著者
佐賀 達矢 野中 健一 ファン イッテルベーク ヨースト
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.350-362, 2022 (Released:2022-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

伝統的な昆虫食文化を理解することは環境と人間の関係を含めた生物資源利用の本質的な理解につながると考え,高校生を対象に昆虫食の試食を伴う講義を行った.ここで得られたアンケート・感想から高校生の昆虫食の経験やとらえ方,講義の効果を分析した.昆虫食が食料問題の解決策になるという国連食糧農業機構(FAO)の提言を知っている生徒は多かった一方で,昆虫食文化がある地域の人々は食料不足だから昆虫を食べるという誤った見方も見られた.講義後には,多くの生徒が昆虫食を肯定的にとらえ,社会文化的な視点を身につけられた.予想に反し,現在も伝統的な昆虫食文化が残る岐阜県東濃地域の高校生の方がそうでない地域の高校生よりも昆虫食に対して抵抗感をもっていた.講義後には,日々の食生活を充実させるために昆虫食文化があることに気付いたという感想が多く,生徒に単なる異文化の理解だけでなく,自他の文化を尊重する態度をもたらすことができた.
著者
野中 健一
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.276-290, 1989-06-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

The purpose of this paper is to investigate how people obtain and eat Vespula sp., a kind of wasp, and how such habits are distributed in Japan. A general survey based on the literature and quastionnaires given to authorities was conducted for each part of Japan, and field work was conducted by interviewing in Central Japan, where examples of this habit can be seen. Among several kinds of wasps which are eaten in Japan, especially immature Vespula have been eaten cooked in various ways. This is because people feel it more tasty than any other wasp, and they can find the nests easily, catch them without any danger and obtain large numbers of the immature wasps from one nest. This haibit is not spread all over Japan but concentrated particularly in some parts of Central Japan.The results of the survey in Central Japan are as follows: there are six kinds of foods made of Vespula, that is, raw Vespula, roasted Vespula, boiled Vespula, mixed rice maze-gohan with Vespula, sushi with Vespula and, a kind of rice cake with soy bean sauce (gohei-mochi) containing Vespula. These recipes are listed here according to increasing complexity in cooking process. People eat these foods 1) occasionally, 2) daily, or 3) daily and on special occasions. In the area where the usage of Type 1) is found, Vespula is usually roasted and eaten only occasionally. In the area of Type 2) boiled Vespula in soy sauce is eaten as a daily food and even stored in many places. It is used as a side dish for daily meals or relish for drinking. Moreover in the area of type 3) boiled Vespula can be used on special occasions such as festivals and parties. The foods which need a longer cooking process tend to be used on special occasions. The usage of type 3) is seen in eastern Mino Province (Gifu Pref.) and its surrounding regions.People obtain Vespula by hunting or purchasing. Methods of hunting are classified into four types according to ways of discovering the nests. They are: (1) discovery by chance, (2) discovery by simply running after Vespula, (3) discovery by making Vespula hold a mark and running after it, and (4) breeding after finding the nest. An assorted mix of hunting (2), (3) and (4) is adopted in eastern and southern parts of Sinano Province (Nagano Pref.) and eastern Mino Province as well as mountainous areas in Mikawa and Owari Provinces (Aichi Pref.). People who want to eat Vespula may also purchase canned Vespula or their nests with immature wasps. The former are sold as souvenirs in some cities of Shinano Province, and the latter are mainly used as raw materials for cooking in eastern Mino Province. These are regions where active hunting is also popular.Generally speaking, the intensiveness of eating and that of hunting are closely related. That is, the more positively Vespula is eaten, the more actively hunting is conducted. The kind of foods (Figure 3), their uses (Figure 4), and the hunting methods (Figure 5), show similar areal distribution. These neighbouring three regions, that is, eastern Mino, the southernmost part of Shinano and the mountainous area of Mikawa, form the core with the highest intensity. The custom becomes less pervasive in regions that are located farther from the core. This shows a kind of cultural circle with a concentric structure. This is also the core area of Vespula eating in Japan.
著者
野中 健一 柳原 博之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100168, 2017 (Released:2017-05-03)

