著者
高橋 真弓
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.107-110, 1976-10-01

南米コロンビアのサンタ・マルタ山群において採集されたジャノメチョウ科のPronophilini 2種の記録を報告する.Sabatoga nevada (Kruger)は,この山群西北部のセロ・ケマードの高地帯のダケの1種やィネ科草木をまじえる灌木原で,Lymanopoda caeruleata Godman & Salvinは,同山群西北部のサン・ロレンソおよび東南部のドナチュイ川流域の雲霧林周辺の陽地で採集された.これらの2種はいずれもサンタ・マルタ山群の固有種である.
著者
白水 隆
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.23-29, 1961-10-20

1961年6〜7月の台湾旅行の際に,埔里の木生(モクセイ)昆虫採集所の余清金氏の蒐集品中に台湾より未記録の美麗なアゲハチョウ科の1種を見出し,幸にこれを譲り受けて研究することが出来た.調査の結果,本種は支那大陸より知られるIphiclides alebion (GRAY,1852)の顕著な1新亜種と認むペきものであることを知ったので,次に新名を付して記載したい.また和名は余清金氏の功績を記念するため,同氏の経営になる木生昆虫採集所に因んでモクセイアゲハと呼ぶことにしたい.
著者
岡本 央 広渡 俊哉
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.15-26, 2002-01-10

ホソヒゲマガリガ科(改称)Prodoxidaeは全北区,特に新北区を中心に分布することが知られている.日本では本科に含まれる種としてヘリモンマガリガGreya marginimaculata 1種のみが知られていたが,筆者らは本科に含まれる2属4種を日本から新たに確認した.Lampronia Stephens,1829マダラマガリガ属(新称)L.altaica Zagulajev,1992アルタイマガリガ(新称)開張9-10mm.前翅は暗い黄褐色で金色の弱い光沢を帯び,特徴的な白斑をもつ.雄交尾器のvalvaは中央で著しくくびれ,腹面側には刺毛が櫛歯状に並ぶ.雌交尾器のcorpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.1998年7月に杉島一広氏によって北海道の大雪山で採集された.L.corticella(Linnaeus,1758)キマダラマガリガ(新称)開張10-11mm.前翅は暗い灰褐色で,淡黄色の細かいまだら状の斑紋をもつ.雌交尾器の産卵管の先端は平たく,corpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.北海道の糠平で採集された雌のみを確認した.L.flavimitrella(Hubner,1817)フタオビマガリガ(新称)開張11-12.5mm.前翅は暗褐色で赤褐色の弱い光沢を帯び,2本の白い帯紋をもつ.雄交尾器のvalvaは中央で著しくくびれ,先端には鋭く尖った硬化部をもつ.雌交尾器のcorpus bursaeに一対の放射状のsignaをもつ.北海道および長野県で採集されている.Greya Busck,1903モンマガリガ属(新称)G.marginimaculata(Issiki,1957)ヘリモンマガリガ開張12.5-14.5mm前翅は黄褐色で金色の光沢を帯び,縁に白い斑紋をもつ.本種はIssiki(1957)によってLamproniaの種として記載されたが,Kozlov(1996)が本種をGreya属に移した.雄交尾器のvalvaは太く,腹面側に1-2個のpollexをもつ.長野県および石川県の白山で採集されている.G.variabilis Davis and Pellmyr,1992アラスカマガリガ(新称)開張16mm.前翅は黄褐色で金色の光沢を帯び,縁に白い斑紋をもつ.斑紋は非常に多くの変異をもつ(Davis et al.,1992).雌交尾器のcorpus bursaeにはsignaをもたない.本種はこれまでアラスカを中心とした北米ならびにシベリア東部(チュクチ半島)に分布することが知られていたが,平野長男氏が1986年9月に長野県の安房峠で採集した雌一個体を確認した.
著者
飯島 一雄
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, 1959-07-30
著者
宮田 彬
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.103-108, 2005-03-20

