著者
神谷 卓也 山口 優太 中谷 真太朗 西山 正志 岩井 儀雄
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.438-447, 2021 (Released:2021-05-01)
参考文献数
29

本論文では,頭上カメラで撮影された映像中の身体動揺を用いることで,立ち止まる人物の性別を識別できるかどうかについて評価する.従来より性別認識において,歩容の映像から抽出された特徴量が用いられている.一方,立ち止まる人物の動きについては,性別認識において,これまで考慮されてこなかった.立ち止まる人物の性別を識別するため,我々が過去に提案したLocal Movement (LM) 特徴量を,身体動揺が撮影された映像から抽出する.本論文の目的は,LM特徴量と識別器との組合せによって,性別を識別できるかを評価することにある.ここでは識別器として線形SVMを用いた.男女の身体動揺の映像データセットを構築し,性別認識の精度を評価した.実験結果から,LM特徴量と線形SVMとを組合せた本評価対象手法は,他の手法と比べて,立ち止まる人物の性別を,身体動揺の映像から高精度に識別できることを確認した.
著者
坂井 一雄 谷 卓也 青木 智幸 岸田 潔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F1(トンネル工学) (ISSN:21856575)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.76-91, 2021 (Released:2021-09-20)
参考文献数
49

山岳トンネルの安全かつ経済的な施工には,切羽前方の地山状況を精度よく予測して,必要に応じて予防保全的な対策工を講じる事が重要である.これまでに筆者らは,日常の施工管理の一環として,簡易に実施できるトンネル天端部の傾斜計測によって,切羽前方地山の硬軟変化を予測する手法を考案し,数値解析や現場計測試験で妥当性と有効性を確認してきた.本論文では,提案手法によって切羽前方地山予測を実現できる条件を明確化する目的で,土被りや地山剛性をパラメータとした感度解析を実施した.また,傾斜計測による地山状況予測結果を,変形余裕量の設定や補助工法の検討に対して実務的に活用することを目指して,傾斜角度から天端沈下量を定量的に推定する方法を検討し,現場実装試験の事後評価で有効性を確認した.
著者
成富 真理 畠 榮 福屋 美奈子 鐵原 拓雄 鹿股 直樹 小塚 祐司 森谷 卓也 定平 吉都
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-35, 2013 (Released:2013-03-13)
参考文献数
9

背景 : 腎原発悪性リンパ腫はまれである. 腎原発 MALT リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.症例 : 59 歳, 女性. 4 年前, シェーグレン症候群と診断された. 健診の超音波検査で右腎に 24 mm 大の low echo 域を認め, CT, MRI で右腎に多発性の腫瘤がみられた. 徐々に腫瘤像の増大を認めたため, CT ガイド下針生検および捺印細胞診を施行した. 捺印細胞診では, 上皮細胞, 多数のリンパ球, 形質細胞, 赤血球を認めた. リンパ球は小∼中型で, 核は類円形∼楕円形, 核クロマチンは顆粒状, 小型で好酸性の核小体が 1 個みられた. リンパ球に異型はみられず, 腫瘍性よりも反応性によるものと考えた. 針生検標本では, 全体に小リンパ球・形質細胞浸潤が強く, リンパ球の尿細管上皮内侵入と思われる像も散見された. 個々の細胞異型は軽微であった. 免疫組織化学では B 細胞性マーカー陽性細胞がより多く認められた. PCR 法で, IgH 遺伝子再構成を認めた.結論 : 細胞診ではリンパ球の異型が弱く, 診断に苦慮した. 臨床所見や画像所見なども参考にし, 慎重に診断を行う必要があると考えられた.
著者
森谷 卓也
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.95-97, 2019 (Released:2019-10-01)
参考文献数
3

