著者
糟谷 大河 塙 祥太 保坂 健太郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.jjom.H26-10, 2015-11-01 (Released:2018-01-27)
参考文献数
23

日本新産のホウライタケ型きのこ,Crinipellis dipterocarpi f. cinnamomea (新称:シナモンニセホウライタケ) について,千葉県の照葉樹林内地上のタブノキおよびスダジイの落葉落枝上より採集された標本に基づき,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.核rDNA のITS 領域を用いた分子系統解析の結果,日本,タイ,インドネシアおよびマレーシア産のC. dipterocarpi f. cinnamomea は最節約法のブートストラップ値で強く支持される同一のクレードに位置した.この解析により,日本および東南アジア産のC. dipterocarpi f. cinnamomea は同一の分類群であることが支持された.
著者
常盤 俊之 広瀬 大 野中 健一 石崎 孝之 廣岡 裕吏
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.jjom.H30-01, 2018-05-01 (Released:2018-06-09)
参考文献数
14

ボタンタケ科子嚢菌類,Hypomyces tremellicola ならびにSphaerostilbella micropori を本邦より採集分離し,形態的特徴を記載した.この2 種は日本新産種であり,S.micropori は原産地以外からの初報告である.
著者
糟谷 大河 保坂 健太郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
pp.jjom.H29-01, (Released:2017-05-31)

日本新産のチャツムタケ属菌,Gymnopilus decipiens (ヤケノヒメチャツムタケ),について,北海道で採集された標本に基づき,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.北海道産 G. decipiens は火山性ガスを含む高温の水蒸気が噴出する噴気孔周辺に発生し,子実体は小型で温和な味であることが特徴である.分子系統解析の結果, 日本産標本の核 rDNA の ITS 領域は,ロシア( ヤクーツク) 産 G. decipiens のものと完全に一致する塩基配列を有し,本菌がシベリアから北海道の亜寒帯にかけて連続的に分布することが示された.
著者
奥沢 康正
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3-4, pp.jjom.H13-105, 2002 (Released:2020-10-13)
参考文献数
21

Japan has a long history, dating back to the Nara Period, in which nobility and common people have used mushrooms as medicine and food. Here I report a survey of articles about mushrooms appearing in herbal and history books, novels, diaries of the court nobles, and temples records. I record the names and uses of edible mushrooms and poisonous mushrooms. Some antidotal methods found in herbal and medical books of the Edo Period are described and discussed.
著者
小林 久泰
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.jjom.H15-43, 2004 (Released:2020-10-01)
参考文献数
12

Taxonomy and mycorrhizal status of Japanese entlomatoid fungi associated with rosaceous and ulmaceous plants were studied. Entoloma saepium and E. clypeatum f. hybridum were newly recorded from Japan. Entolomatoid fungi were not ectomycorrhizal. Transmission electron microscopy of the mycorrhizas suggested destructive infection of the fungal hyphae to the root cells and their collapse near the tip of the stele.
著者
常盤 俊之 内田 有紀 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.jjom.H26-02, 2015-05-01 (Released:2018-01-27)
参考文献数
19

盤菌類寄生性のStephanoma strigosum とMycogone cervina のテレオモルフ,Hypomyces stephanomatis とH. cervinigenus を日本新産として報告した.同定は分子系統学的手法により確認した.H. cervinigenus の子嚢胞子を培地上で発芽させ,Mycogone アナモルフを初めて確認した.
著者
平田 正一
出版者
日本菌学会
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.393-395, 1981 (Released:2011-03-05)
著者
北林 慶子 都野 展子 保坂 健太郎 矢口 行雄
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.69-76, 2016-05-01 (Released:2016-08-17)
参考文献数
28

双翅目幼虫は子実体内に多数かつ頻繁に観察されるがその生態は,ほとんど研究されておらず,双翅目幼虫は胞子散布者として機能し得るか否か不明である.本研究では,ハラタケ型子実体内部に生息する双翅目幼虫の生態について,幼虫の子実体内部での摂食対象組織と幼虫による消化が胞子に与える影響を消化管内胞子の外部形態を詳細に観察することによって調べた.ハラタケ亜門4目16科23属114個の子実体から幼虫を3798個体採集した.解剖した幼虫172個体のうち,103個体の消化管内に胞子が存在した.顕微鏡下で消化管内胞子の外部形態に変化は確認されず,トリパンブルー染色においても,対照群胞子より消化管内胞子は6~11%損傷率が高かったが80%程度の胞子は無傷であった.以上より,双翅目昆虫の幼虫による子実体中での胞子摂食が高頻度で起きていること,幼虫の消化管内の胞子の多くはほとんど物理的損傷を受けていないことが示された.
著者
大前 宗之 山本 航平 折原 貴道
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.27-32, 2020-05-01 (Released:2020-06-10)
参考文献数
25

茨城県の照葉樹林より,日本新産種Microstoma apiculosporum(新称:テンガイキツネノサカズキ)を報告した.本種は胞子の両端に半球状の突起を有するという,本属菌の中で特異な形態により特徴づけられ,これまで基準産地である台湾中部にのみ分布が確認されていた.本報では,生体分類法や化学反応に基づき,従来報告されていない特徴を含んだ本種の形態について記載した.
著者
常盤 俊之 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.jjom.H20-10, 2009-11-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
13