50年にわたり収集した標本を整理中に,ビーク・マークのついたヤガ科の標本が15種27例,ジャノメチョウ類2種2例見つかった.ヤガ科のうち7種14例はCatocala属の蛾で,残りはシタバ亜科の4属4種6例とクチバ亜科の4属4種7例であった.ヤガ科の場合,鳥の攻撃により出来る最も特徴的な傷は同じ側の前翅と後翅に一つずつ合計二つ見られ,翅の位置を静止時の形に戻すと前・後翅の傷が重なることから,静止時に攻撃を受けたことが分かる.また後翅だけに傷を受けている例も多く,このような傷は攻撃直前に蛾が翅を開いて後翅の斑紋を敵に見せて威嚇した結果,生じたものらしい.明らかに後翅の斑紋が,鳥の攻撃をそらし,生存率を高めていると考えられる.筆者はCatocalaが静止したまま後翅を示して敵を威嚇するかどうか未観察である.しかしアケビコノハやムクゲコノハは後翅を開いて後半身を持ち上げるような姿勢をとり威嚇することを観察している.おそらくキマエコノハの後翅の傷は威嚇中に後翅に攻撃を受けたものと思われる.今回ビーク・マークが見つかった蛾は,いずれも九州では個体数が少ない種である.そうでなければ翅が破損している蛾をわざわざ展翅することはない.それゆえ一部の種では,今まで出会った総個体数に対するビーク・マーク出現率を計算することが出来た.その結果,灯火に飛来する蛾のうち20%から40%は,鳥の攻撃から生還した経験を持っていると推定された.ジャノメチョウ類2種の傷は,左右の翅に生じた対称傷で,この場合も翅を背中で閉じている状態で鳥の攻撃を受けたことを示している.
著者
平田 将士 宮川 崇
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.256-260, 2004-09-30

Agrias aedonは南米北西部(コロンビア・ベネズエラ)から中米メキシコ南部まで分布する.原名亜種を含め2亜種に分類され,南米北西部に原名亜種,コスタリカからメキシコ南部にかけて亜種rodriguezi(模式産地は中米グアテマラ)が分布する.前者は大型(♂前翅長41.8mm),前翅赤紋はアーチ型に発達し,外縁に達する.前後翅ともに青紋の発達は良くない.後者はやや小型で(♂前翅長40.1mm),前翅赤紋は縮小しアーチ型とならず,発達した青紋によってその周囲を囲まれる.後翅の青紋は外縁部まで大きく発達する.南米北西部からは,コロンビアを中心にschultei,salvini,petitoensis,denheziといったいくつかの型が記載され,それらの中にはときに亜種として扱われるものもあるが,コスタリカ以北の個体群の斑紋は安定しているようで,rodrigueziの元に記載された型やrodrigueziに近縁として記載された亜種はなかった.筆者らは亜種rodorigueziの分布圏に近接するコスタリカ北西部より本種を得たが,その斑紋はrodrigueziとも原名亜種とも異なるので,新亜種Agrias aedon toyodaiとして記載した.本新亜種は亜種rodrigueziとほぼ同大.裏面も酷似しているが,前翅赤紋は原名亜種グループと同様にアーチ型に発達し,これに伴ってrodrigueziに見られる青紋は後角部に向けて幅狭くなる.後翅はrodriguezi同様に発達した青紋を有する.コスタリカにおいて本種は中央山脈のカリブ海側標高約600-1,200mに極めて局地的に亜種rodrigueziが産することが知られている.本新亜種の産地はそれらの既知産地とは異なり,太平洋側標高約300m地点である.なお,亜種名toyodaiは日本におけるコスタリカ名誉領事を勤められ,日本とコスタリカの友好関係に大きな貢献をされた豊田章一郎氏に献名されたものである.
著者
船越 進太郎
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.301-304, 2008-09-30
参考文献数
5

ライントランセクト法によりカノコガ Amata fortunei fortunei (Orza)の飛翔個体数を2年間にわたり調べた.成虫は曇天時に最も多く飛翔し続いて雨天時に多く飛翔していた.ただし強い雨の日は,ほとんど飛翔せず,よく飛んだのは小雨の時であった.晴れた日の飛翔個体数は,曇天時の半数ほどであった.1化の発生時期は,2年間で差がなかったが,2化の発生時期には差がみられた.発生総個体数は,2004年の1化では79個体,2化で209個体,2005年の1化では224個体,2化で176個体であった.気温と飛翔個体数の間には,24℃までは相関があり,22-24℃の間に,飛翔個体数のピークが見られた.湿度と飛翔個体数の間には,特に相関が認められなかった.以上のことから,東海地方でのカノコガ成虫の発生消長は,年2回,一ヶ月弱の期間であり,飛翔個体数には,大きな変動が見られるようである.また,晴天時より曇天・雨天時の活動が盛んであり,直射日光を好まず,強い光を避けて行動する蛾であると考えられた.
著者
中塚 久美子 広渡 俊哉 池内 健 長田 庸平 金沢 至
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.154-167, 2013-12-25

