1 0 0 0 OA CEA手術の麻酔

著者
中川 五男
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.387-394, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
13

頸動脈内膜剥離術 (CEA) の麻酔は術中・術後管理のみならず, 個々の患者が抱える術前の病態を把握しておくことが麻酔科医にとって重要である. 今回はわれわれが行っているモニタリングを中心に本疾患の病態を評価し, CEA手術の麻酔をいかに行うかを検討した. CEA適応症例では循環器系合併症が多く, とくに両側狭窄例では虚血性心疾患の合併率が高かった. 術前より脳血管反応性が著しく低下している症例があり, このような例では術後hyperperfusion syndromeを発生する危険性が高く, 綿密な循環管理が必要となる. 脳虚血に対する術中モニタリングとしてわれわれはSEP, stump pressure, 近赤外分光法 (NIR) , TCD, 内頸静脈血酸素飽和度 (SjvO2) などを使用している. これらのモニタリングはそれぞれが何を反映するかが異なり, またその有用性にも差があるため, 単一のモニタリングでは適切な脳虚血の評価が困難なことがあり, すべての結果を総合的に検討し病態を評価すべきである.
著者
萬家 俊博
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.665-670, 2006 (Released:2006-12-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

最近, 地球環境に及ぼす悪影響や種々の副作用を理由に亜酸化窒素 (笑気) が使用されなくなる傾向にある. プロポフォールとフェンタニルによる全静脈麻酔や酸素・空気・セボフルラン吸入とフェンタニルを併用した方法によって麻酔が成立し, 管理になんら困難を感じないことが多い. しかし, 鎮痛作用を有する亜酸化窒素を併用すれば, セボフルランの維持濃度やフェンタニルの投与量を減らしても安定した血行動態を維持できる. また, 亜酸化窒素は術中覚醒の予防に有用といわれている. 余剰麻酔ガスの分解処理対策を行い, その欠点や副作用を考慮して対象症例を限定すれば, 亜酸化窒素は手術室における全身麻酔にも有用な麻酔薬としてまだ存在する余地はあると考える.
著者
宜野座 到 林 美鈴 垣花 学
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.539-543, 2021

<p>ロボット麻酔システムDogenは,脳波モニタと筋弛緩モニタの情報からプロポフォールとレミフェンタニル,ロクロニウムを自動投与する麻酔維持システムである.今回の臨床治験でロボット麻酔システムの有効性と安全性を検証した.当院では6症例を担当しおおむね安定した麻酔管理を行うことができた.その中で,エフェドリンの中枢神経に対する間接作用がBIS値に影響しロボット麻酔システムが必要以上に鎮痛薬を増量させた可能性のある症例を経験した.ロボット麻酔システムはヒューマンエラーのリスク軽減や麻酔科医の生産性向上などに寄与する可能性がある一方で,使用に際しては十分な麻酔科学的知識が不可欠であると考えられた.</p>
著者
佐野 文昭 仙頭 佳起 平手 博之 祖父江 和哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.504-510, 2018

<p>血液弾性粘稠度検査は,ベッドサイドでほぼリアルタイムに血液凝固機能を評価できる.血液弾性粘稠度検査を用いることで,心臓外科手術や肝移植手術において輸血量を減少させることが知られている.濃縮フィブリノゲン製剤は,本邦では後天的低フィブリノゲン血症には適応がないが,文献では濃縮フィブリノゲン製剤の使用で血液製剤の使用量低下,治療コスト削減,予後改善が報告されている.当院では倫理委員会の認可のもと,大量出血時の低フィブリノゲン血症に対し濃縮フィブリノゲン製剤を使用し,一定の成果を得ている.本稿では自験例を含め,周術期の凝固系管理を考える.</p>
著者
加藤 孝澄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.822-827, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

筋弛緩薬の開発の歴史は, 脱分極性筋弛緩薬スキサメトニウム並みの速い作用発現を実現できる副作用の少ない非脱分極性筋弛緩薬の開発の歴史である. 近年, 本邦でも臨床使用が可能になったロクロニウムは, 投与の工夫でスキサメトニウムに迫る速い作用発現が得られるアミノステロイド構造をもつ非脱分極性筋弛緩薬である. 作用持続時間はスキサメトニウムほど短くないが, 同じ非脱分極性筋弛緩薬ベクロニウムと同程度で, ベクロニウムに慣れている麻酔科医にも違和感なく使用できる薬物である. さらに中間代謝産物が筋弛緩作用を有さず持続静注にも適している点でベクロニウムより優れている.
著者
鳥飼 宏之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.460-466, 2019-07-15 (Released:2019-08-01)
参考文献数
3