イグチ類に寄生する日本産Hypomyces属菌5種とそのアナモルフのSepedoniumを記載し検討した.これらはH. melanocarpus, H. transformans, H. chlorinigenus, H. chrysospermus及びH. microspermusであり,前2種は日本新産種であった.また,日本特産種のホオベニシロアシイグチ(Tylopilus valens)をHypomyces melanocarpusの新寄主として報告した.さらに類似する2種H. chrysospermusとH. microspermusの形態と寄主範囲の相違点について論じた.
著者
糟谷 大河 下保 有紀子 下保 敏和 下保 晴稜 保坂 健太郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.85-91, 2016-12-16 (Released:2016-12-23)
参考文献数
13

本州より初めて発見された海浜生の担子菌類であるスナハマガマノホタケ Typhula maritima について,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.本菌は新潟県,富山県および石川県の海浜のケカモノハシ Ischaemum anthephoroides およびチガヤ Imperata cylindrica 群集付近で採集された.核rDNA のITS 領域を 用いた分子系統解析の結果,日本 (本州および北海道) 産のスナハマガマノホ タケは最節約法のブートストラップ値で強く支持される単系統群を形成した.これらの結果は,スナハマガマノホタケの海水に浮く菌核が海流によって長距離分散するという考えを支持している.
著者
常盤 俊之 奥田 徹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.jjom.H12-199, 2001 (Released:2020-10-13)
参考文献数
16

日本産Hypomyces菌,H. armeniacus,H. luteovirens,H. hyalinusを報告した.うち,H. armeniacusは日本新産種として記載した.H. luteovirensは子嚢胞子がこれまでの報告より大型で,H. hyalinusは子嚢殻がKOH(+)を示す標本が認められたため,それぞれ新知見として報告した.
著者
糟谷 大河 丸山 隆史 保坂 健太郎
出版者
The Mycological Society of Japan
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.5-15, 2022-05-01 (Released:2022-07-07)
参考文献数
31

日本新産の2種のザラミノシメジ属菌,Melanoleuca alboflavida(アシボソザラミノシメジ,新称)およびM. griseobrunnea(ネズミザラミノシメジ,新称)を,形態的特徴の記載と図を添えて報告した.細長く直立し,軟骨質で白色を帯びる柄と,フラスコ形から紡錘形の側シスチジアおよび縁シスチジアがM. alboflavidaを特徴づける形質である.一方,M. griseobrunneaはかさが淡灰褐色を帯びる点,柄の基部の肉が淡灰色から褐色を帯びる点,そして縁シスチジアが長首フラスコ形で結晶を有する点により特徴づけられる.核rDNAのITS領域を用いた分子系統解析により,これら2種の同定結果が支持されたとともに,M. alboflavida はMelanoleuca亜属に,M. griseobrunneaはUrticocystis亜属に位置することが示された.
著者
Daniel GUEZ 長沢 栄史
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.jjom.H11-75, 2000 (Released:2020-10-13)
参考文献数
16

従来日本から未記録であったスッポンタケ科の菌,Mutinus elegans の日本における発生を初めて報告し,本種にタヌキノベニエフデ(狸紅絵筆)の和名を与えた.本種はキツネノエフデ(M.bambusinus)に類似するが,子実体がより大形で,かつほぼ全体的に比較的濃い赤色(淡紅赤色~珊瑚赤色)を帯びる点で区別される.産地としては今のところ大阪府高槻市が知られているのみであるが,11月から12月にかけて,道端や開放地などの良く陽の当たる場所においてマダケやクヌギ,ケヤキ,クスノキなどの木の下あるいはそれらの近くの地面に発生する.
著者
小林 裕樹 重信 秀治
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.17-21, 2022-05-01 (Released:2022-07-07)
参考文献数
14

愛知県の林内地上より,有彩色の色彩を欠き,傘と柄の全体が黒い鱗片で覆われ,全体に強い黒変性を持つアカヤマタケ属菌を見出した.形態観察およびrDNA領域内のITSおよび26S rRNAの2箇所の配列を用いた系統解析の結果,2020年に中国より新種報告されたH. griseonigricansと同定した.本邦からの本種の報告は初となる.
著者
小長谷 啓介 宮本 敏澄 玉井 裕 矢島 崇
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.81-90, 2020-11-01 (Released:2020-12-18)
参考文献数
61

2000年に噴火した有珠山の噴出物堆積地において,2004年に調査した既報告の大型菌類の発生調査を2006年まで継続して行い,噴火から間もない遷移初期の立地で繁殖する大型菌類相の経年変化を明らかにした.菌種数は,2004年の9種から緩やかに増加し,2006年には23種が確認された.外生菌根菌は2005年秋に初めて4種が確認された.2006年も新たに4種が発生し,計8種が確認された.その他の腐生菌は,2004年に確認されていたナヨタケ科,モエギタケ科,キシメジ科の菌類が継続して発生しており,種数は年経過とともに緩やかに増加した.次年度に消失した菌種は,2004-2005年では2種,2005-2006年では1種と少なかったのに対して,新たに確認された菌種は2004-2005年では9種,2005-2006年では8種と多かった.噴出物堆積地では,埋没した植物遺体や更新稚樹を資源として利用する菌類が繁殖しており,その菌類相は年経過とともに新たな種が加わる形で推移していた.