Species diversity of dead-plant feeding moths in various forest ecosystems in Osaka Prefecture was investigated from March to November 2011. The study sites included a beech forest (Site A), an evergreen forest (Site B), a suburban forest park (Site C), a university campus (Site D) and an urban park (Site E). For the extraction of the larvae, two methods 1) hand-sorting, and 2) the Tullgren apparatus, were used. We also collected some flying adults and case-bearing larvae on the dead leaves in each site. A total of 27 species belonging to 10 families of dead-leaf feeding moths emerged: 15 species belonging to 8 families at Site A, 13 species belonging to 7 families at Site B, 10 species belonging to 9 families at Site C, 4 species belonging to 4 families at Site D, and 3 species belonging to 2 families at Site E. Dead-plant feeding habits were newly confirmed by rearing the larvae of Opogona thiadelpha, Hypsopygia kawabei, Endotricha minialis, E. consocia and Bradina angustalis pryeri. The results indicate that further assessments of the characteristics of each dead-leaf feeding moth enables us to apply them as an indicator for the assessment of various forest ecosystems.
著者
岩野 秀俊 山本 嘉彰 梅村 三千夫 畠山 吉則
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.327-334, 2006
参考文献数
24
被引用文献数
2

関東南部においてトチノキが分布しない地域でスギタニルリシジミの分布範囲が拡大しているが,それらの地域での本種の食樹を明らかにするため現地調査を実施した.神奈川県津久井町および箱根町から数種植物の花や花蕾,幼蕾を持ち帰り、幼虫の発見に努めた.津久井町ではスギタニルリシジミの食樹として,ミズキならびにヤマフジを利用しさらに相模湖町ではハリエンジュも食樹の一つである可能性が高いことが判明した.また箱根町では新たにキハダの幼蕾から多数の幼虫が見つかったため,食樹と認定した.県内のトチノキ非分布域では新食樹に寄主転換することで,分布勢力の拡大を計っていることを示唆した.
著者
杉 繁郎 大塚 勲
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.77-79, 1984-09-20

1983年4月,熊本県上益城郡矢部町目丸で採集された5♂の標本にもとづいて,新種Orthosia yoshizakii SUGI & OHTSUKAヒゴキリガ(新称)を記載した.本種は,日本産Orthosiaのうちでは,もっともO.lizetta(BUTLER)クロミミキリガに似るが,雄の触角が鋸歯状である点で,容易に区別される.その他の種とは,前翅の環状紋は暗色点で表され,環をもたないこと,腎状紋全体がほぼ一様に黒く染められることなどが区別点となる.雌は未知.上記の標本は著者のひとり大塚が,吉崎一章氏とともに採集したもので,同氏の多年にわたるご協力に対し厚く御礼申し上げる.種名は同氏に献名したものである.
著者
井上 武夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.63-64, 1997-06-15
参考文献数
3

ペルーでは,ミイロタテハ用トラップとして人糞,腐敗した牛血などを使用してきたため,雌が採集されることは極めて稀であり,Agrias beata beata f.beatifica Hewitsonの雌変異体は報告がない.著者はロレト州イキトス周辺での雌採集を目的に,1987年からバナナトラップの使用をひろめてきた.1996年10月14日に採集された雌A.b.beata f.beatificaは前翅長47mm,前翅表面基部と後翅中央に大きな青色斑が認められる(Figs 1,3).また,前後翅ともに緑色帯の内側には青色鱗粉が認められる.後翅の青色斑は1b室から3室および中室まで拡がり,緑色帯内側の青色とは連続していない.裏面後翅には基部から第3列黒色斑内側まで拡がる黄土色の斑紋が認められる(Fig.2).第4列からの黒色斑は痕跡として淡くなっており,A.b.beata f.beatificaの特徴を示している.後翅青色斑を伴う雌Agrias beataはペルー産として3変異体,ブラジル産として3変異体が報告されてる.ペルー産はともに山地性別亜種のもので,アマゾン低地のロレト州からは報告がない.本個体はマラニョン河下流のナウタ近郊ベサイダで採集された,初のA.b.beata f.beatifica雌変異体と考えられる.
著者
平田 将士 宮川 崇
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.187-201, 2006-06-30
参考文献数
10

