著者
貫井 陽子 高崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2435-2441, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6

ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない.

1 0 0 0 OA 内科学会NEWS

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.News7-News7, 2013-07-10 (Released:2014-07-10)
著者
工藤 二郎 自見 庄三郎 大久保 英雄 柳瀬 敏幸 迫 良治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.740-745, 1981-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20

症例はIgA欠損症にSLEを発症したもので, SLE発症から9年間の長期にわたり,臨床経過を観察したものである. IgA欠損症に関しては, in vitroの実験系においてリンパ球の免疫グロブリン産生能を測定し,本症例にみられるIgA欠損は抑制性T細胞の機能亢進によるものであると推定した.症例は29才の女性. 20才の時,長時間日光に被曝した後,発熱,関節痛が生じ,検査所見ではRA(+),血沈亢進がみとめられたが,同時にlgA欠損も証明された.慢性関節リウマチの診断の下にステロイドの小量投与療法が行なわれたが,ステロイドの減量に伴つて,発熱,発疹,髄膜炎様の症状が出現した.これらの多彩な症状はステロイドの増量によつて消失した.その後9年間,年1回の検査を行なつて観察をつづけたが, RA (+), IgA欠損以外に異常を認めず,臨床的にも全く無症状に経過した. 29才の夏,日光に被曝後,急性増悪を来して再入院した.再入院時にはANF陽性, LE細胞の出現からSLEと診断され, 9年前の初回入院時の多彩な臨床症状も, SLEによるものであつたと推定された.寛解期にあつた時にリンパ球のlgA産生能をin vitroの系で測定したが, IgA産生障害が証明され,しかも患者のT細胞は正常人のB細胞のIgA産生を抑制するとの成績が得られた.この抑制T細胞の機能亢進はSLE発症の前から存在していたものと推定される.
著者
横江 勇 原岡 ひとみ 與那嶺 智子 佐藤 ルブナ 西脇 農真 武井 正美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.769-774, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に対してetanercept(ETN)治療中の74歳女性.低疾患活動性で推移していたが,投与開始6年後,皮膚・肺サルコイドーシスを発症した.さらに,心臓 MRIでは心筋炎を示唆する所見を得た.ETNによるサルコイドーシス発症の可能性を考え,投与を中止したところ所見の改善を得た.TNF阻害薬投与中のサルコイドーシス発症はparadoxical reactionとして注目されており,通常の発症より明らかに頻度が高く注意を要する.
著者
工藤 一彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.1410-1419, 1982-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 6

近年,本邦中心として心尖部肥大を呈する心筋疾患が注目され,特に深さ10mmを越す巨大陰性T波との関連において幾つかの報告を見るが,その病理組織像から見た肥大形式についての検討は殆どない.今回の研究は,心内膜心筋生検法を用いて病理組織学的検討を中心に,いわゆる心尖部肥大型心筋疾患の肥大様式につき検討を加えた.対象は37例(内訳は, HCM16例,高血圧性心疾患13例,プロの競輪選手8例)で,心尖部肥大の程度を左心室造影像により4型に分類し,心尖部肥大を示す群として20例,非心尖部肥大群17例とした.心尖部肥大群の中で17例(85%)は,心電図上深さ10mmを越す巨大陰性T波を伴つていた.一方,非心尖部肥大群では,僅か4例(23%)に巨大陰性T波を伴うのみであつた.心筋生検は,右心室ないし左心室より行ない,光顕下に観察した.心筋の横径では,心尖部肥大群と非心尖部肥大群との間に有意な差は認めなかつた.心筋の配列の乱れおよび間質の線維症では,心尖部肥大群は非心尖部肥大群に比べて穏やかであつた.心筋の変性あるいは核の変化については両群間に有意な差はなかつた.病理組織上,心尖部肥大型心筋疾患における肥大様式は穏やかな肥大であり,高血圧や運動などの既知の原因に伴う二次性肥大に適合した肥大様式であるといえる.また,心尖部肥大では,著明な乳頭筋の肥大の存在が特徴的であり,この事は巨大陰性T波の出現の一つの説明にもマッチする.
著者
玉井 佳子 高見 秀樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1622-1630, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

後天性凝固因子インヒビターとは,後天的に産生される凝固因子に対する自己抗体であり,先天性凝固因子欠乏症と同様に出血傾向を生じる.後天性凝固因子インヒビター大部分が凝固第VIII因子に対する自己抗体であり後天性血友病Aと称され,しばしば生命を脅かす重篤な出血を惹起する.従来まれな疾患であるとされてきたが,本症の概念の浸透と検査技術の発展により,報告例が増加している.本稿では,後天性血友病Aを中心に概説する.