2018年5月に『乳癌取扱い規約(第18版)』が発刊された。今回の改訂では国内外の分類との整合性を図ることに重きが置かれ,WHO 分類(第4版,2012年)を強く意識し両者の読み替えが可能となるよう対応表が作成された。また,切除検体の病理学的記載事項チェックリストや索引を設け,使いやすさを重視した。病理組織学的分類では,上皮性腫瘍の良性腫瘍と悪性腫瘍の間に異型上皮内病変の説明が加わった。悪性腫瘍では微小浸潤癌が追加された。浸潤性乳管癌は腺管形成型・充実型・硬性型・その他の4型に分けるが,単なる用語の置き換えではなく,コンセプト自体が変化した。また,乳管内成分優位の浸潤性乳管癌も記載することを求めた。特殊型は,化生癌などで組み換えがなされ,篩状癌など新たな組織型が加わるとともに,混合型のカテゴリーも設けた。病理編第2部では,推奨固定法,センチネルリンパ節転移の表記法,断端評価法,病理学的グレード分類の記載について解説や変更がなされた。ホルモン受容体のAllred score,HER2に対するISH 法も新たに記載された。組織学的治療効果の判定基準については図譜が強化され,評価法の説明も詳しくなった。今後は新規約に準じた症例蓄積による分類法の検証や,次の改訂に向けた課題抽出が必要である。さらに,日本独自の概念・分類法については,本邦からの国際発信がなされることが望まれる。
著者
梶谷 卓也 平野 佳代子 澤木 弘之 浜田 誠一郎 平 雅成 永吉 顕 ?梨 晃 萩原 秀彦(MD)
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.141, 2011

【目的】<BR> サッカーは,キック動作を多用する下肢を中心とした動きの連続で,下肢外傷の発生頻度は高い.特に,股関節周囲の慢性的な疼痛を訴える選手が多く,その治療と予防には力が注がれている.競技特性として,ポジション別に身体操作に特徴があり,特にサイドプレーヤーでは,左右の下肢へ加わるストレスに違いがある.支持脚と蹴り脚について,大腿四頭筋の筋力や重心動揺など多くの研究がなされているが,両者の差は明らかにされていない.また,股関節機能に対する研究や,ポジション別に左右差を検討した報告は少なく,検討の余地がある.<BR> 本研究では,ポジション別の特性が股関節の機能に与える影響に着目し,利き脚と非利き脚における筋力及び可動域(以下ROM)について検討し,若干の知見が得られたので報告する.<BR>【対象】<BR> 本研究の趣旨を理解し同意を得た,下肢に既往のない高校サッカー選手20名(年齢17.2±0.7歳,身長170.9±6.3cm,体重62.5±6.4kg)とし,各ポジションの競技歴が3年以上の者を選定した.内訳は,センタープレーヤー10名(以下CP群),サイドプレーヤー10名(以下SP群)とした.尚,利き脚はキック動作を多用する側とし,SP群では,全員が利き脚と同側のポジションであった.<BR>【方法】<BR> 股関節外転・内転・外旋・内旋のROMと筋力を,下記の方法で測定した.A)ROM:日本整形外科学会,日本リハビリテーション医学会に準じ,角度計を用いて計測した.B)筋力:徒手筋力計(μTasF-1)を用いて各2回測定し,平均値を求めて体重比を算出した.統計学的処理は,CP群とSP群で各項目の利き脚と非利き脚における差について,対応のないt検定を用い比較検討した(P<0.05).<BR>【結果】<BR> CP群は,全ての項目で有意差は認められなかった.SP群は,筋力で内転(利き脚:0.903±0.15Nm/kg,非利き脚:0.739±0.14 Nm/kg),内旋(利き脚:0.736±0.18 Nm/kg,非利き脚:0.591±0.10 Nm/kg)に有意差が認められ,その他の項目では認められなかった.<BR>【考察】<BR> 結果より,CP群では差はなかったが,SP群において股関節内転・内旋筋力で,利き脚が非利き脚より高値を示した.SP群は,同一脚,特に利き脚でのキック動作を多用し,中でもインフロントキックを用いる局面が多い.インフロントキックは,テイクバックから股関節内転・内旋運動によって,インパクト,フォロースルーへ移行することが特徴的であり,結果との関連性が考えられた.従って,サッカー選手ではポジションの特性により,股関節機能に影響を与えることが示唆された.<BR>
著者
秋保 信彦 遠藤 希之 井沢 路世 熊谷 勝政 長嶋 真紀 武山 淳二 八重樫 弘 渡辺 みか 森谷 卓也
出版者
特定非営利活動法人日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.323-331, 2007-11-22
参考文献数
30
被引用文献数
2 4