Atrophaneura nox (Swaison, 1823)は,インドネシアのジャワ島から原名亜種が記載された.マレー半島からボルネオ,スマトラ,ジャワとそれらの島々の近辺の島嶼に至る広範な分方域を持ち,地理的変異が著しいことから,現在11亜種に分類されている.筆者らはそれらの亜種の再検討を行い,更にバニャック諸島とシンケップ島の2地域に産する個体群を新たに2つの亜種として記載する.また,既に記載されている11の亜種について,下記3点の変更を提案する.1点目として,海南島から記載されたA. nox hainaneusis Gu, 1997は記載図から判断する限り,A. varuna astrorion (Westwood, 1842)のシノニムである.2点目として,中部スマトラから新種として記載されたA. tungensis Zin et Leow, 1982は,♂の形状がA. noxの北部スマトラ亜種A. nox henricus (Fruhstorfer, 1898),同南部スマトラ亜種A. nox solokanus (Fruhstorfer, 1902)と殆ど差がないこと,この両亜種と分方域が重ならないことから,独立種ではなく,A. noxの一亜種と思慮する(A. nox tungensis Zin et Leow, 1982, stat. nov.).3点目としては,北ボルネオに産する個体群を西部ボルネオ産,南部ボルネオ産と区別して,新たな亜種とすることを提唱する.「ザイツ」の中でJordan (1910)は北部ボルネオの中に2つの型が存在することを記しており,1つはA. nox noctis (Hewitson, 1859)であり,もう1つは♂をf. noctula (Westwood, 1872),♀をf. strix (Westwood, 1872)としている.筆者らが実見している標本では,西部ボルネオからもたらされるものがJordanの示しているnoctisに合致するものであり,北部ボルネオ産♂がf. nocturに,♀がf. strixに該当する.また,亜種のnoctisの正確な原記載産地が筆者らにとっては「ボルネオ」以上に詳細には判らないことから,当報文では西部ボルネオ産にnoctisを充てる.更にWestwood (1872)によって同時に提唱された2つの名称については,地理的な相異に言及していないものの,既にFruhstorfer (1898)がnoctulaを種名として使用しているため,筆者らは北部ボルネオ産にnoctulaを充てることを提唱する.これらの所見をふまえ,筆者らはA. noxをnoxグループ,smedleysグループ,erebusグループ,noctisグループの4グループに大別し,各々のグループの特徴を考察した.なお,新たな2亜種の特徴は後述の翅りである. Atrophaneura nox hirokoae Hirata et Miyagawa, ssp. nov. (Figs 19-22) バニャック諸島に産する.バニャック諸島は,北部スマトラ島の西側に位置し,北をシムルエ島,南をニアス島に扶まれた,小さな島嶼群である.今回記載する新亜種は,このバニャック諸島中のTuangku島より得られたもので,筆者の所有する5♂5♀に基づいたものである.♂♀ともに近接する北部スマトラ産,ニアス産の亜種よりも,マレー半島産のものに近似した特徴を持つ.すなわち,スマトラ産,ニアス産と比べ,♂では翅表により強い金属光沢を持つこと,♀では翅表により強い金属光沢を持ち,前翅翅脈に沿った白化が前翅端部にとどまること,また,後翅の白化は外緑部のみで翅脈に沿って全体的に白化しないことで容易に区別される.マレー半島座と比較すると,♂♀ともに翅表により強い金属光沢を持ち,色調が強く青緑色を帯びる.♀では,特に後翅の光沢部がより広く発達し,翅脈に沿った部分にとどまらず,後翅全体に拡がる.また,前翅裏面の翅脈に沿った白化が全体的に拡がらないことで区別される.バニャック諸島は,マレー半島からはスマトラ島を隔てているにも拘わらず,こうした特徴を持つことはとても興味深い.なお,この亜種名hirokoaeインドネシアと日本との友好関係の樹立に尽力された,トヨタ自動車(株)取締役名誉会長豊田章一郎氏の令夫人である豊田博子氏に献名されたものである. Atrophaneura nox miekoae Hirata et Miyagawa, ssp. nov. (Figs 49-52) シンケップ島に産する.シンケップ島は,中部スマトラ島の東,リンガ島のすぐ南に位置する.地理的な位置はボルネオ島よりスマトラ島に近いが,今回記載した亜種はスマトラに産するものよりも寧ろ♂ではマレー産に,♀では南部ボルネオ産に近い特徴を持つ.すなわち,♂においてはマレー半島のように金属光沢を持ち,♀においてはスマトラ産と比べると金属光沢は弱く,後翅翅脈に沿った白化傾向が無いことから容易に区別される.南部ボルネオ産との比較においては,♀の前翅端部の翅脈に沿った白化によって形成される白斑が小さいこと(当亜種は前翅端にとどまるが,南部ボルネオ産は前翅表半分程度拡大する),後翅外緑部に顕著な白化部分があることで区別される.なお,この亜種名miekoaeは,筆者の1人,平田の妻実江子に献名されたものである.本報文をまとめるにあたり,貴重な標本の写真撮影を許可して下さった塚田悦三氏,平岡正之氏,内容についてのひとかたならぬご指導をいただいた吉本浩氏,種々ご教示いただいた矢後勝也氏,上田恭一郎氏,勝山礼一郎氏,報文作成にご協力いただいた,佐藤葉子氏,中野規子氏に心からお礼申し上げます.また,標本人手にご尽力いただいた,故大谷卓也氏に心より感謝するとともにご冥福をお祈り致します.
著者
井上 武夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.103-105, 1985-06-20