手術室火災に対して病院内に消防法で設置が義務づけられているABC消火器を用いた場合,たとえ初期消火に成功したとしても,消火器から放出された微細な消火剤粉末が手術室全体に飛散し,ほとんどの医療機器が汚損する.その機器の汚損回避のためには,二酸化炭素消火器の利用が有効となるが,義務設置として導入することは難しい.ただし,消防法令に則って義務設置とされた消火設備等が適正に配置されている病院に対しては,自主設置として二酸化炭素消火器を導入することは可能である.二酸化炭素消火器を自主的に導入する場合,所轄消防に相談するとともに,使用者は消防訓練等を通してその操作法や危険性について理解することが大切となる.
著者
御村 光子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.247-251, 2008 (Released:2008-04-16)
参考文献数
2
被引用文献数
2 2

今回のパネルディスカッションはこれまでと異なり, 麻酔科領域の仕事に 「女性であることが逆に有利ではないか」 という視点で企画された. 事前の調査では麻酔科関連の仕事に女性が 「向いている」 との意見が優勢であった. 現状では女性の方が育児・介護等を通じて社会とのかかわりが強く, これらの生活上の経験がインフォームドコンセント, 小児麻酔, 緩和医療に生かされる. また, 患者としての経験が臨床麻酔上, 一層の力となりうる. 麻酔科関連の仕事が真に両性にとって働きやすい領域であるために解決すべき問題も多いが, 女性医師を取り巻く環境は必ずしもハンディキャップとなるものではない.
著者
芝 順太郎 佐藤 正章 原 鉄人 平岡 希生 竹内 護
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.160-165, 2021-03-15 (Released:2021-04-22)
参考文献数
6

メンター制度の初期研修医への教育効果に関する報告は少ない.われわれは初期研修医教育として振り返りカンファレンス(DC;Debriefing Conference)を導入している.DCは初期臨床研修医が自ら振り返りたいと考えた症例を提示し,ファシリテーター役の上級医数名と初期研修医で行った.DCの内容は麻酔管理上の問題点および臨床能力の向上に必要なスキルに分類した.またDCからコミュニケーションに起因する事象が初期研修医にとって問題であることがわかった.コミュニケーションを促進する改善策としてメンター制度を導入し,メンター制度がDCに及ぼす影響を検討した.メンター制度の導入によってDCにおいて疼痛管理とコミュニケーションに関する報告は皆無になった.
著者
和藤 幸弘
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.692-698, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
6

1995年の阪神・淡路大震災以降,災害医療体制の整備が進められてきたが,2002年の「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」制定を契機に内閣府,厚生労働省によって2005年から広域医療搬送計画と日本DMATの整備拡大が加速度的に推進されている.日本DMATは災害急性期に活動するチームで,2011年の東日本大震災でも全国すべての都道府県から383チームが東北の被災地域で医療活動を行い,広域医療搬送も実施された.この大災害で大規模な日本DMATの活動が稼働することが証明され,2014年現在1,150チーム(586医療機関)が登録しており,さらに拡大が図られている.一方で急性期の医療活動以外の問題点が広く認識された.本稿では広域医療搬送計画と日本DMATについて,また現在の災害医療の問題点について解説する.
著者
北村 咲子 武智 健一 安平 あゆみ 藤岡 志帆 浪口 孝治 萬家 俊博
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.743-747, 2017-11-15 (Released:2018-01-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALRP)では,気腹と急峻な頭低位を要するため術中に眼圧が上昇する.このため,緑内障患者に対するRALRP適応の可否には議論がある.当院では緑内障患者でも,眼科医の術前診察により初期緑内障と診断されればRALRPを適応している.今回5例の緑内障併存RALRP症例に対し,麻酔中の眼圧を測定したところ非緑内障患者と術中の眼圧変化に差はなく,術後明らかな視機能障害を認めなかった.緑内障併存患者のRALRP症例の周術期管理に関し報告する.
著者
黒木 雅大 岡田 真行 鈴木 博人 川前 金幸
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.127-133, 2021