I はじめに 岐阜県東濃地域の伝統的な地域文化資源利用の一つにクロスズメバチ(当地の方言で「ヘボ」)食文化がある.当地域のヘボ食文化は,秋に野山で巣を採取し(ヘボ追い),巣中の幼虫やサナギ(蜂の子)を蜂の子飯(ヘボ飯)やゴヘイモチなどで賞味するだけでなく,夏のうちにまだ小さな巣を採取して自家で飼育することもあり,一堂に会して巣箱を開き育てた巣の大きさを競うイベントも開催されている.このような慣行を持続的に発展させようと1990年代に各地で愛好会が設立され,さらにそれらが集まった全国地蜂連合会が組織されて現在に至っている. この慣行を続けていくためには,次世代の者たちが継承していく必要があるが,現在の主な担い手の次世代以降にはそれに興味関心を持つ者が少なく,その存続が危惧されている.そこで,地域資源を生かすことをテーマとして,知識・技術の継承に高校生がかかわることにより,その活動の活性化と次世代の興味を高めるための方策を講ずることが可能になるであろうと,岐阜県立恵那農業高校(恵那市に所在)でクラブ(HEBO倶楽部)が2016年に設立された. 本発表は,高校生の関心からクラブ設立への動きと部員の活動経験を明らかにし,地域文化資源を活用した課題解決型学習の成果とその実践が地域にもたらす効果を検討する.   Ⅱ クラブ活動実践 (1)クラブ設立 2015年度にヘボ食文化に関心をもって課題学習に取り組んだ一生徒が恵那市串原や全国地蜂連合会の活動に参加しながら地域との連携関係を形成できた.そこで,地域で重要でありながら失われつつある地域文化資源を特産品として活用した地域の活性化を目的に,2016年度より高校の正式なクラブ活動としてHEBO倶楽部が設立され,柳原が顧問に就き,初年度は3年生4名,2年生5名が参加した. (2)ヘボ食文化の実地体験 串原・中津川市付知町の愛好会および全国地蜂連合会会員の協力・指導により,ヘボ追いを構成する餌付け・餌持たせ・追跡・巣掘り出し,飼育,蜂の子の巣盤からの抜き取り(ヘボ抜き)に至る全工程を体験し習得に努めた.全部員初めての経験であったが,指導を受けて実践できるようになった.そしてヘボ食文化のおもしろさを実感し,将来に残す必要性があることを強く感じた. 食用に関しては,地域の味付けで食品製造販売を行う串原田舎じまんの会からヘボの甘露煮,ヘボ飯の作成方法を習い,基本的な調理法を理解した. さらにイベントを通じて,各地のヘボ飯などの食べ比べを行い,ヘボの成虫を入れる量,醤油の量,薬味の有無など調理方法に地域差のあることを学んだ. (3)地域文化情報の発信と地域との協働 生徒は,さまざまな体験・活動で得た知識と経験を生かして情報発信を行った.東京大学癒やしの森研究所へ地蜂連合会会員らとヘボ生態調査・駆除に出向いた折には,同大の実習授業の受講生らに,自分たちが学んできたヘボ追い,ヘボ抜き,調理方法を伝授した.また,小学生を対象にしたヘボ抜き体験,ヘボに関する企画展の実施等を行い,他地域や異世代への情報発信を行った. 秋期の串原や付知町でのヘボの巣コンテストではスタッフとして協力した.担い手が減少する中で若い世代の参加は運営の補助のみならず,参加者らに活力を与える上でも効果的であった. 学校祭や地域イベントでは,生徒は,ヘボ追いをはじめ自然と親しむ・自然資源を活用する魅力をテーマとした発表を行い,あわせて来場者に対してアンケート調査・分析を実施し,活動をとおして同世代の高校生への知識・技術の継承と,地域への普及を目指して活動した.また,ヘボの知識だけではなく交流をとおして地域理解を深めると共に世代を超えたコミュニケーションを実施した.これらの成果により導き出された地域活性化の提案は「田舎力甲子園2016地域活性化策コンテスト」で最優秀賞を受賞し,ヘボ食文化の意義と可能性を全国に向けて知らしめることができた.   Ⅲ まとめと今後の課題 今回の実践において,高校生が親世代からは学べない地域の文化を学び,その大切さに気づき,主体的な学習の向上と社会実践の意識,外部社会とのコミュニケーション力向上がみられた。いっぽう,愛好家の方々には,高校生の参加により自己の趣味から「文化の継承」という目標が生まれ,組織的で意欲的な活動になったと思われる.地域文化の知識・技術の継承やその食文化の保存に若い世代の参加は大きな影響を与えることがわかった. 生徒のアンケート調査により当地では中年世代よりも若い世代の方がヘボ食に興味関心をもっているが明らかになったことから,この世代をターゲットにして新たな展開をすることが地域文化の継承に重要だと考えられる.
著者
常盤 俊之 広瀬 大 野中 健一 石崎 孝之 廣岡 裕吏
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.jjom.H30-01, 2018-05-01 (Released:2018-06-09)
参考文献数
14

