著者
渡部 浩伸 菅野 秀貴
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.967-978, 1998-08-20
被引用文献数
1 11

(はじめに)抗腫瘍剤であるシスプラチン(以下CDDP)は,腎障害,聴器障害,血液毒性などの副作用を有しているが,これらの副作用には,フリーラジカルや脂質過酸化反応の関与が示唆されている.メシル酸デフェロキサミン(以下DFO)は,鉄排泄剤であり,最近になリフリーラジカルスカベンジャー作用のあることが注目されている.したがって,DFOはフリーラジカルの発生が関与されていると考えられているCDDPの副作用に対し軽減効果が期待されることから,ラットを使用し,CDDPの聴器障害に対するDFCの軽減効果の有無,さらに腎障害に対する軽減効果,CDDPの抗腫瘍効果に対するUFOの影響について検討した.<br>(方法)Fisher系雄ラットを,I群)コントロール群,II群)DFO単独群,III群)CDDP単独群,IV群)CDDP•DFO併用群の4群(各群n=10)に分けて使用した.CAP閾値を測定した後,蝸牛有毛細胞障害の状態を走査電顕を用いて観察した.また,血中尿素窒素(以下BCN),血中クレアチニン(以下Cr)を測定した.抗腫瘍効果については,扁平上皮癌担癌ラットを用いて腫瘍体積の増大率より検討した.<br>(結果)聴器障害について,CDDP•DFO併用群はCDDP単独群と比較し,CAP閾値の上昇および蝸牛外有毛細胞の障害程度は明らかに軽度であり,DFOはCDDPによる聴器障害を有意に軽減した.BUN.Crについては,CDDP•DFO併用群は,CDDP単独群よりも上昇程度は軽度であり,腎障害についても軽減効里が認められた.抗腫瘍効果に関しては,CDDP•DFO併用群とCDDP単独群間には有意差はなかつた.<br>(結論)今回の実験において,DFOの併用はCDDPの抗腫瘍効果に影響を及ぼさず,CDDPの聴器障害,腎障害に対して軽減作用を有していることを明らかにた.したがって,CDDPの副作用を軽減する上でDFOは有用な薬物であり,今後その臨床応用が期待される.
著者
三宅 弘
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.876-883, 1969

咽喉頭部異常感を有する女性患者では, その異常感が更年期障害によるか否かを明らかにするため先づ996名の患者の統計的観察を行なつた. その結果は, 更年期ばかりでなく, 更に若年の, 30才以後の女性にも異常感患者が多いことを知り, またmenopauseを過ぎた患者について異常感の発生とmenopauseが一致したかどうかを調べて僅か15%のものに一致を認めた. しかしその中には単なる偶然の一致によるものも含まれているであろうから, 咽喉頭異常感と更年期とは余り関係が無さそうと先づ考えた.<BR>そこで次に咽喉頭異常感患者の尿中のestrogen, pregnanediol, gonadotropinの量を測定して, 更年期との関係の有無を確実にしようとした. そしてその測定結果に見出された特徴の一つには尿中のgonadotropinの低下があつた. この現象は更年期のホルモン異常とは全く相反する現象であるので, 咽喉頭異常感は更年期とほとんど関係がないだろうと判断した.<BR>而してこのgonadotropinの低下は咽喉頭異常感の原因となりうるものと考える. 何故ならば, 一般的に立つて, ホルモン異常は多くの臨床的症状を呈するのが普通であり, 同時にpsychoneurosisやvegetative Stigmataを伴うものであるから. 而してこのgonadotrpin量の低下の原因としては, estrogenの濃度の上昇や, 視床下部のneurosecreetionの異常や, 下垂体前葉機能障害が考えられるが, emotionが形成されるlimbic syatemからの影響も見逃すことは出来ない.<BR>以上の諸成績から私は結論的に, 咽喉頭異常感は更年期とは直接関係がないが, 尿中ホルモンに異常があることから, 咽喉頭部異常感の治療には, 局所的治療, 自律神経系に対する治療や, tranquilizerなどのほか, ホルモン療法も必要だと主張した.
著者
村田 潤子 土井 勝美 小畠 秀浩 北原 糺 近藤 千雅 奥村 新一 久保 武
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.605-612, 1999-05-20
被引用文献数
3 1