<p>超緊急帝王切開では母体の安全を確保しつつ,迅速な児娩出を目指す.そのために当院では超緊急帝王切開に対し多職種共通のプロトコールを作成し,手術決定から児娩出まで(Decision-to-Delivery Interval:DDI)の短縮を目指した.今回,この共通プロトコール運用の前後において,DDIとその内訳を検討した.共通プロトコールの運用後でDDIは有意に短縮し,特に手術室入室から気管挿管までが有意に短縮された.超緊急帝王切開において共通プロトコールの運用はDDIの短縮に有用であり,それには麻酔科医の行動が大きく関与している可能性が示唆された.</p>
著者
藤野 能久 北村 恵津子 榊 孝之 野坂 修一 天方 義邦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.134-139, 1995

AVM破裂による脳内出血・脳室穿破から脳圧亢進症状を呈している妊娠32週妊婦に対する血腫除去術と帝王切開術の麻酔を経験した。<br>症例は28歳,女性,妊娠32週。突然の頭痛と嘔吐,引き続く意識消失と痙攣発作により,CT上,右脳内出血・脳室穿破と診断された。その後の血管造影で右側頭葉AVMと診断され,緊急開頭・血腫除去術が行なわれた。血腫除去術中から子宮収縮が認められたため,引き続き全身麻酔下に帝王切開術を施行した。妊娠中の脳神経外科の緊急手術と引き続き帝王切開術を施行する場合の麻酔管理について文献的考察を加えて報告した。
著者
小坂 義弘
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.293-300, 2020-05-15 (Released:2020-06-26)
参考文献数
8

今日まで順調な発展を遂げてきた硬膜外麻酔において,最近は合併症が多く,医療事故も麻酔科関係の半数を占めている.全国の大学病院麻酔科にアンケート調査をしたところ,硬膜外腔の確認を確実にできるhanging drop法のできる金属針が放逐され,hanging drop法のできないディスポーザブル針に変わり,硬膜外腔の確認法が硬膜誤穿刺等の危険のあるloss of resistance法になっていた.このため研修医に硬膜外腔穿刺をさせない大学が1/3もあり,硬膜外麻酔が危機にさらされている.現代では硬膜外麻酔は必須の鎮痛・麻酔法であり,その進歩を粗雑な針で後退させてはいけない.合併症の原因が,医師の技量よりも針に問題があるのなら,安全・確実にhanging drop法のできる良いディスポーザブル針を作る以外に良策はない.
著者
鳥越 和憲 秋岡 健一郎 住谷 泰 清水 信貴 小林 裕子 白鳥 倫治
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.101-106, 2000-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
21

プロポフォール麻酔中に低濃度のセボフルランを使用することによって,夢や健忘の出現に変化があるかを検討するために,ASA Iの耳鼻科患者60名を無作為に,プロポフォール+亜酸化窒素(PN)群,セボフルラン+亜酸化窒素(SN)群及びプロポフオール+亜酸化窒素+30分間低濃度セボフルランを30分間隔で投与した(PNs)群の3群(各20例)に分けて比較した.夢の想起率は,PN群で55%,SN群で10%と後者で有意の減少があった.PNs群は45%で,PN群より減少傾向を示した.翌日の健忘については,色に関する回答において,PNs群は他の2群に比べ有意に健忘が増加した.手術室での出来事や覚醒後の出来事についての調査では,PNs群は他の2群に比べ有意に健忘が増加した.プロポフォール+亜酸化窒素麻酔中,低濃度のセボフルランを間歇的に併用すると,夢は減少し健忘は増加して,麻酔の「覚醒の質」の向上を得られることが示唆された.
著者
市川 順子 笠原 彩 西山 圭子 小高 光晴 小森 万希子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.381-386, 2019

