著者
片野 修 佐久間 徹 岩崎 順 喜多 明 尾崎 真澄 坂本 浩 山崎 裕治 阿部 夏丸 新見 克也 上垣 雅史
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.147-152, 2010-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
6

The channel catfish, Ictalurus punctatus, is an invasive alien species introduced from North America. We investigated the present status of the fish in Japan and found that it is widely distributed in the Abukuma, Tone, and Yahagi River systems, as well as in Lake Shimokotori. In 2008 and 2009, several channel catfish were also caught in Lake Hinuma and the Miya and Seta Rivers. We concluded that the distribution of channel catfish has rapidly expanded within natural rivers during the past several years. To avoid severe damage imposed by channel catfish to the river ecosystems and inland fisheries of Japan, risk assessments and examinations of the ecological characteristics and methods of capture of this fish species are urgently required.
著者
尾崎 真澄
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-42, 2006 (Released:2011-03-05)

1)千葉県亀山湖に生息するオオクチバス資源の評価に用いる資料とするため、遊漁によるキャッチアンドリリースを想定した空中曝露後の生存率について飼育池を用いて試験を行った。2)2000年8月1日に、30℃以上の気温の下で、空中曝露時間を0分、5分、10分および20分区に設定して試験を行ったところ、へい死魚はなかった。3)2001年10月22日に、気温約20℃の下で、空中曝露時間を15分、30分、45分および60分区に設定して試験を行ったところ、15分および30分区ではへい死魚はなかったが、45分区で50%が生存し、60分区ではすべてへい死した。4)45分区におけるへい死個体と生存個体の間で体長による有意差はなかった。5)60分区において、試験日当日のへい死個体とその後のへい死個体間の体長による有意差はなかった。6)各試験の観察結果から、20分以内の空中曝露では、生存に大きな影響を与えないものと考えられた。7)このため、一般に行われているバス釣りでのキャッチアンドリリース行為における空中曝露時間では、再放流された個体の多くが生存していることが推測された。
著者
尾崎 真奈美 奥 健夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-114, 2007-03-01

スピリチュアル・ヒーリングと呼ばれるものの中には多様なものがふくまれている。その中には、物理現象に過ぎないものであっても、単に科学的に未検証である治療法から、心身相関的に説明ができるもの、非局在意識を想定しなければ説明が不可能な現象まで混在している。本研究においては、スピリチュアル・ヒーリングに関する科学的検証を概観した上で、スピリチュアル・ヒーリング本来の意味を提出する。スピリチュアリティーは心も体も超越した概念であるが、身体の現象として現われうる。スピリチュアル・ヒーリングも同様に、非局在意識、すなわち魂のレベルの癒しであるが、心理学的には、許し、存在のありのままの受容、それにともなう高い道徳的変容として説明されよう。つまり、魂の癒しと心身の健康状態に関連はあるものの、本来的な意味では二者は同一ではない。スピリチュアル・ヒーリングすなわち魂の癒しは、また、主体の意図的な努力で獲得していくというより、すでにすべての存在に無条件で与えられている恩寵という側面が存在する。主体がその事実を意識化することでスピリチュアル・ヒーリングは達成される。スピリチュアル・ヒーリングの現場で起こる問題として、魂の癒しではなく心身の癒しに執着することから生じる、スピリチュアル・ハラスメントに関しても警告した。
著者
尾崎 真澄
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-42, 2006-03

1)千葉県亀山湖に生息するオオクチバス資源の評価に用いる資料とするため、遊漁によるキャッチアンドリリースを想定した空中曝露後の生存率について飼育池を用いて試験を行った。2)2000年8月1日に、30℃以上の気温の下で、空中曝露時間を0分、5分、10分および20分区に設定して試験を行ったところ、へい死魚はなかった。3)2001年10月22日に、気温約20℃の下で、空中曝露時間を15分、30分、45分および60分区に設定して試験を行ったところ、15分および30分区ではへい死魚はなかったが、45分区で50%が生存し、60分区ではすべてへい死した。4)45分区におけるへい死個体と生存個体の間で体長による有意差はなかった。5)60分区において、試験日当日のへい死個体とその後のへい死個体間の体長による有意差はなかった。6)各試験の観察結果から、20分以内の空中曝露では、生存に大きな影響を与えないものと考えられた。7)このため、一般に行われているバス釣りでのキャッチアンドリリース行為における空中曝露時間では、再放流された個体の多くが生存していることが推測された。
著者
尾崎 真 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.313, pp.49-54, 2006-10-20

