著者
鈴木 杏奈 長谷川 諒 稗貫 峻一 窪田 ひろみ 伊藤 高敏
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.111-122, 2022-07-25 (Released:2023-01-25)
参考文献数
35

Geothermal potential area in Japan has been depopulated recently, and there have been distances between the geothermal potentials and most energy consumers living in urban areas. Since 2020, working from home (home-based telework) has spread rapidly due to the influence of the COVID-19. If some of the energy consumers work from the geothermal potential area, namely onsen areas, it would help to reduce the extra fossil fuel consumption, to reduce the environmental impact, and to save commuting costs and time. In this study, we quantitatively evaluated the advantages and feasibility of working from onsen in Naruko area, Osaki City, Miyagi Prefecture, as a case study. The environmental effects were analyzed by using the annual CO2 emissions and the costs, based on the perspective of the form of stay and the life-cycle assessments with four scenario conditions ((a) base system, (b) home-based telework in a city, (c) onsen-based telework (using hot spring only for bathing), and (d) onsen-based telework (using hot spring for bathing and heating)). Compared to the base system, the use of public baths in the onsen area can reduce CO2 emissions by about 1/3, and the use of bathing and heating by hot springs can reduce CO2 emissions by about 1/4. In the case of a short-term stay in the onsen area, the effects of reducing CO2 emission differed depending on the area where the worker is based and the season. The results indicates that some conditions of the short-term stay may results in higher CO2 emission than when nothing is done. Therefore, we expect that each of urban workers, companies, and onsen areas will change their awareness and take actions to be able to stay in the onsen area for a mid- to long-term.
著者
箕輪 はるか 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 上杉 正樹 遠藤 暁 奥村 真吾 小野 貴大 小野崎 晴佳 勝見 尚也 神田 晃充 グエン タットタン 久保 謙哉 金野 俊太郎 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 髙橋 賢臣 竹中 聡汰 張 子見 中井 泉 中村 駿介 南部 明弘 西山 雄大 西山 純平 福田 大輔 藤井 健悟 藤田 将史 宮澤 直希 村野井 友 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 山守 航平 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【はじめに】日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として本研究プロジェクトを実施した。2016年6月から9月にかけて、のべ9日間176名により、帰還困難区域を中心とする福島第一原子力発電所近傍105箇所において、空間線量率の測定および土壌の採取を行った。プロジェクトの概要については別の講演にて報告するが、本講演では福島県双葉郡大熊町・双葉町の土壌中の放射性セシウム134Csおよび137Csのインベントリ、土壌深部への移行、134Cs/137Cs濃度比、また空間線量率との相関についての評価を報告する。【試料と測定】2016年6・7月に福島県双葉郡大熊町・双葉町の帰還困難区域内で未除染の公共施設36地点から深さ5 cm表層土壌を各地点5試料ずつ採取した。試料は深さ0-2.5 cmと2.5-5 cmの二つに分割し、乾燥処理後U8容器に充填し、Ge半導体検出器を用いてγ線スペクトルを測定し、放射性物質を定量した。【結果と考察】137Csのインベントリを航空機による空間線量率の地図に重ねたプロットを図1に示す。最大濃度はインベントリで137Csが68400kBq/m2、比放射能で1180kBq/kg・dryであった。インベントリは空間線量率との明確な相関がみられた。深部土壌(深さ2.5-5.0 cm)放射能/浅部土壌(深さ0-2.5 cm)放射能の比はおおむね1以下で表層の値の高い試料が多かったが、試料ごとの差が大きかった。また原子力発電所より北北西方向に134Cs/137Cs濃度比が0.87-0.93と明確に低い値を持つ地点が存在した。
著者
鈴木 杏子 仲河 優里 西 まみか 野田 裕美子 高岡 素子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成20年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2008 (Released:2008-08-29)