<p>過去3年間の血液製剤使用拒否患者を対象とした手術について準備書面,手術・麻酔状況などを調査した.緊急手術の1名を除き,8名全員から術前に本人による輸血拒否と免責に関する証明書が提出された.術前の予測出血量は少量から500mLであり,7名がアルブミン製剤投与,2名が回収式自己血輸血施行を承認していた.術中の出血量は少量から350mLであり,血液製剤を投与された者はおらず,予測出血量が少ないため術中に出血対策を施行された者もいなかった.相対的無輸血という対応指針のもと,予測出血量が少ない症例に限り絶対的無輸血治療方針で対応していた.回収式自己血輸血や血液製剤使用など同意範囲の拡大に努める必要がある.</p>
著者
村川 徳昭 橋本 浩 大嶋 重則 豊田 幹夫 松木 明知 尾山 力
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.291-294, 1986

フルニトラゼパム+ブプレノルフィンによるNLA変法の副腎皮質機能に及ぼす影響について, 16~74歳の男女30人を対象とし, 開腹術群12人と非開腹術群18人の2群に分けて各々血漿コルチゾール濃度を指標として検討した. チオペンタール, サクシニルコリンで麻酔導入後, フルニトラゼパム20&mu;g/kg, ブプレノルフィン3&mu;g/kgを静注し, 70%笑気と30%酸素にて麻酔を維持した. 必要に応じて, パンクロニウム, d-Tcを投与した. 血漿コルチゾール濃度は本法自体により変化しなかったが、手術後漸増し麻酔覚醒時には最高値となった. 開腹術群に比べて非開腹術群では血漿コルチゾール濃度の上昇は少なく, 両群間の侵襲度の大小が原因と考えられた.
著者
西 圭史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.687-694, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
参考文献数
5

感染症治療に用いる抗菌薬,抗真菌薬,抗ウイルス薬について分類や種類,作用機序と適正使用する際の注意点,副作用,相互作用,禁忌を述べた.おのおのの薬に関する基本事項を知り,理解することが適正使用へ向かう一歩である.また,近年,適正使用について国レベルでのプランが進行する中で,さらなる推進につながるよう患者アウトカムの改善,副作用の防止,耐性菌の抑制,医療費の抑制に寄与すべく基本的知識についても述べた.総論的な内容となっているが,これらの薬の理解の一助となることを願う.
著者
猪又 孝元
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.846-853, 2011

&nbsp;&nbsp;現在の心不全治療は,目に見えて悪い状態からの脱却を目指す「目に見える治療」と,長期予後改善というエビデンスに基づく「目に見えない治療」とに大別される.前者はその場を乗り切る治療であり,後者は固有の質を改善する治療である.心不全は進行性の病態が特徴的であり,先手先手の介入がより大きな利益を生む.最近では,慢性期予後を意識しての急性期介入,すなわち「目に見える治療」の際に「目に見えない治療」を含有できるかの試みがなされつつある.根底に流れるコンセプトは,治療アウトカムをいかに的確かつ具体的に意識できるかという点である.周術期という一種の急性病態に対し,麻酔科医が念頭に置くべき新たな潮流である.
著者
近藤 紀子 寺田 宏達 土村 まどか 山田 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.493-499, 2009-07-15 (Released:2009-08-10)
参考文献数
8

近年, 超音波ガイド下神経ブロックが普及してきているが, ブロック針のクリアな描出に難しさを感じることが多い. 今回われわれは, 静脈留置針をブロック針として使用しIn vitro試験にて他の針と比較検討を行い, 視認性, 抵抗感とも良好な結果を得た. また実際の症例において, 大腿骨頸部骨折の83歳女性の観血的整復固定術の麻酔管理の際に, 静脈留置針をブロック針として超音波ガイド下末梢神経ブロックを併用した全身麻酔を行い, 速やかにブロックを施行できた. 静脈留置針は視認性・抵抗感の点で超音波ガイド下神経ブロックに有用と思われた.

1 0 0 0 OA 消毒と滅菌

著者
谷野 雅昭
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.702-705, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

現代医療,とりわけ手術において,消毒・滅菌が極めて重要であることは誰もが認めるところであろう.しかしながら,われわれ医師を含めた医療従事者はその教育を十分に受けてきたとは言い難い現実がある.麻酔科医にとっては非常に身近なものであるにもかかわらず,消毒については十分な知識を有しているとは言えない状態で,滅菌に至ってはほとんど何も知らないままでいる人が大半ではないだろうか.消毒・滅菌について,それらの定義や分類をはじめとして,その本質を理解するために必要な基礎的な知識を述べる.