前報では,音圧マイクロホン対による音源方向分離に関する検討[1]を行い,音源探査のための3次元音響インテンシティマイクロホンプローブに適用し[2],音響インテンシティ計測に有用であることを明らかにした.本報告では,このマイクロホンシステムを音声と騒音の音源方向分離に適用できるかどうかを検討している.ここでは,指向性が双指向性あるいはカージオイド特性のマイクロホンシステムを採用し,その指向性のデップ特性を利用して,その出力のFFT結果と全指向性マイクロホン出力のFFT結果のレベル差に着目して,両者振幅スペクトルの差成分に関する逆フーリエ変換を行って音声信号だけを抽出することが可能かどうかを検討している.実験結果から,本システムの有効性が検証できたので報告する.
著者
石田 奈那 長谷川 雅美 尾崎 真澄
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.91-102, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
19

東アジア原産のコウライギギTachysurus fulvidraco は2008 年に日本で初めて発見され, 2016 年に特定外来生物に指定された.本種による生態系や社会経済への影響が懸念されているが,その実態はいまだ明らかではない.そこで,本種の侵入が確認された印旛沼を対象に,その生息状況と水産業への影響について調査した.本研究では2018 年5 月から12 月に採捕された試料の生殖腺指数や体サイズの変動から,繁殖期が少なくとも5 月から7 月頃であると推定された.さらに漁業で混獲される個体の多くは,食品への混入リスクが高い当歳魚であることがわかった.また本種による水産業への被害の有無を明らかにするため,アンケート調査を行った.その結果,本種の鋭い棘条によって漁業者や水産加工業者が怪我をするほか,加工原料となる小魚に混入し仕分け作業が増加するといった被害が明らかになった.
著者
尾崎 真奈美
出版者
北ヨーロッパ学会
雑誌
北ヨーロッパ研究 (ISSN:18802834)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.79-90, 2021 (Released:2022-07-03)

本研究は、フィンランドにおける社会距離拡大におけるポジティブな人間関係とwellbeingの可能性を、オンラインインタビューを通してケーススタディしたものである。2020年のロックダウン直後の6,7月にフィンランド在住フィンランド人9人を対象にオンラインによる半構造化面接を行った。その結果、以下の特徴が報告された。すなわち、物理的隔離においても様々な工夫により、対人関係の貧困化は見られずむしろ豊かになった。また、自然との触れ合いが増して自己との対峙の時間ができ、より内省的になった。社会問題により意識的になった。このようなポジティブな変化は、秀逸なIT環境・社会福祉制度という外的な要因が大きいと推測されるが、本研究は、社会距離拡大を通して、一人でいることを楽しむ精神性や態度が個人のwellbeingに関与している可能性を示した。
著者
奥 健夫 尾崎 真奈美
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.342-353, 2005

本研究では、量子論・ホログラフィック宇宙原理から、共時性(シンクロニシティー)のメカニズムに関する一考察を行うことを目的とした。宇宙の4次元時空の全情報は、3次元境界面に記録され、人間の意識場もそこにコード情報として記録されているモデルを提案してきた。この意識場とある物理事象が同時的生起することを共時性とした。3次元境界面上の虚数時間で表される特定の2つの情報I_<Cons>(r, it)/I_B(r, it)が共鳴する領域に生じる共時性モデルを提案した。これらI_<Cons>、I_Bは、宇宙全体の情報を含む内在かつ超越の状態にあり、2つの事象が重なる領域での4次元時空r_<CB>・実時間t_<CB>において、I_<CB>の情報を有する共時性現象が生じる。またもう一つのモデルとして、意識波動関数Ψ_C=Ae^<i(px-Et)/h>と宇宙の波動関数Ψ_<Univ>と同調・共鳴[(px-Et)_C=n(px-Et)_<Univ>]した領域が、共時性現象として通常の4次元時空に現れるメカニズムを提案した。今後さらに詳細なメカニズムの検討が期待される。
著者
谷口 真吾 尾崎 真也
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-6, 2003
参考文献数
26
被引用文献数
4