ボタンタケ科子嚢菌類,Hypomyces tremellicola ならびにSphaerostilbella micropori を本邦より採集分離し,形態的特徴を記載した.この2 種は日本新産種であり,S.micropori は原産地以外からの初報告である.
著者
常盤 俊之 広瀬 大 野中 健一 三川 隆
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.5-14, 2023-05-01 (Released:2023-07-22)
参考文献数
45

日本産多孔菌類子実体に寄生するCladobotryum属菌を調査した結果,日本新産種であるC. arthrobotryoidesならびにC. caribense, C. protrusumを報告した.Cladobotryum arthrobotryoidesは,小歯状に発達した分生子形成細胞からシンポジオ状に単生する2隔壁の分生子が特徴的である.Cladobotryum caribenseは長連鎖性で釣鐘型の分生子を形成する.Cladobotryum protrusumは,分生子形成細胞は出芽型,分生子が淡緑性の色調を特徴とする赤色色素産生菌である.
著者
橋本 操 林 日佳理 佐賀 達矢 野中 健一 Donnavan KRUGER
出版者
一般社団法人 日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_23-32, 2023-03-31 (Released:2023-04-29)
参考文献数
22

This paper explores how the original landscape map can be useful in a Japanese high-school class for teaching environmental and social diversity as an opportunity for cross-cultural communication. We conducted a collaborative class at Tajimi High School in Gifu Prefecture, which was attended by several foreign visitors (i.e., from South Africa, Namibia, and France) as an interdisciplinary activity of biology, geography, and English. Using original landscape maps, participants could compare differences in their biological, cultural, and geographical environments and communicate their thoughts in English. In particular, most of the Japanese high-school students, who had rarely talked to foreigners, found the original landscape maps useful for communication. On the other hand, the students’ original landscape maps suggested a correspondence with the typical images of “traditional Japanese landscape,” and also with the topographical environment and landscape structure of the basin in which they lived. Nevertheless, this classroom practice illustrates that comparing original landscape maps encourages the participants to learn the differences in their natural environments and the life experiences of the people in them. Moreover, the original landscape maps help participants to understand environmental changes over time, and thus changes in their lifestyles, as the original landscape maps are suitable for describing one’s memories, thoughts, and personal experiences. They also help the participants’ English communication by providing a visual description of one’s memory, which motivates them to learn more and become efficient in English. Therefore, the authors conclude that original landscape maps can be recommended to promote an interdisciplinary understanding of environmental, geographical, and cultural diversity.
著者
野間 晴雄 野中 健一 宮川 修一 岡本 耕平 堀越 昌子 舟橋 和夫 池口 明子 加藤 久美子 加納 寛 星川 和俊 西村 雄一郎 鰺坂 哲朗 竹中 千里 小野 映介 SIVILAY Sendeaune 榊原 加恵 SOULIDETH DR.MR. Khamamany BOURIDAM MS. Somkhith ONSY Salika CHAIJAROEN Sumalee 岡田 良平 的場 貴之 柴田 恵介 瀬古 万木 足達 慶尚 YANATAN Isara 板橋 紀人 渡辺 一生
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東南アジア大陸部に位置する天水田農業を主体とした不安定な自然環境における平原地帯(東北タイドンデーン村とラオスのヴィエンチャン平野ドンクワーイ村)における多品種の稲や植物,魚介類や昆虫など様々な動植物資源の栽培・採集・販売などの複合的な資源利用の実態とその変化の態様を地域の学際的・総合的共同調査で明らかにした。両村ともグローバル市場経済の影響が認められるが,ドンデーン村ではかつて存在した複合的な資源利用が平地林の消滅や都市近郊村落化によって失われており,ドンクワーイ村はグローバル化や森林伐採で変容を遂げつつあるが,インフラの未整備によって伝統は保持されている。
著者
野中 健一 ノナカ ケンイチ
出版者
立教大学史学会
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.91-95, 2008-03
著者
安武 凌 野中 健一 岩井 将行
出版者
Webインテリジェンスとインタラクション研究会
雑誌
Webインテリジェンスとインタラクション研究会 予稿集 第16回研究会 (ISSN:27582922)
巻号頁・発行日
pp.38-41, 2020 (Released:2022-11-07)
参考文献数
10