【目的】 精進料理とは禅寺で修行に励む僧侶たちが食べる、殺生を禁じた粗末な食事で、動物性の食材を一切使用しない伝統的な料理である。現在、「精進料理」には2つの側面があり、1つはお寺に伝承され、調理される修行僧の食事と法要後に食される料理であり、もう一つは禅寺の近くに精進料理専門店で発達している。本研究ではカロリー控えめでヘルシーであると思われている精進料理メニューの実態調査を行い、現代における精進料理の栄養について明らかにし、また精進料理の食味に及ぼす油の影響について調べた。 【方法】 1.京都の精進料理専門店3店を選び、1食分のメニューを合計5点注文し、各食材の質量を測定、汁物の塩分濃度を測定した。栄養摂取量は各食材の重量を基に栄養価計算ソフト(エクセル栄養君Ver.4.0)を用いて解析した。2. 油脂の使用が精進料理の食味に及ぼす影響を知るために、3種類のメニューについて油添加・油無添加で調理し、官能検査を行った。 【結果および考察】 1. 1食分を成人女性の昼食と見積もり、各成分について食事摂取基準量の30%を基準量とした。エネルギーは967kcalで基準量の約1.57倍、食塩は6.4gで基準量の2.67倍であり、高カロリー、高塩分であることが明らかとなった。しかしながらPFCバランスは良好であり、ほとんどのミネラルやビタミン、食物繊維は基準量以上摂取できていた。 2. けんちん汁ではほとんどの項目で油添加の方が好ましいという評価が得られた。油無添加では塩味が強く感じられ、油の使用により味がまろやかになることが示唆された。切干ダイコンでは、全ての項目で油添加の方が好ましいという評価であった。白和えは油の有無による顕著な違いは見られなかったが、油を加えることによって塩味が抑えられる点では同様な傾向を示した。
著者
北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 箕輪 はるか 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 斎藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 阿部 善也 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 神田 晃充 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 南部 明弘 藤田 将史 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【研究背景】 2011年3月に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県を中心とする陸域に大規模な放射能汚染が起こった。事故後の2011年6月には、日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした有志の研究グループが、汚染状況の把握のための土壌採取のフィールド実験を実施した。これにより初期の汚染状況が明らかとなったが、航空機サーベイ等による汚染状況の把握は継続して行われているものの、実際に土壌を採取して汚染状況の詳細を把握する大規模な調査はそれ以降行われていない。事故から5年以上が経過し、土壌に沈着した放射性核種(主に放射性セシウム:134Csおよび137Cs)は環境中でその化学形態等を変化させ、土壌の深部への浸透や流出により、初期とは異なる分布状況に変化していることが予想される。帰還困難区域の除染作業が開始されようという状況で、土壌の放射性核種の汚染状況を把握するのはきわめて重要である。そこで本研究では、福島県内の帰還困難区域を中心として土壌採取のフィールド実験を行い、その分析により現在の汚染状況の把握することを目的に実施した。【調査概要】 本研究プロジェクトは、2016年6月から9月にかけての9日間、のべ176名で実施した。福島県内の帰還困難区域を中心として、公共施設等を選定したうえで、各自治体との情報交換を行い、除染が行われていない地点全105か所を土壌採取場所として選択した。まずはNaIシンチレーターもしくは電離箱を用いて地面から1 mおよび5 cmの空間線量の測定を行い、専用の採土器を用いて表層より5 cmの土壌を採取した。試料採取場所におけるばらつきを評価するために、1地点ごとに5試料の採取を実施し、5年間の環境中での放射性核種の移動状況を評価するために、土壌は表層部の0.0-2.5 cmと、深部の2.5-5.0 cmに分けて採取した。また放射性核種の移行過程をより詳しく調べるために、4地点につき1地点程度、深さ30 cmのコア試料の採取も行った。本講演では、この調査について概要を説明し、事故直後と5年後の比較などいくつかの初期結果について簡単に紹介する。より詳細な結果については、別の講演にて報告が行われる。
著者
阿部 貴弘 山岸 祐子 鈴木 杏子 菊原 綾乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00264, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
9

東京都青梅市を流れる多摩川は,かつては筏流しや渡し船,現在でも子供の川遊びやカヌー,ボルダリングなど,生活や生業,レクリエーションの場として盛んに利用されてきた.そうした利用を反映して,多摩川及び多摩川沿いの地形地物には,地名とは異なる多数の呼び名が付けられてきた. 本研究では,こうした呼び名について,文献調査やヒアリング調査に基づき網羅的に抽出するとともに,それらを対象物,由来,呼称者の視点から分類・整理した.さらに,各視点から相互にクロス分析を行い,呼び名の特徴を明らかにした.そのうえで,名付けの動機に着目した分析から,呼び名の意義を明らかにした.これらは,呼び名を通した河川特性の理解はもとより,今後の河川利用の促進や人々と河川との関係の再構築にも資する研究成果である.
著者
浅田 あゆみ 鈴木 杏 河本 実季 大嶋 廉之 宮永 佳代 長澤 一樹
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

【目的】炎症性腸疾患(IBD)患者はうつ病の有病率が高いが、それは腸管における炎症に起因すると考えられているものの、その詳細は不明である。そこで本研究では、unpredictable chronic mild stress(UCMS)などに対して低感受性のマウスに対してIBDを発症させたときのそのストレス感受性の変化について、うつ様行動の誘発、海馬での炎症関連因子の発現変動を指標として検討した。【方法】IBDは、C57BL/6JCrl系雄性マウス(7週齢)に対し1w/v% デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)水溶液を10日間自由飲水させることにより発症させ、その評価は糞便の状態と体重変化に基づいたdisease activity index (DAI) 並びに大腸における炎症性サイトカインの発現により行った。このDSS負荷終了後、マウスに対してUCMS(拘束、強制水泳、明暗サイクルの変動など)を21日間負荷し、そのうつ様所見は強制水泳試験などにより評価した。大腸及び海馬における炎症性サイトカインなどの発現量はreal-time PCRにより解析した。【結果・考察】DSSを摂取させたマウスにおいて、DAI並びに大腸でのIL-1β及びTNF-αの発現の増大を示すIBDの誘発が確認されたが、うつ様所見は認められなかった。これらIBDを発症したマウスに対するUCMSの負荷は、無処置マウスに対するその負荷の場合とは異なり、強制水泳試験において無動時間が延長し、海馬でのIL-1β及びTNF-α発現が増大傾向にあったことから、うつ様所見の誘発が認められた。このうつ様所見を示したマウスのDAIは、DSS負荷直後より低下していたものの対照群と比較して有意に高く、また大腸での炎症性サイトカインの発現量は増大傾向にあった。以上のことから、大腸における炎症の発症がマウスのUCMSに対する感受性を高め、うつ様行動を誘発することが示された。