ペルー産のミイロタテハ属の雌は雄に比べ極めて数が少ない.他方,ブラジルでは雌雄ほぼ同数が採集されている.両者の相異は使用するトラップが異なるためと言われているが,それを実証した者はいない.著者は1984年9月24日から10月2日までブラジルでバナナトラップを用いて5♂,3♀のミイロタテハを採集し,同じ方法でイキトス,ティンゴマリアにて,A. sardanapalusとA.beataの雌を各1頭採集した.このような著者の経験から,ペルーにおいても従来いわれてきたような雌雄の著しい不均等は必ずしもないと考えられる.
著者
柴谷 篤弘
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-34, 1992-03-30

日本各地のミドリシジミ類については,各種について特異的な領域占有性活動時期が明らかにされている.そのいちじるしい特徴は,同時同所では通常一つの属のなかで2種またはそれ以上が活動することが見られないということである.例外はハヤシミドリシジミがウラジロミドリその他と共に活動することであるが,これらの2種では,領域占有性は弱いようである.日本海の対岸にも, Favoniusを主とするミドリシジミが多く分布し,日本に産しないものも近年記載されている(F. korshunovi Dubatolov & Sergeev, 1982 ; F. macrocercus Wakabayashi & Fukuda, 1985 ; F. aquamarines Korshunov & Sergeev,1987). 私は1988年夏沿海州の昆虫調査に参加して,いくつかの地点でFavoniusの活動を観察することができた.その一部は直接の採集によって同定することができたが,他は高い木の梢をめぐる飛翔のため,確認・同定ができなかつた.しかし飛翔の特徴,大きさのほか,時おりの卍飛翔によって,それらがミドリシジミ♂の活動であることは確実と思われる.この報告では同定した種についての観察結果を表2に示し,またそれに部分的にしか含まれていない観察を,図2-6に示した.後者は,ウスリースク北方20kmのGornotayozhnaya山地林業試験場附近(標高約170m)で2日間にわたっておこなった定点観察計数の結果である.その場所の写真は図1と図7に示される.ここでは大部分のFavoniusらしいチョウの計数は,直接採集によって確認したものでなく,理論的枠組みのなかでの解釈の可能性を与えるにとどまるものである.この結果を通じて,沿海州でのFavonius♂の日周活動は,日本での観察結果とほぼ一致することがわかった.とくに日本に産しないF. korshunoviと思われる種類で,日本のエゾミドリシジミF. jezoensis (Matsumara,1915)と同様,16時(日本時間)前後に活動することがわかった.この点で午前に活動するといわれるF. macrocercusとは別種であるようにおもわれる.ほかに, Gornotayozhnayaで早朝9時-11時(夏時間;同経度の日本時間にして7時-9時)に活動する未同定のミドリシジミがいるらしいことを見た.ほかにオオミドリ,ジョウザンミドリ,ハヤミミドリ,ウラジロミドリについては,日本の活動時間とほぼ一致するが,ジョウザンミドリは日本のものよりすこし遅れるようである.いずれにしても2種のFavoniusが同時同所で領域占有飛翔をするという積極的な証拠は見られなかった.Gornotayozhnayaの観察では, Favoniusのほかにすべてのチョウの定点での活動を記録し,図2-6にその結果を示した.この場所は尾根のモンゴリナラ林に沿った切りひらきで,特にチョウの多いところではないが,ここに示した結果で見ると,日本における選ばれた径路でおこなった最近の観察例よりも,明らかにチョウの数が多いことが示された.観察地点を離れた,流れに沿った平地では,チョウの数ははるかに多く,ソ連邦での観察例(Belyaevほか,1989)と比較しても,沿海州のチョウの個体数・多様性は,日本の標高の低い都市付近の緑地で一般に見られるよりは,ずっと高いと考えられる.この報告は,日本で知られていることを,立ちいって書きこんでいるが,これはもちろん海外の研究者に対して,同様な観察をよびかけるためのものである.日本で蓄積してきたこのような観察が,アジア各地はもとより欧米各地の報告にも見られないことは,「観察」が,理論負荷的であること,つまり結果を先どりする理論によって観察が生まれること,そしてこの理論は,うたがいもなく今西錦司によってはじめられた「棲みわけ」理論が,チョウの「飛びわけ」概念に拡張されたためであることを示唆する.これを今西理論が日本の生態学に正の寄与をしなかったのではないかとする,最近の論調のなかでどう評価していくかは,今後の発展次第であろう.
著者
広渡 俊哉 亀谷 計泰
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.85-92, 1999-03-30
参考文献数
13