兵庫県氷ノ山山系におけるブナ・ミズナラの結実変動と氷ノ山山系周辺地域の人里におけるツキノワグマ目撃頭数の関係を検討した。ブナ・ミズナラ堅果の結実は、ブナまたミズナラのどちらか、あるいは両者がともに良好な年は、ツキノワグマの目撃頭数は調査期間の5カ年月年の平均値よりも少なく、逆にブナ、ミズナラ堅果の結実が不良な年は、目撃頭数が多い傾向であった。このことは、ツキノワグマの秋の人里への出没回数は、ブナ・ミズナラの結実変動に大きく左右されることを示しているといえる。
著者
尾崎 真奈美
出版者
相模女子大学
雑誌
相模女子大学紀要. C, 社会系 (ISSN:1883535X)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.183-193, 2013

研究ノート(Research Note)The primary purpose of our panel presentation is to introduce our philosophical, religious andpsychological approach to our planned "Morininaru" ("Becoming Forest") Burial project. The first presenter Dr.Yoshikawa approaches from the perspective of his Moebius integral model embodying the dialogical philosophy which can integrate organically those polarities of human existence and experience – relationships between man and nature, body and mind, life and death, one and many, modern and tradition, and dialogue among different religions. Shukai Kono, the second presenter, is a Buddihst Monk who has produced "Morininaru." In this panel he will explain how "Morininaru" realize relations and connections between human and nature, individual and society, life and death, and this life and next life from the religious perspective. Morininaru means "I will become forest" in Japanese. Phisically, religious, and Morininaru is a movement that the dead person becomes the forest by planting a tree, and sustains the nature. This movement is also explained as a spontanious spiritual growth, with which the individual consciousness would expand universal consciousness. In other words this is a spiritual movement to offer a new paradigm to the individual consciousness and religious thoughts. Morininaru could be a practical philosophy to search a new shema transcending dicotomization. Mrs. Ozaki, the third presenter approaches the subject from a perspective of her renewed positive psychology, "Inclusive positivity theory." This is a model of authentic wellbeing realized through integrative perspective, the Moebious theory presented by the first presenter, Dr. Yoshikawa. She came up with a new awareness of happiness, which she terms as an "authentic wellbeing" which can be realized by integrating the positive and the negative states of mind. She will explain the model based on her researches conducted with respect to the 3.11 Earthquake and Tsunami disaster, which occurred in Japan in 2011. Her research results suggest that the pessimistic attitude could be more adaptive at the