電子書籍の利用者は増加傾向であるが,読書離れが上昇傾向となっている.電子図書館と呼ばれる青空文庫は,年間アクセス数が1000万件弱,作品数は1万4000件以上あるにも関わらず,作品ページに作品の内容に関する記載が一切ない.そのため,利用者はどのようなジャンルなのか,どのような内容なのかを読むまで把握できず,読書離れを促進してしまうといった問題がある.そこで我々は,小説文章を基にした自動要約システムを開発することで,自動要約された文章を利用者が読み,作品に対する興味を抱かせ,読書離れを抑えることを目的とする.事前調査として代表文抽出手法が小説作品の自動要約として有用であるかを調査し,その考察と今後の展望について述べる.
著者
佐賀 達矢 野中 健一 VAN ITTERBEECK Joost
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.62, 2022 (Released:2022-03-28)

1. はじめに 国連食糧農業機関(FAO)が、昆虫類を食品や飼料としての利活用に関する論文(van Huis et al. 2013) を出版して以来、世界各地で昆虫の利用が広がっている。日本では、これまで食文化になかった種類の昆虫食が広っており、大手生活雑貨店でコオロギせんべいが、自動販売機では乾燥させた様々な昆虫が販売されたりしている。これに対して、岐阜県東濃地方の蜂の子やイナゴを食べる伝統的な昆虫食は長年の人間と環境の相互作用によって作り上げられてきた文化である(野中2005)。これらは、高校生の地域文化資源・環境の継承の題材にもなっている(Nonaka & Yanagihara 2020)。筆者らは、伝統的な昆虫食文化を理解することは食料問題や環境問題の本質的な理解につながると考え、高校生を対象に昆虫食の試食を伴う講演会を行った。本研究は高校生の昆虫食の経験や捉え方、昆虫食文化の講演会の効果を明らかにすることを目的とした。 2. 研究手法 本研究では、2018と2019年に昆虫食文化が現在も残る岐阜県東濃地域にある多治見高校で、2021年には地域内に昆虫食文化がほとんどない岐阜高校で試食を伴った希望者向けの講演会を行なった。参加者数は多治見高校で2018年に69名、2019年に15名、岐阜高校では42名だった。私たちは、高校生の昆虫食の経験や捉え方、講演会の効果について、講演会前後にアンケートと感想文を書かせ、それらをもとに分析・考察した。 3. 結果と考察 現在も昆虫食文化が残る東濃地域にある多治見高校の方が、そうでない岐阜地域の岐阜高校よりも昆虫食の経験がある生徒が多いことが予想されたが、岐阜高校の方が多治見高校よりも昆虫食の経験がある生徒の割合が多かった。また、虫を食べることに対する講演会前の考えを尋ねた結果、多治見高校の方が岐阜高校よりも抵抗感があると答えた生徒が有意に多かった。これらの結果から、昆虫食文化は多治見市周辺の高校生には浸透していないことが考えられ、また、昆虫食に拒否感をもっている生徒が多いことは特筆すべきことである。 多治見高校でも岐阜高校でも、講演会前には抵抗感を示した多くの生徒を含めて、ほとんどの生徒が実際に虫を食べた後では虫を食べることを好意的に捉えた。また、アンケートの回答や感想文には、実際に虫を食べることで昆虫は美味しいから食べられてきたことが実感できた、食材として認識した、など肯定的な記述が多く見られた。これは単純に昆虫を食べるだけでなく、食材を捕りに行くこと、調理すること、食べることが楽しいから、美味しいから虫を食べるということを、捕獲から食用までのプロセスとそれを成り立たせる社会文化として映像とともに言語化して伝えることで、虫を食べることは食文化の一つであることを生徒が理解できた結果だと考えられる。試食を伴う伝統的な昆虫食に関する講演会は、昆虫食を文化と捉え、好意的な見方にする効果があることがわかった。 高校の地理総合の“気候と生活文化”や、生物の“生態学”の単元では、授業を行う地域を含めた各地の伝統的な昆虫食文化を取り上げることで、高校生が自らの生活の延長線上での豊かな食や暮らしを考えることや、自然と関わって生きる視点を身につける授業展開が可能であろう。この考え方や視点は近年様々な場面で目にするSDGsや持続可能な発展を捉え直したり、批判的に考えたりする基盤となる力になると考えられる。
著者
野中 健一
出版者
海上保安大学校
雑誌
海保大研究報告. 法文学系 (ISSN:04530993)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.113-142, 2017

序 問題意識と方法論一 「竹島の日」制定に対する海洋水産部の措置二 政府主導の第一次、第二次竹島総合調査三 竹島の持続可能な利用に関する法律結
著者
野中 健一
出版者
海上保安大学校
雑誌
海保大研究報告. 法文学系 (ISSN:04530993)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.49-78, 2015

