著者
片野 修
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.425-431, 2009 (Released:2009-08-17)
参考文献数
25
被引用文献数
3 5

オオクチバスの釣られやすさに見られる個体差について実験池で調べた。1 日おきに 10 回調査したところ,1 回に釣られるバスの数は日ごとに減少した。個々のバスが実験期間を通して釣られた回数には 0~8 回と大きな差があり,同じ個体が 1 日に 2 回釣られることも 3 例認められた。釣られた記録から,65 尾のオオクチバスのうち 34 尾は,用心深い個体(8 尾),学習する個体(10)尾,釣られやすい個体(16 尾)に分けられた。オオクチバスでは,釣られる危険に対する学習と用心深さや釣られやすさの個体差の両方が認められる。
著者
斉藤 英俊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.87-93, 2018
被引用文献数
5

<p> 新たな輸入防疫制度の申請対象となったテナガエビ類の流通状況を,2016-2017年に神奈川県,愛知県,大阪府,広島県の釣具店で調査した。新制度施行前は,中国から輸入された外来種チュウゴクスジエビが購入個体数の83-93%を占めた。2016年7月の施行後は,国内産地から供給された在来種スジエビが83-100%を占めた。しかし,広島県や愛知県では施行後もチュウゴクスジエビが5-11%含まれ,国内産地の一つである岡山県で採集されたことから,国内に定着した本種が釣り餌として流通していることが判明した。</p>
著者
カングスワン アタヤ 野口 玉雄 荒川 修 清水 潮 塚本 久美子 志田 保夫 橋本 周久
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1799-1802, 1988-10-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
11
被引用文献数
10 11

Attempts were made to detect tetrodotoxin (TTX)-producing bacteria in the Thai horseshoe crab Carcinoscorpius rotundicauda, one of TTX-containing marine invertebrates. Thirteen dom-inant bacteria were isolated from the intestinal contents of live horseshoe crab specimens, and were cultured in a 2 × ORI medium at 20°C for 24h. Bacterial cells of each strain were harvested, ultrasonicated and ultrafiltered, and TTX and anh-TTX fractions were separated from the filtrate by Bio-Gel P-2 column chromatography. HPLC, UV and GC-MS analyses showed that all out of the 13 strains isolated produced anh-TTX, and one strain produced TTX and anh-TTX. The strain which produced both toxins was identified as Vibrio alginolyticus on the basis of biochemical and other characters.
著者
魚谷 逸朗
出版者
日本水産學會
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.867-876, 1973 (Released:2011-03-04)
著者
飯田 雅絵 菅野 愛美 木島 明博
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.934-944, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
26
被引用文献数
3 6

ヤマトシジミ種内の地域集団構造を調べるため,東アジアから採取したヤマトシジミおよび対照群において mtDNA-COI領域のシーケンス分析を行った。その結果,ヤマトシジミ種内では,1)ロシア・北海道・本州日本海側グループ,2)太平洋側グループ,3)朝鮮半島北東グループ,4)朝鮮半島南西グループの 4 つの明確なクラスターに分かれ,地理的分化による地域集団構造が示唆された。一方,利根川と桑名の 2 地域から採取したサンプルは地理的関係を反映しておらず,過去の移植放流の影響が推測された。
著者
竹内 友里 高橋 英史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.58-60, 2013 (Released:2013-01-24)
参考文献数
7

独特の食感を有するボイルしたクルマエビについて,これを X 線 CT で観察したところ,腹部は 3 つの筋群(前斜筋,中央筋および横断筋)が絡み合って形成された特徴的な構造を有していることを見出した。すなわち,中央筋が前部前斜筋と後部前斜筋を束ね,それらを横断筋が保持した複雑な構造を有しており,このことが独特の食感に起因すると推察した。
著者
板沢 靖男
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.634-639, 2001-07-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
44
被引用文献数
1 1

魚は呼吸媒質の流量が大きく, 呼吸器の酸素摂取効率が高い。単位体重当たり代謝量の成長に伴う低下現象は, 成長に伴い, 代謝活性の低い組織の重量比が大きくなることと, 各組織の代謝活性が低くなることの組み合わせで, 定性的にも定量的にも説明される。酸素消費量を基本とする生理生態現象に, 群れの効果が見られる。カムルチーは, O2は主に空気から摂取し, CO2はほとんど水に排出する。そして, 呼吸器循環と体循環の複式循環系をもつ。大型アジ科魚類では, 各筋節が4副筋節に分節し, 各筋節に動静脈が複線式に配列する。これは体の大型化と遊泳力増大のためと考えられる。運動時および酸素欠乏時には, 脾臓から赤血球が補給される。
著者
室賀 清邦 高橋 計介
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.535-541, 2005 (Released:2005-08-24)
参考文献数
69
被引用文献数
3 3

カキの生食などによって起こるノロウイルス食中毒は重要な非細菌性急性胃腸炎の一つであり,これまでに医学や食品・環境衛生学分野で多くの研究がなされてきたが,水産学分野での研究は乏しい。しかし,衛生的なカキ養殖システムを構築するためには水産学領域における研究が必要である。本総説では,内外の研究論文に基づき,ノロウイルスおよびその感染症の概要,感染経路,カキにおけるノロウイルス汚染,および浄化処理法について紹介した。最後に,カキにおけるウイルス取り込み機構などの基礎的研究の必要性を論じた。
著者
川村 軍蔵 信時 一夫 安樂 和彦 田中 淑人 岡本 一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-39, 2001-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

感光色素を一種類しかもたないタコ類は色盲とされる。これを行動実験で検証するために, スナダコ5個体とマダコ7個体を用いて色覚を確かめる学習実験を行った。供試個体を負刺激球(白球あるいは灰色球)と同時呈示した青球(直径25mm, 反射スペクトルのλmax=460nm)に触れてから餌を摂るよう条件付けた後, 負刺激球を明度が段階的に異なる灰色球に換えて移調試験を行った。移調試験では, スナダコは灰色球の明度にかかわらず有意に高頻度で青球を選択し, 色覚をもつ可能性が示された。マダコは灰色球の明度によって選択球が変わり, 色盲であると結論された。
著者
池戸 正成
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.296-298, 2007 (Released:2007-04-03)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2
著者
土居 隆秀 中村 智幸 横田 賢史 丸山 隆 渡邊 精一 野口 拓史 佐野 祐介 藤田 知文 TAKAHIDE DOI TOMOYUKi NAKAMURA MASASHI YOKOTA TAKASHI MARUYAMA SEIICHI WATANABE HIROFUMI NOGUCHI YUSUKE SANO TOMOFUMI FUJITA 栃木県水産試験場 (独)水産総合研究センター 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋環境学科 東京海洋大学海洋生物資源学科 Tochigi Prefectural Fisheries Experiment Station Freshwater Fisheries Research Division National Research Institute of FIsheries Science Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Marine Environmental Sciences Tokyo University of Marine Science and Technology Department of Aquatic Biosciences
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.706-713, 2004-09-15
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

イワナ・ヤマメ養殖魚の小型魚と大型魚の釣獲放流後の死亡率と成長を実験池において調査した。餌釣り, 毛鈎釣りともに, 口腔にかかった鈎を除去した場合, いずれの魚種においても死亡率は低かった。餌釣りで口腔より奥にかかった鈎を除去した場合, イワナ小型魚とヤマメ大型魚では死亡率は高かった。口腔にかかった毛鈎を残留させた場合, イワナ大型魚では死亡率は高かった。死亡のほとんどが釣獲放流後14日以内に観察された。釣獲方法, 鈎がかりの部位, 鈎の処理方法は成長と肥満度に影響しなかった。