl. II, Fig, 5). It is generally found that the gonadal maturation of eels advance mostly in autumn and somewhat degenerate in winter, though the seasonal fluctuation in maturation are not so obvious.
著者
谷 京
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.2-31, 2021-09-15 (Released:2021-09-28)
参考文献数
34

本稿は従来ほとんど学術的関心の対象とならなかった日朝貿易の展開過程を分析し,日韓国交正常化交渉のさなかの1960年代前半に,むしろ日朝貿易の制限緩和が進んだ要因を明らかにする。先行研究では,日本政府と経済界とのせめぎ合いのなかで,日朝貿易は漸進的・事後承認的に制度化されたといわれる。本稿はこれまで単一アクターとして仮定されてきた日本政府内の省庁間対立に注目し,通産省や大蔵省が日朝貿易の制度化に大きな役割を果たしたと主張する。すなわち,戦後日本の朝鮮半島政策には,同じ資本主義陣営の韓国を優先しようとする外務省の「冷戦の論理」だけでなく,北朝鮮との経済関係の拡大を模索する通産省,大蔵省,経済界の「経済の論理」が存在した。そして,日韓会談の停滞を直接の契機として,日本政府内では「冷戦の論理」よりも「経済の論理」が優勢となった。それゆえ,日朝貿易は東アジア冷戦下においても発展し続けた。
著者
隆島 史夫 日比谷 京 ファンバン ガン 会田 勝美
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.43-49, 1972
被引用文献数
35

In order to clarify the endocrine control over the egg yolk formation, the effects of estrogenic substance (diethylstilbestrol), androgenic substance (methyltestosterone), thyroid hormone (powdered mammalian thyroid gland), and adrenocorticotropin on plasma lipid and lipoprotein in rainbow trout were examined. Levels of total lipid and lipoprotein in plasma were raised by estrogen treatment. The liver of estrogen-treated fish was hypertrophic, and contained more lipid, protein and nucleic acids. It is concluded that the lipoporotein is synthesized in liver and released into the blood under the influence of ovarian steroid hormone. On the contrary, the levels of lipid and lipoprotein were reduced by thyroid powder administration. From these results it is suspected that an endocrine correlation mechanism affects the metabolism of lipoproteins that are deposited in the oocytes.