目的:乳腺における「細胞診および針生検の報告様式(日本乳癌学会)」に従った細胞診成績を導入前と比較し,導入の意義を検討した.方法:15470検体を新報告様式導入前後で2期に区分し,(1)診断区分ごとの比率,(2)新報告様式の数値目標,(3)英国乳腺スクリーニング基準(QA)による感度・特異度などの係数,を比較検討し,(4)癌例において,細胞診で初回に悪性判定できなかった症例の診断確定までの追跡を行った.成績,(1)新報告様式導入により悪性疑い症例の比率が増加し,検体不適正率・鑑別困難率が低下した.(2)新報告様式の目標値では悪性疑い症例中のがん症例の割合と,(3)QAの基準値では偽陰性率(Fls-)が,導入前後を通じ目標に到達しなかった.(4)診断確定のための追加検査のうち,再度の細胞診で悪性判定されたのは18.5%だった.結論:数値変化の原因として,新報告様式の導入効果(組織型推定と根拠となる細胞所見の記載・臨床への判定理由フィードバック)が考えられた.新報告様式の数値目標は精度管理上有益で,QAや文献データとの比較が可能となった.
著者
上杉 修平 Muhammad Madden 熊谷 卓也 前田 能孝 明田川 正人
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.927-928, 2012

前報までの変位センサの構成はフォトダイオードを4個×3セット使用しアライメントが困難であった.また,得られるリサージュダイアグラムはスピンドルの回転に伴い中心,半径が変動した.本報では周波数可変レーザを用いた正弦波位相変調法を採用し,センサ1セットに対しフォトダイオードを2個とした.干渉縞信号を同期検波することで90°位相の異なる2つの正弦波を得た.さらに,リサージュダイアグラムを規格化した.
著者
木下 一雄 伊東 知佳 中島 卓三 吉田 啓晃 金子 友里 樋口 謙次 中山 恭秀 大谷 卓也 安保 雅博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb1369, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 我々はこれまで後方進入法による人工股関節全置換術(THA)後の長座位および端座位における靴下着脱動作に関する研究を行ってきた。その先行研究においては靴下着脱能力と関係のある股関節屈曲、外転、外旋可動域、踵引き寄せ距離や体幹の前屈可動性の検討を重ねてきた。しかし、靴下着脱動作は四肢、体幹の複合的な関節運動であるため、少なからず罹患側の状態や術歴、加齢による関節可動域の低下などの影響を受けると考えられる。そこで本研究では、退院時の靴下着脱動作に関与する体幹および股関節可動域以外の因子を検討し、術後指導の一助とすることを目的とした。【方法】 対象は2010年の4月から2011年8月に本学附属病院にてTHAを施行した228例234股(男性54例、女性174例 平均年齢64.2±10.9歳)である。疾患の内訳は変形性股関節症192例、大腿骨頭壊死36例である。調査項目は年齢、身長、体重、罹患側(片側か両側)、術歴(初回THAか再置換)、術前の靴下着脱の可否、足関節背屈制限の有無、膝関節屈曲制限の有無をカルテより後方視的に収集した。術前の靴下着脱の可否の条件は長座位または端座位にて背もたれを使用せずに着脱可能な場合を可能とし、不可能をそれ以外の者とした。足関節背屈、膝関節屈曲可動域は標準可動域未満を制限ありとした。統計学的処理はロジスティック回帰分析を用いて目的変数を退院時における長座位または端座位での靴下着脱の可否とし、説明変数を年齢、BMI、罹患側(片側か両側)、術歴(初回THAか再置換)、術前の靴下着脱の可否とした。有意水準はいずれも危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究においてはヘルシンキ宣言に基づき、患者への説明と同意を得た上で測定を行った。測定データをカルテより後方視的に収集し、個人名が特定できないようにデータ処理した。【結果】 まず、長座位では、退院時の靴下着脱可能群は130例、不可能群は114例であった。可能群の平均年齢は62.8±10.6歳、不可能群は65.7±10.9歳であり、可能群の平均BMIは23.4±4.0、不可能群は24.1±3.8であった。可能群の罹患側は、片側70例、両側60例、不可能群は片側例、両側例は各57例であり、術歴は可能群の初回THAは102例、再置換は28例、不可能群の初回THAは101例、再置換は13例であった。