コンオビヒゲナガ,Nemophora ahenea Stringerは,本州,四国,九州に分布し,成虫が7-9月に出現することが知られていたが,その生活史や配偶行動などについてはまったく不明であった.そこで,配偶行動を中心として飛翔活動の日周性・産卵寄主など,本種の生活史の一部を明らかにすることを目的として,兵庫県猪名川町の三草山,および和歌山県橋本市の玉川峡において調査を行った.三草山では,1997年7月11日,7月19日,7月23日の3回,玉川峡では,8月26日,8月30日の2回調査を行った.調査は原則として午後3時から日没まで,7月23日のみ日の出から日没まで行った.いずれの調査日においても,30分ごとに温度・照度を記録した.成虫,特にオスは日没前後,照度が500-8,000lxと薄暗くなってから活発に活動し,オスが群飛するのが確認された.玉川峡では,オスがイタドリ,ヌルデ,ヒメジョオンなどの花の約10-30cm上空で群飛するのが見られた.これまでヒゲナガガ科の配偶行動についての報告例は非常に少なかったが,三草山で7月19日と7月23日に本種の交尾に至る行動を観察することができた.今回観察されたのは,いずれの場合もオス1個体がヒメジョオンの約10cm上空でホバリングしているところにメスが直線的に飛んできて交尾が成立するというものであった.オスは,メスが約10cmのところまで接近すると,メスに飛びついて空中で絡まり,葉上に落下したときにはすで交尾に至っていた.コンオビヒゲナガでは飛翔中のオスが1個体でも交尾が成立したことから,本種にとって群飛をすることはオスとメスが出会うための必要条件ではないことが明らかになった.また,本種の寄主植物は知られていなかったが,玉川峡で8月30日にイタドリの花のつぼみに産卵行動をするメスが見られた.卵は確認できなかったが,イタドリは本種の寄主植物である可能性がある.Thornhill(1980)は,ケバエの一種にみられるオスの群飛は,メスが羽化してくる地面に近い場所を確保しようとするオス同士の闘争であると考えた.コンオビヒゲナガの場合,オスはイタドリやヒメジョオンなどの花をマーカーとしてメスとの出会いの場所として利用しており,群飛を形成するのはThornhill(1980)が観察したケバエの一種のようにその場所をめぐって争っている結果なのかもしれない.また,コンオビヒゲナガではオスの複眼がメスに比べて大きく発達しており,特に背面域の個眼が腹面域の個眼にくらべて大きかった.ホバリングするオスは地面に対して体軸をさまざまな角度に傾けており,地表から飛んでくるメスを発見するのにも背面域の発達した個眼を用いている可能性がある.また,コンオビヒゲナガのメスの複眼はオスに比べて小さいものの,群飛をしないとされるクロハネシロヒゲナガ(オスは単独で探雌飛翔をすると考えられている)のメスに比べて相対的に大きかった.コンオビヒゲナガのメスが,飛翔するオス,あるいはマーカーと考えられる植物のどちらに誘引されるかは不明だが,今回の観察からもメスはオスを視覚で発見していることが示唆された.
著者
井上 寛 佐々木 明夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.245-250, 1995-01-20
参考文献数
13