time of crisis and that the pain contributes to growth. Based on the results she showed that negative emotional experiences promote spiritual growth and pro-social activity, which does not accompanied with reward cultivate one's life satisfaction and positive emotion. This positivity accompanied by negativity is called "Inclusive Positivity." "Inclusive Positivity" connects and integrates those seemingly conflicting phenomena such as sadness and happiness, death and life. The "Morininaru" has a function to transform the grief of death to the virtuous positive emotion, and is considered to be a practice of "Inclusive Positivity."2011年311災害は、日本の東北地方に壊滅的な打撃を与えただけではなく、今なお地球規模の環境への影響は続いている。まずは、世界の皆様に日本人を代表して深くお詫びを申し述べたい。しかし日本人は、不運や不幸を排除すべき事ではなく、より良くなるためのプロセスとして捉え、そのために祈り実践していくことを知っている。世界唯一の被爆地Nagasaki、Hiroshima が20世紀の聖地となったように、Fukushima は21世紀の聖地となるであろう。そしてその動きはすでに始まっている。宮脇明が提唱し、実践している「森の長城プロジェクト」がそれである。我々は、本シンポジウムで「森の長城プロジェクト」と「森になる」が通底している、持続可能な「利己を排除しない利他精神」を論じ、日本を砦とするこの運動が世界に広がっていくことを期待しつつ、その実践哲学、心理学理論、そして具体的方策を提案する。本シンポジウム発表の主要目的は、「森になる」に対する哲学的、宗教的そして心理学的なアプローチを紹介することである。最初の発表者吉川宗男は、統合的な実践哲学モデルである「メビウス理論」の視点から「森になる」にアプローチする。メビウス理論とは、もともと二極化されている人間存在と経験、すなわち人と自然、心と体、生と死、一と多、近代と伝統といったものの対話を促し統合するための理論である。メビウス理論により、異なった宗教間の対話も可能となる。メビウス理論は、そのようなコンフリクトを日本的な場・間・和をもって対話を促す実践的哲学モデルであり、「森になる」実践の基本的理論的土壌である。二番目の発表者河野秀海は、「森になる」を提唱した浄土宗の僧侶である。本シンポジウムにおいて彼は、「森になる」がどのようにして人間と自然、個人と社会、生と死、この世とあの世をつなげるのか、宗教的な視点から説明する。「森になる」とは、日本語では「私が森になる」という意味である。具体的には、死ぬ前に樹を植えて森となることによって、自然を永続的なものにしていく貢献をする運動である。この運動を精神的にとらえるならば、自発的なスピリチュアルな成長としての説明も可能である。つまり、植樹することによって、個人の意識が宇宙的意識へと、意図しないうちに拡大するのである。すなわち「森になる」は、個人意識と宗教思想へ新しいパラダイムを提供するスピリチュアルな運動ともなりえる。「森になる」は従って、二元論を超越してワンネスの経験を促す、一つの新しい枠組みを探求する哲学実践ともなりうるのである。三番目の発表者尾崎真奈美は、このテーマを、新しいポジティブ心理学の理論である「インクルーシブポジティビティ理論」の視点よりアプローチする。これは、先に吉川が説明したメビウス理論という統合的視点をとおして実現される、本質的なウエルビーイングのモデルである。死すべき存在である人間のウエルビーイングは、ポジティブ、ネガティブ状態双方の統合なしには実現しない。彼女はネガティブさを含んだウエルビーングのモデルを2011年日本で起きた大災害に関する調査データに基づいて説明する。その調査結果は、危機においては悲観的態度が楽観的態度よりもより適応的である可能性と、痛みが成長に貢献することを示している。この結果に基づいて彼女は、ネガティブな感情体験が、スピリチュアルな成長、向社会的活動を促進することを実証した。その中で、社会的に意義ある行動は、直接報酬を伴わない場合においても、実践する個人の人生満足度とポジティブ感情を増加させることが示された。このような痛みを伴う崇高なポジティブさを「インクルーシブポジティビティ」と呼ぶ。インクルーシブポジティビティは、悲嘆と歓喜、生と死のような一見相反するような現象を結びつけ統合する。「森になる」は、死別の悲嘆を社会的に価値あるポジティブ感情に変容させる機能を持ち、インクルーシブポジティビティの一つの実践であると考えられる。
著者
尾崎 真澄 梶山 誠
出版者
千葉県水産総合研究センター
雑誌
千葉県水産総合研究センター研究報告 = Bulletin of the Chiba Prefectural Fisheries Research Center (ISSN:18810594)
巻号頁・発行日
no.3, pp.21-28, 2008-03 (Released:2011-02-04)