術前の靴下着脱の可否は、可能群のうち術前着脱可能な者は74例、術前着脱不可能が56例であり、不可能群のうち術前着脱可能な者は24例、不可能な者は90例であった。また、可能群の足関節背屈制限は4例、不可能群は3例であり、可能群の膝関節屈曲制限は3例、不可能群は15例であった。一方、端座位では、退院時の靴下着脱可能群は110例、不可能群は134例であった。平均年齢は可能群62.2±10.9歳、不可能群65.8±10.7歳、可能群の平均BMIは23.2±4.1、不可能群は24.1±3.6であった。罹患側に関しては、可能群の片側59例、両側51例、不可能群は片側69例、両側65例であった。術歴に関しては可能群の初回THAは84例、再置換は26例、不可能群では初回THAは112例、再置換は22例であった。術前の靴下着脱の可否に関しては、可能群では79例が術前の着脱が可能、31例が着脱不可能であり、不可能群は術前の着脱可能な者は34例、不可能な者は100例であった。可能群の足関節背屈制限は3例、不可能群は4例であり、可能群の膝関節屈曲制限は2例、不可能群は16例であった。統計処理の結果、長座位での靴下着脱因子は術前の靴下着脱の可否が抽出され、端座位での靴下着脱因子には術前の靴下着脱の可否と年齢が抽出された。(p<0.01)。【考察】 本研究においては退院時における靴下着脱動作に関与する体幹および股関節可動域以外の因子を検討した。先行研究では本研究と同様に術前の着脱の可否が術後の可否に関与しているという報告があるが、いずれも症例数が少ない研究であった。本研究の結果より術前の着脱の可否は術後早期における着脱の可否に関与しており、術前患者指導の必要性を示唆するものである。端座位着脱における年齢の影響に関しては、加齢または長期の疾病期間に伴う関節可動域の低下、あるいは着脱時の筋力的な要因が考えられる。今後は症例数を増やして詳細な因子分析を行いながら、縦断的な検討も加えていきたい。【理学療法学研究としての意義】 THAを施行する症例は術前より手を足先に伸ばすような生活動作が制限され、術後もその制限は残存することが多い。本研究により靴下着脱動作に関与する因子を明らかにすることで術前後の患者指導の効率化や質の向上が図られると考える。
著者
小谷 卓也 竹歳 賢一 長瀬 美子
出版者
大阪大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の成果の概要は、以下の通りである。[1]幼小一体型数理教育カリキュラムとして、「乳幼児期のかがく」のモデル保育を計15個、「低学年児童期のかがく」の生活科モデル授業を計16個開発することができた。[2]時系列エピソード記録の事例分析法による分析から、「数」と「自然の事物・現象」に対する認知発達の度合いを示す評価指標の開発の基本データとなる探索行動の特性として、(1)探索行動には3つの段階が存在すること、(2)「1回試行」で探索を終えずに同じ試行を何度も繰り返す傾向があること、(3)探索行動中のコミュニケーションには3つのパターンが存在するという仮説が導かれた。
著者
鈴木 薫 小谷 卓也
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.921, pp.162-169, 2006-03-13

日立製作所は,2006年春に業界に先駆けて電子ペーパーを利用した汎用ディスプレイを発売する。2005年12月にはJR東京駅でこのディスプレイを利用した実証実験を実施し,話題を呼んだ。同社の電子ペーパー市場への取り組みを,実証実験の調査結果などを交えて議論する。
著者
長瀬 美子 小谷 卓也 田中 伸
出版者
大阪大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「心情」「意欲」「態度」にかかわるわが国の幼稚園教育の目標は、その総合性のため、明確な到達目標が描きにくく、幼児教育・保育に携わる者の共通認識になりにくいという課題がある。本研究では、乳幼児期に、あそびを通して形成した力を、小学校以降の学校教育での科学教育につなぐためには、形成すべき力を明確にし、それを体系化することが必要であると考え、現在の幼児教育の基本である5領域について、「観察」「コミュニケーション」能力が年齢にそってどのように発達するかを体系化した。このことで、発達の筋道が明確になり、保幼小連携型カリキュラムを作成するためのモデルが提供できた。