日本で"ネグロフトメイガ"と呼ばれている個体群の中に2種が混じっていることは,数年前に小木広行氏によって発見され,これらについての調査を筆者らに委ねられていた.日本のネグロフトメイガには,長い間Lepidogma atribasalis (Hampson)の名があてられていた.この種はアムール地方及びアスコルド島産の複数の標本に基づき, Stericta属の1種として記載されたもので,六浦(1957)によってLepidogma属に移されていた.ベルリンにあるタイプ標本のうちの雌と,ロンドンにある同じラベルの付いた雄を検討した結果,これらのタイプ標本は六浦(1957)や井上(1959,1982,1992)がL. atribasalisとしたものと同じ種で,もう一方は新種であることが判明した.しかし, Stericta atribasalis Hampson, 1900は,オーストラリアのS. atribasalis Warren, 1895に先取りされたホモニムなので,本文で新名を与えるとともに, 1新種の記載を行った.またこれらの2種は,南ヨーロッパや中東のLepidogmaと同属でなく,広義のStericta属に入れるべきことも判明した.記載にあたり,その端緒となる知見を得られた小木広行氏のご慧眼に対して深く敬意を表する.また小木氏をはじめ,土井信夫,猪子龍夫,岩崎史郎,亀田 満,小松利民,間野隆裕,大倉 慎,清野昭夫,田中政行,梅津一史,山中 浩,山本光人の各氏からも,多くの標本や情報を提供していただいた.著者の一人佐々木は,望月 淳,根本圭介,吉松慎一の各氏から文献参照の上でご協力をいただいた.上記の方々に対して心から感謝の意を表する. Stericta kogii Inoue & Sasakiネグロフトメイガ 六浦(1957),井上(1959,1982)がLepidogma atribasalisとして図説したのはこの種である.外横線は前縁部で黒色点で表わされ,脈M_1かRsからCuAまでは外方に大きくふくらみ,以後外縁に平行するが,後半は黒色帯と重なって不明瞭.前翅長:♂7.5-8.5mm,♀7.7-9.0mm.♂交尾器. Valvaは幅広くcostaはそれほど湾曲しない;harpeは棒状で, valvaの基部から1/3付近のところから突出する;juxtaの上部は2叉し,骨化して顕著な棒状となり多数の鋭く短い突起を伴う;aedeagusは細長く,長さは中央部の幅の約10倍;cornutusは1本の細長い針状物.♀交尾器. Colliculumは骨化し大きな筒状, ductus bursaeとの接続部は強く括れる;ductus bursaeはごく細く,始めは膜状であるが長さの半分ぐらいから骨化し,強く曲がってcorpus bursaeに達する;signaは多数の骨片が集まった2個の円形紋.本種の雌雄交尾器は,井上(1992)によってすでに示されている.また,本種の食草として,中村(1970,蛾類通信63:45)は,東京都初沢山でオニグルミにっいていた幼虫から成虫を得たことを報告しているが,これが2種のうちどちらの方かは今後確かめる必要がある. Stericta flavopuncta Inoue & Sasakiミドリネグロフトメイガ(新称)前翅長:♂7.5-8.6mm,♀7.5-9.6 mm.外見上は前種とよく似ていて,時には区別が困難であるが,雌雄交尾器の違いは顕著である.前翅外側1/3を占める黒色帯はより狭く,淡いことが多い.したがって外横線はより明瞭,外方へのふくらみは少ない.外横線外側の淡色帯は前種に比べて明瞭,この淡色帯はしばしば後角付近で黄白紋を表わす.♂交尾器.Harpeは前種より長くvalvaの中央付近から突出する;juxtaの上半は2叉し剣状の突起を形成し,前種のような短い鋸歯状の突起物を欠く;aedeagusはより太く,長さはvalvaの長さとほぼ同じ;cornutiは10本ほどの短い刺状物の集まり.♀交尾器.Colliculumは骨化し大きなカップ状,いったん狭まったのち再び嚢状に膨らむ;ductus bursaeは膜状,前種に比べてより太く短い,微細な骨片を散布し次第に太くなりcorpus bursaeに至る.両種ともにロシア沿海州と日本(北海道,本州)に分布していることは,筆者らによって確かめられたが,四国,九州,奄美大島の記録にっいては,実物を再検討しなければ何れの種なのか決められない.おそらく本邦南部にはネグロフトメイガだけが生息しているものと推定される.
著者
日浦 勇 中筋 房夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.185-189, 1982-03-25