真珠腫性中耳炎の手術時に内耳に瘻孔が形成されていた症例についてその臨像を検討し, 特に瘻孔の位置や進展度と術前・術後の骨導聴力との相関について調べることを目的とした. 対象としては大阪労災病院耳鼻咽喉科, 大阪大学医学部耳鼻咽喉科, および関連各施設耳鼻咽喉科で平成4年から平成8年の間に初回手術を施行した症例のうち, 骨迷路にびらんまたは骨欠損がみられた症例を選び, 瘻孔の進展度にはDornhofferとMilewski<SUP>1) </SUP>の分類に準じてI, IIa, IIb, IIIの4段階に分類した. 内耳瘻孔症例としては, 進展度IIa以上の24症例24耳を対象とした. このうち半規管, 前庭にのみ瘻孔を有したのは21症例であった. 蝸牛に瘻孔を有したのは残りの3例で, すべて蝸牛に単独に瘻孔があり, 進展度はIIIであった. 軸位断での術前CT診断を施行していたのは14症例で, 内耳瘻孔についての陽性率は71.5% (10症例) であった. 術前骨導聴力は蝸牛に瘻孔を有した症例が, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例よりも悪かったが, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度による大きな差異はみられなかった. 全例に鼓室形成術を施行した. 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度IIaの症例13例中で術後骨導聴力低下と判定されたのは2例 (15%) で, 進展度IIb以上の症例8例では, 3例 (38%) であった. このように, 進展度IIaの症例に比べてIIb以上の症例で術後に骨導聴力の悪化が起こりやすい傾向がみられた.
著者
堀 弘樹 菅野 秀貴
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.102-8-102-18, 1999-01-20
被引用文献数
2 1

Lazaroidは脂質過酸化反応を抑制し, 活性酸素を消去する作用をもつfree radical scavengerである. ラットを用いて, CDDPの聴器障害および腎障害に対するLazaroidの軽減効果の有無を検討し, さらにCDDPの抗腫瘍効果に対するLazaroidの影響について検討した. CDDP, Lazaroid併用群のCAP閾値上昇はCDDP単独群と比較して有意に軽度であり, 外有毛細胞の障害の程度も明らかに軽度であった. 一方, 両群間の血清BUN値に有意差は認められず, 腎の病理組織学的所見にもほとんど差異はなかった. TGRを指標とした検討で, 両群の間にはCDDPの抗腫瘍効果に差は認められなかった. これらの結果より, LazaroidはCDDPの腎障害に対する軽減効果はないが聴器障害を著明に軽減すること, Lazaroidの併用がCDDPの抗腫瘍効果には影響を及ぼさないことが示唆された.
著者
有方 雅彦 瀬野 悟史 鈴木 幹男 櫻井 弘徳 戸嶋 一郎 清水 猛史
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.8, pp.649-654, 2006-08-20
被引用文献数
1

2003年3月から2005年2月の間に鼻出血を主訴に外来受診した202例中,入院加療を必要とした17例を対象とし,性別,年齢,入院期間,治療方法,基礎疾患,手術療法(内視鏡下血管クリッピング)について検討を行った.入院加療を行った17例は,男性12例,女性5例,平均年齢62歳で,全17例の平均入院期間は7.9日であった.治療方法は,鼻内タンポンの挿入による保存的治療が8例,手術6例,粘膜焼灼2例,血漿交換1例であった.基礎疾患では,保存的治療8例中,高血圧が6例,抗凝固剤内服が1例,手術6例中,高血圧が4例,抗凝固剤内服が2例であった.血漿交換を行った1例はマクログロブリン血症の患者であった.手術を行った6例は鼻内視鏡下顎動脈•蝶口蓋動脈クリッピングを行い,現在まで全例再出血は認めていない.鼻内視鏡下血管クリッピングの利点は,従来のLucの術式に準じた顎動脈結紮法より侵襲が少なく,また動脈塞栓術で合併する可能性がある脳塞栓などを起こさないことなどが挙げられる.鼻内視鏡下血管クリッピングの合併症には,鼻内痂皮,急性副鼻腔炎,流涙減少,歯•口蓋•上唇のしびれ,鼻中隔穿孔,下鼻甲介壊死などが報告されているが,今回施行した6症例ではこうした合併症は認められなかった.
著者
有方 雅彦 瀬野 悟史 鈴木 幹男 櫻井 弘徳 戸嶋 一郎 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.8, pp.649-654, 2006-08-20 (Released:2008-12-25)
参考文献数
13

