著者
青山 浩一郎
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-22, 2002

1990 年代以降、大量に発行されてしまった国債を今後どうするかは、現在のわが国で最大の政策課題になってきた。2000 年度あたりまで、正確には森内閣までは、景気回復を最優先して国債の累増には眼をつぶるというのが政府の方針であった。小泉内閣が登場してから、国の債務累積を抑制しようということに政策の方向が転換した。「国債発行を30 兆円以内にとどめる」というのが、小泉首相の最初の具体的メッセージであった。それ以来、国債問題が国会でも、マスコミでも、霞ヶ関でも、あらゆる機会にとりあげられている。政府や日本銀行はホームページに国債コーナーを設け、広報活動にもつとめている。 しかしながら、経済用語として、国の政策手段として、この国債ほどわかりにくいものはめずらしい。専門家が使っている用語と、普通の国民が理解できる用語がちがうのだ。結果的に専門家の用語は、事実の隠蔽になっていることが多い。典型的な例が「国債発行30 兆円」である。「敗戦」を「終戦」と表現したのとおなじで、政府の国民にたいする欺瞞として、これほど大がかりなものは少ない。わかりやすく「国債の新規発行あるいは増発30 兆円」と、なぜ表現しないのだろうか。 そう思ったのが、今回の執筆動機である。 この小論では、国債をめぐる、政府の国民にたいする欺瞞、専門家が一般の人たちにあたえている誤解のいくつかを、できるだけ明らかにしてみたい。 そして、一般国民や多くの投資家が国債問題を正しく認識できるためには、どうしたらよいかを考えてみたい。とりあえず言えることがいくつかある。わが国最大の課題である国債に関して、政府や日本銀行は正確で平易な広報活動を展開していただきたい。とりわけ財務省、総務省、首相官邸は、債務者としての説明責任を自覚して、急いで本格的な広報にとりくまなければならない。そのとき、専門家の間でしか通用しない言語でなく、国民にむかって普通の言葉と論理を使って説明していただきたい。わが国では、第2 次大戦前後の経験を最たるものとして、国民は結果的に政府が推進した貯蓄奨励にしたがった結果、手痛い損失をこうむった歴史がある。国民は今後とも政府の言うことを、うたがいながら監視する必要がある。マスコミは国債問題をもっと正確に報道しなければならない。論者をふくめて金融・資本市場の研究者はもっと、国債問題の研究と発表をふやして、国民が正しい認識
著者
大門 巧 大西 建輔 青山 浩
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.216-223, 2021-08-21

我々は,DNCL のブラウザ上での実行環境として Tetra を開発したが,高等学校での授業で使用するためには,機能の充実を図ることが必要であった.そこで,Tetra を改良した DNCL のブラウザ上での実行環境である XTetra を開発した.XTetra には,従来の Tetra の機能に加え,コンソールからの標準入力,描画関数,エディタのシンタックスハイライト機能が実装されている.高等学校において,Scratch の使用経験のあるクラスと,使用経験のほとんどないクラスで XTetra を用いた授業を実施し,アンケートを用いて処理系の評価をおこなった.その結果,Scratch の使用経験のあるクラスの理解度が使用経験のないクラスと比較して高くなった.また,XTetra はビジュアルプログラミング言語の要素とテキストベースのプログラミング言語の要素の両方を備えているため,ビジュアルプログラミング言語でのプログラミング経験のある生徒の理解を高める効果が期待できるという仮説が立った.
著者
青山 浩一郎
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 多摩大学研究紀要 = Tama University Journal of Management and Information Sciences (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
no.7, pp.17-37, 2003-03-01

わが国が発行している国債の現状に関して、次のことを指摘できる。1)国債の発行残高は絶対額でも、相対的にも巨額である。2)いまの国債価格は、これ以上は上昇しにくい高い水準にある。3)国債の保有構造は異常である。資金余剰主体である家計の直接保有がすくない。今後、数年を展望して次のようなことを主張したい。1)国債の発行残高は、数年以内に600 兆円を超えるであろう。2)国債の価格は現在をピークとして、下落する可能性しかない。3)国債の保有構造は、ここ数年間では大きくはかわらない。こうしたなかで、国債問題を総合的に、冷静にかんがえることが重要である。そのためには、いま利用できる情報は乏しいし、事態はまいにち進行しているが、本稿での主張をつぎのように要約しておきたい。1)国債の発行残高が、巨額であることを認識したうえで、無用な誤解や混乱があるとすれば、それは払拭されなければならない。日本国債がデフオールトする、家計が国債の購入を強制される、郵便貯金がもどってこない、などの妄言は、政府の責任において打ち消さなければならない。これまでのところ、政府は巨額な債務者としての説明責任を、自覚しているとはおもえない。2)国債の価格は下落するが、正常な長期金利の上昇なら影響はそれほど大きくはない。民間銀行の国債保有期間は平均5年以下で、小幅な長期金利の上昇なら、国債価格の値下がり幅は大きくはない。また、正常な金利の上昇なら、同時におこる株価の上昇や、貸出し収益の改善などで吸収できる。問題は、インフレにともなう大幅な金利の上昇である。これは、国債価格の暴落をもたらす。インフレは回避すべきである。3)国債の保有構造を正常化させるよう、官民の尽力が必要である。公的機関が家計にかわって国債を保有している現在、運用の実態を開示すると同時に、このような現状の改革をすすめなければいけない。郵便貯金からの家計資金の解放が、民間金融機関とのバランスから不可欠である。家計がすすんで有価証券で金融資産を運用する国、これを早く実現させなければならない。いま、わが国で最大の課題である国債、この小論でとりあつかうには大きすぎるテーマではあるが、問題の理解に関して、ここにアプローチの視点を提示したつもりである。
著者
青山 浩一郎
出版者
多摩大学
雑誌
経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-21, 2004