イチモンジセセリParnara guttataは,初秋に多数の成虫が一定方向に移動することで良く知られている.これまでに多数のナチュラリストによる移動の記録があり,これらは山下(1955),日浦(1973,1980)によってまとめられている.それによると,移動現象は北は福島から西は山口までの間にのみ観察され,この種が普遍的に分布する四国では唯1例の報告しかなく,九州と琉球列島にいたっては観察例は皆無である.本種の移動をめぐって,最近,個体群生態学や生理学の立場から新しく研究が行われているが(ISHII and HIDAKA,1979; ONO and NAKASUJI,1980;NAKASUJI et al.,1981),しかし,未だ多くの問題を残している.四国・九州・琉球地方では本当に移動をしていないのか,それとも移動はしているが何らかの理由で観察され難いだけなのか,を明らかにすることは,本種の移動の意味を考える上で非常に重要な問題である.そこで筆者等は1979年,西南日本各地の日本鱗翅学会会員221名と,大学農学部や農事試験場の害虫研究者29名の方々に,アンケートによる調査をお願いした.回答依頼内容は,(1)移動のみられた日付と場所,(2)天気,(3)時刻,(4)風向,(5)移動方向,(6)移動の規模で,7月25日に発送した.不幸にも1979年は,全国的にイチモンジセセリの移動は軽微にしか起らなかった年のようであり,回答も少なかったが,なお貴重な情報を含んでいるので報告しておきたい.はじめに,筆者等の要望を容れられ,わざわざ回答下さった次の23名の方々に厚くお礼申上げる.安部琢哉・福田正・行徳直巳・平尾重太郎・久川健・市川俊英・河合まり・小林義徳・栗林慧・宮原和夫・宮武頼夫・永井彪・仲盛広明・中村慎悟・岡部正明・住田紘・田中洋・竹東正・山野忠清・山下善平・矢田脩・淀江賢一郎・吉岡幸治郎の諸氏(ABC順).
著者
加藤 義臣 矢田 脩
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.171-183, 2005-06-20
被引用文献数
2

Brown and yellow types in the forewing fringe color in the so-called "Eurema hecabe (L.)" show sympatric distribution on Okinawajima Island in the Ryukyu Islands and occurrence of their characters is closely linked with seasonal wing morph expression and host plant use (Kato, 2000a, b). Further, these sympatric types are sexually isolated at the level of behavior (Kobayashi et al., 2001). In the present study, distribution pattern of these two types was investigated in southwestern Japan (16 sites) and Taiwan (3 sites) and their taxonomic status was reevaluated. In Amami-Oshima, Kuroshima, Kumejima, Taketomijima, Iriomotejima and Yonagunijima Islands, only the brown type was found while in Kagoshima-shi, and Okinoerabujima, Yoronjima and Tokashikijima Islands, only the yellow type was seen. Sympatric distribution of the two types was found in Tokunoshima, Okinawajima, Miyakojima, Ishigakijima and Haterumajima Islands, and Taiwan. The fringe color type was linked with seasonal wing morph expression and host plant use in all populations, as shown in previous papers (Kato, 2000a, b). These results strongly suggest that the two types have differentiated at the species level. The examination of the lectotype of Papilio hecabe Linnaeus, 1758 revealed that it was the brown type. Based on these, we here propose that the yellow type butterflies belong to a different species, Eurema sp.
著者
橋本 里志
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.111-123, 1984

Alucita属は広く全世界から知られ,100種以上の記載種から成る大きな属である.従来,わが国からは3種が知られていた.うち2種,ヤマトニジュウシトリバ(Alucita japonica)とアヤニジュウシトリバ(Alucita flavofascia)は日本からのみ知られ,残りの1種,ニジュウシトリバ(Alucita spilodesma)は東洋区を中心に分布している.今回,琉球列島から得られた2新種を記載すると共に,Alucita属の記載ならびに既知種3種の交尾器を図示し簡単な説明を与えた.また,日本産Alucita属を成虫の形質に基づいて,次の2つのグループに分類した.グループA:単眼を有すること,前翅のSc脈は基部より遊離すること,雄後翅にanal foldを持つことによって特徴づけられる.A.pusilla, A.japonica, A.spilodesmaの3種が含められる.グループB:単眼を欠くこと,前翅のSc脈とR1脈は基部あるいは基部から1/3の所で融合すること,雄前翅にcostal foldを持つことによって特徴づけられる.A.straminea, A.flavofasciaの2種が含められる.Alucita pusilla HASHIMOTOは白地にオリーブ色の斑紋を持つ,開張およそ7mmの小蛾である.本種は雄交尾器において,ヤマトニジュウシトリバ(A.japonica)に似るが,成虫の大きさによって容易に区別される.分布:西表島.Alucita straminea HASHIMOTOは成虫の色彩において,アヤニジュウシトリバ(A.flavofascia)に似るが,アヤニジュウシトリバから,頭部にオレンジ色の帯を持たないこと,前後翅に褐色を帯びた紫色の斑紋を欠くことにより区別される.分布:石垣島,西表島.