1 0 0 0 OA 潰瘍性大腸炎

著者
松永 藤雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.295-322, 1958-07-10 (Released:2011-02-22)
被引用文献数
4 2
著者
花房 俊昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.479-481, 2006-03-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
3
著者
尾上 剛士 薄井 宙男 八幡 真弓 吉江 祐 山本 康人 市川 健一郎 野田 誠 斉藤 壽一 磯部 光章
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.2547-2549, 2006-12-10
被引用文献数
1

症例は42歳, 女性. 進行する浮腫, 全身倦怠感にて来院. 心エコー上右心負荷所見が強く当初原発性肺高血圧症を疑った. 入院後急性増悪しショック, 急性腎不全となったが右心カテーテル所見より脚気心が疑われビタミンB1投与により速やかに循環動態が改善した. 健康に関心が強く健康食品を中心とした食生活を送っていた事がビタミンB1欠乏の原因と考えられ, 偏った健康知識が致命的となりかねなかった教訓深い症例と考えられた.
著者
松本 英之 宇川 義一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.1076-1083, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

脳脊髄液減少症は,従来,低髄液圧症候群と呼ばれていた疾患とほぼ同一の病態の疾患である.その病態が脳脊髄液の減少に起因すると考えられるため,脳脊髄液減少症がより適切な疾患名となっている.脳脊髄液の減少により,頭痛,頸部痛,めまい,耳鳴,視機能障害,倦怠・易疲労感など様々な症状を呈する疾患と定義される.本疾患の診断に有用な画像診断法には,頭部MRI(magnetic resonance imaging)やRI脳槽・脊髄液腔シンチグラムが挙げられ,治療は安静臥床,輸液による保存的治療と硬膜外自家血注入療法が一般的である.脳脊髄液減少症は未だ医療関係者の間でも十分に認識されているとは言い難く,しばしば誤った診断,治療がなされている.現在,厚生労働省の班会議「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する調査研究」で,脳脊髄液減少症の診断・治療指針(ガイドライン)の作成を目標とした研究が進行中であり,その調査結果が待たれるところである.
著者
簑田 清次
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.71-74, 2015-01-10 (Released:2016-01-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

免疫系は感染防御が一義的役割であり,ヒトは遺伝子数でいえばヒトの全遺伝子の100倍以上の細菌遺伝子が体内(特に腸管)にあるといわれている.腸内細菌群と宿主の免疫系はお互いに牽制し合い,またお互いを助け合い,共存している.この共存が崩れると腸管の疾患を越えて全身の免疫疾患が発症する可能性があり,関節炎モデル,気管支喘息モデル,I型糖尿病モデル,ヒトの関節リウマチなどを例に説明する.
著者
小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.838-844, 1999-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

脳血管障害を引き起こす凝固系異常には先天性と後天性がある.先天性ではアンチトロンビンIIIやプロテインC, S欠損症によるものが多く,分娩や手術などを契機に上矢状静脈洞血栓症や脳梗塞をきたす.後天性では抗リン脂質抗体症候群,播種性血管内凝固症候群(非細菌性血栓性心内膜炎), Gaisböck症候群が重要である.また,近年,脳梗塞の危険因子として高ホモシステイン血症が注目されている.
著者
谷脇 雅史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.7, pp.1801-1806, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

染色体・遺伝子異常は,リンパ系腫瘍の病型分類,予後推定,治療選択の指標となる.double-color FISHが臨床検査法として確立しており,とくに,悪性リンパ腫と多発性骨髄腫におけるBCL2-IGH,CCND1-IGH再構成などの特異的IGH転座の検出に欠かせない.染色体分染法で病型特異的異常を単一細胞に検出した場合は,診断的意義を有しているのでクローン性を判定するために間期核FISH法で確認する.

1 0 0 0 OA 3.膜性腎症

著者
西 慎一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.1121-1127, 2013-05-10 (Released:2014-05-10)
参考文献数
10

膜性腎症は,糸球体基底膜に免疫複合体が沈着する糸球体腎炎で,原発性および続発性に発症する.近年,原発性膜性腎症の半数以上が内因性抗原であるphospholipase A2 receptor(PLA2R)に対するIgG4型抗体により発症することが解明された.抗PLA2R抗体が原発性,あるいは続発性の鑑別マーカーとしても利用されるようになってきた.「ネフローゼ症候群診療指針」が発表され,ステロイド薬が一次治療薬として推奨されている.寛解に至らない場合は免疫抑制薬の追加が考慮される.
著者
佐藤 一也 鳥本 悦宏 高後 裕
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.1611-1619, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

末梢性T細胞リンパ腫は,リンパ腫の約10%を占める不均一な疾患単位の非Hodgkin T細胞性リンパ腫であり,病因も不明な点が多い.標準的治療法が未確立で,初回治療としてはCHOP療法等が選択されるが,治療効果は不十分で予後不良である.自家,同種造血幹細胞移植も行われるが有用性は明らかではない.生命予後の改善のためには,今後モノクローナル抗体等の新規治療法との併用治療も含めて,標準的治療法の確立が望まれる.
著者
吉田 富美菜 大楠 泰生 和田 篤 廣江 吉隆 矢野 英人 宮崎 敬大 石川 博之 中村 雅 望月 孝俊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2804-2806, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
4
被引用文献数
3

症例は81歳,男性.低血糖を伴う一過性意識消失で救急搬送.血糖降下剤の内服なく,誘因として発作性心房細動に対し内服していたシベンゾリンコハク酸塩が疑われ,同剤を中止の上入院.第2病日に突然意識消失し,心電図モニター上Torsade de Pointes(TdP)を認めた.QT延長を認め,シベンゾリンによる副作用を疑ったが,同剤中止後も改善なし.コハク酸ソリフェナシン内服中止したところ改善.経過より同剤内服によるQT延長と推測された.