2003年3月から2005年2月の間に鼻出血を主訴に外来受診した202例中,入院加療を必要とした17例を対象とし,性別,年齢,入院期間,治療方法,基礎疾患,手術療法(内視鏡下血管クリッピング)について検討を行った.入院加療を行った17例は,男性12例,女性5例,平均年齢62歳で,全17例の平均入院期間は7.9日であった.治療方法は,鼻内タンポンの挿入による保存的治療が8例,手術6例,粘膜焼灼2例,血漿交換1例であった.基礎疾患では,保存的治療8例中,高血圧が6例,抗凝固剤内服が1例,手術6例中,高血圧が4例,抗凝固剤内服が2例であった.血漿交換を行った1例はマクログロブリン血症の患者であった.手術を行った6例は鼻内視鏡下顎動脈•蝶口蓋動脈クリッピングを行い,現在まで全例再出血は認めていない.鼻内視鏡下血管クリッピングの利点は,従来のLucの術式に準じた顎動脈結紮法より侵襲が少なく,また動脈塞栓術で合併する可能性がある脳塞栓などを起こさないことなどが挙げられる.鼻内視鏡下血管クリッピングの合併症には,鼻内痂皮,急性副鼻腔炎,流涙減少,歯•口蓋•上唇のしびれ,鼻中隔穿孔,下鼻甲介壊死などが報告されているが,今回施行した6症例ではこうした合併症は認められなかった.
著者
宇野 敦彦 森脇 計博 加藤 崇 長井 美樹 坂田 義治
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.9-16, 2001-01-20
被引用文献数
9 20

良性発作性頭位めまい症 (BPPV) の病態についての考え方は最近, 急速に整理されてきた. 従来からの回旋の強い眼振の誘発されるタイプは後半規管が主たる病巣と考えられ (P-BPPV), 側臥位で水平成分の強い眼振の誘発されるタイプは水平半規管が主たる病巣と考えられている (H-BPPV). このような考えに従って, 1999年度の1年間に当科で経験したBPPV症例についての現状を報告した.<BR>めまいを主訴とした新患患者619例のうち, 誘発される眼振所見からBPPVと診断されたものが23%, 眼振所見はなかったが問診から疑い診断したものを含めると43%を占めた. 疾患別に最も頻度が高く, めまい患者にしめるBPPVの割合はこれまでの報告と比べても非常に高い. 診断の問題と当院の特性が考えられる. H-BPPVもまれでなく, 眼振所見からBPPVと診断された143例の内, P-BPPVが65%, H-BPPVが31%であった. 検討期間中にP-BPPVとH-BPPVの両方を見た例も4%あった. H-BPPVの中では方向交代性向地性眼振の見られた例が73%, 方向交代性背地性眼振が27%であった. P-BPPVとH-BPPVの差を見ると, H-BPPVの方が早く寛解する率が高く, 頭部外傷後に起きる例ではP-BPPVの方が多い. 性差や年齢分布には大差なく, それぞれが移行する例や, 同じ患者に日をおいて異なったタイプが再発する例があり, 病因の本質的な差はないように思われる. 本検討では誘発される眼振を重視して, 診断と経過について検討した. 回転性めまいの後に続く動揺感については今後の課題である.
著者
久保田 彰 古川 まどか 小松 正規 花村 英明 杉山 正人
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.149-156, 2006-03-20
被引用文献数
2 4

化学放射線同時併用療法(CDDP/5-FU)後のadjuvant chemotherapyの有用性を検討した.対象は前治療のない根治切除可能な頭頸部扁平上皮癌の41例で,病期はIIIが9例,IVが32例で,下咽頭が14例,喉頭が12例,口腔が9例,中咽頭が6例であった.放射線終了1ヵ月後から外来でUFTE顆粒を400mg/日の連日内服とNedaplatinを80mg/m<sup>2</sup>の点滴を4週ごとに6コースを計画した27例をadjuvant群とし,adjuvant chemotherapyを希望しなかった14例を対照群として生存率,progression free survival (PFS)率をWilcoxon法で検定した.Adjuvant群の投与回数の中央値は6コース(1-6コース)でgrade3の毒性は白血球減少を15.4%,血小板減少を7.7%に認めた.1例が胃潰瘍で死亡した.生存期間の平均はadjuvant群が30.1月(5.5-50.1月),対照群は21.7月(6.6-48.3)で,PFSの平均はadjuvant群が22.8月(3.6-50.1月),対照群は16.3月(4.0-48.8月)であった.2年生存率はadjuvant群が73.7%,対照群が55.7%で,2年PFS率はadjuvant群が66.9%と対照群の27.8%より有意に良好であった(p=0.03290).特に同時併用の奏効度がPRではadjuvant群の2年PFS率は59.3%と対照群の15.6%より良好であった(p=0.01102).局所•頸部リンパ節再発はadjuvant群が29.6%と対照群の64.3%より低い傾向であった(p=0.0716).両群とも遠隔転移はなかった.臓器温存率はadjuvant群が66.7%と対照群の35.7%より高かった(p=0.1183).化学放射線同時併用療法後のadjuvant chemotherapyは局所再発率を減少することが示唆された.
著者
池上 彰博
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.886-898, 1983
被引用文献数
4