1)千葉県印旛沼において、1992年から2000年にナマズ人工種苗を放流し、その放流効果について、混獲率や回収率を推定した。2)放流種苗には、焼き入れやタグによる外部標識やアリザリンコンプレクソン(ALC)による内部標識を施し、北印旛沼に12,031尾、西印旛沼に29,449尾、合計41,480尾を放流した。3)放流魚の追跡調査として、漁業者から漁獲物の収集を行い、全長、体重、生殖腺重量を測定するとともに、雌雄判別やALC標識を確認した。4)漁獲物調査により、1993年から2003年に北印旛沼で155尾、西印旛沼で799尾、合計954尾のナマズを収集した。5)これらの漁獲物のうち北印旛沼で95%、西印旛沼で73%が4、5月に漁獲された。6)ナマズ放流魚の成長は、放流後2〜3年で全長500mm以上に達することが推測され、特に夏期における成長量が著しかった。7)ナマズ放流魚の成熟について、GSI値は天然魚と同様に推移し、雌のGSI値は、4月をピークにして8月にかけて降下し、漁獲時期と産卵期は一致した。8)ナマズ放流魚の混獲率は、1993年から2003年の両沼合計で、平均50.2%と高い値を示した。また、これらの混獲率は、放流尾数との間に相関関係が成り立った。9)ナマズ放流魚の回収率は、5%と推定され、混獲率の高さを考慮すると、ナマズ資源に対する漁獲率は低いことが推測された。10)ナマズ種苗放流によって期待された親魚の添加による再生産効果は、明確な漁獲増として確認できなかった。11)印旛沼におけるナマズ資源の増大には、産卵場の収容量など、親魚量以外の条件が本種の資源維持に関わっている可能性がある。
著者
尾崎 真奈美 オザキ マナミ Ozaki Manami
出版者
相模女子大学
雑誌
相模女子大学紀要. C, 社会系 (ISSN:1883535X)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.183-193, 2014-03-07