日本の長期金利は0.4%を底にして上昇の可能性しかない。長期金利が3.5%になったとしたら、日本国債の保有者と政府にどんな影響があるだろうか。1)15 年度末の国債発行残高は450 兆円である。これをもとにすると評価損は53 兆円となる。2)国債発行残高は、18 年度末には600 兆円に近づくだろう。3)国債の利払い額は年間9 兆円である。それは18 年度には20 兆円に増大する。 国債問題は分析すればするほど、危機の大きさを痛感する。解決には長い年月がかかるだろう。論者は妙案をもっていないが、小泉内閣も国債問題の解決に何の策もない。それどころか、政府は巨大な債務者としての説明責任を自覚しているとは思えない。
著者
青山 浩子 納口 るり子
出版者
日本農業経済学会
雑誌
農業経済研究 (ISSN:03873234)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.394-399, 2017

<p>The objective of the study is to analyze the impacts of the installation of a gelato shop on the profitability of a dairy farm. The retail sector has operated at a slight loss, because it is still in a start-up phase. Since the dairy operation is profitable, there is no significant impact from the loss on the sixth indutrialization trial. The manager believes that brand establishment for the gelato shop is possible, along with job creation, and promoting regional communication. Since the time to secure profits in the sixth industrialization is in effect, it is important that the core business is able to ensure sufficient revenue.</p>
著者
青山 浩之
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、国語科の「文字を書くこと」に関する学習の効率化・最適化を図るために、これまで別立てのカリキュラムとして行われてきた書写学習を、国語の言語活動の学習などと効果的に関わらせる方法を実践的に考察し、「言語力」の育成に機能する書字教育カリキュラムを開発した。その過程で、紙面の書きまとめ方により内容理解が高まる点や、要点・キーワードを判断し、速く、見やすく書きとめるメモが内容理解の正確さにもつながる点などを確かめることができた。
著者
鵜飼 孝典 青山 浩二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.157-162, 2009-01-15

現在,多くの組織がチーム間に壁があり,コミュニケーション不足によるミスが多く発生する,コミュニケーションが不足していて,十分に情報や知識がいきわたらないという問題を抱えている.しかしながら,このような問題を可視化することは容易ではなく,適切な施策を導出し,実施,評価することはさらに難しい.我々は,組織内のメンバ間の関係をアンケートによって得て,それを時系列的に図示するツールを開発した.このツールによって,チーム間の壁などの問題が一目瞭然となり,施策の効果も適切に視覚化される.本稿では,その表現力と効果を事例により検証する.事例として,インタビューを中心にしたある組織のフィールド調査を実施し,コミュニケーション改善の施策を適用したものを用いる.この施策の前後の組織内のメンバ間の関係をアンケートによって得て,それを本ツールにより視覚化し,そこから得られる考察を,フィールド調査によってえた考察で検証することで,本ツールの有効性を示す.A lot of organizations have it now, and communications where there is a wall between team, and a lot of mistakes by the poor communication are generated are insufficient, and have the problem that neither information nor knowledge spread enough. However, it is more difficult to derive not easiness but an appropriate measure, and to execute the visualization of the wall between team, and the visualization of the place where communications are insufficient. Moreover, because it is not possible to expect it, the measure that cancels the lack of communications doesn't generally evaluate a short-term result easily. We obtained the relations between members in the organization by the questionnaire, and developed the tool that showed it in the figure in the time series. The wall between team becomes obvious with this tool, and the effect of the measure is visualized appropriately. In this article, we applies to the model to obtain the design manual of the knowledge management that we have developed the result, the measure necessary for the organization is derived, and the result of application is used. First of all, the relations between members in the organization before and after this measure are obtained by the questionnaire, and it is visualized with this tool. The effectiveness of this tool is shown by verifying the consideration obtained from the relations between visualized members by the field survey on that.
著者
青山浩明
雑誌
皮膚臨床
巻号頁・発行日
vol.33, pp.801-804, 1991
被引用文献数
2