序 問題意識と方法論 (1)問題意識 (2)方法論一 国連海洋法条約と新・日韓漁業協定‐竹島は事実上、「岩」 (1)国連海洋法条約批准前後の条約解釈 (2)新・日韓漁業協定と条約解釈 (3)漁業協定批准、維持の為の対議会説得工作 (4)「竹島の日」の制定を受けて二 海上保安庁による竹島近海調査企図(本稿後編‐その2‐で執筆)結(本稿後編‐その2‐で執筆)
著者
野中 健一 新井 綾香
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本研究は,ベトナム北部山岳地域に居住するタイ族,ザオ族の1年間の食事内容の記録の分析,また両民族への栄養摂取源に関する聞き取り調査を報告し,ベトナムの少数民族における動物性食物,植物性食物の摂取状況,貧困層と非貧困層の食物摂取の相違等を総合的に考察する. <br> 政府は農村においては月額400,000VND(約20ドル)以下の世帯を貧困層と位置付けており,ベトナムでは貧困層の70%を少数民族が占めるといわれており,その栄養改善が指向されている.少数民族の栄養改善は政府の政策の中でも最優先分野となっている。<br>調査の対象はイェンバイ省バンチャン郡の2コミューン(村)(ソンルアン/タイ族・ナムライン/ザオ族)であり,ハノイから北西部の山岳地帯に位置している.<br> 調査はソンルアン村にて90世帯(全体の13.0%),ナムライン村にて70世帯(全体の9.8%)を対象に実施した. 調査では各世帯が1日に食した食物(農産物及び非林野副産物)を種類別(肉魚類,昆虫類,穀類,野菜・果物類)に全て記録してもらい,1年間に食した頻度を記録する作業を行った.また,頻度の調査に加え,タイ族,ザオ族双方を対象としてフォーカルグループディスカッションを2度行い,年代における食事の変化や,特定の食物の種類など,日誌調査法や頻度の分析では得ることができない追加情報を得た.<br>調査の結果,動物性食物の摂取においては貧困層と非貧困層でその摂取状況に大きな差が出た.ザオ族の動物性食物摂取のうち,貧困層及び非貧困層の自然資源と農産物の比はそれぞれ29%・71%,16%・84%であり,動物性食物に関しては貧しければ貧しい程自然資源に栄養源を頼っていることが分かった.一方,植物性食物の摂取は貧困層,非貧困層に関わらず自然資源への依存度が非常に高い(41%~45%)結果となった.経済状況に関わらず,多くの野生副産物が食事に組み込まれており,微量栄養素の摂取源になっていることが示唆された. <br> さらに,①自然資源摂取状況,②植物性食物と動物性食物の摂取状況,③たんぱく源となる食物選択,④微量栄養素となる食物選択,⑤各食物の季節性の変化,⑥個人差の比較について分析と考察を進めていきたい。<br>
著者
常盤 俊之 広瀬 大 野中 健一
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.111-117, 2021-11-01 (Released:2021-12-28)
参考文献数
37

日本産イグチ類子実体に寄生するSepedonium属菌を調査した結果,日本新産種であるS. chalciporiとS. laevigatumを発見した.S. chalciporiはコショウイグチを寄主とし,輪生状に発達したフィアライドと表面構造が樽状の疣状突起となる厚壁胞子が特徴的である.また,S. laevigatumは,顕著に長いフィアライドと表面構造が緻密な結節状の厚壁胞子により特徴づけられる.
著者
野中 健一
出版者
総合地球環境学研究所 研究プロジェクト4-2
雑誌
2003年度 生態史プロジェクト報告書
巻号頁・発行日
pp.241-244, 2004-06-30

この研究は,ラオスの昆虫食を,人間の開発や生業に付随してできる環境利用として位置づけ,平地の多様な自然資源を生かす慣行として明らかにする。とくに,旬やおいしさへのこだわりに注目する。
著者
野中 健一
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-70, 2015 (Released:2016-03-29)
参考文献数
7
著者
野中 健一
出版者
海上保安大学校
雑誌
海保大研究報告. 法文学系 (ISSN:04530993)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.89-123, 2014

序 問題意識と意義一、領海法‐議論の前提二、済州海峡事態‐敵性国/危害船舶への対応方針公表と南北海運合意書(1)北朝鮮商船による韓国領海通過‐済州海峡事態(2)「南北海運合意書」と「北朝鮮商船に対する監視活動の実態」三、北朝鮮商船への立入検査対応策‐PSIと特攻隊強化(1)立入検査班(特攻隊)強化の必要性(2)補論‐特攻隊に関する説明四、天安艦沈没への対応策結