The aim of this study is to investigate characters of body sway in normal subjects of different ages and in ataxic patients, who were standing for one minute in Romberg's posture. Both mean values and standard deviations of each amplitude and each velocity of movement of the center of gravity (CG movement) were calculated by using a signal processor (7T08-Sanei). The frequency distributions were also displayed by the same way in each test subject.<br>Frequency distribution curves of the amplitude or the velocity of CG movemcnt were usuallyclose to the normal distribution. Peak values of the frequency distributions were usually highand their standard deviations were small in normal subjects, whose standing posture lookedstable. However, peak values were low and their standard deviations were large in normalolder subjects or in ataxic patients, whose standing showed more unstable. That is the reasonwhy the standard deviations of both the amplitude and the velocity of CG movement are important variants to evaluate standing ability in test subjects.<br>Eighty eight normal subjects (60 males and 28 females, 20 to 73 years old) and twenty three abnormal ataxic patients were examined in this study. The pathological cases were classified into three groups, such as the group of the peripheral vestibuar disease in the acute stage, the group of Meniere's disease in the chronic stage and the group of the central nervous system disturbance.<br>The standard deviations of the velocity of CG movement in the anteroposterior direction were smaller in the younger normal subjects than in the elder ones. Therefore, this variant may be considered to be one of those which are influenced by aging.<br>A discreminant analysis was carried out to differenciate the above mentioned three groups and the normal group. The group of the peripheral vestibular disease in the acute stage was discreminated from the normal except two cases (P<0.05). The group of the central nervous system disturbance was satisfactory discreminated from the other three groups (P<0.01). However, it was failed to discreminate the group of Meniere's disease in the chronic stage from the normal.
著者
寺山 吉彦 滝沢 昌彦 後藤田 裕之 須藤 敏 柏村 正明
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.28-33, 2003-01-20
被引用文献数
16 12

(目的)ブロー液は19世紀の医師Burowの考案した点耳液である.Thorpらは1998年以来,13%酢酸アルミニウムのブロー液原液の点耳により慢性化膿性穿孔性中耳炎に81%に著効を示したと報告した.そこで慢性中耳炎とその他の外耳道中耳の化膿性疾患に対するブロー液の効果を2001年2月から1年間調べた.(対象)年齢35-79歳,男10耳女15耳計25耳,これまでの罹患年月は2週-約20年,平均3.78年であった.疾患は中耳炎手術術後症11耳,慢性外耳道炎,湿疹7耳,外耳道真菌症7耳,慢性穿孔性中耳炎6耳,慢性肉芽性鼓膜炎2耳.(方法)1日1回10分間耳浴またはブロー液に浸した綿球を当てた.効果判定は治癒,有効,不変に分類.(結果)術後症は8/11耳(72.7%)が治癒,有効3耳,不変0耳,慢性外耳道炎湿疹の7耳全例が治癒,外耳道真菌症の7耳全例治癒,慢性穿孔性中耳炎は4/6耳(66.6%)治癒,有効,不変が各1耳,慢性肉芽性鼓膜炎の2耳が治癒し,全25耳では20耳80%が治癒し有効4耳,不変1耳であった.施行前後の聴検で耳毒性は認められなかった.粘稠性粘液,真珠腫,残存蜂巣の分泌には無効,副作用は稀にある疼痛と一過性の水様性分泌増加である.殺菌作用は菌種を選ばないと思われる.効果発現は1-2回,3日-3週と極めて早い.作用機転は濃度が濃いためと思われた.(結論)ブロー液は点耳薬として重大な副作用も<br>なく,極めて有効であることが判明した.