研究ノート(Research Note)The primary purpose of our panel presentation is to introduce our philosophical, religious andpsychological approach to our planned "Morininaru" ("Becoming Forest") Burial project. The first presenter Dr.Yoshikawa approaches from the perspective of his Moebius integral model embodying the dialogical philosophy which can integrate organically those polarities of human existence and experience – relationships between man and nature, body and mind, life and death, one and many, modern and tradition, and dialogue among different religions. Shukai Kono, the second presenter, is a Buddihst Monk who has produced "Morininaru." In this panel he will explain how "Morininaru" realize relations and connections between human and nature, individual and society, life and death, and this life and next life from the religious perspective. Morininaru means "I will become forest" in Japanese. Phisically, religious, and Morininaru is a movement that the dead person becomes the forest by planting a tree, and sustains the nature. This movement is also explained as a spontanious spiritual growth, with which the individual consciousness would expand universal consciousness. In other words this is a spiritual movement to offer a new paradigm to the individual consciousness and religious thoughts. Morininaru could be a practical philosophy to search a new shema transcending dicotomization. Mrs. Ozaki, the third presenter approaches the subject from a perspective of her renewed positive psychology, "Inclusive positivity theory." This is a model of authentic wellbeing realized through integrative perspective, the Moebious theory presented by the first presenter, Dr. Yoshikawa. She came up with a new awareness of happiness, which she terms as an "authentic wellbeing" which can be realized by integrating the positive and the negative states of mind. She will explain the model based on her researches conducted with respect to the 3.11 Earthquake and Tsunami disaster, which occurred in Japan in 2011. Her research results suggest that the pessimistic attitude could be more adaptive at the time of crisis and that the pain contributes to growth. Based on the results she showed that negative emotional experiences promote spiritual growth and pro-social activity, which does not accompanied with reward cultivate one's life satisfaction and positive emotion. This positivity accompanied by negativity is called "Inclusive Positivity." "Inclusive Positivity" connects and integrates those seemingly conflicting phenomena such as sadness and happiness, death and life. The "Morininaru" has a function to transform the grief of death to the virtuous positive emotion, and is considered to be a practice of "Inclusive Positivity."2011年311災害は、日本の東北地方に壊滅的な打撃を与えただけではなく、今なお地球規模の環境への影響は続いている。まずは、世界の皆様に日本人を代表して深くお詫びを申し述べたい。しかし日本人は、不運や不幸を排除すべき事ではなく、より良くなるためのプロセスとして捉え、そのために祈り実践していくことを知っている。世界唯一の被爆地Nagasaki、Hiroshima が20世紀の聖地となったように、Fukushima は21世紀の聖地となるであろう。そしてその動きはすでに始まっている。宮脇明が提唱し、実践している「森の長城プロジェクト」がそれである。我々は、本シンポジウムで「森の長城プロジェクト」と「森になる」が通底している、持続可能な「利己を排除しない利他精神」を論じ、日本を砦とするこの運動が世界に広がっていくことを期待しつつ、その実践哲学、心理学理論、そして具体的方策を提案する。本シンポジウム発表の主要目的は、「森になる」に対する哲学的、宗教的そして心理学的なアプローチを紹介することである。最初の発表者吉川宗男は、統合的な実践哲学モデルである「メビウス理論」の視点から「森になる」にアプローチする。メビウス理論とは、もともと二極化されている人間存在と経験、すなわち人と自然、心と体、生と死、一と多、近代と伝統といったものの対話を促し統合するための理論である。メビウス理論により、異なった宗教間の対話も可能となる。メビウス理論は、そのようなコンフリクトを日本的な場・間・和をもって対話を促す実践的哲学モデルであり、「森になる」実践の基本的理論的土壌である。二番目の発表者河野秀海は、「森になる」を提唱した浄土宗の僧侶である。本シンポジウムにおいて彼は、「森になる」がどのようにして人間と自然、個人と社会、生と死、この世とあの世をつなげるのか、宗教的な視点から説明する。「森になる」とは、日本語では「私が森になる」という意味である。具体的には、死ぬ前に樹を植えて森となることによって、自然を永続的なものにしていく貢献をする運動である。この運動を精神的にとらえるならば、自発的なスピリチュアルな成長としての説明も可能である。つまり、植樹することによって、個人の意識が宇宙的意識へと、意図しないうちに拡大するのである。すなわち「森になる」は、個人意識と宗教思想へ新しいパラダイムを提供するスピリチュアルな運動ともなりえる。「森になる」は従って、二元論を超越してワンネスの経験を促す、一つの新しい枠組みを探求する哲学実践ともなりうるのである。三番目の発表者尾崎真奈美は、このテーマを、新しいポジティブ心理学の理論である「インクルーシブポジティビティ理論」の視点よりアプローチする。これは、先に吉川が説明したメビウス理論という統合的視点をとおして実現される、本質的なウエルビーイングのモデルである。死すべき存在である人間のウエルビーイングは、ポジティブ、ネガティブ状態双方の統合なしには実現しない。彼女はネガティブさを含んだウエルビーングのモデルを2011年日本で起きた大災害に関する調査データに基づいて説明する。その調査結果は、危機においては悲観的態度が楽観的態度よりもより適応的である可能性と、痛みが成長に貢献することを示している。この結果に基づいて彼女は、ネガティブな感情体験が、スピリチュアルな成長、向社会的活動を促進することを実証した。その中で、社会的に意義ある行動は、直接報酬を伴わない場合においても、実践する個人の人生満足度とポジティブ感情を増加させることが示された。このような痛みを伴う崇高なポジティブさを「インクルーシブポジティビティ」と呼ぶ。インクルーシブポジティビティは、悲嘆と歓喜、生と死のような一見相反するような現象を結びつけ統合する。「森になる」は、死別の悲嘆を社会的に価値あるポジティブ感情に変容させる機能を持ち、インクルーシブポジティビティの一つの実践であると考えられる。
著者
川真田 美和子 尾崎 真 福内 明子 KAWAMATA Miwako OZAKI Makoto FUKUUCHI Akiko
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1152-1156, 1988-11-25

東京女子医科大学学会第275回例会 昭和63年6月9日 東京女子医科大学中央校舎1階会議室